被害者等通知制度実施要領

第0 被害者等通知制度

1(1) 「被害者等通知制度実施要領について」(平成11年2月9日付の法務省刑事局長依命通達)及び「被害者等通知制度実施要領の運用について」(平成11年2月9日付の法務省刑事局長通知)を掲載しています。
(2) 被害者等通知制度実施要領の本体については,法務省HPの「被害者等通知制度実施要領」に掲載されていますものの,その運用に関する通知は法務省HPに掲載されていません。
(3) 被害者等通知制度は当然,交通事故被害者にも適用されます。
(4) 被害者等通知制度は,平成11年4月1日から実施されています(法務省HPの「検察における被害者保護への取組みについて」参照)。
 
2 以下の記載は刑事局長の依命通達及び通知を丸写ししたものです。

3 交通事故被害者の代理人弁護士が大阪地検本庁に対して加害者の刑事処分を問い合わせる場合,検番等を記載した手紙で大阪地検「交通部」に問い合わせることとなります。
   その際の添付書類は,刑事記録の問い合わせをする場合と同様,交通事故証明書及び民事事件の委任状のコピー並びに82円切手を貼付した返信用封筒となります。

4 検察庁の犯罪被害者向けの施策については,法務省HPの「犯罪被害者の方々へ」を参照してください。

第1 被害者等通知制度実施要領

「被害者等通知制度実施要領について」(平成11年2月9日付の法務省刑事局長依命通達)によれば,以下のとおりです。

第1 目的
この要領は,被害者その他の刑事事件関係者に対し,事件の処理結果,公判期日, 刑事裁判の結果等を通知することにより,被害者を始めとする国民の理解を得るとともに,刑事司法の適正かつ円滑な運営に資することを目的とする。
 
第2 通知の対象者
   通知の対象者は,次の者とする。
(1) 被害者,その親族若しくはこれに準ずる者(以下「被害者等」という。)又は弁護士であるその代理人
(2)  目撃者その他の参考人等(以下「目撃者等」という。)
 
第3 通知の内容
   通知の内容は,次のとおりとする。
(1) 事件の処理結果については,公判請求,略式命令請求,不起訴,中止,移送(同一地方検察庁管内の検察庁間において,専ら公判請求又は略式命令請求のために行う移送を除く。),家庭裁判所送致の別及び処理年月日
(2) 公判期日については,係属裁判所及び公判日時
(3) 刑事裁判の結果については,主文(付加刑,未決勾留日数の算入,換刑処分及び訴訟費用の負担を除く。),裁判年月日,裁判の確定及び上訴
(4) 公訴事実の要旨,不起訴裁定の主文,不起訴裁定の理由の骨子,勾留及び保釈等の身柄の状況並びに公判経過等(1)から(3)までの事項に準ずる事項
(5)  有罪裁判確定後の加害者に関する事項
ア 懲役又は禁錮の刑の執行終了予定時期,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項,並びに仮釈放又は刑の執行終了による釈放に関する事項及びこれに準ずる事項
イ 懲役又は禁錮の刑の執行猶予の言渡しの取消しに関する事項
ウ 拘留の刑の仮出場又は刑の執行終了による釈放に関する事項及びこれに準ずる事項
(6) (5)に準ずる事項
 
第4 被害者等又は弁護士であるその代理人に対する通知の実施
1 検察官又は検察事務官(以下「検察官等」という。)が被害者等の取調べ等を実施したときは,被害者等に通知の希望の有無を確認し,希望する者に対し,第3,(1)から(3)までの事項を通知する。
2 被害者が死亡した事件又はこれに準ずる重大事件にあっては,検察官等が被害者等の取調べ等を実施しないときでも,被害者等に通知の希望の有無を確認し,希望する者に対し,第3,(1)から(3)までの事項を通知する。ただし,通知の希望の有無の確認が困難なときは,確認することを要しない。
3 被害者等又は弁護士であるその代理人から照会があったときは,これらの者に対し,第3,(1)から(3)までの事項を通知する。
4 被害者等又は代理人であるその弁護士が特に第3,(4)又は(6)の事項について通知を希望するときは,これらの者に対し,その事項を通知することができる。
5 第3,(5)の事項の通知については,平成19年11月22日付け法務省刑総第1576号刑事局長,矯正局長,保護局長依命通達「被害者等に対する加害者の処遇状況等に関する通知について」(以下「平成19年第1576号通達」という。)による。
6 第1に定める目的に沿わないときその他通知することが相当でないときは通知希望の有無の確認及び通知は行わない。
 
第5 目撃者等に対する通知の実施
1 検察官等が目撃者等の取調べ等を実施した場合において,第1に定める目的等にかんがみ相当であるときは,目撃者等に通知の希望の有無を確認し,希望する者に対し,第3,(1)から(3)までの事項を通知する。
2 目撃者等から照会があった場合において,第1に定める目的等にかんがみ相当であるときは,これらの者に対し第3,(1)から(3)までの事項を通知する。
3 目撃者等が特に第3,(4)又は第3,(5),ア(ただし,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項を除く。以下同じ。)の事項について通知を希望する場合において,第1に定める目的等にかんがみ相当であるときは,これらの者に対し,その事項を通知することができる。ただし,不起訴裁定の理由の骨子については,この限りではない。
   第3,(5),アの通知については,平成19年第1576号通達による。
 
第6 通知の方法
   通知は,口頭又は文書その他適宜の方法により行う。
 
第7 通知を要しない場合
   通知することが困難なときは,通知することを要しない。
 
第8 引継
1 事件を移送したときは,本制度の実施に関する事項を移送先の検察庁に引き継ぐ。
2 事件が上訴されたときは,本制度の実施に関する事項を上訴審に対応する検察庁に引き継ぐ。
 
第9 事務細則
   検察庁の長(区検察庁にあっては,その庁の対応する裁判所の所在地を管轄する地方検察庁の検事正)は,この要領の実施に必要な事項に関し,事務細則を定める。

第2 被害者等通知制度実施要領の運用について

「被害者等通知制度実施要領の運用について」(平成11年2月9日付の法務省刑事局長通知)によれば,以下のとおりです。
 
第1 通知対象事件
   通知の対象となる事件は,受理したすべての事件である。

第2 通知の対象者(要領第2)

1 被害者等
   「これに準ずる者」とは,被害者の親族に準ずる者をいい,被害者と内縁関係にある者及び被害者の婚約者等がこれに当たるが,その範囲は,被害者との関係等を考慮して,検察官において決める。 
2 目撃者等
   「目撃者その他の参考人等」とは,目撃者を始めとする参考人及び犯人の検挙に協力した者 等をいう。

第3 通知の内容(要領第3)

1 事件の特定
   事件は,原則として,罪名及び被害者又は被告人の氏名により特定する。
2 事件の処理結果
(1) 「公判請求」については,公判請求した旨,その裁判所名及び年月日を通知する。
(2) 「略式命令請求」については,略式命令請求した旨,その裁判所名及び年月日を通知する。
   なお,刑事裁判の結果である略式命令の通知をも希望する者に対しては略式命令請求の通知をする時点で既に略式命令が発せられている場合には併せてその主文等を通知する。
(3)  「不起訴」については,不起訴処分にした旨及びその年月日を通知する。
(4) 「中止」については,中止処分にした旨及びその年月日を通知する。
   なお,中止処分に付した事件を再起して処したい場合は,その処理結果等を別途通知する。
(5) 「移送」については,他庁に移送した旨,その庁名及び年月日を通知する。
(6)  「家庭裁判所送致」については,家庭裁判所に送致した旨,その裁判所名及び年月日を通知する。
   なお,少年法第19条又は第20条による逆送決定を受けて処理した場合は,その処理結果等を別途通知する。
3 公判期日
   「係属裁判所」とは,審理を担当する裁判部又は裁判官を言う。
   「公判日時」は,直近に予定されている期日を通知するものとし,その後の期日は,後日改めて照会があった場合に通知する。
   なお,公判期日の通知に当たっては,この点を通知の相手方に知らせておくことが望ましい。
4 刑事裁判の結果
   「刑事裁判の結果」には,略式命令を含む。
   略式命令がなされた後に被告人が正式裁判の申立てをした場合には,その旨及びその年月日を通知する。
   なお,家庭裁判所の処分について照会を受けたときは,家庭裁判所に直接問い合わせるよう助言するなど適切に対応する。
5 要領第3,(1)から(3)までの事項に準ずる事項
   「(1)から(3)までの事項に準ずる事項」とは,要領に掲げるもののほか,被害者又は被告人の住居,その弁護人の氏名等をいう。
6 有罪裁判確定後の加害者に関する事項
    平成19年11月22日付け法務省刑総第1576号刑事局長,矯正局長,保護局長依命通達「被害者等に対する加害者の処遇状況等に関する通知について」(以下「平成19年第1576号通達」という。)により通知することとされており,確定裁判の内容に応じて,その裁判の確定を通知する際等に通知希望の有無を確認することとされている。
   要領第3,(5),ア及びウ記載の「準ずる事項」とは,平成19年第1576号通達別表第1の「通知事項」欄の「甲」欄の3,(4)及び「乙」欄の2,(3)並びに別表第3の「通知事項」欄の(3)に掲げる事項をいう。
7 要領第3,(5)に準ずる事項
   「要領第3,(5)に準ずる事項」とは,平成19年第1576号通達に定められた通知事項以外の有罪裁判確定後の加害者に関する事項であり,具体的には,罰金及び科料(以下「罰金等」という。)の納付の有無,労役場留置の執行をした場合における執行終了の日等をいう。
 
第4 通知を行う者
   通知を行う者は,検察庁の長が要領第9の事務細則において定める。
 
第5 被害者等又は弁護士であるその代理人に対する通知の実施(要領第4)
1 通知希望の確認による通知(要領第4,1及び2)
   同一の被害者について,要領第2,(1)に掲げる者複数名が通知を希望するときは,原則として,そのうちの1名に通知をすれば足りる。
   通知希望の有無を確認したが,被害者等がその意思の表明を留保した場合には,被害者等に対し,通知を行う者の電話番号等連絡先を伝え,後日,被害者等から要領第4,3の照会があった場合に通知すれば足りる。
   被害者等に通知希望の有無を確認するときは,事件の処理結果の通知を希望するにとどまるのか,公判期日や裁判の結果の通知をも希望するのかを確認するものとするが,要領第3,(4)及び(6)に規定する事項については,原則として,通知希望の有無を確認する必要はない。
   なお,通知希望の有無の確認に当たっては,事件の処理の見通しについて誤解を与えることのないよう留意を要する。
   「通知の希望の有無の確認が困難なとき」とは,通知対象者の住居が判明しなかった場合,電話等で連絡ができなかった場合等をいう。
2 照会による通知(要領第4.3)
   紹介による通知は,当初通知を希望しなかったがその後照会をした者に対しても行う。
3 要領第3,(4)又は(6)の事項の通知(要領第4,4)
    要領第3,(4)又は(6)の事項については,被害者等が特に通知を希望した場合には通知することができるものであり,通知を行うか否かの判断や通知する事項の決定は,検察官の広範な裁量にゆだねられている。通知に当たっては,以下の点に留意されたい。
(1) 不起訴裁定の理由の骨子を通知するに当たっては,刑事訴訟法第47条の趣旨を踏まえ,証拠の具体的な引用を避けるなど,関係者の名誉その他の利益を不当に害したり,関連事件の捜査又は公判の運営に支障を生じること等のないよう慎重な配慮を要する。
(2) 罰金等の納付の有無については,照会があった場合に,特段の申出書等を要せず,完納の有無及び完納の日を回答する。
(3) 労役場留置の執行については,罰金等の刑の執行の一形態であることにかんがみ,前記(2)と同様の扱いとし,労役場留置を執行中の場合はその旨を,執行が終了した場合はその旨及びその年月日を回答する。
4 通知希望の確認及び通知を行わない場合(要領第4,6)
   「第1に定める目的に沿わないときその他通知することが相当でないとき」とは,①関係者の名誉その他の利益を不当に害するおそれがある場合,②関連事件の捜査又は公判の運営に支障を生ずるおそれがある場合,③将来における刑事事件の捜査又は公判の運営に悪影響を及ぼすおそれがある場合,④犯人の改善及び更生を不当に妨げるおそれがある場合,⑤新たな紛争又は事件を誘発するおそれがある場合等をいい,相当でないことの判断や通知する事項の決定は検察官が行う。
   なお,被害者が少年である場合においては,少年の健全な育成を期する観点から,その氏名等の通知については特に慎重な配慮を要する。
第6 目撃者等に対する通知の実施(要領第5)
1 通知希望の確認及び通知を行う場合
   目撃者等に対する通知は,被害者等に対するものと異なり,要領第1に定める目的等にかんがみ相当であるときに限って行う。
   「第1に定める目的等にかんがみ相当であるとき」とは,捜査又は公判に積極的に協力した目撃者等が事件の処理結果等に強い関心を有している場合,公判において目撃者等の協力を得る必要性が大きい場合,被疑者・被告人からの法服をおそれている目撃者等が通知を希望する場合等で,かつ,第5,4記載の弊害がないときをいい,相当であることの判断や通知する事項の決定は検察官が行う。
2 通知希望の確認による通知(要領第5,1) 
   目撃者等に通知希望の有無を確認するときは,事件の処理結果の通知を希望するにとどまるのか,公判期日や刑事裁判の結果の通知をも希望するのかを確認するものとするが,要領第3,(4)及び第3,(5),ア(ただし,受刑中の刑事施設における処遇状況に関する事項を除く。以下同じ。)に規定する事項については,原則として,通知希望の有無を確認する必要はない。
3 照会による通知(要領第5,2)
   照会による通知は,当初通知を希望しなかったがその後照会をした者に対しても行う。
4 要領第3,(4)及び第3,(5),アの事項の通知(要領第5,3)
   要領第3,(4)及び第3,(5),アの事項については,目撃者等が特に通知を希望した場合には通知することができるとするものであり,通知を行うか否かの判断や通知する事項の決定は,検察官の広範な裁量に委ねられている。
   なお,目撃者等に対しては,不起訴裁定の理由の骨子の通知を行わない。
 
第7 通知の方法(要領第6)
1 「口頭」には電話を含み,「文書」にはファクシミリを含む。このほか電子メール等の適宜菜方法によっても通知をなし得る。
   なお,相手方の特定に注意を要する。
2 文書により通知をする場合における様式の参考例は,次のとおりである。
(1) 公判請求    様式例第1号
(2) 略式命令請求  様式例第2号
(3) 不起訴     様式例第3号
(4) 中止      様式例第4号
(5) 移送      様式例第5号
(6) 家庭裁判所送致 様式例第6号
(7) 公判期日    様式例第7号
(8) 刑事裁判の結果 様式例第8号
 
第8 通知を要しない場合(要領第7)
   「通知をすることが困難なとき」とは,通知対象者の住居が判明しなかった場合,電話等で連絡ができなかった場合等をいう。
    なお,本制度による通知と,告訴人に対する刑事訴訟法第260条による処分結果の通知及び同法第261条による不起訴理由の告知とは,通知の内容に重複する部分があるため,その範囲内で,同法第260条又は第261条による通知又は告知をもって,本制度の通知に代えることができる。
 
第9 引継ぎ(要領第8)
   「本制度の実施に関する事項」とは,被害者等及び目撃者等の通知の希望の有無,通知を希望する事項並びに通知することの相当性に関する検察官の判断等をいう。
 
第10 事務細則(要領第9)
   検察庁の長(区検察庁にあっては,その庁の対応する裁判所の所在地を管轄する地方検察庁の検事正)は,通知を行う者のほか,担当検察官の交代・異動及び上訴等の場合における引継ぎ並びに通知結果の報告等この要領の実施に必要な事項に関し,事務細則を定める。
 
第11 本制度施行前に処理した事件
   本制度施行前に処理した事件について,被害者等,弁護士であるその代理人及び目撃者等から照会があった場合並びに検察官が被害者等及び目撃者等に対し通知希望の有無を確認する必要があると認めた場合には,本要領を適用する。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。