医師に関する法規制等

第0 目次

第1 総論
第2 医師の守秘義務
第3 医療安全支援センター
第4 日本の医療制度の概要等
第5 医師の診療の具体的方針
第6 歯科医師の診療の具体的方針
第7 健康保険法等に基づく指導・監査

*1 「交通事故の診療費算定基準」も参照して下さい。
*2 診療記録等(例えば,カルテ)の取り寄せについては,「文書送付嘱託」を参照して下さい。
*3 保険診療に関しては,厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険診療の理解のために【以下】(平成30年度)」が非常に参考になります。
*4 診療記録等の記載方法については,東京都衛生局病院事業部が発行している,「都立病院における診療録等記載マニュアル(平成13年2月)」が非常に参考になります。
*5 厚生労働省HPに「医療法における病院等の広告規制について」が載っています。
*6 医師法17条の「医業」の意義については,「医行為概念の再検討」(東京大学法科大学院ローレビュー2013年9月号)が参考になります。
*7 日本整形外科学会HP「整形外科/運動器 症状・病気をしらべる」が載っています。
*8 政府広報オンラインの「暮らしに役立つ情報」「医療機関ウェブサイトの「大げさ」な表現にご注意を。」(平成30年8月17日付)が載っています。

第1 総論

1 規制法令等
(1) 医師に対する規制法令としては,医師法医療法医薬品医療機器等法(かつての薬事法)があります。
   また,保険診療の場合,保険医療機関及び保険医療養担当規則に基づく規制があります。
(2)
医療法1条の2は,「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、及び医療を受ける者の心身の状況に応じて行われるとともに、その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。」と定めています。

2 医師法17条(医師以外の医業の禁止)等
(1) 医業とは,反覆継続の意思をもって医行為をすることをいいます(最高裁昭和28年11月20日決定)。
(2)   医師でなければ,医業をすることができません(医師法17条)し,歯科医師でなければ,歯科医師業をすることができません(歯科医師法17条)。
(3) 印象採得(いんしょうさいとく),咬合採得(こうごうさいとく),試適(してき),嵌入(かんにゅう)が歯科医業に属することは歯科医師法17条及び歯科技工士法20条の規定に照らし明らかでありますところ,当該施術は総義歯の作り換えに伴う場合であっても,同じく歯科医業の範囲に属します(最高裁大法廷昭和34年7月8日判決)。
    なぜなら,施術者は右の場合であっても,患者の口腔を診察した上,施術の適否を判断し,患部に即応する適正な処置を施すことを必要とするものであり,その施術の如何によっては,当該法条にいわゆる患者の保健衛生上危害を生ずるおそれがないわけではないからです。
(4) 歯科技工とは,特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物,充てん物又は矯正装置を作成し,修理し,又は加工することをいいます(歯科技工士法2条1項)。
(5) 歯科医師法17条,29条1項1号が,明らかに患者に対し保護衛生上危害を生ずるおそれのある行為のみに適用されるとの限定解釈を施さなくても,憲法31条,22条1項に違反しません(最高裁昭和59年6月19日判決)。
(6) コンタクトレンズの処方のために行われる検眼及びテスト用コンタクトレンズの着脱の各行為は,いずれも医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為に当たります(最高裁平成9年9月30日判決)。 

3 医師法19条(応召義務等)等
(1) 診療に従事する医師は,診察治療の求めがあった場合,正当な事由がなければ,これを拒んではなりません(医師法19条1項)。

    同様に,診療に従事する歯科医師は,診察治療の求めがあった場合,正当な事由がなければ,これを拒んではなりません(歯科医師法19条1項)。
(2) 診察若しくは検案をし,又は出産に立ち会った医師は,診断書若しくは検案書又は出生証明書若しくは死産証書の交付の求めがあった場合,正当の事由がなければ,これを拒んではなりません(医師法19条2項)。
   同様に,診療をなした歯科医師は,診断書の交付の求めがあった場合,正当な事由がなければ,これを拒んではなりません(歯科医師法19条2項)。

4 医師法20条(無診察治療等の禁止)等
(1) 医師は,自ら診察しないで治療をし,若しくは診断書若しくは処方せんを交付し,自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し,又は自ら検案をしないで検案書を交付してはなりません(医師法20条本文)。

   ただし,診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については,この限りでありません(医師法20条ただし書)。
   同様に,歯科医師は,自ら診察しないで治療をし,又は診断書若しくは処方せんを交付してはなりません(歯科医師法20条)。
(2) 人の健康上の状態に関する判断を包含する医師の証明書は医師法20条の「診断書」に当たります(最高裁昭和30年12月2日決定,及び最高裁昭和31年4月10日判決参照)。

5 医師法21条(所轄警察署への届出義務)等
(1) 医師は,死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければなりません(医師法21条)。

(2) 医師法21条にいう死体の「検案」とは,医師が死因等を判定するために死体の外表を検査することをいい,当該死体が自己の診療していた患者のものであるか否かを問いません(最高裁平成16年4月13日判決)。
(3) 死体を検案して異状を認めた医師は,自己がその死因等につき診療行為における業務上過失致死等の罪責を問われるおそれがある場合にも,本件届出義務を負うとすることは,憲法38条1項に違反しません(最高裁平成16年4月13日判決)。

6 医師法22条(処方箋の交付義務)等
(1) 医師は,原則として,患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合,患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければなりません(医師法22条)。

   同様に,歯科医師は,原則として,患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合,患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければなりません(歯科医師法21条)。
(2) 医師は,患者に対して,「特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等」を行ったり,「指示等を行うことの対償として,保険薬局から金品その他の財産上の利益」を受けたりするしてはなりません(保険医療機関及び保険医療養担当規則2条の5)。

7 医師法23条(必要な事項の指導)等
(1) 医師は,診療をしたときは,本人又はその保護者に対し,療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければなりません(医師法23条)。

(2)   同様に,歯科医師は,診療をしたときは,本人又はその保護者に対し,療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければなりません(歯科医師法22条)。

8 医師法24条(診療録の記載及び保存)等
(1) 医師は,診療をしたときは,遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければなりません(医師法24条1項)。

   同様に,歯科医師は,診療をしたときは,遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければなりません(歯科医師法23条1項)。
(2)ア 医師の診療に関する診療録は5年間保存する必要があります(医師法24条2項)。
   同様に,歯科医師の診療に関する診療録は5年間保存する必要があります(歯科医師法23条2項)。
イ 保険診療の場合,患者の診療録についてはその完結の日から5年間,療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録についてはその完結の日から3年間保存しなければなりません(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)。
ウ 勤務医の診療録については病院又は診療所の管理者が保存し,それ以外の診療録については医師本人が保存します。
療養担当規則様式第1号(1)の1
療養担当規則様式第1号(1)の2
療養担当規則様式第1号(1)の3
療養担当規則様式第2号

第2 医師の守秘義務

1 医師は,正当の理由がないのに,その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは,6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます(刑法134条1項)。
   その趣旨は,医師が基本的な医行為を行う過程で常に患者等の秘密に接し,それを保管することになるという医師の業務に着目して,業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすことを刑罰の対象とする点にあります。
   そのため,刑法134条は,第一次的には,このような患者等の秘密を保護するため,第二次的には,患者等が安心して医師に対し秘密を開示することができるようにし,医師の基本的な医行為が適正に行われるようにすることを企図し,いわば医師の業務自体を保護することも目的として制定されたものといえます(最高裁平成24年2月13日決定における裁判官千葉勝美の補足意見参照)。

2 弁護士の守秘義務については,「弁護士の守秘義務,弁護士職務基本規程等」を参照してください。

第3 医療安全支援センター

1 医療安全支援センターは,医療法6条の13に基づき,都道府県,保健所を設置する市及び特別区により,日本全国で380カ所以上設置されています。
 
2 外部HPの「医療安全支援センターとは」によれば,医療安全支援センターの業務は以下のとおりです。
① 患者・住民からの苦情や相談への対応(相談窓口の設置)
② 地域の実情に応じた医療安全推進協議会の開催
③ 患者さん・住民からの相談等に適切に対応するために行う、関係する機関、団体等との連絡調整
④ 医療安全の確保に関する必要な情報の収集及び提供
⑤ 研修会の受講等によるセンターの職員の資質の向上
⑥ 医療安全の確保に関する必要な相談事例の収集、分析及び情報提供
⑦ 医療安全施策の普及・啓発
 
3(1) 医療に関する患者・家族や医療機関からの様々な相談等に応じる医療安全支援センター医療法6条の13)のうち,大阪府下の窓口については,大阪府HPの「保健所において医療に関する相談や苦情をお伺いし,安心して医療を受けることができるようサポートします」に載っています。
   大阪府健康医療部が行う医療相談(大阪府HPの「医療相談」参照)のほか,大阪府下の保健所が行う医療相談があります(大阪府HPの「保健所における医療相談窓口」参照)。
(2)   大阪市の場合,大阪市医療安全相談窓口(患者ほっとライン)が設置されています。 

第4 日本の医療制度の概要等

1 日本の医療保険制度の特徴等
(1) 日本の医療保険制度の特徴は,以下の3点に集約されています(厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険診療の理解のために【以下】(平成30年度)」9頁参照)。
① 国民皆保険制度
・   すべての国民が,何らかの公的医療保険に加入しています。
② 現物給付制度
・   医療行為(現物)が先に行われ,費用は保険者から医療機関へ事後に支払われます。
③ フリーアクセス
・   自らの意思により,自由に医療機関を選ぶことができます。
(2) 全国健康保険協会の「医療計画と地域医療構想に関する基礎的ハンドブック」(2015年3月)末尾1頁には,以下の記載があります。
   国民皆保険制度をとるわが国では、「医療提供体制」、「医療保険制度」を両輪とする医療制度が構築されています。厚生労働省内の分担としては、主に医療提供体制については医政局が、医療保険制度については保険局の担当となっています。
   このうち「医療提供体制」については、医療従事者を扱った「人的規制」や、医療機関を扱った「施設規制」によるコントロールが行われています。「医療保険制度」については、「自己負担・保険による負担・公費負担をどのように組み合わせて医療費を負担するか」という視点や、「どのような医療を診療報酬等によって高く評価し、社会に広めてゆくか」という視点での制度構築が行われています。

2 保険医療機関及び保険医療養担当規則
(1) 保険医療機関において診療に従事する保険医は,厚生労働省令で定めることろにより,健康保険の診療に当たらなければなりません(健康保険法72条)。
   保険医療機関は,従事する保険医に厚生労働省令で定めるところにより,診察に当たらせるほか,厚生労働省令で定めるところにより療養の給付を担当しなければなりません(健康保険法70条)。
   療養の給付に関する費用の額は,厚生労働大臣が定めるところにより算定される(健康保険法76条2項)のであって,保険医療機関は,療養の給付に要する費用の額から被保険者が支払う一部負担金を除いた額を保険者に請求します(健康保険法76条1項)。
(2) ここでいう厚生労働省令は,保険医療機関及び保険医療養担当規則であり,保険診療を行うに当たって保険医療機関と保険医が遵守すべき基本的事項を定めています。

3 保険診療として診療報酬が支払われるための条件
   以下の条件を満たさなければなりません(厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険診療の理解のために【以下】(平成30年度)」7頁参照)。
① 保険医が
② 保険医療機関において
③ 健康保険法,医師法,医療法,医薬品医療機器等法の各種関係法令の規定を遵守し,
④ 保険医療機関及び保険医療養担当規則の規定を遵守し,
⑤ 医学的に妥当適切な診療を行い,
⑥ 診療報酬点数表に定められたとおりに請求を行っていること

4 保険診療の具体的な仕組み
   患者は,保険医療機関の窓口で一部負担金を支払い,残りの費用については,保険者から審査支払機関を通じ,保険医療機関に支払われることとなります。
   この仕組は健康保険法その他の医療保険各法に規定されており,それらの規定に同意した保険医療機関等が自由意思で参加することにより実施されています。これが,保険診療が「保険者と保険医療機関との間で交わされた公法上の契約に基づく”契約診療”」と称されるゆえんです(厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険診療の理解のために【以下】(平成30年度)」10頁参照)。

5 医療計画及び基準病床制度
(1)   厚生労働省HPの「医療計画」には,平成25年度から実施されている第6次医療計画,平成30年度から実施されている第7次医療計画等が記載されています。
   また,都道府県医療計画の掲載ページへのリンクもあります。
(2) 厚生労働省HPに「基準病床制度における病床の開設許可等について」が載っています。

第5 医師の診療の具体的方針

○医師の診療の具体的方針を定める保険医療機関及び保険医療養担当規則20条は以下のとおりであって,①健康診断の禁止(健康診断は,療養の給付の対象として行ってはならないこと),②濃厚(過剰)診療の禁止(検査,投薬,注射,手術・処置等は,診療上の必要性を十分考慮した上で行う必要があること。)等を定めています。

20条(診療の具体的方針)
医師である保険医の診療の具体的方針は、前十二条の規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。
一 診察
イ 診察は、特に患者の職業上及び環境上の特性等を顧慮して行う。
ロ 診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。ただし、緊急やむを得ない場合については、この限りではない。
ハ 健康診断は、療養の給付の対象として行つてはならない。
ニ 往診は、診療上必要があると認められる場合に行う。
ホ 各種の検査は、診療上必要があると認められる場合に行う。
ヘ ホによるほか、各種の検査は、研究の目的をもつて行つてはならない。ただし、治験に係る検査については、この限りでない。
二 投薬
イ 投薬は、必要があると認められる場合に行う。
ロ 治療上一剤で足りる場合には一剤を投与し、必要があると認められる場合に二剤以上を投与する。
ハ 同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。
ニ 投薬を行うに当たつては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品(以下「新医薬品等」という。)とその有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一性を有する医薬品として、同法第十四条又は第十九条の二の規定による製造販売の承認(以下「承認」という。)がなされたもの(ただし、同法第十四条の四第一項第二号に掲げる医薬品並びに新医薬品等に係る承認を受けている者が、当該承認に係る医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一であつてその形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る承認を受けている場合における当該医薬品を除く。)(以下「後発医薬品」という。)の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。
ホ 栄養、安静、運動、職場転換その他療養上の注意を行うことにより、治療の効果を挙げることができると認められる場合は、これらに関し指導を行い、みだりに投薬をしてはならない。
ヘ 投薬量は、予見することができる必要期間に従つたものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
ト 注射薬は、患者に療養上必要な事項について適切な注意及び指導を行い、厚生労働大臣の定める注射薬に限り投与することができることとし、その投与量は、症状の経過に応じたものでなければならず、厚生労働大臣が定めるものについては当該厚生労働大臣が定めるものごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
三 処方せんの交付
イ 処方せんの使用期間は、交付の日を含めて四日以内とする。ただし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りでない。
ロ 前イによるほか、処方せんの交付に関しては、前号に定める投薬の例による。
四 注射
イ 注射は、次に掲げる場合に行う。
(1) 経口投与によつて胃腸障害を起すおそれがあるとき、経口投与をすることができないとき、又は経口投与によつては治療の効果を期待することができないとき。
(2) 特に迅速な治療の効果を期待する必要があるとき。
(3) その他注射によらなければ治療の効果を期待することが困難であるとき。
ロ 注射を行うに当たつては、後発医薬品の使用を考慮するよう努めなければならない。
ハ 内服薬との併用は、これによつて著しく治療の効果を挙げることが明らかな場合又は内服薬の投与だけでは治療の効果を期待することが困難である場合に限つて行う。
ニ 混合注射は、合理的であると認められる場合に行う。
ホ 輸血又は電解質若しくは血液代用剤の補液は、必要があると認められる場合に行う。
五 手術及び処置
イ 手術は、必要があると認められる場合に行う。
ロ 処置は、必要の程度において行う。
六 リハビリテーション
リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う。
六の二 居宅における療養上の管理等
居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認められる場合に行う。
七 入院
イ 入院の指示は、療養上必要があると認められる場合に行う。
ロ 単なる疲労回復、正常分べん又は通院の不便等のための入院の指示は行わない。
ハ 保険医は、患者の負担により、患者に保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。

第6 歯科医師の診療の具体的方針

○歯科医師の診療の具体的方針を定める保険医療機関及び保険医療養担当規則21条は以下のとおりであって,①健康診断の禁止(健康診断は,療養の給付の対象として行ってはならないこと),②濃厚(過剰)診療の禁止(検査,投薬,注射,手術・処置等は,診療上の必要性を十分考慮した上で行う必要があること。)等を定めています。

21条(歯科医療の具体的方針)
   歯科医師である保険医の診療の具体的方針は、第十二条から第十九条の三までの規定によるほか、次に掲げるところによるものとする。
一   診察
イ   診察は、特に患者の職業上及び環境上の特性等を顧慮して行う。
ロ   診察を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。ただし、緊急やむを得ない場合については、この限りではない。
ハ   健康診断は、療養の給付の対象として行つてはならない。
ニ   往診は、診療上必要があると認められる場合に行う。
ホ   各種の検査は、診療上必要があると認められる場合に行う。
ヘ   ホによるほか、各種の検査は、研究の目的をもつて行つてはならない。ただし、治験に係る検査については、この限りでない。
二   投薬
イ   投薬は、必要があると認められる場合に行う。
ロ   治療上一剤で足りる場合には一剤を投与し、必要があると認められる場合に二剤以上を投与する。
ハ   同一の投薬は、みだりに反覆せず、症状の経過に応じて投薬の内容を変更する等の考慮をしなければならない。
ニ   投薬を行うに当たつては、後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。
ホ   栄養、安静、運動、職場転換その他療養上の注意を行うことにより、治療の効果を挙げることができると認められる場合は、これらに関し指導を行い、みだりに投薬をしてはならない。
ヘ   投薬量は、予見することができる必要期間に従つたものでなければならないこととし、厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬については当該厚生労働大臣が定める内服薬及び外用薬ごとに一回十四日分、三十日分又は九十日分を限度とする。
三   処方せんの交付
イ   処方せんの使用期間は、交付の日を含めて四日以内とする。ただし、長期の旅行等特殊の事情があると認められる場合は、この限りでない。
ロ   前イによるほか、処方せんの交付に関しては、前号に定める投薬の例による。
四 注射
イ 注射は、次に掲げる場合に行う。
(1) 経口投与によつて胃腸障害を起すおそれがあるとき、経口投与をすることができないとき、又は経口投与によつては治療の効果を期待することができないとき。
(2) 特に迅速な治療の効果を期待する必要があるとき。
(3) その他注射によらなければ治療の効果を期待することが困難であるとき。
ロ 注射を行うに当たつては、後発医薬品の使用を考慮するよう努めなければならない。
ハ 内服薬との併用は、これによつて著しく治療の効果を挙げることが明らかな場合又は内服薬の投与だけでは治療の効果を期待することが困難である場合に限つて行う。
ニ 混合注射は、合理的であると認められる場合に行う。
ホ 輸血又は電解質若しくは血液代用剤の補液は、必要があると認められる場合に行う。
五 手術及び処置
イ 手術は、必要があると認められる場合に行う。
ロ 処置は、必要の程度において行う。
六 歯冠修復及び欠損補綴てつ  
歯冠修復及び欠損補綴てつ は、次に掲げる基準によつて行う。
イ 歯冠修復
(1) 歯冠修復は、必要があると認められる場合に行うとともに、これを行つた場合は、歯冠修復物の維持管理に努めるものとする。
(2) 歯冠修復において金属を使用する場合は、代用合金を使用するものとする。ただし、前歯部の金属歯冠修復については金合金又は白金加金を使用することができるものとする。
ロ 欠損補綴てつ  
(1) 有床義歯
(一) 有床義歯は、必要があると認められる場合に行う。
(二)  鉤こう は、金位十四カラット合金又は代用合金を使用する。
(三) バーは、代用合金を使用する。
(2) ブリッジ
(一) ブリッジは、必要があると認められる場合に行うとともに、これを行つた場合は、その維持管理に努めるものとする。
(二) ブリッジは、金位十四カラット合金又は代用合金を使用する。ただし、金位十四カラット合金は、前歯部の複雑窩洞かどう 又はポンティックに限つて使用する。
(3) 口蓋補綴てつ 及び顎補綴てつ 並びに広範囲顎骨支持型補綴てつ  
口蓋補綴てつ 及び顎補綴てつ 並びに広範囲顎骨支持型補綴てつ は、必要があると認められる場合に行う。
七 リハビリテーション
リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う。
七の二 居宅における療養上の管理等
居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認められる場合に行う。
八 入院
イ 入院の指示は、療養上必要があると認められる場合に行う。
ロ 通院の不便等のための入院の指示は行わない。
ハ 保険医は、患者の負担により、患者に保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。
九 歯科矯正
歯科矯正は、療養の給付の対象として行つてはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。

第7 健康保険法に基づく指導・監査

○厚生労働省保険局医療課医療指導監査室が作成した「保険診療の理解のために【以下】(平成30年度)」54頁の「1 指導・監査について」は以下のとおりです。

(1)   指導について
   保険診療の質的向上と適正化を目的として行われるものであり、保険医療機関、保険医として指定、登録されたすべてが対象となり得る。
   指導には、集団指導、集団的個別指導及び個別指導がある。
   個別指導のうち、厚生労働省・地方厚生(支)局・都道府県が共同して行うものを共同指導といい、特に大学附属病院、臨床研修病院等を対象として行うものを特定共同指導という。
(2)   監査について
診療内容及び診療報酬請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足る理由があるときに行われる。
監査後の行政上の措置として、保険医療機関、保険医の「取消 」、「戒告」、「注意」がある。
   また、本来、「取消」を行うべき事例であるが、すでに保険医療機関が廃止され、又は保険医が登録抹消している等の場合には、「取消相当」という扱いとし、「取消」と同等に取扱われる。
   なお、不正請求の例としては次のようなものがある。
①   架空請求
   実際に診療を行っていない者につき診療をしたごとく請 求すること。診療が継続している者であっても当該診療月に診療行為がないにもかかわらず請求を行った場合、当該診療月分については架空請求となる。
②   付増請求
    診療行為の回数(日数)、数量、内容等を実際に行ったものより多く請求すること。
③   振替請求
    実際に行った診療内容を保険点数の高い他の診療内容に振替えて請求すること。
④   二重請求
   自費診療で行って患者から費用を受領しているにもかかわらず、保険でも診療報酬を請求すること。
⑤   その他の請求
a 医師数、看護師等数の標欠
b 定数超過入院
c 非保険医の診療、業務上の傷病についての診療に関して請求すること
d 保険医療機関以外の場所での診療に関して請求すること
e 保険請求できない診療行為(押し掛け往診、健康診断、無診察投薬、自己診療等 )等に関して請求すること。
   取消処分となった場合、原則 5 年間は再指定・再登録は行わないこととなっている。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。