自賠責保険の被害者請求及び加害者請求

第0 目次

第1   自賠責保険の請求手続の種類等
第2の1 被害者請求
第2の2 被害者請求の必要書類
第2の3 自賠責保険各社の被害者請求の連絡先(請求先)
第2の4 被害者請求の認定結果が出た場合の連絡方法
第3   加害者請求
第4   自賠責保険の支払請求書兼支払指図書等(東京海上日動,三井住友海上,あいおいニッセイ同和損保,損保ジャパン日本興亜及び富士火災)
第5   自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について(平成14年3月11日付の国土交通省自動車交通局保障課長の通知)

*1 以下のHPも参照してください。
① 「自賠責保険の保険金及び後遺障害等級」
② 「損害保険料率算出機構による後遺障害等級の認定」
③ 「後遺障害としてのむち打ち,頸椎捻挫,神経麻痺等」
④ 「後遺障害としての関節の可動域制限」
⑤ 「保険会社の説明義務」
*2 以下の書類を掲載しています。
① 自賠責保険診断書
② 自賠責保険施術証明書・施術費明細書(柔道整復師用)
③ 通院交通費明細書
④ 休業損害証明書
⑤ 事故発生状況報告書
⑥ 自賠責保険後遺障害診断書
*3 印鑑登録証明書については,大阪市HPの「印鑑登録証明書の交付請求」が参考になります。
*4 損害保険料率算出機構(GIROJ)HP「当機構で行う損害調査」「加害者請求の流れの詳細」「被害者請求の流れの詳細」及び「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」が載っています。 
*5 自動車総合安全情報HP自賠責保険ポータルサイト「支払までの流れと請求方法」が乗っています。
*6 交通事故の慰謝料・示談SOS「後遺障害等級認定を受けるまでの手順と申請方法」が載っています。
*7 医療費の領収書は再発行できないものの,50円から1620円ぐらいの費用を支払えば,領収証明書を発行してもらえます(健康保険や高額療養費,医療費のことを女性が教えますブログ「医療費の領収証は再発行できません。領収証明書なら可能です。」参照)。
*8 大阪市HP「診療報酬明細書等の開示に係る取扱要領」(国民健康保険)及び「診療報酬明細書等の開示に係る取扱要領」(生活保護)が載っています。
*9 大阪府後期高齢者医療広域連合HP「情報公開・個人情報保護制度」に,診療報酬明細書(レセプト)の開示請求手続が書いてあります。
*10 にわ法律事務所HP「平成29年半ばから、自賠責での後遺障害等級認定が厳しくなったようです」,及び「調査事務所取付回答書類が開示されるようになりました」が載っています。
自賠責保険診断書
自賠責保険診療報酬明細書1/2
自賠責保険診療報酬明細書2/2
事故発生状況報告書

第1 自賠責保険の請求手続の種類等

1 自賠責保険の請求手続の種類
(1) 自賠責保険における保険金等(=加害者請求における「保険金」,被害者請求における「損害賠償額」。自賠法16条の2参照)の請求の手続には以下のものがあり,①及び②をあわせて「非一括払事案」といわれることがあります。
① 加害者請求(自賠法15条)
・   加害者が被害者に対して損害賠償を行った後,加害者が自賠責保険会社に対して保険金の支払を請求する方法です。
・    加害者請求は,自賠責保険が原則とする請求方法であります(最高裁昭和39年5月12日判決)。
② 被害者請求(自賠法16条1項)
・   被害者が,加害者の自賠責保険会社に対して直接,損害賠償額の支払を請求する方法です。
   特に問題なければ,請求してから1ヶ月程度で支払を受けることができます。
③ 一括払事案(「任意一括」ともいいます。)
   加害者の任意保険会社が被害者に対して自賠責保険金及び任意保険金の合計額を支払い,その後,任意保険会社が,加害者の代理人として,自賠責保険会社に対して自賠責保険金の支払を請求する方法です。
   加害者の任意保険会社が治療費等を立替払してくれている場合,一括払事案として取り扱われているということです。
(2) 被害者請求を弁護士に依頼する場合,実印を付いた委任状及び印鑑登録証明書が必要となります。
(3) 交通事故110番HPに「自賠責保険に対する被害者請求の書式」が掲載されています。
(4)   
損害保険料率算出機構HPの「改善の取組み」に,苦情の受付状況が書いてあります。

2 被害者請求及び一括払いの比較
(1) 被害者請求の場合,①被害者が自分で必要書類等を用意する必要がある点で結構な手間がかかるものの,②後遺障害の審査に関する進捗状況を確認できますし,③自賠責保険金は直接,被害者又は代理人弁護士の預貯金口座に振り込まれます。
   これに対して一括払の場合,①加害者側の任意保険会社が必要書類を用意してくれますものの,②後遺障害の審査に関する進捗状況を確認できませんし,③被害者に不利な意見書が任意保険会社の顧問医によって作成されることがありますし,④自賠責保険金は被害者の預貯金口座には振り込まれず,示談の際,任意保険会社が被害者に支払うこととなります。
(2) 被害者請求により後遺障害の等級認定申請をした場合,レントゲン検査,CT検査,MRI検査等により撮影した画像の全部を病院から取り寄せた上で,自賠責保険の損害調査事務所に送付する必要があります。
   通常は,自賠責保険会社に対する被害者請求の受付が終了した後に送られてくる,損害保険料率算出機構の自動車損害調査事務所からの「自賠責保険の損害調査資料提出のご依頼」(画像等取付けのご依頼)に基づいて,画像を宅配便で送付すれば足ります。 

3 加害車両が複数ある場合の取扱い
   加害車両が複数ある場合,両方の自賠責保険に対して被害者請求をすることができます。

4 損害保険会社の自賠責保険に関するHP
(1) 東京海上日動HPの「自賠責保険についてのご案内」
(2) 三井住友海上HPの「自賠責保険」
(3) あいおいニッセイ同和HPの「お客さま窓口」
(4) 損保ジャパン日本興亜HPの「自賠責保険 事故対応の流れ」
→ 加害者請求と被害者請求の方法について説明があります。

第2の1 被害者請求

1 自賠責保険の保険金額と支払金額の関係
   自賠責保険の場合,支払の最高限度額である「保険金額」と,実際の支払金額は必ずしも一致しません。
   ただし,後遺障害事案なり死亡事案なりの場合,逸失利益が小さくなる65歳以上の年金受給者の場合を除き,「支払基準」で計算される損害額が保険金額を超えることが多く(「保険金額超過事故」とか,「アマウントオーバー」といいます。),その場合は保険金額と同一の額が支払われることとなります。
 
2 事前認定を受けている場合の取扱い
(1) 一括払事案において,被害者が加害者の任意保険会社との間で示談が成立していない場合であっても,任意保険会社が損害保険料率算出機構に対し,後遺障害の等級認定を事前に取得していれば,被害者としては,自賠責保険会社に対し,被害者請求(自賠法16条1項)をすることで,自賠責保険に基づく支払だけを先に受けることができます。
  この場合,被害者は,加害者の自賠責保険会社に対し,所定の添付書類と一緒に,自賠責保険の支払請求書兼支払指図書を提出することになります(自賠法施行令3条参照)。
(2) 任意保険が付いている場合,被害者は,任意保険会社との間で,自賠責保険及び任意保険を抱き合わせで保険金額の交渉をしますから,自賠責保険金の支払額にこだわる必要はありません。
   任意保険会社が保険金を支払えば,そのうち自賠責保険分を自賠責保険会社に求償します(自賠法15条に基づく加害者請求)ところ,これは両方の会社の清算手続の問題に過ぎません。
 
3 加害者に対する損害賠償請求権と被害者請求権は別個独立のものであること
   被害者が保有者又は運転者(=加害者側)に対し,自賠法3条又は民法709条に基づき有する損害賠償請求権と,自賠責保険会社に対し,自賠法16条1項に基づき有する損害賠償額の支払請求権は別個独立のものとして併存している権利です。
  そして,被害者はこれにより二重に支払を受けることはできませんが,特別の事情のない限り,自賠責保険会社から受けた支払額の内容と牴触しない範囲では,加害者側に対し財産上又は精神上の損害賠償を請求できます(最高裁昭和39年5月12日判決)。
 
4 自賠責保険に関する遅延損害金
(1) 自賠法16条1項に基づく被害者の自賠責保険会社に対する直接請求権は,被害者が保険会社に対して有する損害賠償請求権であって,保有者の保険金請求権の変形ないしそれに準ずる権利ではありませんから,自賠責保険会社の被害者に対する損害賠償債務は商法514条所定の「商行為によって生じた債務」には当たりません。
   そのため,自賠責保険会社の遅延損害金の利率は,民法419条1項本文・404条に基づき,年5%となります(最高裁昭和57年1月19日判決参照)。
(2) 自賠責保険会社は,自賠法16条1項に基づく損害賠償額の支払の請求があった後,当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間が経過するまでは,遅滞の責任を負いません(自賠法16条の9第1項)。
   そのため,その限度で,最高裁昭和61年10月9日判決(先例として,最高裁昭和39年5月12日判決)の判断内容は修正されています。
(3) 実務上,自賠責保険会社に対して遅延損害金を請求する場合,訴訟提起する必要がありますものの,逸失利益が小さくなる65歳以上の年金受給者の場合を除き,遅延損害金を付けなくても,「支払基準」で計算される損害額が保険金額を超えることが多いですから,訴訟提起する実益がありません。
   また,自賠責保険会社に対して訴訟提起した場合,「支払基準」に基づく過失相殺ではなく,実際の過失割合通りに過失相殺されます(最高裁平成18年3月30日判決参照)から,被害者の過失が大きい場合,訴訟提起する実益がありません。
(4) 訴訟提起をした場合であっても,保険金額の上限(自賠法13条1項・自賠法施行令2条)及び休業損害の上限(1日につき1万9000円であることにつき自賠法16条の2・自賠法施行令3条の2)の適用があります。
 
5 被害者請求権が消滅する場合
(1) 自賠法3条による損害賠償請求権が消滅した場合,自賠法16条1項に基づく被害者請求権も消滅します。
   そのため,例えば,自賠法3条による被害者の保有者に対する損害賠償債権及び保有者の被害者に対する損害賠償債務が同一人に帰したときには,自賠法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する損害賠償額の支払請求権は消滅します(最高裁平成元年4月20日判決)。
(2) 自賠法16条1項に基づく損害賠償額の支払請求権(=被害者請求権)は,債権者による差押えが禁止されています(自賠法18条)。
   しかし,交通事故の被害者が保有者(通常は加害者)に対して有する損害賠償請求権について差押えされた上で転付命令まで発令された場合,被害者は,転付された債権額の限度において被害者請求権を失います(最高裁平成12年3月9日判決)。

6 自賠責損害調査事務所による損害調査の流れ
   被害者請求をしたときに送付される説明書面によれば,自賠責損害調査事務所による損害調査の流れは以下のとおりです。
① 請求者は、損害保険会社等、自賠責保険(共済)への請求書類を提出します。
② 損害保険会社等は、請求書類に不備がないか確認のうえ、自賠責損害調査事務所へ送付します。
③ 自賠責損害調査事務所では、請求書類に基づいて、事故発生状況、支払の的確性(自賠責保険(共済)の 対象となる事故かどうか、また、傷害と事故との因果関係など)および発生した損害の額などを公正かつ中立な立場で調査を行います。
   請求書類の内容だけでは事故に関する事実確認ができないものについては、
(a) 事故当事者に事故状況照会
(b) 病院照会
(c) 事故現場調査
   など必要な調査を行います。
④ 自賠責損害調査事務所は、損害保険会社等に調査結果を報告します。
⑤ 損害保険会社等は、支払額を決定し、請求者に支払います。

第2の2 被害者請求の必要書類

1 被害者請求の必要書類は以下のとおりです。
(1) 常に必要な書類
① 請求書類確認チェックリスト兼送付書
・ 東京海上日動及び三井住友海上の場合,この名称です。
・ あいおいニッセイ同和の場合,「必要書類チェックシート」という名称の文書です。
② 自賠責保険の支払請求書兼支払指図書(自賠法施行令3条1項1号ないし5号)
・ 所定の書式のコピーでも受理してもらえます。
・ 記載方法については,「第4 自賠責保険の支払請求書兼支払指図書等」を参照してください。
③ 代理人弁護士の印鑑証明書(所属弁護士会発行のもの)

④ 依頼者の委任状
・ 「自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償額(全額)の請求・受領に関する一切の権限」が委任事項となっている場合,自賠責保険指定の書式でなくても受理してもらえます。
・ 交通事故当時の住所と現在の住所が異なる場合,委任者の住所として,「住所」及び「交通事故当時の住所」の両方を書いておいた方がいいです。
⑤ 依頼者の印鑑登録証明書(市区町村発行のもの)
⑥ 交通事故証明書(自賠法施行令3条2項2号・同条1項3号)
・ 「交通事故証明書の入手方法等」を参照して下さい。
・ 通常は交通事故証明書のコピーで受理してもらえますが,交通事故証明書の原本,又は原本に相違ない旨の記載があるコピーが必要となることがあります。
⑦ 事故発生状況報告書自賠法施行令3条2項2号・同条1項3号)
・ 慈友行政書士事務所HP「事故発生状況報告書の書き方と記入例」が参考になります。
   また,現実の記入レベルとしては,「事故発生状況報告書の記入例」が参考になります。
   ただし,実況見分調書がある場合,実況見分調書を提出すればいいです(「交通事故事件の刑事記録」参照)。
⑧ 自賠責保険診断書自賠法施行令3条2項1号)
・ 自賠責保険所定の書式を使用する必要があります。
   ただし,国民健康保険等で通院した分については,医療機関ごとに,治療期間全体について1通の書面で作成してもらってもいいです。
⑨ 自賠責保険診療報酬明細書(自賠法施行令3条2項3号・同条1項6号参照)
・ レセプトとも呼ばれるものですが,通院先の医療機関の書式のものでも受理してもらえます。
   そのため,国民健康保険等で通院した分については,自賠責保険診療報酬明細書の代わりに,医療機関でもらった領収証及び明細書の原本を提出すればいいです。
・ 「交通事故の診療費算定基準」を参照して下さい。
⑩ 調剤報酬請求書(自賠法施行令3条2項3号・同条1項6号参照)
⑪ 調剤報酬明細書(自賠法施行令3条2項3号・同条1項6号参照)
・ ⑩及び⑪につき,調剤先の医療機関の書式のものでも受理してもらえます。
⑫ 柔道整復師用自賠責保険施術証明書・施術費明細書
→ 自賠責保険所定の書式を使用する必要があります。
⑬ レントゲン検査,CT検査,MRI検査等により撮影した画像の全部
→ 通常は,自賠責保険会社に対する被害者請求の受付が終了した後に送られてくる,損害保険料率算出機構の自動車損害調査事務所からの「自賠責保険の損害調査資料提出のご依頼」(画像等取付けのご依頼)に基づいて,画像を宅配便で送付すれば足ります。
   つまり,自賠責保険の被害者請求をする最初の段階で提出する必要はないということです。
(2) 状況に応じて必要な書類
① 通院交通費明細書
・ 自賠責保険に対して通院交通費を請求する場合に必要となります。
      ただし,加害者の過失が大きい場合,任意保険に請求した方が書類を作成する手間を省けます。
・ 必要事項が記載されている場合,適宜の書式で通院交通費明細書を作成しても受理してもらえます。
・ 勤務先の近くの医療機関に通院していた場合,勤務先と医療機関との間の交通費しか支払ってくれません。
② 休業損害証明書
・ 「休業損害」を参照してください。
・ 自賠責保険に対して休業損害を請求する場合に必要となります。
      ただし,加害者の過失が大きい場合,任意保険に請求した方が書類を作成する手間を省けます。
③ 賞与減額証明書
・ 損害保険会社からもらえる自賠責保険の請求書類セットには含まれていません。
・ 自賠責保険に対し,ボーナスの減少分も休業損害として請求する場合に必要となります。
・ 賞与減額証明書を作成する場合,賞与減額の根拠として,就業規則,賞与減額規則,労働組合との協定書といった添付書類が必要になります(外部HPの「賞与減額証明書」参照)。
④ 付添看護費自認書
・ 自賠責保険に対して付添看護費を請求する場合に必要となります。
⑤ 病院の窓口負担の領収証及び明細書
・ 国民健康保険等の公的医療保険で通院した場合に必要となります。
・ 保険医療機関は,患者に対し,個別の費用ごとに区分した領収証を無償で交付しなければなりませんし(保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)5条の2第1項),当該費用の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書も無償で交付しなければなりません(療担規則5条の2第2項及び第3項)。
⑥   人身事故証明書入手不能理由書
・ 「物件事故」扱いの交通事故証明書しかない場合,交通事故証明書と一緒に提出する必要があります。
・ 「物件事故」扱いの場合,警察の実況見分調書が存在しません。
・ 「人身事故の事実を確認するため,関係者の記名・押印をお願いします。」欄につき,被害者請求の場合,被害者の署名押印ではダメなのであって,加害者又は目撃者の署名押印が必要となります。
・   治療費等の一括払いをしていた任意保険会社の事前認定を利用する場合,「人身事故の事実を確認するため,関係者の記名・押印をお願いします。」欄については被害者又は代理人弁護士が署名押印すれば足りるのであって,加害者又は加害者代理人弁護士の署名押印については,任意保険会社が取得します。
   この場合,任意保険会社が加害者の署名押印を取得できないときは,(保険会社使用欄)の「その他・特記事項」欄に加害者の署名押印を取得できない理由を任意保険会社の方で記載すれば足ります。
・ 人身傷害補償保険の保険会社の事前認定を利用する場合,「人身事故の事実を確認するため,関係者の記名・押印をお願いします。」欄については被害者又は代理人弁護士が署名押印すれば足りるのであって,加害者又は加害者代理人弁護士の署名押印については,人身傷害補償保険の保険会社が取得します。
   この場合,人身傷害補償保険の保険会社が加害者の署名押印を取得できないときは,(保険会社使用欄)の「その他・特記事項」欄に加害者の署名押印を取得できない理由を人身傷害補償保険の保険会社の方で記載すれば足ります。
・ 交通事故直後に加害者側の任意保険会社が取り寄せた交通事故証明書が「物件事故」扱いになっていたとしても,その後に被害者が診断書を警察に提出した結果,「人身事故」扱いに切り替えられていることがあります。
   この場合,人身事故証明書入手不能理由書を提出する必要はありません。
⑦ 自賠責保険後遺障害診断書
・ 自賠責保険に対して後遺障害部分の被害者請求をする場合に必要となります。
   「後遺障害としてのむち打ち,腰椎捻挫,神経麻痺等」も参照して下さい。
⑧ 住民票
・ (a)家事従事者として休業損害を請求する場合,及び(b)交通事故当時の住所と現在の住所が異なる場合に必要となります。
・ 家事従事者(兼業の主婦及び主夫を含む。)として休業損害を請求する場合,続柄の省略のない,世帯全員が記載されている住民票が必要となります。
   この場合,住民票に記載されている家族構成により,他に家事を行う人がいないかどうかが確認されます。
・ 交通事故当時の住所と現在の住所が異なる場合,「前住所」として交通事故当時の住所が載ってある住民票が必要となります。
・ マイナンバーは必ず省略してください。

2(1) ⑥以下の提出書類については,甲号証の番号を付けておいたり,末尾に頁番号を振っておいたりした方が将来の損害賠償請求訴訟で使いまわしができて便利です。
(2) 原本を提出する必要がある書類については,原本の他,甲号証の番号を付けたコピーを提出した方が,将来の損害賠償請求訴訟で使いまわしができて便利です。
(3) 通院交通費及び休業損害を自賠責保険に対して請求しない場合,その旨を送り状等に記載しておいた方がいいです。

3(1) 依頼者である被害者が常に自分で準備する必要がある書類は以下のとおりです。事故状況報告書については通常,実況見分調書で代用できます。
① 委任状
② 印鑑登録証明書
(2) 依頼者である被害者が場合によっては自分で準備する必要がある書類は以下のとおりです。
① 事故状況報告書
・ 私の経験では,自賠責保険会社が富士火災の場合,実況見分調書で代用できません。
② 休業損害証明書
③ 賞与減額証明書
④ 付添看護費証明書
⑤ 病院の窓口負担の領収証及び明細書
⑥ 自賠責保険後遺障害診断書
⑦ 住民票

第2の3 自賠責保険各社の被害者請求の連絡先(請求先)

1 私の取扱い経験では,自賠責保険各社の被害者請求の連絡先(請求先)は以下のとおりです。
(1) 東京海上日動火災保険株式会社
〒540-8701
大阪市中央区城見2-2-53
大阪東京海上日動ビル21階
東京海上日動火災保険株式会社
大阪自動車損害サービス部損害サービス第三課自賠責コーナー
電話:06-6910-5263
→ 東京海上日動HPの「損害サービス拠点一覧 都道府県:大阪」によれば,数多くの担当部署の一つに過ぎません。

(2) 日新火災海上保険株式会社
〒330-9311
さいたま市浦和区上木崎2-7-5
日新火災海上保険株式会社
自賠責損害サービスセンター
電話:048-834-2577
→ 電話番号だけは日新火災海上HPの「店舗の一覧」に書いてあります。

(3) 三井住友海上火災保険株式会社
〒530-0005
大阪市北区中之島2-2-7
中之島セントラルタワー4階
三井住友海上火災保険株式会社
関西企業自動車損害サポート部第五保険金お支払センター(自賠責チーム)
→ 三井住友海上HPの「組織詳細」によれば,数多くの担当部署の一つに過ぎません。

(4) あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
〒530-8555
大阪市北区西天満4-15-10
あいおいニッセイ同和損保フェニックスタワー
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
大阪企業サービスセンター
電話:06-6363-3304
→ あいおいニッセイ同和損保HPの「店舗一覧」(大阪府)によれば,数多くの担当部署の一つに過ぎません。

(5) 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
〒541-0057
大阪市中央区久宝寺町3-6-1
本町南ガーデンシティ15階
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
大阪自動車保険金サービス部 自賠責保険金サービス課
電話:06-4704-2037
→ 損保ジャパン日本興亜HPの「保険金サービス拠点のご案内 大阪」に書いてあります。

2 加害者が加入している自動車保険のタイプ等によって,自賠責保険会社の担当部署の連絡先が変わると思いますから,一括払いをしている任意保険会社に問い合わせたり,自賠責保険会社の上記の連絡先に電話又は手紙で問い合わせたりするなどして,必ず正確な連絡先を確認して下さい。

第2の4 被害者請求の認定結果が出た場合の連絡方法

1 被害者請求の認定結果が出た場合の連絡方法は以下のとおりです。
① 損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所から,被害者請求の認定結果が出た旨の電話連絡が代理人弁護士のところにあります。
   その際,提出した画像(XP,CT,MRI等)の返却先を代理人弁護士と被害者本人のどちらにするかを確認されます。
② 提出した画像の返却先を代理人弁護士とした場合,自賠責損害調査事務所から代理人弁護士宛に,「画像・資料返却書」等の表題がある送り状と一緒に画像が返却されます。
③ ②から1週間後ぐらいに,自賠責保険会社から後遺障害の認定結果が書いてある書面が代理人弁護士に届きます。
   通常は2枚目の別紙に,「被害者:○○○○様の件」という表題で,<結論>及び<理由>が書いてあります。別紙の枚数は1枚か,多くても2枚です。
 
2 大阪の場合,大阪第一自賠責損害調査事務所が傷害部分を担当し,大阪第二自賠責損害調査事務所が後遺障害部分を担当しています。
   そして,画像は後遺障害の認定のために必要なものですから,大阪第二自賠責損害調査事務所から①の電話連絡があります。

第3 加害者請求

1 加害者請求の趣旨,及び加害者請求優先の原則
(1)   自賠法15条は,自動車損害賠償責任保険の被保険者は被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度においてのみ保険会社に対して保険金の支払を請求することができる旨定めています。
   その趣旨は,交通事故の加害者である被保険者が保険金を受け取りながらこれを被害者に対する損害賠償債務の履行に充てず,被害者が現実に損害賠償を受けることができない事態が生ずるのを未然に防止し,もって被害者の保護を図る点にあります(最高裁平成7年4月25日判決)。
(2) 被害者請求と加害者請求のタイミングが重なった場合,自賠責損害調査事務所は加害者請求に対する支払を優先します(子供から高齢者への交通事故防止マニュアルHP「加害者請求」参照)から,被害者請求に対する支払が通常よりも1ヶ月近く遅れることとなります。

2 示談成立は不可欠の条件ではないこと
   加害者請求の場合も被害者請求の場合も,加害者と被害者との間に示談が成立するなどして,法律上の損害賠償責任の額が確定していることは不可欠の条件とはされていません。
   ただし,自賠責保険会社は,損害保険料率算出機構に属する自賠責保険損害調査事務所が行う損害調査に基づき,支払基準に照らした自賠責保険金を支払ってくれるに過ぎませんから,加害者は,被害者に支払った賠償金の全額について当然に自賠責保険金の支払を受けられるわけではありません。
 
3 加害者請求権は「自己が支払をした限度」において発生すること
(1) 加害者(被保険者)は,被害者に対する損害賠償額について「自己が支払をした限度」においてのみ,自賠責保険会社に対して自賠責保険金の支払を請求できるのであって,損害賠償金の現実の支払がない限り,自賠責保険金の支払を受けることはできません。
   つまり,加害者請求権は,加害者(被保険者)の被害者に対する損害賠償金の支払を停止条件とする債権ということであり(最高裁昭和56年3月24日判決),問題となっている交通事故の損害賠償義務者であるというだけでは,加害者請求権は発生しないということです。
(2) 自賠法15条にいう「自己が支払をした」とは,自動車損害賠償責任保険の被保険者が自己の出捐によって損害賠償債務を全部又は一部消滅させたことを意味し,混同によって損害賠償債務が消滅した場合は,これに該当しません(最高裁平成元年4月20日判決)。
(3) 自賠法15条にいう「支払」とは,被保険者の出捐によって損害賠償債務の全部又は一部を消滅させ,これによって被害者に現実の満足を与えるものをいいます。
  そして,被害者の受領拒絶を理由に被保険者が損害賠償債務につき有効な弁済供託をした場合,右供託は,被保険者の出捐によって損害賠償債務を消滅させるものであり,かつ,被害者はいつでも供託金の還付を受けることが可能であって被害者に現実の満足を与えるものということができますから,同条にいう「支払」に当たります(最高裁平成7年4月25日判決)。
(4) 損害賠償金を支払った加害者が自賠責保険会社に対して訴訟提起した場合,「支払基準」に基づく過失相殺ではなく,実際の過失割合通りに過失相殺されますし,加害者と被害者が和解で決めた過失割合と異なる過失割合に基づいて過失相殺されることがります(最高裁平成24年10月11日判決参照)。

4 任意一括対応をしていた任意保険会社が加害者請求をするタイミング
   任意保険会社は,自賠責保険を担保に内払いをしていますところ,以下の4つのいずれかのタイミングで,自賠責保険に対する加害者請求をしているみたいです(子供から高齢者への交通事故防止マニュアルHP「加害者請求」参照)。
① 交通事故の発生から1年を経過した時点
② 内払い損害額が120万円を超えた時点
③ 示談が成立して損害賠償金を支払った時点
④ 被害者請求が行われて,任意一括が解除された時点

5 加害者請求があった場合において,損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所から届く手紙

   私の経験では,加害者がタクシー会社である場合,タクシー会社は,自社が直接医療機関に支払った治療費について,損害保険料率算出機構に対して加害者請求をしていますところ,この場合,被害者本人宛に以下の文面の手紙が届きます。

賠償金受領についてのご照会

拝啓
   このたび,平成○○年○月○日発生の自動車事故により被害者 ○○○○ 様が受けた人身損害について,○○○○ 様から,自賠責保険に対し請求があり,現在,当自賠責損害調査事務所において損害調査を行っております。
   つきましては,貴方様が ○○○○ 様から賠償金を受領されたかどうか,お尋ねいたしますので,誠にお手数ですが,別紙の照会事項につきまして,ご回答くださいますようよろしくお願い申し上げます。
   今回のご照会は,自賠責保険金の適正な支払を目的としておりますので,お忙しいところ恐縮ですが,ご協力の程,何卒よろしくお願い申し上げます。また,本回答書につきましては,当自賠責損害調査事務所における調査が終わりましたら,保険会社に送付されることになりますので,ご了承ください。
   なお,本状の発信日から10日を経過するも,ご回答をいただけない場合につきましては,貴方様が別紙回答書の賠償金を○○○○様から受領されたものとみなして,保険会社において,支払手続きをすすめさせていただくことがございますので,あらかじめご承知おきください。
(注)「自賠責保険」は,「自賠責共済」を含み,「保険会社」には「協同組合」を含みます。
敬具
(別紙の本文)
1.○○○○様とは人身損害に関する示談(自動車などの物的損害についてはご回答いただかなくて結構です。)が成立していますか。
ア.成立している。
イ.成立していない。
2.○○○○様が支払った額,支払先はつぎのとおりですか。
ア.はい。
イ.いいえ。
〔賠償金等〕
・ 貴方様に対し   0円
(内訳)

・ 医療機関(病院等)に対し直接○○○○○○円
(医療機関の名称  ○○病院・○○診療所・○○薬局)
・ その他      に対して  0円

3.前期2.のお答えが「いいえ」のときは,その内容をお書きください。

第4 自賠責保険の支払請求書兼支払指図書等

1 以下の書類を掲載しています。
① 東京海上日動火災保険株式会社
・ 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
・ 請求書類確認チェックリスト兼送付書
② 三井住友海上火災保険株式会社
・ 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
・ 請求書類確認チェックリスト兼送付書
③ あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
・ 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
・ 必要書類チェックシート
④ 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
・ 自賠責保険支払請求書兼支払指図書
⑤ 富士火災海上保険株式会社
・ 自賠責保険支払請求書兼支払指図書

2 記載方法に関するメモ書きは以下のとおりです。
① 弁護士が代理人として被害者請求をする場合,「②損害賠償額(被害者請求)」となり,「ご請求者」欄は,代理人弁護士の事務所住所等を記載し(「昼間のご連絡先(勤務先等)」が所属事務所の名前及び電話番号となります。),「被害者との関係」は「受任者」となります。
② 加害者関係の記載としては,事故年月日,自賠責保険証明書番号,並びに加害運転者の氏名,フリガナ及び電話番号だけを記載すれば受理してもらえます。
   つまり,保険契約者の氏名等,加害運転者と保有者との関係等,保有者(所有者・使用者)の氏名等は通常,被害者の側で把握できる情報ではありませんから,空欄にしておいていいです。
③ 「請求額」欄は空欄でいいです。
④ 被害者関係は一通り記載します。
⑤ 「支払指図(お支払先)」欄につき,銀行番号及び店番号は金融機関コード・銀行コード検索で調べられます。ただし,店番号は通常,預貯金通帳の表紙に書いてあります。
東京海上日動の自賠責保険支払請求書兼支払指図書
三井住友海上の自賠責保険支払請求書兼支払指図書
あいおいニッセイ同和の自賠責保険支払請求書兼支払指図書
損保ジャパン日本興亜の自賠責保険支払請求書兼支払指図書

第5 自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について(平成14年3月11日付

自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について(平成14年3月11日付の国土交通省自動車交通局保障課長の通知)は,以下のとおりです。

自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について

   平成一三年六月に政府再保険の廃止及び被害者保護の充実を内容とする自動車損害賠償保障法(昭和三〇年法律第九七号。以下「法」という。)が改正され、また同年一二月に関係政省令が制定・改正され、それぞれ平成一四年四月一日から実施されることになったが、これらの改正等に伴う事務の実施については、次の実施細目のとおり取り扱うこととし、平成一四年四月一日から実施することとしたので、傘下会員、傘下組合等に周知願います。

   なお、新法の経過措置規定により従前のとおり取り扱うこととしているものがあることを念のため申し添えます。

実施細目

1 政府再保険の廃止等
(1) 政府再保険の廃止
   政府による再保険は、契約の始期が平成一四年四月一日以降のものから廃止する。従って、契約の始期が同日以降のものについては従前の手続きは必要としない。
(2) 追加保険料の廃止
   追加保険料(追加共済掛金)の支払義務は、契約の始期にかかわらず、平成一四年四月一日以降に死亡した事案から廃止する。

2 支払基準(法第一六条の三関係)
   法第一六条の三第一項の規定による支払基準として、別添のとおり「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」(平成一三年金融庁・国土交通省告示第一号。以下「支払基準」という。)を定めたので、平成一四年四月一日以降に発生した事故からこれに従つて支払うものとし、現行の自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準は廃止する。ただし、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例による。

3 情報提供
   書面の交付及び書面等による説明については、次のとおり行うものとし、平成一四年四月一日から実施するものとする。
   なお、処理中の事案については、保険金(共済金)等の請求が平成一四年四月一日以降の場合は法第一六条の四及び法第一六条の五の規定を適用し、保険金等の請求は同年三月三一日以前であるが支払を行った日又は支払わないことを請求者に通知した日は同年四月一日以降の場合は法第一六条の四第二項又は第三項及び第四項並びに法第一六条の五の規定を適用することとする。
   また、次の(一)から(四)までについては、被害者に対する情報提供を念頭においているが、被保険者(被共済者)に対する情報提供については、被害者のプライバシーに配慮しつつ必要な事項を行うものとする。
(1) 保険金(共済金)等の支払請求があった時(法第一六条の四第一項及び自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払の適正化のための措置に関する命令(平成一三年内閣府・国土交通省令第二号。以下「支払適正化措置省令」という。)第二条関係)
1) 非一括払の場合
   支払基準の概要、保険金(共済金)等の支払の手続の概要及び指定紛争処理機関の概要を記載した書面を交付すること。
2) 一括払の場合
   被害者と初期に接触した時点で次の事項を記載した書面を交付すること。
(i) 一括払制度の概要
(ii) 被害者は自賠責保険(共済)に直接請求できること
(iii) 一括払額は自賠責保険(共済)支払限度額内では自賠責保険(共済)の支払基準による積算額を下回らないこと
(iv) 自賠責保険(共済)支払基準の概要
(v) 指定紛争処理機関等紛争処理の仕組みの概要
(vi) 自賠責保険(共済)の請求から支払までの手続の概要等

(2) 保険金(共済金)等の支払いを行った時(第一六条の四第二項及び支払適正化措置省令第三条関係)
1) 非一括払の場合
   事故の年月日、死亡、後遺障害、死亡に至るまでの傷害及び傷害ごとの支払金額を記載した書面を交付すること。
   後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。また、以下に掲げる事案については当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案
2) 一括払の場合
   示談額提示の時点において、自賠責保険(共済)支払限度額内の事案については、示談提示額は自賠責保険(共済)支払基準に従って積算した額より低い額ではないこと及び自賠責保険(共済)支払基準の概要を(1)で交付した書面等を活用して説明すること。
   認定結果の連絡時等において、後遺障害の等級及び当該判断理由、減額を行った場合の減額割合及び当該判断理由並びにこれらに対する異議申立ての手続を記載した書面を交付すること。
   また、以下に掲げる事案については、当該判断の理由を具体的に記載すること。
(i) 後遺障害のうち併合、加重及び相当の事案、外貌醜状の事案、並びに九級以上の神経系統の機能又は精神の障害及び胸腹部臓器の機能障害の事案
(ii) 重大な過失により減額を行った事案のうち、死亡事案及び傷害の程度等により被害者から事故状況の説明を受けることができなかった傷害事案
(iii) (ii)以外の重大な過失により減額を行った傷害事案のうち、異議申立により詳細に審査を行った事案
(iv) 受傷と死亡又は後遺障害との間の因果関係の有無の判断が困難なため、減額を行った事案

(3) 保険金(共済金)等を支払わないこととした時(法第一六条の四第三項及び支払適正化措置省令第四条関係)
1) 非一括払の場合
   事故状況の概要、被保険者(被共済者)に損害賠償の責任がない場合(無責事案、他人性がない事案、自損事故事案及び請求時効が完成している事案)の判断理由、事故により損害が発生していない場合(運行起因性のない事案、因果関係がない事案及び後遺障害非該当の事案)の判断理由及び保険会社(組合)がてん補の責を免れる場合(保険契約者(共済契約者)又は被保険者(被共済者)が悪意の事案)の判断理由を具体的に説明した書面を交付すること。
   また、当該書面には、これらに対する異議申立ての手続を記載すること。
2) 一括払の場合
   一括社が自賠社と連携して非一括払の場合と同様に行うこと。

(4) (2)又は(3)による交付又は説明等を行った後詳細な説明を求められた時(法第一六条の五第一項及び支払適正化措置省令第七条関係)
1) 非一括払の場合
(i) 損害の細目及びその積算根拠については、詳細を記載した書面を交付すること。この場合、法第一五条の規定に基づく被保険者(被共済者)からの請求又は法第一六条の規定に基づく被害者からの請求が競合している事案については、それぞれの請求者に支払われた額の詳細について記載する必要はなく、説明を求めた者に支払われたものについてその詳細を記載することとし、他の者に支払われたものについては、その額のみを記載すること。ただし、自賠責保険(共済)支払限度額を超える事案については、当該限度額を超えている旨の記載をもって足りることとする。
(ii) 後遺障害等級の判断理由の詳細については、「後遺障害等級認定票」、「後遺障害事案整理票」、「面接調査票」等を交付すること。
(iii) 減額を行った場合の減額割合の判断理由の詳細及び損害賠償責任が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「事故発生状況図」、減額適用上の過失割合、減額理由等を説明した書面を交付すること。
(iv) 事故により損害が発生していないと判断した場合の判断理由の詳細については、「因果関係事案整理票」等を交付すること。
(v) 保険会社等がてん補の責を免れる場合の判断理由の詳細については、事案に応じて具体的に説明した書面を交付すること。
   なお、(i)から(v)に掲げる書面を既に交付している場合は、その旨を説明することとする。
2) 一括払の場合
   自賠社において非一括払の場合と同様に行うこと。ただし、一括社が対応する場合は自賠社と連携して行うこと。

(5) (1)から(4)までに記載された事項以外についても、プライバシーの保護に配慮しつつ、できる限り情報提供するものとする。

4 保険金額(共済金額)(法施行令第二条、法施行令別表関係)
   神経系統若しくは精神又は胸腹部臓器に著しい障害を残し介護を要する後遺障害の保険金額(共済金額)が、常時介護については四、〇〇〇万円に、随時介護については三、〇〇〇万円に引き上げられたが、複数の後遺障害を有する場合、自動車損害賠償法施行令(昭和三〇年政令第二八六号)別表第一内における併合及び同令別表第一と別表第二を通じての併合は行わないので注意すること。また、同令別表第一及び別表第二の障害が両方ある場合は支払基準の適用上被害者に有利なものを認定すること。

5 保険金(共済金)の支払に関する紛争処理制度(法第二三条の五~法第二三条の二一、支払適正化措置省令第一一条~第二六条関係)
   保険金(共済金)等の支払いについて紛争が生じた場合の紛争処理機関として「財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構」が設置され、公正中立で専門的な知見を有する弁護士、医師等で構成する紛争処理委員が調停を行うこととなった。
   この機関は、法第二三条の五の規定に基づき国土交通大臣及び内閣総理大臣の指定を受けて自賠責保険(共済)に係る保険金(共済金)の支払いに関する紛争処理(調停)を行うもので、東京と大阪において平成一四年四月から業務を行うこととしている。

6 届出事案(法第一六条の六、法施行規則第三条~第三条の二関係)
   法第一六条の六に定める届出については、死亡事案若しくは後遺障害事案のうち後遺障害等級第一級から第三級までに該当するもの若しくは併合、加重若しくは相当に該当するものについて保険金(共済金)等の支払いを行ったとき又は請求があったにもかかわらず3(3)により保険金(共済金)等を支払わないこととした理由を記載した書面を交付したときに行うものとし、平成一四年四月一日から適用するものとする。
なお、政府との間で再保険契約が成立しているものについては、従来通りの取り扱いをするものとし、届出は必要としない。

7 報告及び立入検査(第二三条の二関係)
   別途通知する。

8 通達の廃止
   次に掲げる通達は廃止する。ただし、1)及び2)について、平成一四年三月三一日以前に発生した事故については、なお従前の例によるものとし、3)、4)及び5)について、契約の始期が平成一四年三月三一日以前の契約については、なお従前の例によるものとする。
1) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準について」(昭和五〇年一月二二日付け自保第二五八号、最終改正平成一一年一二月二四日付け自保第二五六号)
2) 「自動車損害賠償責任保険(共済)支払基準における被害者に重大な過失がある場合の損害額等の減額の取扱いについて」(平成一〇年二月二〇日付け自保第三一号)
3) 「自動車損害賠償責任保険契約通知書の早期提出について」(昭和四二年五月一五日付け自再第二一五号)
4) 「自動車損害賠償責任再保険事業における再保険(保険)金請求添付書類について」(昭和五〇年三月三一日付け自再第七二号)
5) 「自動車損害賠償保障法施行規則の一部改正について」(平成五年七月二九日付け自保第二〇三号)
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。