被疑者及び被告人の勾留

第0 目次

第1    総論
第2    勾留質問
第3    勾留状の執行等
第4    勾留と弁護人等への通知
第5    勾留と弁護人等以外の者との接見交通
第6    勾留理由開示
第7    勾留の取消
第8    勾留の執行停止
第9    被疑者勾留の特有事項
第10   被告人勾留の特有事項
第11   第一審裁判所の無罪判決後の勾留
第12   代用監獄及び被告人の移送
第13の1 被疑者の勾留に関する事件事務規程の条文
第13の2 勾引及び被告人の勾留に関する事件事務規程の条文

*1 以下のHPも参照してください。
① 弁護人
② 被疑者の逮捕
③ 被告人の保釈
*2 以下の資料を掲載しています。
① 刑事事件に関する書類の参考書式について(平成18年5月22日付の最高裁判所事務総局刑事局長,総務局長,家庭局長送付)
② 司法検察職員捜査書類基本書式例(平成12年3月30日付の次長検事依命通達)
③ 刑訴法429条に基づく準抗告の新受人員及び取消し・変更があった人員(平成18年~平成29年)
④ 平成30年5月7日付の参考統計表(最高裁判所事務総局刑事局)
⑤ 矯正施設収容中の者に対する国民年金制度に関する指導等について(平成25年9月20日付の法務省矯正局長の通達)
⑥ 矯正施設収容中の者に対する国民年金制度の周知等に関する法務省との連携について(厚生労働省年金局事業管理課長の通知)
⑦ 被疑者の弁護人から勾留状謄本交付申請がなされた場合の取扱いについて(平成27年11月18日付の最高裁判所総務局第三課長の事務連絡)
⑧ 勾留請求と勾留状の発付数等(地簡裁総数)(昭和40年から平成29年まで)
*3 逮捕・勾留中の警察署留置場における生活については,警察庁HPの「留置場における生活」及びポリスマニアックス.com「取調室と留置場にありがちな事」が参考になります。
*4 大阪府警察本部は,留置施設等収容情報通知制度に基づき,生活保護受給者が勾留状の執行を受けて勾留された場合,その者の生活保護を実施している自治体に対し,収容情報を通知しています(大阪府警察HPの「留置施設等収容情報通知制度の実施について」参照)。
   収容情報の通知先は,大阪府警察と収容情報の通知に関する協定を締結している自治体に限られますものの,平成30年7月1日以降,大阪府内のすべての市が対象になっているみたいです(平成30年8月29日付の大阪府警察犯罪抑止戦略本部の回答書参照)。
*5 刑事事件弁護士相談広場HP「起訴後の刑事事件手続き~起訴後の勾留(被告人勾留)と保釈制度~」が載っています。
被告人の勾留状1/2
被告人の勾留状2/2
被疑者の勾留状1/2
被疑者の勾留状2/2

第1 総論

1 勾留とは,被告人又は被疑者を刑事施設に拘禁する裁判及びその執行をいいます。

2(1) 勾留の要件は以下のとおりです。
① 犯罪の嫌疑(刑訴法60条1項柱書)
   被告人が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることです。
② 勾留の理由(刑訴法60条1項各号)
   (a)被告人が定まった住居を有しないとき(住居不定),(b)罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(罪証隠滅のおそれ),(c)逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(逃亡のおそれ)のいずれかが存在することです。
③ 勾留の必要性(刑訴法87条1項参照)
(2) 少年法48条1項は「勾留状は、やむを得ない場合でなければ、少年に対して、これを発することはできない。」と定めています。

3 勾留に対しては,犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告又は準抗告をすることはできません(刑訴法420条3項・429条2項)。

4 弁護士は,身体の拘束を受けている被疑者及び被告人について,必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努めます(弁護士職務基本規程47条)。

5 未決勾留は,刑訴法の規定に基づき,逃亡又は罪証隠滅の防止を目的として,被疑者又は被告人の居住を刑事施設内に限定するものであって,このような未決勾留による拘禁関係は,勾留の裁判に基づき被勾留者の意思にかかわらず形成され,法令等の規定に従って規律されるものです。
   そうすると,未決勾留による拘禁関係は,当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上の安全配慮義務を負うべき特別な社会的接触の関係とはいえません。
   そのため,国は,拘置所に収容された被勾留者に対して,その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負いません(最高裁平成28年4月21日判決)。

6 裁判所HPの「Q.勾留とは何ですか。」には以下の記載があります。
A. 勾留は,身柄を拘束する処分ですが,その中にも被疑者の勾留と被告人の勾留とがあります。被疑者の勾留は,逮捕に引き続き行われるもので,罪を犯したことが疑われ,かつ,証拠を隠滅したり逃亡したりするおそれがあるなどの理由から捜査を進める上で身柄の拘束が必要な場合に,検察官の請求に基づいて裁判官がその旨の令状(勾留状)を発付して行います。勾留期間は10日間ですが,やむを得ない場合は,検察官の請求により裁判官が更に10日間以内の延長を認めることもあります。また,内乱等のごく例外的な罪に関する場合は,更に5日間以内の延長が認められています。
   これに対し,被告人の勾留は,起訴された被告人について裁判を進めるために身柄の拘束が必要な場合に行われますが,罪を犯したことが疑われ,かつ,証拠を隠滅したり逃亡したりするおそれがあるなどの理由が必要な点は,被疑者の勾留の場合と同様です。勾留期間は2か月で,特に証拠を隠滅するおそれがあるなど必要性が認められる限り,1か月ずつ更新することが認められています。

7(1) リーガラスHP「「ある弁護士の獄中体験記」記事一覧(留置所・拘置所・刑務所での生活と出所の記録)」(筆者は44期の山本至 元弁護士(東弁))が載っています。
   同人は,平成18年11月9日に突然,宮崎県警に逮捕され,宮崎地裁平成21年4月28日判決(判例秘書)により懲役1年6月・未決勾留日数50日算入の実刑判決となり,福岡高裁平成22年12月16日判決(判例秘書)により控訴棄却となり,最高裁平成24年10月22日決定により上告棄却となり,同年12月10日に福岡高検宮崎支部に出頭し,平成26年4月20日に刑期満了となり,翌日,大分刑務所を出所しました
(2) 東京弁護士会は,平成19年10月11日,「山本至会員に対する第1回公判にあたっての会長談話」を出しました(弁護士自治を考える会ブログの
「山本至弁護士【東京】二審も実刑判決。別に犯人いると虚偽」参照)。)。
勾留請求と勾留状の発付等

第2 勾留質問

1 勾留は,被疑者に対しては被疑事実を告げ,被告人に対しては被告事件を告げ,これに関する陳述を聴いた後でなければ,これをすることができません(刑訴法61条・207条1項)。

2 被告事件を告げるとは,事件の同一性を明らかにし,かつ,被告人がこれに対して適切な弁解をすることができる程度に,具体的に事案の内容を告げることをいい,公訴事実の要旨の告知(刑訴法76条1項,203条1項,204条1項)と同じことです。

3 勾留をする裁判所が,すでに被告事件の審理の際,被告事件に関する陳述を聞いている場合には,改めて刑訴法61条のいわゆる勾留質問をしなければならないものではありません(最高裁昭和41年10月19日決定)。

4 勾留質問には裁判所書記官を立ち会わせ(刑訴規則69条),調書を作成しなければなりません(刑訴規則39条,42条)。
   この場合の調書が勾留質問調書であり,①読み聞かせ及び②供述者の署名押印がなされる(刑訴規則39条2項・38条3項及び6項)ことから,被告人の供述を録取した書面として証拠能力を有します(刑訴法321条1項1号,322条1項)。

5 憲法32条は,すべて国民は憲法または法律に定められた裁判所によってのみ裁判を受ける権利を有し,裁判所以外の機関によって裁判をされることはないことを保障したものであって,裁判を行なう場所についてまで規定したものではありません。
   そのため,裁判官が裁判所の庁舎外において勾留質問を行ったとしても,憲法32条に違反しません(最高裁昭和44年7月25日決定)。
勾留質問調書(被告人用)
勾留質問調書(被疑者用)
勾留質問調書(被疑者国選弁護対象事件用)

第3 勾留状の執行等

1(1) 勾留状は,検察官の指揮によって,検察事務官又は司法警察職員がこれを執行します(刑訴法70条1項本文)。
(2)   刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は,検察官の指揮によって,刑事施設職員がこれを執行します(刑訴法70条2項)。
2 検察官の指揮により勾引状又は勾留状を執行する場合には,これを発した裁判所又は裁判官は,その原本を検察官に送付しなければなりません(刑訴規則72条)。
   原本を検察官に送付するのは,勾留状の執行に当たって,原本を被告人に示す必要があるからです(刑訴法73条1項及び2項)。

3 遠隔の地で勾引状・勾留状の執行をした場合,引致すべき場所との距離等との関係で長時間を要し,あるいは利用する交通機関との関係で待ち時間ができたりすることが考えられ,そのようなとき,近接地にある刑事施設に一時的に身柄を留置することができます(刑訴法74条)。

4 勾留状の執行を受けた被告人は,その謄本の交付を請求することができます(刑訴規則74条)。

第4 勾留と弁護人等への通知

1 被疑者又は被告人が勾留された場合,接見交通(刑訴法39条1項),勾留理由開示請求(刑訴法82条2項),勾留取消請求(刑訴法87条1項)及び保釈請求(刑訴法88条1項)等,護人の活動すべき範囲は広く,弁護人が被告人の勾留されたことを直ちに知ることは人権保障の上で極めて重要ですから,刑訴法79条1項・207条1項による通知は弁護人依頼権を実質化するものです。
   被告人に弁護人がないときは,被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人に通知しなければならないとされる(刑訴法79条2項・207条1項)のも,これらの者は独立して弁護人を選任することができる者である(刑訴法30条2項)から,弁護人依頼権を実質化しようとするものであるとともに,これらの者が被告人の所在を知って接見し(刑訴法80条),勾留理由開示請求(刑訴法82条2項,勾留取消請求(刑訴法87条1項)及び保釈請求(刑訴法88条1項)等をなし得るようにするものです。

2 被告人を勾留した場合において被告人に弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹がないときは,被告人の申出により,その指定する者1人にその旨を通知しなければなりません(刑訴規則79条)。

第5 勾留と,弁護人等以外の者との接見交通

1 勾留されている被疑者又は被告人は,弁護人等以外の者と,法令の範囲内で接見し,又は書類若しくは物の授受をすることができます(刑訴法80条前段)。

2 接見しようとする者が弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者である場合,その者は通常,刑事司法の目的及び運営に暗い者であるから,法令による各種の制限を置くことはやむを得ないといわれています。

3 ①逮捕状により留置中の被告人(逮捕中公判請求の場合),及び②被疑者(刑訴法209条は同法80条を準用していない)については,弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見は認められていません。

4 裁判所は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被告人と弁護人等以外の者との接見を禁じ,又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し,その授受を禁じ,若しくはこれを差し押えることができ(刑訴法81条本文),これを接見等禁止決定といいます。

5   勾留と弁護人との接見交通については,「弁護人」を参照して下さい。
接見等禁止決定
接見等禁止決定(物の除外あり)
接見等禁止決定(領事官の除外あり)
接見等禁止決定(親権者である父母の除外あり)

第6 勾留理由開示

1 総論
(1) 勾留理由開示は憲法34条後段の要請に基づく制度です。
(2) 勾留されている被疑者又は被告人は,裁判所に勾留の理由の開示を請求することができます(刑訴法82条1項・207条1項)。
(3) 勾留されている被疑者又は被告人の弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族,兄弟姉妹その他利害関係人も,裁判所に勾留の理由の開示を請求することができます(刑訴法82条2項・207条1項)。
(4) 勾留理由開示は,公開の法廷でなされ(刑訴法83条1項・207条1項),裁判官及び裁判所書記官が列席して開かれます(刑訴法83条2項・207条1項)。
   なお,被告人及びその弁護人が出頭しないときは,原則として開廷することができません(刑訴法83条3項・207条1項)。
(5) 裁判長は,勾留理由開示の法廷において,勾留の理由を告げる必要があります(刑訴法84条1項・207条1項)。
(6) 検察官,弁護人等は,10分以内で意見を述べることができますし(刑訴法84条2項本文・207条1項,刑訴規則85条の3第1項),書面を差し出すことができます(刑訴法84条2項ただし書・207条1項,刑訴規則85条の3第2項)。
  
2 勾留理由開示に関する判例
(1) 刑訴法86条の趣旨に徴すれば,既に一度勾留理由の開示がなされたときは,その同一勾留の継続中は重ねて勾留理由の開示を請求することを許されません(最高裁昭和28年10月15日決定)。
   なお,刑訴法86条は同一時点における請求の競合について規定するものに対し,最高裁昭和28年10月15日決定は異なる時点における請求の競合について判示するものです。
(2) 勾留理由開示の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては,たとえ判決後にしたものであっても,刑訴法428条2項により,その高等裁判所に通常の抗告に代る異議の申立てをすることができます(最高裁昭和31年12月13日決定)。
(3) 勾留理由開示の請求は,同一勾留については,勾留の開始せられた当該裁判所において一回にかぎり許されます(最高裁昭和44年4月9日決定。なお,先例として,最高裁昭和29年8月5日決定,最高裁昭和29年9月7日決定参照)。
(4) 裁判官が勾留理由開示の請求を却下した裁判に不服がある者は,刑訴法429条1項2号により,その取消又は変更を請求することができます(最高裁昭和46年6月14日決定)。
(5) 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合には,第一回公判期日前における勾留理由の開示は,その地方裁判所の裁判官が行なうべきものです(最高裁昭和47年4月28日決定)。
(6) 勾留理由開示の請求は,勾留の開始された当該裁判所にのみなすことを許されます(最高裁昭和48年6月20日決定及び最高裁昭和50年10月18日決定。なお,先例として,最高裁昭和29年8月5日決定,最高裁昭和29年9月7日決定参照)。
   そのため,被告人に対する勾留が第一審で開始されたものである場合,上告審において勾留理由開示の請求をすることはできません(最高裁昭和50年10月18日決定)。
(7)  最高裁判所がした勾留理由開示請求却下決定に対し,特別抗告をすることはできません(最高裁昭和60年12月12日決定)。
(8) 勾留理由の開示は,公開の法廷で裁判官が勾留の理由を告げることであるから,その手続においてされる裁判官の行為は,刑訴法429条1項2号にいう勾留に関する裁判には当たりません(最高裁平成5年7月19日決定)。
(9)  公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができるにすぎません(最高裁平成17年10月24日決定)。

第7 勾留の取消

1 勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは,裁判所は,検察官,勾留されている被告人若しくはその弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により,又は職権で,決定を以て勾留を取り消す必要があります(刑訴法87条1項・207条1項)。

2 ①勾留に対する不服申立てが勾留の裁判自体に内在する瑕疵を原因とする勾留の否定であり,②保釈及び勾留の執行停止が勾留後の事情を考慮しての一時的効力の停止であるのに対し,③勾留の取消は,勾留後の事情を原因とするその撤回です。

3 刑訴法60条1項の勾留の理由は元々,勾留の必要のある場合の典型的な例ですから,勾留の理由がある以上,勾留の必要性も推定されます。
   そのため,勾留の理由があって必要性のない場合としては,住居不定ではあるものの確実な身元引受人がある場合が考えられるにすぎません。

4 勾留取消決定(ただし,刑訴法207条,280条の場合は勾留取消命令)をする場合,それが検察官の請求によるものでない限り,急速を要する場合を除き,検察官の意見を聴く必要があります(刑訴法92条2項)。

第8 勾留の執行停止

1 裁判所は,適当と認めるときは,決定で,勾留されている被告人を親族,保護団体その他の者に委託し,又は被告人の住居を制限して,勾留の執行を停止することができます(刑訴法95条・207条1項)。

2 勾留の執行停止は実務上,被告人の病気療養のための入院,親族の冠婚葬,就職試験といった場合に限り,認められているにすぎません。
   また,執行停止の期間は実務上ほとんどの場合に付されています。

3 勾留の執行停止をする場合は必ず,親族,保護団体その他の者に委託するか(刑訴規則90条参照),又は被告人の住居を制限しなければなりません。
   なお,ハイジャック犯からの要求で超実定法的に被告人の勾留の執行を一時停止するといったように,委託も住居制限もできない場合に勾留の執行を停止することは,刑訴法95条とは無関係です。

4 勾留の執行停止決定をする場合,急速を要する場合を除き,検察官の意見を聴く必要があります(刑訴規則88条)。
勾留執行停止決定
勾留執行停止決定(注意事項あり)

第9 被疑者勾留の特有事項

1 被疑者の勾留は原則として10日以内であり(刑訴法208条1項),やむを得ない事由があると認められる場合に限り,20日以内となります(刑訴法208条2項)。

2 刑訴法208条2項の「やむを得ない事由」とは,①被疑者若しくは被疑事実の多数,計算複雑,被疑者・関係人らの供述その他の証拠の食い違い,取調べが必要と見込まれる関係人・証拠物多数等,又は,②重要参考人の病気,旅行,所在不明若しくは鑑定等証拠収集の遅延,困難等により,起訴,不起訴の決定が困難な場合を指し,その存否の判断には,関連する事件も相当の限度で考慮に入れることができます(最高裁昭和37年7月3日判決)。

3 勾留期間の延長請求書には,勾留状と期間延長のやむを得ない事由があることを認めるべき資料を添付しなければなりません(刑訴規則152条)。
   通常は,取調べを要する関係者多数,重要参考人が遠隔地のため取調べ未了及び事案複雑等,その事由を具体的に記載し,一件捜査記録を資料として添付しています。

4 勾留の期間延長の裁判は,延長する期間及び理由を記載した勾留状を検察官に交付することによって効力を生じます(刑訴規則153条1項ないし3項)。

5 検察官は,勾留状の交付を受けたときは,ただちに刑事施設職員を通じてこれを被疑者に示す必要があります(刑訴規則153条4項)。

第10 被告人勾留の特有事情

1 被告人の勾留の目的は,①被告人の公判廷への出頭を確保し,罪証隠滅を防止する点,及び②有罪判決がなされた場合の刑を執行するために身柄を確保する点にあります。

2 第1回公判期日前の勾留は裁判官が行います(刑訴法280条1項)。

3 被告人勾留の場合,裁判所が職権で行うのであって,被疑者勾留の場合のように検察官の請求によって行う(刑訴法207条)わけではありません。

4 逮捕中の被疑者について逮捕の基礎となった犯罪事実につき公訴を提起する場合において,その者を勾留する必要があると認めるときに,実務上,検察官が被告人の勾留を求めること(逮捕中求令状)がありますものの,これは裁判官に対してその職権の発動を促す意思表示にすぎません。

5 勾留の期間は原則として2ヶ月である(刑訴法60条2項本文前段)ものの,特に継続の必要がある場合においては,具体的に理由を付した決定で,1ヶ月ごとにこれを更新することができます(刑訴法60条2項本文後段)。
   ただし,罪証隠滅,住居不定等の場合を除き,勾留の更新は1回しかできません(刑訴法60条2項ただし書)。

6 刑訴法60条2項本文前段の「勾留の期間」とは,勾留状の執行として拘禁できる期間をいいます。

7 勾留状の有効期間(刑訴法64条1項,刑訴規則300条)とは,勾留状を執行する有効期間をいい,被告人を交流すべき期間をいうものではありません(最高裁昭和25年6月29日決定)。

8 起訴前の勾留中における捜査官の取調べの当否は起訴後の勾留の効力に影響を及ぼしません(最高裁昭和44年9月27日決定。なお,先例として,最高裁昭和42年8月31日決定)。

9 勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は,右決定による勾留の期間の満了により失われます(最高裁平成6年7月8日決定)。

第11 第一審裁判所の無罪判決後の勾留

1 刑訴法345条は,無罪等の一定の裁判の告知があったときには勾留状が失効する旨規定しており,特に,無罪判決があったときには,本来,無罪推定を受けるべき被告人に対し,未確定とはいえ,無罪の判断が示されたという事実を尊重し,それ以上の被告人の拘束を許さないこととしたものと解されるから,被告人が無罪判決を受けた場合においては,同法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断は,無罪判決の存在を十分に踏まえて慎重になされなければならず,嫌疑の程度としては,第1審段階におけるものよりも強いものが要求されます(最高裁平成19年12月13日決定)。

2 第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であっても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮しても,勾留の理由及び必要性が認められるときは,その審理の段階を問わず,被告人を勾留することができます(最高裁平成23年10月5日決定。なお,先例として,最高裁平成12年6月27日決定,最高裁平成19年12月13日決定参照)。

第12 代用監獄及び被告人の移送

1 被疑者及び被告人の勾留場所は本来,刑事施設としての拘置所です(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(=刑事収容施設法)3条3号)。
   しかし,拘置所の収容能力に限界があることから,被疑者の勾留場所はほぼ常に警察署留置場であり,被告人の勾留場所も当初は警察署留置場となっており(刑事収容施設法15条1項参照),これを代用監獄といいます。
2 検察官は,裁判長の同意を得て,勾留されている被告人を他の刑事施設に移すことができます(刑訴規則80条1項)。
3 検察官は,被告人を他の刑事施設に移したときは,直ちにその旨及びその刑事施設を裁判所及び弁護人に通知しなければなりません(刑訴規則80条2項前段)。
   被告人に弁護人がないときは,被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨及びその刑事施設を通知しなければなりません(刑訴規則80条2項後段)。
4 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができます(最高裁平成7年4月12日決定)。

第13の1 被疑者の勾留に関する事件事務規程の条文

被疑者の勾留に関する事件事務規程の条文は以下のとおりです。

(勾留等の請求)
第23条 検察官が被疑者の勾留の請求又は少年法第43条第1項の規定による観護の措置の請求をするときは,勾留請求書(様式第40号)又は観護措置請求書(様式第41号)による。
2 検察官が前項の請求をするときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該請求に関する事項を管理するとともに,勾留等請求逓付票(様式第42号)を作成する。

(勾留状等の交付)
第24条 勾留状又は観護令状が発せられたときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該勾留状等の発付に関する事項を管理するとともに,勾留状又は観護令状に検察官の指揮印を受けて,執行すべき者に交付する。観護令状が発せられた場合において,少年法第17条の4第1項に定める決定があったときは,その決定の執行についても検察官の指揮印を受けなければならない。
2 第22条の規定は,前項の令状の執行を嘱託する場合に準用する。

(勾留状等執行後の仮留置)
第25条 前条第1項の令状の執行を受けた被疑者を護送する場合において,仮に最寄りの刑事施設に留置するときは,刑事施設職員に対し令状を示してその留置を求める。ただし,その執行が刑訴法第73条第3項の規定による執行であって令状を示すことができないときは,令状の発せられている事実を証する書面を示せば足りる。

(勾留請求済みの証明)
第26条 逮捕中の被疑者について勾留の請求をした場合において,刑事施設に留置するときは,勾留請求済証明書(様式第43号)を刑事施設職員に交付して留置を求める。
2 前項の規定は,逮捕中の被疑者について観護の措置を請求した場合に準用する。

(勾留期間の延長請求)
第27条 検察官が被疑者の勾留期間の延長の請求をするときは,勾留期間延長請求書(様式第44号)による。
 2 検察官が前項の請求をするときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該請求に関する事項を管理するとともに,勾留期間延長請求逓付票(様式第45号)を作成する。
3 第1項の請求に対し延長の裁判があったときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該裁判に関する事項を管理するとともに,速やかに勾留状に検察官の押印を受けて,被疑者が収容されている刑事施設の長に送付する。

(接見等禁止決定の請求)
第28条 検察官が被疑者と刑訴法第39条第1項に規定する者以外の者との接見等を禁止する決定を請求するときは,接見禁止等請求書(様式第46号)による。
2 検察官が前項の請求をするときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該請求に関する事項を管理するとともに,接見禁止等請求逓付票(様式第47号)を作成する。
3 第1項の決定があったときは,令状担当事務官は,検察システムにより当該決定に関する事項を管理するとともに,決定書の原本又は謄本に検察官の指揮印を受けて,被疑者が収容されている刑事施設の長に送付する。
4 検察官が第1項の決定の取消しを請求するときは,接見禁止等取消請求書(様式第48号)による。この場合においては,前2項の規定を準用する。

(接見等の指定)
第29条 検察官又は検察事務官が刑訴法第39条第3項の規定により,同条第1項の接見等に関し,その日時,場所及び時間を書面で指定するときは,指定書(様式第49号)による。

(鑑定留置)
第30条 検察官又は検察事務官が鑑定留置の処分の請求をするときは,鑑定留置請求書(様式第50号)による。
2 留置期間の延長又は短縮を必要と認めるときは,鑑定留置期間延長・短縮請求書(様式第51号)を裁判官に送付する。
3 検察官又は検察事務官が前2項又は第7項の請求をするときは,令状担当事務官は,鑑定留置請求逓付票(様式第52号)を作成する。
4 鑑定留置状が発せられたときは,令状担当事務官は,鑑定留置状に検察官の指揮印を受けて,執行すべき者に交付する。
5 第22条の規定は,鑑定留置状の執行を嘱託する場合に準用する。
6 留置期間の延長又は短縮の決定があったときは,令状担当事務官は,決定書に検察官の指揮印を受けて,執行すべき者に交付する。
7 検察官が鑑定留置の処分の取消しを請求するときは,鑑定留置取消請求書(様式第53号)による。
8 刑事施設に勾留中の被疑者を病院その他の相当な場所に留置するときは,検察官は,鑑定留置のための釈放指揮書(様式第54号)によりその者が収容されている刑事施設の長に対して釈放を指揮する。
9 留置期間の満了又は留置の取消決定により被疑者を刑事施設に収容するときは,検察官は,留置期間満了・留置処分取消しによる収容指揮書(様式第55号)により検察事務官,司法警察職員又は刑事施設職員及び刑事施設の長に対して収容を指揮する。この指揮書には,勾留状の謄本及び鑑定留置状(留置期間の延長又は短縮の決定があったときは,鑑定留置状及びその決定)の謄本又は留置処分取消決定の謄本を添付する。
10 前項の規定により収容すべき被疑者が他の検察庁の管轄区域内に留置されている場合において,その検察庁の検察官に収容指揮を嘱託するときは,収容指揮嘱託書(甲)(様式第56号)による。この嘱託書には,留置期間満了・留置処分取消しによる収容指揮書に添付すべき書類を添付する。
11 第1項から前項までの手続をしたときは,令状担当事務官は,その都度,検察システムにより鑑定留置に関する事項を管理する。

(勾留中の被疑者の管理)
第31条 被疑者が勾留されている事件(勾留執行停止により釈放されている場合を含む。)を第3条第2号により受理したとき,又は被疑者に対し少年法第17条第1項第2号の措置がとられている事件を第3条第2号若しくは第3号により受理したときは,令状担当事務官は,検察システムにより勾留中の被疑者に係る事項を管理する。
2 勾留中の被疑者について拘禁上の異動等が生じたときは,令状担当事務官は,検察システムによりその旨を管理する。

(勾留期間の満了通知)
第32条 刑訴法第208条若しくは第208条の2又は少年法第44条第3項に定める期間が満了するときは,令状担当事務官は,あらかじめその旨を事件担当の検察官に通知するよう努めなければならない。

(被疑者の移送)
第33条 検察官が勾留中の被疑者を他の刑事施設に移すときは,移送指揮書(甲)(様式第57号)により,裁判官の同意を得た上,その者が収容されている刑事施設の長に対して移送の指揮をする。

(移送指揮の嘱託及び受託)
第34条 前条の規定により移送すべき被疑者が他の検察庁の管轄区域内にある刑事施設に収容中である場合において,その検察庁の検察官に移送指揮を嘱託するときは,移送指揮嘱託書(様式第58号)による。移送指揮嘱託書には,移送同意請求書(様式第59号)により移送について裁判官の同意を得た上,これを添付する。
2 前項の規定により移送指揮の嘱託をするときは,令状担当事務官は,検察システムによりその旨を管理する。
3 第1項による移送指揮の嘱託があったときは,移送指揮書(甲)により被疑者が収容されている刑事施設の長に対して移送の指揮をする。当該移送指揮書には,移送同意請求書を添付する。

(移送後の通知)
第35条 被疑者を移送したときは,検察官は,移送通知書(様式第60号)により刑事訴訟規則(昭和23年最高裁判所規則第32号。以下「刑訴規則」という。)第80条第2項に定める裁判所及び弁護人等に対して速やかに通知する。
この場合において,その移送が嘱託に基づいてなされたときは,嘱託をした検察官が通知する。

(受刑者の移送)
第36条 検察官は,捜査のため受刑者を移送する必要があるときは,移送依頼書(様式第61号)により受刑者が収容されている刑事施設(少年法第56条第3項の規定により少年院において刑を執行する場合における当該少年院を含む。以下この条において同じ。)の長に対して移送を依頼する。
2 受刑者を移送した後,その刑事施設に収容する必要がなくなったときは,受刑者取調べ等終了通知書(様式第62号)により刑事施設の長に対してその旨を通知する。

(検証現場等への護送)
第37条 検察官は,捜査のため勾留中の被疑者又は被告人を検証等に立ち会わせる必要があるときは,護送指揮書(様式第63号)によりその者が収容されている刑事施設の長に対してその者を現場に護送するよう指揮する。

(勾留請求後の被疑者の釈放)
第38条 刑訴法第207条第5項ただし書の裁判があったときは,検察官は,裁判官からの通知に基づき被疑者を釈放する。この場合においては,第21条第1項及び第2項の規定を準用する。

(勾留中の被疑者の釈放)
第39条 検察官が刑訴法第207条の規定により勾留された被疑者を釈放するときは,釈放指揮書(様式第64号)によりその者が収容されている刑事施設の長に対して釈放の指揮をする。
2 第61条第2項及び別表により起訴状に「勾留中求令状」と表示して公訴を提起した場合における勾留中の被疑者の釈放手続は,新たに発せられた勾留状の執行指揮をした後に行う。この場合における釈放指揮書には,備考欄に新勾留状により引き続き勾留する旨を記入する。
3 被疑者の釈放手続が行われたときは,検察官又は令状担当事務官は,その旨及びその年月日を勾留状の欄外に記入し押印する。

(観護措置の取消しの請求)
第40条 検察官が少年法第44条第1項の規定による被疑者の観護措置の取消しの請求をするときは,観護措置取消請求書(様式第65号)による。

(勾留の執行停止の申立て)
第41条 検察官が被疑者の勾留の執行停止を求めるときは,勾留執行停止申立書(様式第66号)による。

(勾留取消し等による被疑者の釈放)
第42条 第39条第1項の規定は,勾留の取消し,勾留の執行停止又は観護の措置の取消しの決定により被疑者を釈放する場合に準用する。

(釈放指揮の嘱託)
第43条 被疑者の釈放指揮を他の検察庁の検察官に嘱託するときは,釈放指揮嘱託書(様式第67号)による。この場合において,急速を要するときは,適宜の方法によることができる。
2 前項の規定により釈放指揮の嘱託をするときは,令状担当事務官は,検察システムによりその旨を管理する。

(勾留執行停止決定による釈放の通知)
第44条 勾留執行停止決定により被疑者を釈放したときは,令状担当事務官は,保釈・勾留執行停止釈放通知書(様式第68号)により被疑者の帰住地を管轄する警察署の長に対してその旨を通知する。
2 前項の通知をした被疑者が住居を変更したときは,前項の手続に準じその旨を通知する。この場合においては,さきに通知した先に対しては,適宜の方法により速やかに住居を変更した旨を通知する。
3 被疑者の釈放が嘱託に基づいてなされたときは,第1項の通知の手続は,嘱託をした検察官の属する検察庁の令状担当事務官が行う。

(勾留執行停止の取消しの請求)
第45条 検察官が被疑者の勾留執行停止の取消しの請求をするときは,保釈・勾留執行停止取消請求書(様式第69号)による。

(被疑者の収容)
第46条 勾留の執行停止を取り消す決定又は勾留の執行停止期間の満了により被疑者を収容するときは,検察官は,収容指揮書(甲)(様式第70号)により検察事務官,司法警察職員又は刑事施設職員及び刑事施設の長に対して収容を指揮する。
2 前項の収容指揮書(甲)には,勾留状の謄本及び勾留の執行停止を取り消す決定の謄本(勾留執行停止期間満了のときは,勾留執行停止決定の謄本)を添付する。
3 刑訴法第98条第2項に規定する指揮を書面でするときは,収容指揮書(乙)(様式第71号)による。

(収容指揮の嘱託) 
第47条 前条の規定により収容すべき被疑者が他の検察庁の管轄区域内に現在する場合において,その検察庁の検察官に収容指揮を嘱託するときは,収容指揮嘱託書(乙)(様式第72号)による。この場合において,刑訴法第98条第2項に規定する指揮の嘱託については,適宜の方法によることができる。
2 前項の収容指揮嘱託書(乙)には,前条第2項の規定により収容指揮書(甲)に添付すべき書類を添付する。この場合において,必要があるときは,指紋,写真その他被疑者を特定するに足りる資料を併せて添付する。
3 第1項後段の規定により嘱託をしたときは,前項の添付書類を速やかに嘱託先の検察庁の検察官又は収容すべき刑事施設の長に送付する。
4 第1項の規定により収容指揮の嘱託をするときは,令状担当事務官は,検察システムによりその旨を管理する。

(収容後の通知)
第48条 被疑者を収容したときは,令状担当事務官は,保釈者・勾留執行停止者収容通知書(様式第73号)により第44条第1項又は第2項の規定により釈放通知をした警察署の長に対してその旨を通知する。この場合において,その収容が嘱託に基づいてなされたときは,嘱託をした検察官の属する検察庁の令状担当事務官が通知する。

(少年の収容等)
第49条 検察官が少年審判規則(昭和23年最高裁判所規則第33号)第24条の3第1項の規定により少年の収容場所又は留置場所について同意を請求するときは,少年収容場所等同意請求書(様式第74号)による。
2 少年法第20条の規定により家庭裁判所から少年鑑別所に収容中の少年(同法第17条の4第1項の規定により少年院又は刑事施設に収容中の少年を含む。)
の事件の送致があったときは,検察官は,少年収容等指揮書(様式第74号)により検察事務官,司法警察職員又は刑事施設職員及び刑事施設の長又は留置業務管理者に対して当該少年の収容又は留置を指揮する。同法第19条第2項(同法第23条第3項において準用する場合を含む。)又は第23条第1項の規定による送致があったときも,同様とする。
3 前項の規定により少年を収容し,又は留置したときは,検察官は,刑訴規則第80条第2項に定める裁判所及び弁護人等に対して速やかに少年収容等通知書(様式第75号)により通知する。

第13の2 勾引及び被告人の勾留に関する事件事務規程の条文

勾引及び被告人の勾留に関する事件事務規程の条文は以下のとおりです。

(被疑者の勾留等に関する規定の準用)
第94条 第22条の規定は勾引状又は被告人の勾留状若しくは鑑定留置状の執行の嘱託について,第24条第1項の規定は被告人の勾留状の交付について,第25条の規定は勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人の仮留置について,第28条の規定は被告人と刑訴法第39条第1項に規定する者以外の者との接見等禁止決定の請求及び接見等禁止決定の取消請求について,第30条第4項及び第6項から第10項までの規定は被告人の鑑定留置について,第33条の規定は同条中「裁判官」とあるのを「裁判長又は裁判官」と読み替えて被告人の移送について,第34条の規定は同条中「裁判官」とあるのを「裁判長又は裁判官」と読み替えて被告人の移送指揮の嘱託について,第35条の規定は被告人の移送について,第36条の規定は公判手続上の必要による受刑者の移送について,第38条の規定は刑訴法第280条第2項に規定する裁判による被告人の釈放について,第39条第1項の規定は保釈許可決定,勾留の取消決定又は勾留の執行停止決定による被告人の釈放について,第40条の規定は被告人の観護の措置の取消請求について,第41条の規定は被告人の勾留の執行停止の申立てについて,第43条の規定は被告人の釈放指揮の嘱託について,第45条の規定は被告人の保釈又は勾留執行停止の取消しの請求について,第46条の規定は保釈若しくは勾留執行停止の取消し又は勾留執行停止期間の満了による被告人の収容について,第47条の規定は被告人の収容指揮の嘱託について,第58条の規定は勾引状の執行,被告人の勾留状若しくは鑑定留置状の執行又は被告人の移送指揮,釈放指揮 若しくは収容指揮の嘱託を受けた場合について,それぞれ準用する。

(勾引状等の交付)
第95条 勾引状が発せられたときは,令状担当事務官は,勾引状交付簿(様式第135号)に所定の事項を登載し,勾引状に検察官の指揮印を受けて執行すべき者に交付する。刑訴法以外の法令において刑訴法の勾引に関する規定を準用する勾引又は引致につき,勾引状又は引致状が発せられたときも,同様とする。

(勾引状の執行を受けた証人の仮留置)
第96条 勾引状の執行を受けた証人を護送する場合において,一時最寄りの警察署その他の適当な場所に留置するときは,その場所の管理者に対し勾引状を示してその留置を求める。

(鑑定留置による釈放の通知)
第97条 刑事施設に勾留中の被告人について鑑定留置のため釈放を指揮したときは,令状担当事務官は,鑑定留置による釈放通知書(様式第136号)により裁判所に通知する。この場合において,鑑定留置状の執行を他の検察庁の検察官に嘱託したときは,嘱託をした検察官の属する検察庁の令状担当事務官が通知する。

(勾留中の被告人の管理)
第98条 次の場合には,令状担当事務官は,検察システムにより勾留中の被告人に係る事項を管理する。
(1) 被告人が勾留されたとき。
(2) 被告人が勾留されている事件(被告人が保釈又は勾留執行停止により釈放されている場合を含む。)が併合,移送又は差戻しの裁判により対応裁判所に係属したとき。
2 勾留中の被告人について拘禁上の異動等が生じたときは,令状担当事務官は,検察システムによりその旨を管理する。

(勾留期間更新手続の適正等の確保)
第99条 令状担当事務官は,常に裁判所と緊密な連絡を保ち,勾留期間更新の手続が適正かつ円滑に行われるよう努めなければならない。

(勾留期間更新決定の執行)
第100条 裁判所から勾留期間更新決定書の送付があったときは,令状担当事務官は,検察官の指揮印を受け,被告人が収容されている刑事施設の長に送付する。

(勾留の取消しの請求)
第101条 検察官が被告人の勾留の取消しの請求をするときは,勾留取消請求書(様式第137号)による。

(釈放の通知)
第102条 被告人を釈放したときは,令状担当事務官は,釈放通知書(丙)(様式第138)により裁判所に対してその旨を通知する。ただし,刑訴法第280条第2項に規定する裁判により釈放した場合にはこの限りでない。
2 保釈許可決定又は勾留執行停止決定により被告人を釈放したときは,令状担当事務官は,保釈・勾留執行停止釈放通知書により被告人の帰住地を管轄する警察署の長に対してその旨を通知する。
3 第44条第2項の規定は,前項の場合に準用する。
4 第1項及び第2項の場合において,被告人の釈放が嘱託に基づいてなされたときは,嘱託をした検察官の属する検察庁の令状担当事務官が通知する。

(収容後の通知)
第103条 被告人を収容したときは,令状担当事務官は,収容通知書(様式第139号)により裁判所に対してその旨を通知する。この場合において,その収容が嘱託に基づいてなされたときは,嘱託をした検察官の属する検察庁の令状担当事務官が通知する。
2 第48条の規定は,被告人を収容した場合に準用する。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。