症状固定後の医療費の助成制度

第0 目次

第1 高額療養費制度
第2 自立支援医療制度
第3 重度障がい者医療費助成制度
第4 自動車の運転に不安がある場合,運転は止めた方がいいこと

*1 「初診時の留意点,公的医療保険,診療録及びレセプト」も参照してください。
*2 福祉医療費とは,国民健康保険や社会保険等で診療を受けた際に,自己負担しなければならない費用(一部負担金)を公費で負担するものであり,子供の医療費助成,重度心身障害者医療費助成,高齢重度障害者医療費助成等があります(群馬県明和町HPの「福祉医療費」参照)。
*3 大阪府HPに「無料定額診療事業」が載っています。
*4 平成15年3月までの間,サラリーマン本人の医療費の自己負担割合は2割でした(厚生労働省HPの「平成15年4月からサラリーマンの窓口負担は3割になります。」参照)。

第1 高額療養費制度

1 医療機関に支払った医療費が1ヶ月に一定の自己負担限度額を超えたとき,高額療養費制度に基づく高額療養費支給申請をすれば,自己負担限度額を超えた額が高額療養費として国民健康保険等から支給してもらえます(手続につき大阪市HPの「高額療養費制度」参照)。
   ただし,1人から4人の部屋に入院した場合に発生する差額ベッド代,入院中の食事代等は高額療養費制度の対象外です。

2 70歳未満の人が「限度額適用認定証」を保険証と併せて医療機関等の窓口に提示すると,1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。
   そのため,高額な医療費の負担が見込まれる場合,限度額適用認定証を取得しておいた方がいいです。

3 被害者の過失割合が大きい等の理由で公的医療保険(例えば,国民健康保険)を利用して通院する場合,症状固定前であっても高額療養費制度を利用した方がいいです。

4(1) 高額療養費の区分が決まる所得につき,健康保険の場合,世帯主の標準報酬月額であり,国民健康保険の場合,70歳未満の被保険者については基礎控除後の世帯の総所得金額等であり,70歳以上の被保険者については住民税課税所得です。
(2)ア 平成30年8月,70歳以上の方の自己負担限度額の上限につき,従前は8万100円余りであったのに,住民税課税所得380万円以上の世帯については16万700円余りとなり,住民税課税所得690万円以上の世帯については25万2600円余りとなりました(大阪市HPの「高額療養費」参照)。
イ ①70歳未満の被保険者と,②70歳以上75歳未満の被保険者の両方がいる世帯については,①の世帯及び②の世帯の所得を合算するのではなく,①の世帯の所得だけ,及び②の世帯の所得だけで別々に自己負担限度額を算定します(大阪府HPの「医療費が高額になれば?」参照)。

5 以下のHPが参考になります。
① 協会けんぽHPの「高額な医療費を支払ったときは高額療養費で払い戻しが受けられます。」
② 厚生労働省HPの「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
③ 価格.com「高額療養費(高額医療費支給制度)とは? 申請方法と注意点」
→ 「高額療養費の対象となる医療費は、1つの医療機関においてその月の支払額が21,000円以上のものに限られます。また、1つの医療機関であっても、医科と歯科、入院と外来は分けて計算します。なお、70 歳以上であればこれらに関わらず自己負担額をすべて合算できます。」と書いてあります。 
④ お客様とソニー損保のコミュニケーションサイト「高額療養費制度のポイント~民間医療保険の保険金を受取っても給付されます~」

第2 自立支援医療制度

1(1) 例えば,以下の精神疾患により通院による治療を続ける必要がある場合,自立支援医療制度を利用することで医療費助成を受けられることがありますから,通院先の医療機関又は市区町村に相談してください(入院医療の費用は対象外です。)(手続につき大阪市HPの「自立支援医療(精神通院)」参照)。
① 統合失調症
② うつ病,躁うつ病などの気分障害
③ 不安障害
④ てんかん
(2)ア てんかんは,①部分てんかん(局在関連てんかん)及び②全般てんかんに分けられます。そして,発作を引き起こす原因によって,特発性(明らかな脳の病変が認められない場合)と症候性(明らかな脳の病変が認められる場合)に分けられます(てんかんinfo「てんかんとは」参照)。
イ 「動画で見るてんかん解説「てんかんとは?」」が参考になります。

2   自立支援医療制度を利用できる場合,自立支援医療受給者証を交付されます。
   この場合,自己負担については1割負担となりますし,例えば,住民税非課税世帯の場合,1月当たりの負担上限額は5000円又は2500円となります。

3 自立支援医療制度は,平成17年10月1日,精神保健福祉法32条に基づく通院医療費公費負担制度(自己負担は5%)に代わって導入された制度です。

4 障害年金申請サポート咲くやこの花相談室HP「医療費が3分の1に!自立支援医療の精神通院とは?」が載っています。

第3 重度障がい者医療費助成制度

1 交通事故によるケガが原因で身体障害者手帳2級を取得した場合,市町村の条例に基づく重度障がい者医療費助成制度(市町村によって名称が微妙に異なります。)を利用することで医療費助成を受けられることがありますから,通院先の医療機関又は市区町村に相談してください(手続につき大阪市HPの「重度障がい者の医療費を助成します」参照)。

2 大阪市の場合,1医療機関1日あたり最大500円(月2日限度)が一部自己負担額となっていますから,例えば,同じ月に3日以上同じ医療機関に通う場合,3日目以降の自己負担はありません。

3 財政に余裕がある自治体の場合,身体障害者手帳3級の人についても医療費助成制度の対象としています。

4 身体障害者手帳の取得方法については,外部HPの「障害者手帳とは?種類ごとの申請方法と受けられるサービスを一挙にご紹介」が参考になります。

第4 自動車の運転に不安がある場合,運転は止めた方がいいこと

1(1) 統合失調症,躁うつ病,てんかん等を発症した場合,運転免許証を更新する際,質問票(道路交通法101条4項)においてその旨を記載する必要があります。
    また,統合失調症等の影響により正常な運転が困難な状態に陥って交通事故を起こして人を負傷させた場合,危険運転致傷罪として12年以下の懲役に処せられます(自動車運転死傷行為処罰法3条2項・1項,同法施行令3条。なお,損害保険料率算出機構HPの「運転時の体調に関する法令上の定め」参照)。
   そのため,自立支援医療受給者証を交付された場合,自動車の運転免許証を返納した上で,本人確認書類としての「運転経歴証明書」(道路交通法104条の4第5項)を交付してもらう方がいいと思います(申請手続につき,大阪府警察HPの「運転経歴証明書」参照)。
(2) 体調急変による交通事故については,損害保険料率算出機構HPの「自動車運転者の体調急変による事故~要因と防止対策を考える~」が参考になります。

2(1) 65歳以上の人が運転免許証を自主返納して運転経歴証明書の交付を受けた場合,サポート企業・店舗において運転経歴証明書を提示することにより,様々な特典を受けることができます(大阪府HPの「高齢者運転免許自主返納サポート制度について」参照)。
(2) 精神病,てんかんといった一定の病気にかかっており,自動車等の運転に不安がある人及びその家族の相談先として,都道府県警察には運転適性相談窓口があります。
   大阪府警察の場合,門真運転免許試験場適性試験係適性相談コーナー(電話:06-6908-9121内線384)及び光明池運転免許試験場適性試験係適性相談コーナー(電話:0725-56-1881内線384)があります(大阪府警察HPの「運転適性相談と病気の症状等の申告について」参照)。

3 平成29年3月12日,準中型免許制度が新設されるほか,75歳以上の高齢運転者が運転免許を更新する際,認知症のおそれがあると判断された場合,臨時適性検査(専門医の診断)を受けるか,又は認知症専門医等による診断書の提出が必要となります(外部HPの「改正道路交通法が施行されます-準中型免許等(2017年3月12日)」参照)。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。