実況見分調書等の刑事記録の保管期間

第0 目次

第1 刑事確定記録の保管期間
第2 不起訴事件記録の保管期間
第3 検察庁作成の保管期間一覧表
第4 保管期間満了後の刑事記録の取扱い
第5 昭和11年の2・26事件の刑事記録
第6 刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯
第7 裁判所保管の刑事記録

*1 以下のページも参照して下さい。
① 交通事故事件の刑事記録の入手方法
② 交通事故事件の刑事記録
③ 交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点
④ 大阪地検の記録事務取扱要領
⑤ 検察庁関係の法令・書式,法務省の各種事務規程等
⑥ 裁判所の文書管理
*2   刑事事件記録等の事件終結後の送付及び保存に関する事務の取扱いについて(平成4年9月4日付の最高裁判所総務局長の通達)を掲載しています。
*3 NHK解説委員室HP「刑事裁判記録は誰のものか」(視点・論点)(平成30年4月4日付)が載っています。
*4 日弁連HPに「市民集会「もう一つの公文書管理問題~刑事確定訴訟記録の保管の在り方を考える~」」(平成31年3月26日開催分)が載っています。
検察庁保管の刑事記録の一覧(平成4年9月4日付の最高裁判所総務局長通達別表第1の一部)

第1 刑事確定記録の保管期間

1 交通事故事件が起訴された場合,実況見分調書等の刑事記録は刑事確定記録となります。
 
2 刑事確定記録
(1)ア   刑事確定訴訟記録法(以下「法」といいます。)別表)及び刑事確定訴訟記録法施行規則(以下「規則」といいます。)によれば,交通事故事件の刑事確定記録の保管期間は以下のとおりです。
イ   人身事故は通常,過失運転致傷罪(自動車死傷行為処罰法5条)に該当します。
   そのため,有期の懲役刑の場合,判決書の保管期間は50年,事件記録の保管期間は5年です。
   罰金刑の場合,略式命令書又は判決書の保管期間は20年,事件記録の保管期間は3年です。

ウ スピード違反といった道交法違反のうち,裁判確定前に罰金を支払った場合(典型例としては,「道路交通法違反の三者即日処理方式」があります。),略式命令書の保管期間は10年であり,事件記録の保管期間は1年です。
エ 刑事確定記録の中身については,
「刑事訴訟記録の編成」を参照して下さい。
(2) 判決書の保存期間

ア 危険運転致死傷罪,アルコール等影響発覚免脱罪,過失運転致死傷罪等により有期の懲役刑に処せられた場合,50年(法別表一項2)
イ 過失運転致傷罪等により罰金刑に処せられた場合 20年(法別表一項3)
ウ 道路交通法違反又は自動車保管場所法違反により罰金刑に処せられた場合のうち,正式裁判を経た場合 20年(法別表一項3)
エ 道路交通法違反又は自動車保管場所法違反により罰金刑に処せられた場合のうち,略式裁判で終わった場合 10年(規則1条)
(3) 判決書以外の保管記録(いわゆる「事件記録」です。)の保管期間
ア 危険運転致死罪等により20年を超える有期懲役刑に処せられた場合,30年(法別表二項1(二))
イ 危険運転致傷罪,アルコール等影響発覚免脱罪等により10年以上20年以下の懲役刑に処せられた場合,20年(法別表二項1(三))
ウ 過失運転致死罪等により5年以上10年未満の懲役刑に処せられた場合,10年(法別表二項1(四))
エ 過失運転致傷罪等により5年未満の懲役刑に処せられた場合,5年(法別表二項1(六))
オ 過失運転致傷罪等により罰金に処せられた場合,3年(法別表二項1(七))
カ 道路交通法違反又は自動車保管場所法違反により罰金刑に処せられた場合のうち,正式裁判を経た場合,又は略式命令で終わったものの,確定後に罰金を納付した場合,3年(法別表二項1(七))

キ 道路交通法違反又は自動車保管場所法違反により罰金刑に処せられた場合のうち,略式裁判で終わり,かつ,確定前に罰金を納付した場合,1年(規則3条)

3 刑事参考記録
(1) 地方検察庁の検事正は,刑事記録(法文上は「保管記録又は再審保存記録」)について,刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料するときは,その保管期間又は保存期間の満了後,これを刑事参考記録として保存します(刑事確定訴訟記録法9条1項・同施行規則15条)。

(2) 地方検察庁の検事正は,以下の場合,申出により,刑事参考記録を閲覧させることができます(法9条2項・規則14条各号及び16条)。
① 学術研究のため必要があると認める場合
② 民事上又は行政上の争訟に関して刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
③ 刑事上の手続に関して刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
④ その他特に刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
送致書・捜査報告書(簡約特例書式)
被疑者供述調書(簡約特例書式)
被害者供述調書(簡約特例書式)
捜査報告書(継続)(簡約特例書式)

第2 不起訴事件記録の保管期間

0(1) 交通事故事件が起訴されなかった場合,実況見分調書等の刑事記録は不起訴事件記録となります。
(2) 人身事故は通常,7年以下の懲役等又は100万円以下の罰金に処せられる過失運転致傷罪(自動車死傷行為処罰法5条)に該当しますから,その不起訴事件記録の保管期間は通常,5年です。
    これは,公訴時効の期間(刑事訴訟法250条2項5号)と同じです。
(3) 平成25年4月1日施行の,
記録事務規程(平成25年3月19日法務省刑総訓第6号)25条によれば,以下のとおりです。
 
1 嫌疑不十分又は起訴猶予により不起訴となった場合
(1) 人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)について
ア 無期の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 30年
イ 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 20年
ウ ア及びイに掲げる罪以外の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 10年
(2) 人を死亡させた罪であって禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪について
ア 死刑に当たる罪に係る事件のもの 25年
イ 無期の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 15年
ウ 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 10年
エ 長期10年以上15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 7年
オ 長期5年以上10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪に係る事件のもの 5年
カ 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪に係る事件のもの 3年
キ 拘留又は科料に当たる罪に係る事件のもの 1年

2 心神喪失又は刑の免除により不起訴となった場合 5年

3 その他の理由(例えば,被疑者死亡,反則金納付済み,時効完成)により不起訴となった場合 1年

4 2の例外として,道路交通法違反事件又は自動車保管場所法違反事件の場合 1年 
現場の見分状況書(簡約特例書式)
実況見分調書(特例書式)1/2
実況見分調書(特例書式)2/2
交通事故現場見取図

第3 保管期間一覧表

1 検察庁HPに掲載されているものですが,「確定記録保管期間一覧表」(1頁目)及び「不起訴記録保管期間一覧表」(2頁目)のとおりです。

2 大阪高検の保管記録等取扱要領別表第1ないし別表第3により具体的な保管期間が書いてあります。
大阪高検の保管記録等取扱要領別表第1(確定記録の保存期間)
大阪高検の保管記録等取扱要領別表第2(不起訴記録の保存期間)
大阪高検の保管記録等取扱要領別表第3(上訴審の裁判書等の保存期間)

第4 保管期間満了後の刑事記録の取扱い

1 保管期間満了後の刑事確定記録の取扱い
(1)   原則
   廃棄されます(記録事務規程10条参照)。
(2) 例外
ア 再審の手続のため保存の必要があると認められた場合,再審保存記録となります(刑事確定訴訟記録法3条)。
イ 刑事法制及び犯罪に関する調査研究等の重要な参考資料であると認められた場合,刑事参考記録(学術研究等の必要がある場合,検察官の裁量で閲覧可)及び刑事参考不提出記録(閲覧の対象となりません。)となります(刑事確定訴訟記録法9条)。
ウ 保管検察官が特に必要があると認めた場合,特別処分として相当の処分をすることができます(記録事務規程11条)。

2 保管期間満了後の不起訴記録の取扱い
(1) 原則
   廃棄されます(記録事務規程29条・10条参照)。
(2) 例外
ア 刑事法制及び犯罪に関する調査研究等の重要な参考資料であると認められた場合,刑事参考不起訴記録となります(記録事務規程30条)。
イ 保管検察官が特に必要があると認めた場合,特別処分として相当の処分をすることができます(記録事務規程29条・11条)。

3 参考資料
   平成20年9月25日開催の第11回公文書管理の在り方等に関する有識者会議配布資料2「刑事事件の訴訟記録の保管等について」が参考になります。

第5 昭和11年の2・26事件の刑事記録

1 平成24年2月10日付の「衆議院議員中島政希君提出二・二六事件の裁判記録公開に関する質問に対する答弁書」に,以下の記載があります。

御指摘の事件に係る訴訟の記録のうち、死刑又は無期の禁錮に係る裁判書は、刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)第二条第二項の保管記録(以下単に「保管記録」という。)として保管し、その余の訴訟の記録は、同法第九条第一項の刑事参考記録(以下単に「刑事参考記録」という。)として保存しているものであり、保管記録については、同法第四条により、これを保管する検察官は、請求があったときは、一定の場合を除き、これを閲覧させなければならず、刑事参考記録については、同法第九条並びに刑事確定訴訟記録法施行規則(昭和六十二年法務省令第四十一号)第十四条及び第十五条により、これを保存する検察庁の長は、学術研究のため必要があると認める場合等には、申出により、これを閲覧させることができるとされており、閲覧の請求又は申出があった場合には、同法等の規定に基づきその許否を判断していると承知している。また、保管記録及び刑事参考記録の謄写については、記録事務規程(昭和六十二年法務省刑総訓第千十八号大臣訓令)第十六条及び第二十条により、これらの記録の閲覧を許す場合には、その謄写を許すことができるとされており、謄写の申出があった場合には、保管記録を保管する検察官及び刑事参考記録を保存する検察庁の長は、謄写の必要性、弊害等を比較衡量してその許否を判断していると承知している。

2 岡村法務省刑事局長は,昭和62年5月26日の衆議院法務委員会において,刑事参考記録として約280件を保存しているものの,具体的事件名を明らかにすることは,被告人や関係人の名誉・プライバシー等にかかわることなのでできないという趣旨の答弁をしました(国立国会図書館HPの「司法資料の保存と利用-判決原本・民事に続いて刑事へ-」参照)。

第6 刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯

「刑事確定訴訟記録の保管機関が検察庁となった経緯」に移転させました。

第7 裁判所保管の刑事記録

刑事事件記録等の事件終結後の送付及び保存に関する事務の取扱いについて(平成4年9月4日付の最高裁判所総務局長の通達)の別表第2によれば,以下の刑事記録は裁判所で保管されます。
1 証拠保全請求事件
2 共助事件(国際司法共助事件で,嘱託国への送付を要しない書類がある場合)
3 起訴強制事件(棄却決定又は取下げがされた場合)
4 刑事損害賠償命令事件
5 接見禁止等の請求事件,勾留取消しの請求事件,勾留執行停止の申請事件及び勾留執行停止の取消しの請求事件
6 勾留理由開示の請求事件
7 刑事訴訟法222条7項の処分の請求事件
8 準抗告事件
9 検察官に対し訴訟行為をする者のための法定期間延長の請求事件
10 刑事和解の申立て事件
11 刑事和解に関する申立てで民事雑事件に該当する申立ての事件
12 刑事損害賠償命令事件に関する申立てで民事雑事件に該当する申立ての事件
13 没収保全の請求事件及び追徴保全の請求事件
14 組織的犯罪処罰法等による共助要請審査の請求事件
15 組織的犯罪処罰法等による共助決定の取消しの請求事件
16 共助没収保全の請求事件及び共助追徴保全の請求事件
17 日米協定に伴う刑事特別法15条1項による証人の出頭命令の嘱託事件等・同法16条1項による証人の勾引の嘱託事件等
18 日米協定に伴う刑事特別法上の証人出頭違反事件等の過料事件
19 拘禁許可状等の請求事件
20 逃亡犯罪人等引渡審査の請求事件
21 国際受刑者移送審査の請求事件
22 被疑者の国選弁護人選任の請求事件等
23 被疑者の弁護人選任許可の請求事件
24 検察審査会法による指定弁護士の指定事件
25 通信傍受に関する保管記録
26 保護観察付全部猶予者調査記録
27 和解調書(刑事和解の申立て事件に関するものに限る。)
28 確定判決と同一の効力を有する刑事損害賠償命令の申立てについての裁判の原本
29 和解又は請求の法規若しくは認諾の調書(刑事損害賠償命令事件に関するものに限る。)
30 刑事損害賠償命令事件に関する訴訟費用額確定の決定及び処分の原本
31 令状請求書謄本
32 返還された令状
33 事件に関する書類で記録につづり込むことを要しないもの
裁判所保管の刑事記録1/4
裁判所保管の刑事記録2/4
裁判所保管の刑事記録3/4
裁判所保管の刑事記録4/4
1(1) 債務整理(簡易な相談に限る。)及び被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時30分から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。