交通違反に対する不服申立方法

第0 目次

第1 総論
第2 大阪府警察の,交通指導取締り時の応接五則及び反則(交通)切符作成5則
第3 交通違反の点数,及び反則金制度
第4 赤切符が切られた場合の手続
第5 意見の聴取,停止等の処分の軽減基準及び免許停止処分の猶予
第6 免許停止処分の猶予(30日又は60日の免許停止の場合)
第7 交通違反の点数に対する不服申立方法(審査請求及び行政訴訟)
第8 任意に違反点数を抹消してもらえる場合
第9 交通違反の取締件数及び違反点数
第10 速度違反の取締り
第11 オービス及びレーダー探知機
第12 青切符及び赤切符に対する不服申立方法(刑事手続)
第13 速度違反に関する裁判例
第14 取調べのための呼び出しに応じないことと,逮捕の必要性に関する最高裁刑事局作成の資料の記載
第15 犯罪捜査規範の関係条文

*1 以下のHPも参照してください。
① センターライン,車線変更線,バイクのすり抜け等
② 交通違反及び行政処分
③ 交通事故の量刑
 警察庁作成の訟務統計
⑤ 都道府県公安委員会に対する苦情申出制度
*2 交通事故弁護士相談Cafe「納得いかない!交通違反で検挙されたときの不服申し立ての方法」が載っています。
*3 WEB CARTOPに「タクシーの事故には事業者も運転者もかなり厳しいペナルティがある!」が載っています。
*4 交通違反に関して相談したい場合,30分3000円の有料相談を利用してもらう必要があるのであって,電話又はメールによる無料相談には一切,対応していません。

第1 総論

1 交通違反がある場合,①白切符(違反点数のみの場合),②青切符(違反点数及び反則金の納付が予定されている場合)又は③赤切符(違反点数・行政処分及び罰金等の刑事罰が予定されている場合)を交付されます(TRENDERSNET HP「白切符,青切符,赤切符の違いをわかりやすく説明します。」参照)。

2 白切符が切られる例としては,①座席ベルト(シートベルト)装着義務違反,②幼児用補助装置(チャイルドシート)使用義務違反及び③乗車用ヘルメット着用義務違反(いわゆる二輪車のノーヘル)があります。

3 青切符の正式名称は「交通反則告知書・免許証保管証」であり,赤切符の正式名称は「告知票・免許証保管証」でありますところ,運転免許証を警察官に提出させられた場合,「免許証保管証」が運転免許証の代わりとなります。

4 青切符の目安は5点以下の違反点数であり,赤切符の目安は6点以上の違反点数です(交通事故・違反の法務相談室HP「交通違反の青切符と赤切符の違い」参照)。

5(1) 交通違反の対策については,横浜の行政書士 みどり法務事務所HP「取り締まりポイントに学ぶ安全運転の研究」が参考になります。
(2) 廃車買取おもいでガレージHP「警察官と揉めない!あいまいな一時停止違反で点数と罰金を献上しないために」が載っています。
(3) ブーマルHP「警察が一時停止違反の待ち伏せ!ムカつく取り締まりを賢く避ける方法」が載っています。

第2 大阪府警察の,交通指導取締り時の応接五則及び反則(交通)切符作成5則

 交通切符等の記載例(平成30年12月の,大阪府警察本部交通部交通指導課の業務マニュアル)によれば,以下のとおりです(一を①に変えるなどしています。)。

1 大阪府警察の,交通指導取締り時の応接五則
① 安全を願う心で応接を
 交通指導取締りによって,車社会の安全と円滑を守るとともに,違反者自身の安全も願っているという心で応接しよう。
② 簡潔,適切な説明を
 説教といわれるようなくどい説明は避け,違反事実,違反と認定した理由,取締りをする理由,反則手続き等を必要に応じて簡潔,適切に説明しよう。
③ 相手の立場を考えて迅速,適正な処理を
 簡単な切符処理であっても,急いでいる違反者等にとっては非常に長く感じられるものである。相手の立場や周囲の交通状況にも十分配慮しながら,迅速かつ適正な処理に努めよう。
④ 冷静な態度と明確な言葉で応接を
 容易な言葉づかいや居丈高な態度はトラブルの元である。常に冷静な態度と明瞭な言葉で応接をしよう。
⑤ 応接の最初と最後は敬礼を
 応接は礼に始まって礼に終わる。端正な服装に務めるとともに,制服のときは確実・丁寧に敬礼しよう。

2 反則(交通)切符作成5則
① 免許証の確認をしたか。
(住所,氏名,有効期限,その他)
② 違反事実を正確に分かり易く違反者に指摘したか。
③ 署名は違反者氏名と同一で,かつ指印は鮮明か。
④ 交付前に,切符の記載事項,内容及び反則金相当額を再度チェックしたか。
⑤ 交付時に,出頭期日,仮納付制度等を説明して理解させたか。

第3 交通違反の点数,及び反則金制度

1 交通違反の点数
(1)ア 警視庁HPに以下の記事が載っています。
① 交通違反の点数一覧表
② 反則行為の種類及び反則金一覧表
③ 運転免許統計
イ 長野県警察HPの「運転免許の点数制度」に,基礎点数,付加点数のほか,運転免許の取消し・停止等の処分の基準点数が載っています。
(2)   人身事故を起こした場合,反則金とは別に,交通違反の基礎点数の他,被害者の治療期間及び加害者の不注意の程度に応じた付加点数が付きます。
   例えば,追突による人身事故を起こした場合,少なくとも5点の違反点数(基礎点数2点及び付加点数3点)が付きます。
(3)ア 令和元年12月1日,携帯電話使用等により交通の危険を生じさせた場合,違反点数6点かつ刑事罰の対象となり,携帯電話の使用等(保持)に該当した場合,違反点数3点かつ反則金1万8000円(普通車)となりました(違反点数は従前の3倍になりました。)(シンク出版HPの「「ながらスマホ」の罰則等大幅に強化──12月1日施行」参照)。
イ ヤフーニュースに「2秒以上のながら運転はアウト…実は根拠が弱かった 一部の報道に誤りも」が載っています。

2 仮納付

(1) 反則金が発生する反則行為の場合,交通反則通告制度が適用される結果(道路交通法125条1項及び別表第二),交通反則告知書(青切符)と一緒に交付される仮納付書に基づき,交付日から8日以内に反則金を仮納付(道路交通法129条)すれば,それで手続は終了します(道路交通法128条2項及び130条本文参照)。
(2) 反則金を仮納付した場合,出頭指定日に交通反則通告センターに出頭する必要はありません(警視庁HPの「交通反則告知書(青キップ)を受領された方」参照)。

3 本納付
(1) 仮納付書を交付された日から8日以内に仮納付しなかった場合,出頭指定日(道路交通法126条1項本文参照)に交通反則通告センターに出頭して警察本部長名義の交通反則通告書及び納付書を受領した上で,納付書に基づき,11日以内に反則金を納付すれば,それで手続は終了します(道路交通法128条2項及び130条本文参照)。
(2) 出頭指定日に交通反則通告センターに出頭しなかった場合,青切符の交付日から約40日後に警察本部長名義の交通反則通告書及び納付書が郵送されてくるため(道路交通法127条1項後段),納付書に基づき,反則金及び送付費用を納付すれば,それで手続は終了します(道路交通法128条2項及び130条本文参照)。
(3)ア 大阪府警察の場合,納付書記載の納付期限を経過してしまった場合であっても,警察署又は交通反則通告センターに出頭し,その日限りの納付書を交付してもらい(大阪府警察HPの「通告による反則金の納付(本納付書)に関すること」参照),その納付書に基づいて反則金等を納付すれば,それで手続は終了します(道路交通法128条2項及び130条本文参照)。
イ 納付期限の経過期間によっては,交通違反が刑事事件に移行している場合がありますところ,この場合,反則金を納付することはできません。

4 交通反則通告制度が適用されない場合
(1) 
反則行為をした結果として交通事故が発生した場合,交通反則通告制度が適用されません(道路交通法125条2項3号)。
   そのため,例えば,①暗夜無灯火で進行し,これが原因で人身事故を起こした場合,又は②一時停止を無視し、これが原因で人身事故を起こした場合,過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)として,100万円以下の罰金等の刑事罰を受けることがあります(ただし,示談できた場合は通常,起訴されませんから,罰金刑にもなりません。)。
(2) 「反則行為をし、よって交通事故を起こした者」の範ちゅうには,反則行為により交通事故を起こした結果,他に損傷を与えぬ,いわゆる自損(負傷)のみの場合を含むものと解されています(執務資料 道路交通法解説17訂版1316頁)。
(3)ア 反則行為よりも悪質な非反則行為の場合,交通反則通告制度が適用されないのであって,赤切符が交付され,罰金等の前科が付くこととなります。
イ 交通事故が発生したものの,不起訴処分となった場合,反則金も罰金も支払う必要はないです。

5 交通反則通告制度の沿革
  平成元年版犯罪白書の「第3章 犯罪者の処遇」の「第1節 検察及び裁判」には以下の記載があります。
(エ) 交通事件簡易処理の制度
 いわゆる交通事件が増大し,通常の裁判手続では処理が遅延する上,同事件はその内容が単純で違反の態様も定型化していることから,特別の手続で処理する方法が考案された。昭和29年2月に東京において,警察,検察庁,裁判所の三者が即日のうちにそれぞれ送致,起訴,裁判の手続を行う,いわゆる在庁略式手続が採用され,その後全国でも同様の手続が行われるようになった。29年5月には交通事件即決裁判手続法が公布(同年11月1日施行)され,簡易裁判所は,交通に関する刑事事件について被告人に異議がない場合には,公判前の即決裁判で,5万円以下(47年6月公布の罰金等臨時措置法の一部改正により,同年7月1日から20万円以下)の罰金又は科料を科することができることとなった。また,38年1月から事件記録を簡易書式にするいわゆる交通切符制度が採用(41年から全国で実施)され,また,42年8月公布の道路交通法の改正(43年7月1日施行)で交通反則通告制度が採用された。この通告制度は,自動車等の運転者が,危険性の低い一定の違反行為(反則行為)をしたとき,運転免許を有しない者など一定の者を除いて,反則金等の告知等を受け,その反則金を納付すれば公訴提起されないという制度である。当初は少年が除外されていたが,45年5月公布の同法の改正(同年8月20日施行)で,少年にもこの制度が適用されることとなった。その後61年5月公布の同法の改正(62年4月1日施行)で,交通反則通告制度の適用範囲が拡大された。

6 その他
(1) 免許証不携帯については反則行為として3000円の反則金が発生するものの,違反点数は付きませんから,白切符を切られることもありません(車査定マニアHP「免許証不携帯の罰金・違反点数と紛失中に運転した場合の取り扱い」参照)。
(2) JAF HPの「交通反則通告制度(青キップ)は、どういう制度なの?」が参考になります。
(3) 普通に交通反則金を支払う場合,長野県警察HPの「交通反則通告制度についてよくある質問」が非常に参考になります。
(4) YONEHARURU'S ARTs「58km/h速度超過違反の経過記録」には,速度違反でオービスを光らせてから,ゴールド免許証を再び取得するまでの経緯が非常に詳しく書いてあります。

第4 赤切符が切られた場合の手続

1 地域によりますものの,赤切符が切られたことについて争わない場合,三者即日処理方式(警察官から交通切符(赤切符)の交付を受けて出頭日時・場所を告知された人について,警察の取調べ,検察庁の取調べ,裁判及び罰金の納付を1日で行う処理方式)が実施されることが多いです(検察庁HPの「道路交通法違反の三者即日処理について」参照)。

2 車情報車大好きHP「赤キップ 罰金と大阪交通警察官室について」に,大阪簡易裁判所交通分室で罰金を支払った際の体験談が載っています。

3 三者即日処理方式を定めている裁判所の通達を以下のとおり掲載しています。
① 道路交通法違反事件及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反事件の共用書式による処理について(昭和63年4月6日付の最高裁判所事務総長通達)
② 交通切符による刑事事件の処理について(昭和63年4月6日付の最高裁判所刑事局長依命通達)

4 警察庁HPの「警察庁の施策を示す通達(交通局)」「運転免許の取消し、停止等の行政処分に係る処分書の理由欄の記載要領等について」(平成28年10月24日付の警察庁交通局運転免許課長の通達)が載っています。

第5 意見の聴取,及び停止等の処分の軽減基準

1 意見の聴取
(1)ア 都道府県公安委員会が免許を取り消したり,
90日以上の期間免許の効力を停止したりする場合,公開による意見の聴取を行う必要があります(道路交通法104条1項)。
イ 30日又は60日の免許停止処分の場合,意見の聴取がないため,呼出に応じて出頭した時点で免許停止処分を伝えられます(高山法律事務所HPの「聴取に向けて準備する」参照)。
(2)ア   意見の聴取を行う場合における処分をしようとする理由並びに意見の聴取の期日及び場所の通知は,文書によって行われます(道路交通法施行令39条1項)。
   そして,意見の聴取に際しては,当該処分に係る者又はその代理人は,当該事案について意見を述べ,かつ,有利な証拠を提出することができます(道路交通法104条2項)。
イ 一発試験ロードマップHP「意見の聴取の具体的な内容と流れ」が載っています。
ウ 入門交通行政処分への対処法111頁には,「現行の方式では意見聴取当日にドライバー本人に与えられる時間はせいぜいで5分程度である。意見を裏付ける資料の提出ができると言われても、その日に結論を出すのではどれだけの意味があるかということになる」と書いてあります。
(3) 千葉県警察の場合,免許停止処分の対象となる人に対しては千葉県警察本部長名の「意見の聴取通知書」又は「聴取通知書」が届き,免許取消処分の対象となる人に対しては千葉県警察本部長名の「意見の聴取通知書」又は「聴取通知書」が届きます(千葉県警察HPの「運転免許の停止処分について」参照)。
(4) 
大阪府警察の以下の資料を掲載しています。
① 運転免許の行政処分事務取扱規程(昭和44年9月26日大阪府公安委員会規程第3号)
② 運転免許の行政処分事務処理要綱の制定について(昭和44年9月26日付の大阪府警察本部の例規)
③ 道路交通法の規定に基づく意見の聴取及び弁明の機会の付与に関する事務処理要領の制定について(平成6年9月30日付の大阪府警察本部の例規)

2 停止等の処分の軽減基準
  運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について(平成21年4月30日付の警察庁交通局運転免許課長の文書)によれば,以下のいずれかの事情がある場合,30日間,免許停止期間を短くしてもらえることがあります。
① 交通事故の被害の程度又は不注意の程度のいずれか一方が軽微であり,かつ,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合
② 違反行為等の動機が,災害,急患往診,傷病人搬送その他やむを得ない事情によるものであり,かつ,危険性がより低いと認める場合
③ 違反行為等が他からの強制によるものであるなどやむを得ない事情によるものであり,危険性がより低いと認める場合
④,被害者の年齢、健康状態等に特別な事情があるとき等同一原因の他の事故に比べて被害結果を重大ならしめる他の事由が介在した場合であって,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合
⑤ 被害者が被処分者の家族又は親族であって,その他にも危険性がより低いと評価すべき事情がある場合
⑥ 前各号に掲げる場合のほか,危険性がより低いと評価すべき特段の事情があり、明らかに改善の可能性が期待できる場合

3 その他
(1) 停止等の処分の軽減基準に該当する事情がある場合,上申書等の書面によりその旨を主張した方がいいです(交通事故・違反の法務相談室HP「処分の軽減のための上申書・嘆願書・反省文」参照)。
(2) 高山法律事務所HPの「聴取に向けて準備する」に,「いうべき意見の柱は」が載っています。
(3) YONEHARURU'S ARTs「58km/h速度超過違反の経過記録」によれば,ブログ主が参加した意見の聴取期日の会場には20人ぐらいがいたところ,ゴールド免許を持っていて反省文を提出したブログ主外1名について,停止期間の短縮がありました(ブログ主につき,15分弱の意見の聴取を経た後,前歴なしで違反点数が12点なので本来は免許停止90日となるところを,免許停止60日に短縮されました。)。

意見の聴取通知書
意見の聴取期日・場所変更申出書
意見の聴取調書

第6 免許停止処分の猶予(30日又は60日の免許停止の場合)

1(1) 運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について(平成21年4月30日付の警察庁交通局運転免許課長の文書)によれば,停止等の処分の軽減事由に該当する事情があり,かつ,処分を猶予することがその者の運転者としての危険性の改善に効果があると認められる場合,30日間の免許停止処分を猶予してもらえることがあります。
(2) 停止等の処分の軽減事由に該当する事情が2つ以上ある場合,60日間の免許停止処分を猶予してもらえることがあります。

2 停止処分の猶予は,交通違反を認めていることが前提の取扱いと思います。

3 30日又は60日の免許停止の場合,意見の聴取期日がありませんから,停止等の処分の軽減基準に該当する事情がある場合,運転免許課に対し,資料を付けて,事情を説明する手紙を自分で送る必要があります。

4 免許停止30日又は60日の事案において処分の猶予を得られた場合,1年間,無違反で過ごすことができれば,違反点数が消えます(交通事故・違反の法務相談室HP「処分の猶予(免許停止30日・60日)」参照)。 

第7 交通違反の点数に対する不服申立方法(審査請求及び行政訴訟)

1 免許停止等の処分があった場合
(1) 違反点数が付いた結果,免許停止処分又は免許取消処分となった場合,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます。
(2) 三つ子のパパはアルハイ乗りブログ「運転免許停止処分出頭通知書 」に,同通知書(名義人は岡山県警察本部長)が載っています。
(3) 都道府県公安委員会に対する審査請求は,免許停止等の処分があったことを知った日から3ヶ月以内にする必要があります(行政不服審査法18条)。

(4) 行政不服審査事務取扱規程(平成28年3月29日大阪府公安委員会規程第5号)を掲載しています。
(5) 免許停止等について
は,
「交通違反及び行政処分」を参照して下さい。

2 免許停止等の処分がなかった場合
(1)   違反点数が付いたものの,免許停止等の処分にまでは至らなかった場合,違反点数が付いたこと自体を争うことはできません。
   しかし,違反点数が付いた場合,運転免許証の有効期間の更新に際して一般運転者に当たるとされますから,優良運転者である旨を記載した運転免許証の交付を求めて,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます(運転免許証の更新処分の取消しを求める訴えの利益があることにつき最高裁平成21年2月27日判決)。
(2) 神戸地裁平成31年3月27日判決(兵庫県公安委員会を処分行政庁とする,交通違反取消し請求事件)の事案では,通行禁止違反があったことを理由に,運転者の区分を一般運転者とする免許証の更新処分を受けた後に,兵庫県公安委員会に対し,優良運転者の記載のある免許証の交付を求め,当該更新処分について審査請求をした上で,兵庫県公安委員会から審査請求を棄却する旨の裁決を受けた後に,訴訟代理人弁護士を付けずに取消訴訟を提起しています。

3 免許証の色の種類
 免許証の色は,初心者ドライバーがグリーン,一般ドライバー(一般運転者)がブルー,優良ドライバー(優良運転者)がゴールドで区別されていますところ,優良運転者の場合,以下のメリットがあります(モビーHP「3色の免許証「グリーン・ブルー・ゴールド」それぞれの違いを解説」参照)。
① 自動車の任意保険料の割引
② 居住地以外での免許更新(経由更新)
③ SDカードの所持

4 行政処分と刑事処分の関係に関する裁判例
   東京地裁平成29年5月26日判決(判例秘書に掲載)は,以下の判示をしています。
   運転免許取消処分等の道交法に基づく行政処分は,道路交通上危険性を有する運転者を一定期間道路交通の場から排除して将来における道路交通の危険を防止するという公益目的の実現のために(同法1条),道交法及び施行令の定める基準及び手続に則って行うものであり,国家刑罰権の行使としての刑事処分とは,その性質,目的,主体等を異にする別個独立のものというべきである。

5 行政処分と刑事処分の関係に関する警察庁交通局長通達の記載
 「点数制度による行政処分事務に関する事務処理要領」の改正について(平成30年10月30日付けの警察庁交通局長の通達)には以下の記載があります。
(5頁及び6頁の記載)
4 迅速かつ確実な行政処分
(1) 点数制度による行政処分は、違反等登録並びに処分及び処分短縮の登録に基づ
いて行われるものであることから、これら登録を迅速かつ確実に行うものとする。
(2) 交通の安全を確保するためには、行政処分を迅速かつ迅速に執行し、運転不適格者を排除することが重要となることから、行政処分を必要と認める事由が生じたときは、事実に基づき可能な限り速やかに処分決定及び処分執行を行い、もって将来における道路交通上の危険を防止し、併せて当該行政処分に係る者の危険性の早期改善を図るものとする。
5 能率的な事務処理の推進
 迅速かつ確実な行政処分のため、警察本部における専門的な事務処理体制を整備するとともに、捜査担当部門との連携を図るなどし、効率的な行政処分事務の推進に努めるものとする。
(15頁の記載)
ウ 違反行為の刑事処分の不起訴又は無罪等を理由とする申立てである場合
 当該申立ての内容に相当の理由があり、違反等登録の内容に事実誤認のおそれが認められる場合に限り、一時、処分書等の交付を見合わせ、改めて審査するものとする。

6 その他
(1) 私の経験では,略式請求による罰金刑が確定している事案で審査請求をした場合,行政処分の根拠となった記録の閲覧謄写ができた(ただし,警部補以下の警察官の氏名は黒塗りです。)のに対し,公判請求されて第1回期日前の事案で審査請求をした場合,公判開廷前の訴訟記録の非公開を定める刑訴法47条を理由として記録の閲覧謄写が一切できませんでした。
(2)ア 速度違反の場合,オービスで記録された日時場所と,スマホの位置情報アプリ等に基づいて推測されるところの平均速度が大きく異なる場合,審査請求で争う余地が出てくるかも知れません。
イ くるまうるZoohの「レーダー式のネズミ捕りは誤測定が当たり前?~濡れ衣で検挙もありえます」には以下の記載があります。
 ネズミ捕りで濡れ衣を着せられないためには、どうすればいいのでしょうか?
簡単で一番効果的なのがドライブレコーダーの設置です。
(中略)
 もし速度が記録されないタイプのドライブレコーダーであったとしても、映像に映っている風景の流れの速さから、おおよそのスピードが推測できるはずです。
 少なくとも、メーター読みで50km/hで走っていたクルマが53km/hオーバーで捕まるようなことはなくなると思います。
(3) 交通事故弁護士ナビ「一時停止違反の罰則|納得できない場合の対処法とは」が載っています。

第8 任意に違反点数を抹消してもらえる場合

1(1) 今井亮一の交通違反バカー代HP「愛と感動の抹消上申」には,「点数の抹消は、じつはできるし、実際している。手続き的には、取り締まりを行った署や隊から運転免許の担当部署(警視庁では運転免許本部長)宛てに「抹消上申」を行う形になっている。」と書いてあります。
   そのため,ドラレコ又はGoProで違反行為の不存在を客観的に主張できる場合,審査請求又は行政訴訟によるまでもなく,違反点数を取り消してもらえるかもしれません。
(2) 私は違反点数の取消を実現できたことはありません。

2(1) 入門 交通行政処分への対処法73頁及び74頁には以下の記載があります。
   筆者(山中注:高山俊吉弁護士のこと。)は、個人タクシーの資格を取ろうとした法人タクシーの運転手から相談を受け、点数登録の抹消に苦労した経験がある。弁護士の名前を出すことが杓子定規な対応の原因になる場合もあり、工夫が必要である。一旦登録したら何があっても抹消しないというものでもない。警察官も人間である以上誤認をすることも誤記をすることもある。訂正という方法があることは公安委員会も否定しない。弁護士としてすべての準備を行い、本人の名前で要望をさせたのであった。
   そもそも、「不利益は処分のとき。すべては処分時に議論しよう」と言うのなら、処分の際には過去の違反の1つひとつについて厳密な事実確認をすべきである。過去のケースは点数をみるだけで個々の事案の実情は評価の対象にしないというのは、どう考えてもおかしい。個々のケースを問題にすると検討は処分の時だと逃げられ、処分の段階になったら過去のケースは問題にしないと言われたのでは、それはないだろうと言いたくなる。
(2) ちなみに,個人タクシー許可を受けるためには,法令遵守状況として例えば,以下の条件を満たす必要があります(全国個人タクシー協会HPの「個人タクシーの経営者になるには」参照)から,2点の交通違反があった場合,さらに3年間,個人タクシー許可を受けられないこととなります。
   申請日以前3年間及び申請日以降に、道路交通法違反による処分(同法の規定による反則金の納付を命ぜられた場合又は反則点を課せられた場合を含む。)を受けていないこと。ただし、申請日の1年前以前において、反則点1点を付された場合(併せて同法の規定による反則金の納付を命ぜられた場合を含む。)又は反則金の納付のみを命ぜられた場合のいずれか1回に限っては、処分を受けていないものとみなす。

3 運転免許の行政処分事務処理要綱の制定について(昭和44年9月26日付の大阪府警察本部の例規)第2の「8 交通反則切符適用事案に関する処分結果等の通報」(リンク先のPDF5頁)には以下の記載があります。
 交通反則通告センター所長は、次の要領により交通反則切符適用事案に係る処理結果等を運転免許課長に通報するものとする。
(1) 交通反則切符適用事案を審査した結果、違反不成立又は違反事実の是正等を必要とすることが判明したときは、その旨を是正通報書(別記様式第3号)により、告知の日から起算して20日以内に通報する。
(2) 交通反則切符適用事案を審査した結果、処理が遅延するときは、その理由を遅延通報書(別記様式第3号の2)により、告知の日から起算して20日以内に通報する。
(3) 前記(2)により通報したものについて処理が終わったときは、その旨を是正通報書により、直ちに通報する。
(4) 人違い事案等のため、違反登録の変更を必要とすることが判明したときは、その理由を手続変更通報書(別記様式第3号の3)により、直ちに通報する。

第9 交通違反の取締件数及び違反点数

1 平成29年の交通違反の件数
(1) 内閣府HPに載ってある平成30年交通安全白書によれば,平成29年の交通違反取締件数のうち,件数が多いもの及び違反点数は以下のとおりです(高速道路分を含みます。)。

① 最高速度違反:147万8281件(違反点数は1点,2点,3点,6点又は12点)
② 一時停止違反:132万7461件(違反点数は2点)
③ 携帯電話使用等違反:91万5797円(違反点数は1点又は2点)
→ 令和元年12月1日以降の違反点数は3点又は6点です。
④ 通行禁止違反:73万572件(違反点数は2点)
⑤ 信号無視:72万5030件(違反点数は2点)
(2) 内閣府HPに載ってある平成30年交通安全白書によれば,高速道路における平成29年の交通違反取締件数のうち,件数が多いもの及び違反点数は以下のとおりです。
① 最高速度違反:37万4085件(違反点数は1点,2点,3点,6点又は12点)
② 車両通行帯違反:6万1362件(違反点数は1点)
③ 車間距離不保持(通称は「あおり運転」です。):6139件(違反点数は2点)

2 横断歩行者等妨害等
 警察庁HPの「横断歩道は歩行者優先です」によれば,横断歩行者等妨害等(違反点数は2点)の件数は,平成27年は9万9763件であり,平成29年は14万5292件であり,令和元年は22万9395件でした。

第10 速度違反の取締り

1 法定速度
(1) 一般道路の法定速度は時速60キロであり(道路交通法22条・道路交通法施行令11条),高速道路の法定速度は時速100キロです(道路交通法22条・道路交通法施行令27条1号)。
(2) 道路標識で最高速度が指定されている場合,その速度が最高速度となり(「指定最高速度」ともいいます。),指定されていない場合,法定速度が最高速度となります(「法定最高速度」ともいいます。)。
(3) 最高速度を勘違いして罰金の略式命令が出た場合,検事総長の非常上告(刑事訴訟法454条)に基づき略式命令を破棄してもらえます(刑事訴訟法458条1号)ところ,実例として,最高裁平成26年4月15日判決があります。

2 速度違反,違反点数及び免許停止日数の対応関係
(1) 法定速度が適用されるケースでは,一般道路の場合,時速90キロ以上で赤切符となり,高速道路の場合,時速140キロ以上で赤切符となります。
(2) 一般道路では,30キロから50キロオーバーの場合,違反点数が6点となり,免許停止30日以上となります。
 50キロオーバーの場合,違反点数が12点となり,免許停止90日以上となります。
(3) 高速道路では,40キロから50キロオーバーの場合,違反点数が6点となり,免許停止30日以上となります。
 50キロオーバーの場合,違反点数が12点となり,免許停止90日以上となります。

3 速度違反に対する罰金額の目安
(1) 一般道路における速度違反に対する罰金額の目安は,30キロから34キロオーバーで6万円から7万円,35キロから39キロオーバーで7万円から8万円,40キロから49キロオーバーで8万円から9万円みたいです(交通事故弁護士ナビ「スピード違反の罰金/反則金はいくら?30キロオーバーでも免停なの?」参照)。 
(2) クルママガジン イキクル「スピード違反の点数と反則金は高速道路と一般道でどう違う?一発免停(赤切符)となる超過速度と罰金はいくら?」(2019年5月27日付)が参考になります。

4 速度違反と公判請求
(1) 速度違反の法定刑は6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です(道路交通法118条1項1号)。
(2) 80キロ以上の速度違反をした場合(一般道路において時速140キロ以上で走行し,又は高速道路において時速180キロ以上で走行した場合),初犯であっても公判請求(公開の法廷における正式裁判の請求)をされる可能性が高いです。

5 速度計の表示
(1) 道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の「別添88 速度計の技術基準」には以下の記載があります。
3.3. 速度計の指度は自動車の走行時の速度を下回ってはならないものとする。
3.2.5.の試験速度及び試験速度間において、速度計の指度V1は、自動車の走行時の速
度V2の間において次の関係式に適合しなければならない。
0≦V1-V2≦V2/10+4
V1:速度計の指度(km/h)
V2:自動車の走行時の速度(km/h)
(2) 例えば,時速15キロで走行している場合,速度計の表示は,実際の速度よりも15/10+4=5.5キロ以上大きいもの,つまり,時速20キロでなければなりません。
 そのため,最高裁平成18年3月14日決定は,「交差点手前で信号待ちをしていた先行車両の後方から,赤色信号を殊更に無視し,対向車線に進出し時速約20kmで普通乗用自動車を運転して同交差点に進入しようとしたため,自車を右方道路から青色信号に従い左折して対向進行してきた普通貨物自動車に同交差点入口手前において衝突させ,同車運転者らを負傷させた行為は,刑法208条の2第2項後段の危険運転致傷罪に当たる。」と判示していますところ,速度計で時速約20kmである場合,実際の速度は時速約15kmの可能性があることとなります。

第11 オービス及びレーダー探知機

1 オービス
(1)  自動速度監視装置により速度違反車両の運転者及び同乗者の容ぼうを写真撮影することは,憲法13条に違反しません(最高裁昭和61年2月14日判決)。
(2) 「オービスガイド・全国オービス情報サイト」を見れば,固定式オービスの設置場所が分かります。
(3) 移動式オービスの場合,30キロ未満の速度超過でも光ることがあるみたいです(WEB CARTOP「一般道では30km/h未満、高速では40km/h未満の超過でも光る!」参照)。

2 固定式オービスの種類
(1) 固定式オービスの種類としては以下のものがあります。
(レーダー波で車速を計測するもの)
① レーダー式オービス
・ Xバンドの「レーダー波」を照射して,レーダー波の跳ね返りで速度を計測するもののうち,フィルム式カメラを使用するものです。
② Hシステム
・ Xバンドの「レーダー波」を照射して,レーダー波の跳ね返りで速度を計測するもののうち,レーダー送受器(正方形のハンペン型アンテナです。),赤外線ストロボ及びCCDカメラを1セットとする端末装置をしようするものです。
(レーダー波以外で車速を計測するもの)
③ ループコイル式
・ 道路に埋め込んだループコイル(感知器)で速度を計測するもののうち,フィルム式カメラを使用するものです。
④ LHシステム
・ 道路に埋め込んだループコイル(感知器)で速度を計測するもののうち,CCDカメラを使用して写真を中央装置に電送するものです。
(2)ア ループコイル式及びLHシステムの場合,6.9メートルの速度測定区間の地中に3本のコイルが埋め込まれており,この区間を何秒で通過したかによって速度が割り出されます(外部HPの「取締りのミニ知識」参照)。
イ 大阪高裁平成4年9月9日判決(判例秘書に掲載)は,ループコイル式のオービスに関して,「一台の車両が一本目のループを通過した直後に追い抜き車両があり、その追い抜き車両が三本目のループを先に通過した場合や、前記ループ付近で車線変更しループに対して直角に入らなかった場合等、稀にではあるが正確に測定できない事例のあり得ることが認められる。」と判示しています。
(3) パンダ店長が教える車買取・中古車購入バイブルHP「オービスの全てがわかる!6つの種類・流れ・3つの対策まとめ」には,「デジタル撮影を行っているHシステムやLHシステムは出頭通知書が届くまでが早く、フィルム撮影を行っているループコイル式やレーダー式は出頭通知書が届くまで時間がかかります。」などと書いてあります。
(4) Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)とLHシステムの見分け方については,「余計な心配はもう無用! オービスとNシステムの違いを徹底解説!【交通取締情報】」が参考になります。

3 速度違反自動取締装置及び高速走行抑止システムの違い
・ 速度違反自動取締装置等運用要領の制定について(令和2年3月18日付の北海道警察本部交通部長の通達)によれば,速度違反自動取締装置及び高速走行抑止システムの定義は以下のとおりです。
(1) 速度違反自動取締装置
 速度違反自動取締装置は,車両の走行速度をレーダー式又はループ式速度測定機器により自動的に測定又は算出し,一定の速度を超える車両を撮影する装置であり,次の装置で構成されている。
ア 端末装置
 一定の速度を超える車両を撮影し,中央装置へ画像データを転送する装置のことをいう。
イ 中央装置
 端末装置から転送された画像データをハードディスク又は記録媒体に記録し,プリンターにより画像を出力する装置のことをいう。
(2) 高速走行抑止システム
 高速走行抑止システムは,一定の速度を超える車両に対し警告板により警告するとともに,警告に従わずに高速走行を継続する車両の走行速度をレーダー式速度測定機器により自動的に測定し,撮影する装置である。
ア 端末装置
・ 警告装置
 一定の速度を超える車両を検出し,当該車両に対して電光警告板により警告を与えるものである。
・ 撮影装置
 一定の速度を超える車両を撮影し,画像データを中央装置に転送する装置のことをいう。
イ 中央装置
 撮影装置から転送された画像データをハードディスク又は記録媒体に記録し,プリンターにより画像を出力する装置のことをいう。
・ 警察庁HPに「速度違反自動取締装置について」が載っています。

4 RS-2000B型のオービス
(1) 最高裁平成19年4月23日判決は,高速走行抑止システム(三菱電機のRS-2000B型)による速度測定結果の正確性について,何ら証拠調べを行わず検察官に釈明を求めたり追加立証を促すなどすることもなく,プラス誤差が生じないことの証明が十分でないとした原判決を,審理を尽くさず事実を誤認した疑いがあるとして破棄差戻しとしました。
(2)ア 三菱電機株式会社が製造していたRS-2000B型のオービスは,平成17年8月9日総務省令第119号による改正後の無線設備規則が定めるところのスプリアス発射(必要周波数帯の外側に発射される不要な電波)の強度の許容値を満たしていませんから,経過措置期間が終了する令和4年11月30日までしか使用することができません。
 そのため,全国の都道府県警察において,令和4年度末までにRS-2000B型のオービスは撤去される予定です(電波法の一部改正に伴う交通安全施設等整備事業に係る各種無線機器への対応について(平成28年7月1日付の警察庁交通局交通規制課理事官の事務連絡)参照)。
イ 総務省HPに「無線機器のスプリアス規格の変更に伴い規格にあった無線機器の運用が必要です」が載っています。 

5 レーダー探知機
(1) レーダー式オービス及びHシステムの場合,10ギガヘルツ帯のレーダー波であるXバンドを使用していますところ,レーダー探知機は,Xバンドの電波をキャッチすることで警察のスピード違反の取締りを事前に警告してくれます。
(2) 「「レーダ式車両走行速度測定装置点検成績書の部分開示決定に係る審査請求に対する裁決」についての答申」には,審査請求人の主張として以下の記載があります(リンク先のPDF4頁)。
 販売されているレーダー探知機はすべて10.525GHzに対応しており、車関係にある程度の知識を持つ者にとっては、取締りに使用される周波数が10.525GHzであることは周知の事実であるといえる。
(3) オービスを発見するためのレーダー探知機のメーカーとしては,ユピテルセルスター及びコムテックがあります(ビックカメラHPの「レーダー探知機のおすすめ11選【2020】レーザーやGPS搭載モデルを紹介」参照)。

6 レーザー&レーダー探知機
 移動式オービスはレーザー式ですから,レーダー探知機には反応しません。
 そのため,移動式オービスによる取締りに対応するためには,レーダー&レーザー探知機をクルマに備え付けておいた方がいいです(くるまのニュースHPの「神出鬼没の移動オービスにも対応できる!? レーダー探知機はどう進化?」(2020年7月14日付)参照)。

第12 青切符及び赤切符に対する不服申立方法(刑事手続)

1 青切符を切られてから正式裁判までの流れ
(1)ア 青切符にサインをしたものの,青切符における反則行為の存在を争いたい場合,現場の警察官から交付された反則金仮納付書(道路交通法129条1項)を無視し,警察本部長名義の反則金納付書(道路交通法128条1項)を無視し,警察からの説得の電話を拒絶した後,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。),略式命令による罰金を断ればいいです。

   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。
イ 平成28年の場合,道路交通法等違反被疑事件のうち,公判請求されたのは70件だけです(モーターファンHP「青切符にサインしなければ、反則金を払わなくて済む、ってほんと?【交通取締情報】送検された反則行為(青切符)関連の不起訴率は、なんと99.93%!」参照)。
(2)   これらの一連の流れは,いろはに情報館HP「青切符違反の無実を裁判で争うための正しい知識」が非常に参考になります。 
(3) 信号無視をしたということで警察官に呼び止められた際,降車を拒否し,運転免許証も提示しなかったような場合,道路交通法違反(信号無視)の現行犯人として逮捕されたり,罰金9000円の有罪判決を受けたりすることがあります(最高裁令和元年6月3日判決参照)。

2 赤切符を切られてから正式裁判までの流れ
(1) 赤切符における非反則行為を争いたい場合,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。),略式命令における罰金を断ればいいです。

(2)   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。

3 略式命令による罰金が出た後の流れ
(1) 略式命令による罰金が出た後であっても,略式命令を受け取ってから14日以内に正式裁判の請求(刑事訴訟法465条1項)をすれば,正式裁判で自分の言い分を主張できることとなります。
    実際,赤切符の裏側には,正式裁判の請求ができる旨の「略式手続説明書」及び「申述書」が記載されていますし,「上記略式命令に対しては,告知を受けた日から14日以内に当裁判所に対して正式裁判の請求をすることができます。」という記載もあります。
(2) 正式裁判を受ける際に私選弁護人を選任していない場合,事件が係属している簡易裁判所に請求すれば,国選弁護人を選任してもらえます(刑事訴訟法36条)。 

4 被疑者ノート
 身柄拘束されている被疑者を対象としたものですが,日弁連HPに被疑者ノートが掲載されています。
 被疑者ノートには,警察官又は検察官の取調べを受ける際の心構え(リンク先のPDF7頁ないし11頁)が色々と書いてありますから,非常に参考になります。

5 不起訴処分となった場合,検察庁からの連絡はないこと
(1) 青切符又は赤切符が切られた人が検察官の取調べを受けた後に不起訴処分になったとしても,検察庁からその旨の連絡はありません。
(2) 被疑者又はその弁護人が検察庁に問い合わせをした際,既に不起訴処分になっていた場合,その旨を告知してくれますし(刑事訴訟法259条),請求すれば,不起訴処分告知書事件事務規程76条)を発行してくれます。

6 青切符に基づく反則金の支払を争った場合にありうる,事実上の不利益
   弁護士法人伏見総合法律事務所の交通事故の知恵袋HP「反則行為を犯した際の対応」には,青切符に基づく反則金の支払を争った場合にありうる,事実上の不利益として以下の記載があります。
(なお、軽微な道路交通法違反事件については、検察官が必ずしも正式裁判を提起するとは限らないという実情はあるため、反則行為の存在は争わないものの、徹底的に支払わないという対応を取られるケースもあるようです。しかし、刑事手続の対応の負担や仮に微罪処分として起訴猶予となったとしても、交通事故はちょっとした不注意でも不可避的に発生することは十分あることを思うと、1回限り、反則金の支払いを免れることに、あまり大きな意味を持たせることは、却って将来に向けて大きなリスクを抱えることになることは十分に理解をする必要があると個人的には考えます。

第13 速度違反に関する裁判例

1 無罪判決の事例
(1) 「ねずみ捕り」式スピード違反の取締りに対する無罪判決の事例
・ さいたま地裁平成28年11月16日判決(判例秘書に掲載)(担当裁判官は58期の加藤雅寛裁判官)
→ 光電式車両走行速度測定装置によって被告人車両の走行速度を特定する場合,当該取締りが誤りなく行われたことが確認できなければ,被告人の速度超過の事実について合理的疑いを超えた証明がされたとはいえないとしました。
・ 福岡高裁平成30年3月28日判決(裁判長は34期の岡田信裁判官)
→ JMA-240A型レーダ式車両走行速度測定装置が使用された事案であり,プラス誤差が発生する,第2車線から第1車線に車線変更中の被告人車両を誤測定した可能性があるとしました。
(2) ループコイル式オービス(商品名はオービスⅢ)の誤作動に基づく無罪判決の事例
・ 大阪高裁平成4年9月9日判決(裁判長は5期の村上保之助裁判官)
→ 大型貨物自動車を運転していたため,タコグラフ(運行記録計)の記録紙がある事案でした。
(3) レーダー式オービスの誤作動に基づく公訴棄却又は無罪判決の事例
・ 東京高裁昭和62年8月20日判決(判例秘書に掲載)
→ 指定最高速度70キロを25キロ超える95キロで走行していたとして起訴された事案であるところ,左斜めに進行していた点で角度1度当たり1キロのプラス誤差が生じていたとして公訴を棄却しました。
・ 東京高裁平成元年8月29日判決(判例秘書に掲載)
→ レーダー式走行速度測定装置による測定結果について電波ビームの道路に対する投射角度が適正角度より小さく設置されたためプラス誤差を生じた疑いがあるとして無罪を言い渡しました。
・ 神戸地裁平成14年8月26日判決(判例秘書に掲載)(担当裁判官は26期の杉森研二裁判官)
→ 本件速度測定が他車両の速度を測定するなど誤測定であった可能性が必ずしも排斥できず,本件速度測定が被告人車両についてなされたものであると断定するには,なお,合理的疑いを容れる余地があるとして無罪を言い渡しました。
・ 福井簡裁平成15年7月16日判決(判例秘書に掲載)
→ スピード違反の事案で,定置式レーダースピードメーター機の電波ビームが道路に対して25°より浅い角度で発射された可能性が高いとして,電波ビームが道路に対して25°の角度で発射されたことを前提として,被告人が74キロメートル毎時の速度で走行したとする公訴事実は疑わしく,他に,この疑いを晴らすほどの証拠もないから,被告人を有罪とすることはできないとしました。

2 有罪判決の事例
 
 速度測定装置の誤作動に関する弁護人の主張を排斥した事例として以下のものがあります(有罪判決自体は無数にあります。)。
・ 神戸地裁平成15年10月22日判決(判例秘書に掲載。37キロの速度違反で罰金7万円)(担当裁判官は26期の杉森研二裁判官)

3 その他メモ書き

(1)   高速自動車国道又は自動車専用道路以外の道路で,指定最高速度を30km毎時超える速度で普通乗用自動車を運転して進行したという公訴事実について,上記速度超過の証明はなく,反則金納付通告の手続を経ずに行われた公訴提起の手続は違法であるとして公訴を棄却した第1審判決に対し,控訴審において,公訴事実どおりの事実が認められるとしてこれを破棄する場合,刑訴法398条を適用せず,自判することができます(最高裁平成19年3月19日判決)。
(2) Motor-Fan HPに「[交通裁判傍聴記] 注目の北海道オービス裁判は、案の定、ドライバーの敗訴! 「メーカーが正確と言っているから正確」、これがオービス裁判の実態だ!【交通取締情報】」)が載っています。

第14 取調べのための呼び出しに応じないことと,逮捕の必要性に関する最高裁刑事局作成の資料の記載

○最高裁判所刑事局が平成7年3月に作成した,逮捕・勾留に関する解釈と運用4頁及び5頁には以下の記載があります。

 まず,一般論として,次のとおり意見が一致した。
 刑訴法199条1項ただし書の罪についてはもちろん,その他の罪についても,明らかに逃亡,罪証隠滅のおそれがなく,単に出頭要求に応じないという理由だけでは逮捕状を発付することはできない。しかし,任意出頭の要求に数回にわたって応じないということは,逃亡又は罪証隠滅のおそれを推認させる有力な事情とはなりうるであろう。呼出しの回数が重なるに連れ,呼出しを無視する被疑者の緊張感が高まり,例えば,もしかすると裁判で実刑になるのではないかとの不安を覚え,逆に逃走や罪証隠滅を図るといった心理過程を推認できることもあるからである。もちろん具体的な諸事情を総合判断しなければならないが,そのような推認ができる場合には,数回の不出頭の事実を逮捕の必要性の一つの判断資料として,逮捕状を発付するということも十分考えられる。なお,このような推認が働くのは,あくまで有効な呼出しを現に受けており,かつ正当な理由もないのに,出頭しない場合に限られることはいうまでもない。
 この点について,何回以上不出頭であれば逮捕状を発付するという一応の基準的なものを設け,これに基づいて運用するというやり方についても議論が及んだ。しかし,これに対しては,単に機械的に回数のみを基準にして逮捕の必要性の有無を決するのは妥当でなく,あくまでも具体的事情を総合判断して,必要性の有無を判断すべきである,との結論となった。

第15 犯罪捜査規範の関係条文

(捜査書類の作成)
第五十五条 捜査を行うに当つては、司法警察職員捜査書類基本書式例による調書その他必要な書類を明確に作成しなければならない。
2 書類の作成に当つては、事実をありのままに、かつ、簡潔明瞭に表現することを旨とし、推測、誇張等にわたつてはならない。

(任意出頭)
第百二条 捜査のため、被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求めるには、電話、呼出状(別記様式第七号)の送付その他適当な方法により、出頭すべき日時、場所、用件その他必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。この場合において、被疑者又は重要な参考人の任意出頭については、警察本部長又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
2 被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求める場合には、呼出簿(別記様式第八号)に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。

(取調べの心構え)
第百六十六条 取調べに当たつては、予断を排し、被疑者その他関係者の供述、弁解等の内容のみにとらわれることなく、あくまで真実の発見を目標として行わなければならない。

(取調べにおける留意事項)
第百六十七条 取調べを行うに当たつては、被疑者の動静に注意を払い、被疑者の逃亡及び自殺その他の事故を防止するように注意しなければならない。
2 取調べを行うに当たつては、事前に相手方の年令、性別、境遇、性格等を把握するように努めなければならない。
3 取調べに当たつては、冷静を保ち、感情にはしることなく、被疑者の利益となるべき事情をも明らかにするように努めなければならない。
4 取調べに当たつては、言動に注意し、相手方の年令、性別、境遇、性格等に応じ、その者にふさわしい取扱いをする等その心情を理解して行わなければならない。
5 警察官は、常に相手方の特性に応じた取調べ方法の習得に努め、取調べに当たつては、その者の特性に応じた方法を用いるようにしなければならない。

(任意性の確保)
第百六十八条 取調べを行うに当たつては、強制、拷問、脅迫その他供述の任意性について疑念をいだかれるような方法を用いてはならない。
2 取調べを行うに当たつては、自己が期待し、又は希望する供述を相手方に示唆する等の方法により、みだりに供述を誘導し、供述の代償として利益を供与すべきことを約束し、その他供述の真実性を失わせるおそれのある方法を用いてはならない。
3 取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない。この場合において、午後十時から午前五時までの間に、又は一日につき八時間を超えて、被疑者の取調べを行うときは、警察本部長又は警察署長の承認を受けなければならない。

(精神又は身体に障害のある者の取調べにおける留意事項)
第百六十八条の二 精神又は身体に障害のある者の取調べを行うに当たつては、その者の特性を十分に理解し、取調べを行う時間や場所等について配慮するとともに、供述の任意性に疑念が生じることのないように、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法を用いなければならない。

(自己の意思に反して供述をする必要がない旨の告知)
第百六十九条 被疑者の取調べを行うに当たつては、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。
2 前項の告知は、取調べが相当期間中断した後再びこれを開始する場合又は取調べ警察官が交代した場合には、改めて行わなければならない。

(共犯者の取調べ)
第百七十条 共犯者の取調べは、なるべく各別に行つて、通謀を防ぎ、かつ、みだりに供述の符合を図ることのないように注意しなければならない。
2 取調べを行うに当たり、対質尋問を行う場合には、特に慎重を期し、一方が他方の威圧を受ける等のことがないようその時期及び方法を誤らないように注意しなければならない。

(証拠物の呈示)
第百七十一条 捜査上特に必要がある場合において、証拠物を被疑者に示すときは、その時期及び方法に適切を期するとともに、その際における被疑者の供述を調書に記載しておかなければならない。

(臨床の取調べ)
第百七十二条 相手方の現在する場所で臨床の取調べを行うに当たつては、相手方の健康状態に十分の考慮を払うことはもちろん、捜査に重大な支障のない限り、家族、医師その他適当な者を立ち会わせるようにしなければならない。

(裏付け捜査及び供述の吟味の必要)
第百七十三条 取調べにより被疑者の供述があつたときは、その供述が被疑者に不利な供述であると有利な供述であるとを問わず、直ちにその供述の真実性を明らかにするための捜査を行い、物的証拠、情況証拠その他必要な証拠資料を収集するようにしなければならない。
2 被疑者の供述については、事前に収集した証拠及び前項の規定により収集した証拠を踏まえ、客観的事実と符合するかどうか、合理的であるかどうか等について十分に検討し、その真実性について判断しなければならない。

(伝聞供述の排除)
第百七十四条 事実を明らかにするため被疑者以外の関係者を取り調べる必要があるときは、なるべく、その事実を直接に経験した者から供述を求めるようにしなければならない。
2 重要な事項に係るもので伝聞にわたる供述があつたときは、その事実を直接に経験した者について、更に取調べを行うように努めなければならない。

(供述者の死亡等に備える処置)
第百七十五条 被疑者以外の者を取り調べる場合においては、その者が死亡、精神又は身体の故障その他の理由により公判準備又は公判期日において供述することができないおそれがあり、かつ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるときは、捜査に支障のない限り被疑者、弁護人その他適当な者を取調べに立ち会わせ、又は検察官による取調べが行われるように連絡する等の配意をしなければならない。

(証人尋問請求についての連絡)
第百七十六条 刑訴法第二百二十六条又は同法第二百二十七条の規定による証人尋問の必要があると認められるときは、証人尋問請求方連絡書に、同法第二百二十六条又は同法第二百二十七条に規定する理由があることを疎明すべき資料を添えて、検察官に連絡しなければならない。この場合において、証明すべき事実及び尋問すべき事項は、特に具体的かつ明瞭に記載するものとする。

(供述調書)
第百七十七条 取調べを行つたときは、特に必要がないと認められる場合を除き、被疑者供述調書又は参考人供述調書を作成しなければならない。
2 被疑者その他の関係者が、手記、上申書、始末書等の書面を提出した場合においても、必要があると認めるときは、被疑者供述調書又は参考人供述調書を作成しなければならない。

(供述調書の記載事項)
第百七十八条 被疑者供述調書には、おおむね次の事項を明らかにしておかなければならない。
一 本籍、住居、職業、氏名、生年月日、年齢及び出生地(被疑者が法人であるときは名称又は商号、主たる事務所又は本店の所在地並びに代表者の氏名及び住居、被疑者が法人でない団体であるときは名称、主たる事務所の所在地並びに代表者、管理人又は主幹者の氏名及び住居)
二 旧氏名、変名、偽名、通称及びあだ名
三 位記、勲章、褒賞、記章、恩給又は年金の有無(もしあるときは、その種類及び等級)
四 前科の有無(もしあるときは、その罪名、刑名、刑期、罰金又は科料の金額、刑の執行猶予の言渡し及び保護観察に付されたことの有無、犯罪事実の概要並びに裁判をした裁判所の名称及びその年月日)
五 刑の執行停止、仮釈放、仮出所、恩赦による刑の減免又は刑の消滅の有無
六 起訴猶予又は微罪処分の有無(もしあるときは、犯罪事実の概要、処分をした庁名及び処分年月日)
七 保護処分を受けたことの有無(もしあるときは、その処分の内容、処分をした庁名及び処分年月日)
八 現に他の警察署その他の捜査機関において捜査中の事件の有無(もしあるときは、その罪名、犯罪事実の概要及び当該捜査機関の名称)
九 現に裁判所に係属中の事件の有無(もしあるときは、その罪名、犯罪事実の概要、起訴の年月日及び当該裁判所の名称)
十 学歴、経歴、資産、家族、生活状態及び交友関係
十一 被害者との親族又は同居関係の有無(もし親族関係のあるときは、その続柄)
十二 犯罪の年月日時、場所、方法、動機又は原因並びに犯行の状況、被害の状況及び犯罪後の行動
十三 盗品等に関する罪の被疑者については、本犯と親族又は同居の関係の有無(もし親族関係があるときは、その続柄)
十四 犯行後、国外にいた場合には、その始期及び終期
十五 未成年者、成年被後見人又は被保佐人であるときは、その法定代理人又は保佐人の氏名及び住居(法定代理人又は保佐人が法人であるときは名称又は商号、主たる事務所又は本店の所在地並びに代表者の氏名及び住居)
2 参考人供述調書については、捜査上必要な事項を明らかにするとともに、被疑者との関係をも記載しておかなければならない。
3 刑訴法第六十条の勾留の原因たるべき事項又は同法第八十九条に規定する保釈に関し除外理由たるべき事項があるときは、被疑者供述調書又は参考人供述調書に、その状況を明らかにしておかなければならない。

(供述調書作成についての注意)
第百七十九条 供述調書を作成するに当たつては、次に掲げる事項に注意しなければならない。
一 形式に流れることなく、推測又は誇張を排除し、不必要な重複又は冗長な記載は避け、分かりやすい表現を用いること。
二 犯意、着手の方法、実行行為の態様、未遂既遂の別、共謀の事実等犯罪構成に関する事項については、特に明確に記載するとともに、事件の性質に応じて必要と認められる場合には、主題ごと又は場面ごとの供述調書を作成するなどの工夫を行うこと。
三 必要があるときは、問答の形式をとり、又は供述者の供述する際の態度を記入し、供述の内容のみならず供述したときの状況をも明らかにすること。
四 供述者が略語、方言、隠語等を用いた場合において、供述の真実性を確保するために必要があるときは、これをそのまま記載し、適当な注を付しておく等の方法を講ずること。
2 供述を録取したときは、これを供述者に閲覧させ、又は供述者が明らかにこれを聞き取り得るように読み聞かせるとともに、供述者に対して増減変更を申し立てる機会を十分に与えなければならない。
3 被疑者の供述について前項の規定による措置を講ずる場合において、被疑者が調書(司法警察職員捜査書類基本書式例による調書に限る。以下この項において同じ。)の毎葉の記載内容を確認したときは、それを証するため調書毎葉の欄外に署名又は押印を求めるものとする。

(補助者及び立会人の署名押印)
第百八十条 供述調書の作成に当たつては、警察官その他適当な者に記録その他の補助をさせることができる。この場合においては、その供述調書に補助をした者の署名押印を求めなければならない。
2 取調べを行うに当たつて弁護人その他適当と認められる者を立ち会わせたときは、その供述調書に立会人の署名押印を求めなければならない。

(署名押印不能の場合の処置)
第百八十一条 供述者が、供述調書に署名することができないときは警察官が代筆し、押印することができないときは指印させなければならない。
2 前項の規定により、警察官が代筆したときは、その警察官が代筆した理由を記載して署名押印しなければならない。
3 供述者が供述調書に署名又は押印を拒否したときは、警察官がその旨を記載して署名押印しておかなければならない。

(通訳及び翻訳の場合の処置)
第百八十二条 捜査上の必要により、学識経験者その他の通訳人を介して取調べを行つたときは、供述調書に、その旨及び通訳人を介して当該供述調書を読み聞かせた旨を記載するとともに、通訳人の署名押印を求めなければならない。
2 捜査上の必要により、学識経験者その他の翻訳人に被疑者その他の関係者が提出した書面その他の捜査資料たる書面を翻訳させたときは、その翻訳文を記載した書面に翻訳人の署名押印を求めなければならない。

(取調べ状況報告書等)
第百八十二条の二 被疑者又は被告人を取調べ室又はこれに準ずる場所において取り調べたとき(当該取調べに係る事件が、第百九十八条の規定により送致しない事件と認められる場合を除く。)は、当該取調べを行つた日(当該日の翌日の午前零時以降まで継続して取調べを行つたときは、当該翌日の午前零時から当該取調べが終了するまでの時間を含む。次項において同じ。)ごとに、速やかに取調べ状況報告書(別記様式第十六号)を作成しなければならない。
2 前項の場合において、逮捕又は勾留(少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第四十三条第一項の規定による請求に基づく同法第十七条第一項の措置を含む。)により身柄を拘束されている被疑者又は被告人について、当該逮捕又は勾留の理由となつている犯罪事実以外の犯罪に係る被疑者供述調書を作成したときは、取調べ状況報告書に加え、当該取調べを行つた日ごとに、速やかに余罪関係報告書(別記様式第十七号)を作成しなければならない。
3 取調べ状況報告書及び余罪関係報告書を作成した場合において、被疑者又は被告人がその記載内容を確認したときは、それを証するため当該取調べ状況報告書及び余罪関係報告書の確認欄に署名押印を求めるものとする。
4 第百八十一条の規定は、前項の署名押印について準用する。この場合において、同条第三項中「その旨」とあるのは、「その旨及びその理由」と読み替えるものとする。

(取調べ等の録音・録画)
第百八十二条の三 次の各号のいずれかに掲げる事件について、逮捕若しくは勾留されている被疑者の取調べを行うとき又は被疑者に対し弁解の機会を与えるときは、刑訴法第三百一条の二第四項各号のいずれかに該当する場合を除き、取調べ等の録音・録画(取調べ又は弁解の機会における被疑者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録することをいう。次項及び次条において同じ。)をしなければならない。
一 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
二 短期一年以上の有期の懲役又は禁錮に当たる罪であつて故意の犯罪行為により被害者を死亡させたものに係る事件
2 逮捕又は勾留されている被疑者が精神に障害を有する場合であつて、その被疑者の取調べを行うとき又は被疑者に対し弁解の機会を与えるときは、必要に応じ、取調べ等の録音・録画をするよう努めなければならない。

(録音・録画状況報告書)
第百八十二条の四 取調べ等の録音・録画をしたときは、速やかに録音・録画状況報告書(別記様式第十八号)を作成しなければならない。

(取調べ室の構造及び設備の基準)
第百八十二条の五 取調べ室は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一 扉を片側内開きとするなど被疑者の逃走及び自殺その他の事故の防止に適当な構造及び設備を有すること。
二 外部から取調べ室内が容易に望見されないような構造及び設備を有すること。
三 透視鏡を備え付けるなど取調べ状況の把握のための構造及び設備を有すること。
四 適当な換気、照明及び防音のための設備を設けるなど適切な環境で被疑者が取調べを受けることができる構造及び設備を有すること。
五 取調べ警察官、被疑者その他関係者の数及び必要な設備に応じた適当な広さであること。
1(1) 債務整理(簡易な相談に限る。)及び被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)です。
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。