交通違反に対する不服申立方法

第0 目次

第1 交通違反(白切符,青切符及び赤切符)
第2 違反点数に対する不服申立方法(審査請求及び行政訴訟)
第3 青切符及び赤切符に対する不服申立方法

*1 以下のHPも参照してください。
① センターライン,車線変更線,バイクのすり抜け等
② 交通違反及び行政処分
③ 交通事故の量刑
*2 警視庁HPに「交通違反の点数一覧表」及び「反則行為の種類及び反則金一覧表」が載っています。
*3 警察庁HPの「警察庁の施策を示す通達(交通局)」「運転免許の取消し、停止等の行政処分に係る処分書の理由欄の記載要領等について」(平成28年10月24日付の警察庁交通局運転免許課長の通達)が載っています。
*4 普通に交通反則金を支払う場合,長野県警察HPの「交通反則通告制度についてよくある質問」が非常に参考になります。

第1 交通違反(白切符,青切符及び赤切符)及び反則金制度

1 交通違反
(1)ア 交通違反がある場合,①白切符(違反点数のみの場合),②青切符(違反点数及び反則金の納付が予定されている場合)又は③赤切符(違反点数・行政処分及び罰金等の刑事罰が予定されている場合)を交付されます(TRENDERSNET HP「白切符,青切符,赤切符の違いをわかりやすく説明します。」参照)。
イ 白切符が切られる例としては,①座席ベルト(シートベルト)装着義務違反,②幼児用補助装置(チャイルドシート)使用義務違反及び③乗車用ヘルメット着用義務違反(いわゆる二輪車のノーヘル)があります。
(2)   人身事故を起こした場合,反則金とは別に,交通違反の基礎点数の他,被害者の治療期間及び加害者の不注意の程度に応じた付加点数が付きます
   例えば,追突による人身事故を起こした場合,少なくとも5点の違反点数(基礎点数2点及び付加点数3点)が付きます。
(3) 青切符の目安は5点以下の違反点数であり,赤切符の目安は6点以上の違反点数です(交通事故・違反の法務相談室HP「交通違反の青切符と赤切符の違い」参照)。
(4) 長野県警察HPの「運転免許の点数制度」に,基礎点数,付加点数のほか,運転免許の取消し・停止等の処分の基準点数が載っています。

2 反則金制度
(1)ア 反則金が発生する反則行為の場合,交通反則通告制度が適用される結果(道路交通法125条1項及び別表第二),青切符と一緒に反則金仮納付書が交付され,交付日から8日以内に反則金を納付すれば前科は付きません(道路交通法128条2項及び130条本文参照)。

イ   反則行為よりも悪質な非反則行為の場合,交通反則通告制度が適用されないのであって,赤切符が交付され,罰金等の前科が付くこととなります。
(2)ア 反則金仮納付書を受け取った日から8日以内に仮納付しなかった場合,警察本部長名義の,反則金納付の通告書が届きます(道路交通法129条1項及び127条1項)。
   反則金納付により手続を終わらせたい場合,通告書を受け取った日から11日以内に反則金を納付する必要があります(道路交通法128条1項)。
イ JAF HPの「交通反則通告制度(青キップ)は、どういう制度なの?」が参考になります。
(3)ア 反則行為をした結果として交通事故が発生した場合,交通反則通告制度が適用されません(道路交通法125条2項3号)。
   そのため,例えば,①暗夜無灯火で進行し,これが原因で人身事故を起こした場合,又は②一時停止を無視し、これが原因で人身事故を起こした場合,過失運転致傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)として,100万円以下の罰金等の刑事罰を受けることがあります(ただし,示談できた場合は通常,起訴されませんから,罰金刑にもなりません。)。
イ 「反則行為をし、よって交通事故を起こした者」の範ちゅうには,反則行為により交通事故を起こした結果,他に損傷を与えぬ,いわゆる自損(負傷)のみの場合を含むものと解されています(執務資料 道路交通法解説17訂版1316頁)。
(4) 免許証不携帯については反則行為として3000円の反則金が発生するものの,違反点数は付きませんから,白切符を切られることもありません(車査定マニアHP「免許証不携帯の罰金・違反点数と紛失中に運転した場合の取り扱い」参照)。

第2 違反点数に対する不服申立方法(審査請求及び行政訴訟)

1 免許停止等の処分があった場合
(1) 違反点数が付いた結果,免許停止処分又は免許取消処分となった場合,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます。
(2) 三つ子のパパはアルハイ乗りブログ「運転免許停止処分出頭通知書 」に,同通知書(名義人は岡山県警察本部長)が載っています。
(3) 都道府県公安委員会に対する審査請求は,免許停止等の処分があったことを知った日から3ヶ月以内にする必要があります(行政不服審査法18条)。

(4) 免許停止等については,「交通違反及び行政処分」を参照して下さい。

2 免許停止等の処分がなかった場合
(1)   違反点数が付いたものの,免許停止等の処分にまでは至らなかった場合,違反点数が付いたこと自体を争うことはできません。
   しかし,違反点数が付いた場合,運転免許証の有効期間の更新に際して一般運転者に当たるとされますから,優良運転者である旨を記載した運転免許証の交付を求めて,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます(運転免許証の更新処分の取消しを求める訴えの利益があることにつき最高裁平成21年2月27日判決)。
(2) このような訴訟の実例としては,神戸地裁平成31年3月27日判決(兵庫県公安委員会を処分行政庁とする,交通違反取消し請求事件)があります。

3 任意に違反点数を抹消してもらえる場合
(1) 
今井亮一の交通違反バカー代HP「愛と感動の抹消上申」には,「点数の抹消は、じつはできるし、実際している。手続き的には、取り締まりを行った署や隊から運転免許の担当部署(警視庁では運転免許本部長)宛てに「抹消上申」を行う形になっている。」と書いてあります。
   そのため,ドラレコ又はGoProで違反行為の不存在を客観的に主張できる場合,審査請求又は行政訴訟によるまでもなく,違反点数を取り消してもらえるかもしれません。
(2) 入門 交通行政処分への対処法73頁及び74頁には以下の記載があります。
   筆者は、個人タクシーの資格を取ろうとした法人タクシーの運転手から相談を受け、点数登録の抹消に苦労した経験がある。弁護士の名前を出すことが杓子定規な対応の原因になる場合もあり、工夫が必要である。一旦登録したら何があっても抹消しないというものでもない。警察官も人間である以上誤認をすることも誤記をすることもある。訂正という方法があることは公安委員会も否定しない。弁護士としてすべての準備を行い、本人の名前で要望をさせたのであった。
   そもそも、「不利益は処分のとき。すべては処分時に議論しよう」と言うのなら、処分の際には過去の違反の1つひとつについて厳密な事実確認をすべきである。過去のケースは点数をみるだけで個々の事案の実情は評価の対象にしないというのは、どう考えてもおかしい。個々のケースを問題にすると検討は処分の時だと逃げられ、処分の段階になったら過去のケースは問題にしないと言われたのでは、それはないだろうと言いたくなる。

4 交通違反の取締件数及び違反点数
(1) 内閣府HPに載ってある平成30年交通安全白書によれば,平成29年の交通違反取締件数のうち,件数が多いもの及び違反点数は以下のとおりです(高速道路分を含みます。)。
① 最高速度違反:147万8281件(違反点数は1点,2点,3点,6点又は12点)
② 一時停止違反:132万7461件(違反点数は2点)
③ 携帯電話使用等違反:91万5797円(違反点数は1点又は2点)
④ 通行禁止違反:73万572件(違反点数は2点)
⑤ 信号無視:72万5030件(違反点数は2点)
(2) 内閣府HPに載ってある平成30年交通安全白書によれば,高速道路における平成29年の交通違反取締件数のうち,件数が多いもの及び違反点数は以下のとおりです。
① 最高速度違反:37万4085件(違反点数は1点,2点,3点,6点又は12点)
② 車両通行帯違反:6万1362件(違反点数は1点)
③ 車間距離不保持(通称は「あおり運転」です。):6139件(違反点数は2点)

5 交通違反の対策等
(1) 交通違反の対策については,横浜の行政書士 みどり法務事務所HP「取り締まりポイントに学ぶ安全運転の研究」が参考になります。
(2) 廃車買取おもいでガレージHP「警察官と揉めない!あいまいな一時停止違反で点数と罰金を献上しないために」が載っています。

第3 青切符及び赤切符に対する不服申立方法

1 青切符を切られてから正式裁判までの流れ
(1)ア 青切符にサインをしたものの,青切符における反則行為の存在を争いたい場合,反則金仮納付書を無視し,警察本部長名義の反則金納付の通告書を無視し,警察からの説得の電話を拒絶した後,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。),略式命令による罰金を断ればいいです。

   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。
イ 平成28年の場合,道路交通法等違反被疑事件のうち,公判請求されたのは70件だけです(モーターファンHP「青切符にサインしなければ、反則金を払わなくて済む、ってほんと?【交通取締情報】送検された反則行為(青切符)関連の不起訴率は、なんと99.93%!」参照)。
(2)   これらの一連の流れは,いろはに情報館HP「青切符違反の無実を裁判で争うための正しい知識」が非常に参考になります。 


2 赤切符を切られてから正式裁判までの流れ
(1) 赤切符における非反則行為を争いたい場合,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。),略式命令における罰金を断ればいいです。

(2)   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。

3 略式命令による罰金が出た後の流れ
(1) 略式命令による罰金が出た後であっても,略式命令を受け取ってから14日以内に正式裁判の請求(刑事訴訟法465条1項)をすれば,正式裁判で自分の言い分を主張できることとなります。
    実際,赤切符の裏側には,正式裁判の請求ができる旨の「略式手続説明書」及び「申述書」が記載されていますし,「上記略式命令に対しては,告知を受けた日から14日以内に当裁判所に対して正式裁判の請求をすることができます。」という記載もあります。
(2) 正式裁判を受ける際に私選弁護人を選任していない場合,事件が係属している簡易裁判所に請求すれば,国選弁護人を選任してもらえます(刑事訴訟法36条)。 

4 反則金の支払を争った場合にありうる,事実上の不利益
   弁護士法人伏見総合法律事務所の交通事故の知恵袋HP「反則行為を犯した際の対応」には,反則金の支払を争った場合にありうる,事実上の不利益として以下の記載があります。
(なお、軽微な道路交通法違反事件については、検察官が必ずしも正式裁判を提起するとは限らないという実情はあるため、反則行為の存在は争わないものの、徹底的に支払わないという対応を取られるケースもあるようです。しかし、刑事手続の対応の負担や仮に微罪処分として起訴猶予となったとしても、交通事故はちょっとした不注意でも不可避的に発生することは十分あることを思うと、1回限り、反則金の支払いを免れることに、あまり大きな意味を持たせることは、却って将来に向けて大きなリスクを抱えることになることは十分に理解をする必要があると個人的には考えます。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。