初診時の留意点,公的医療保険,診療録及びレセプト

第0 目次

第1の1  初診時の留意点等
第1の2  大阪府内の救命救急センター,及び救急安心センターおおさか
第1の3  警察提出用の見込み診断書
第2の1  整形外科
第2の2  交通事故に関係する専門医
第3の1  大阪府内の人気病院ランキング等
第3の2  入院に関するメモ書き
第3の3  入院診療計画書及び退院療養計画書に関する法令の主な定め
第4    公的医療保険(例えば,国民健康保険)
第5    第三者行為による傷病届
第6の1  診療記録(カルテ)
第6の2  診療記録の開示
第7    レセプト
第8    看護師及び准看護師,並びに理学療法士及び作業療法士
第9    保険会社に提出する同意書
第10   人間ドック
第11の1 裁判所における,医学書,医学論文の信用性
第11の2 裁判所における,診療ガイドラインの信用性

*0 以下のページも参照してください。
① XP,CT,MRI等
→ MRI画像の鑑定についても記載しています。
② 労災保険の給付内容
③ 文書送付嘱託
④ 症状固定後の医療費の助成制度
*1 厚生労働省HPの「保険診療における指導・監査」「保険診療の理解のために【医科】(平成30年度)」,及び「保険診療の理解のために【医科】」(スライド資料)等が載っています。
*2 大阪府後期高齢者医療広域連合HPに「後期高齢者医療制度のしおり」(平成25年6月作成)が載っています。
*3 病院なびHPに「大阪市・夜間(平日の20時以降)に診療可能・整形外科」及び「堺市・夜間(平日の20時以降)に診療可能・整形外科 」が載っています。
*4 エキテンHP「大阪府の接骨・整骨(×21時以降OK) 」が載っています。
*5 日本歯科医学会HP「歯科診療ガイドラインライブラリ」が載っています。
*6 NAVERまとめに「2018年 診療報酬改定 リハビリテーションの通則をわかりやすく解説 」が載っています。
*7   交通事故被害者を2度泣かせないHP「交通事故の診断書と保険病名」が載っています。
*8 標準病名マスター作業班HP「ICD10対応標準病名マスター」が載っています。
   ICDは「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」(略称は「国際疾病分類」です。)のことであり,ICD10は,1990年の第43回世界保健総会で採択された第10版の国際疾病分類です。
*9 弁護士社長の実務ブログ「生活保護受給者が交通事故被害者となった場合に生じる加害者側・被害者側の各問題点」が載っています。
*10 交通事故に関する赤い本講演録2007年・209頁ないし238頁に「後遺障害等級3級以下に相当する後遺障害を有する者に係る介護費用及び家屋改造費について」が載っています。
*11 交通事故に関する赤い本講演録2011年・5頁ないし38頁に「重度後遺障害の将来介護費の算定に関する諸問題~職業付添人による介護を中心として」が載っています。
*12 交通事故に関する赤い本講演録2016年・53頁ないし64頁に「入院付添費について」が載っています。
*13 交通関係訴訟の実務(著者は東京地裁27民(交通部)の裁判官等)に251頁ないし259頁に「将来要する費用の諸問題1(将来付添費(介護費))」が載っています。

第1の1 初診時の留意点等

1 交通事故から概ね3日以上が経ってから病院又は診療所(以下単に「病院」といいます。)の整形外科を受診した場合,交通事故と怪我との因果関係を争われる可能性が非常に高くなります(外部HPの「むち打ち損傷の発症時期と事故との因果関係」参照)。
   そのため,警察等への報告が終わった場合,当日又は翌日,遅くとも翌々日までに病院又は診療所(以下単に「病院」といいます。)の整形外科を受診してください(交通事故弁護士相談広場HP「交通事故で自覚症状がなくても病院に行く!後で症状が出てくる怪我もある」参照)。

2(1)  
金曜日の夕方に交通事故にあった場合,「交通事故」+「整形外科」+「土曜日」+「(地名)」でネット検索をして,自宅の近くで土曜日の診察をしている整形外科を探した上で,土曜日に診察を受けた方がいいです。
(2) 交通事故・病院HPでは,交通事故に詳しい整骨院・接骨院・整形外科の検索ができます。

3(1)ア 怪我をした部位の全部について,警察に提出する診断書に記載してもらう他,レントゲン検査,CT検査,MRI検査等により画像を撮影してもらうようにしてください。
   自賠責保険に対して後遺障害の等級申請をした場合,等級認定の審査の一環としてA3サイズの「後遺障害事案整理票」が作成されますところ,そこには①初診時の傷病名,並びに②初期の症状及び態様も記載されています。
   また,自賠責保険診療報酬明細書を通じて,初診時の検査内容も重視されます。
イ 「MRI 3テスラ 大阪」で検索すれば,3テスラのMRI撮影をしてくれる医療機関を検索できます。
   大阪市内では,例えば,上本町画像診断クリニック(診療科目が放射線科だけであることにつき「当院のご案内」参照)が,主治医の紹介状(同クリニックHPの「検査予約票」のこと。)に基づき,3.0テスラのMRI撮影を行っています(同クリニックHPの「検査をご希望の方」参照)。
   ただし,脳のMRI撮影は,脳ドックという形式(全額自己負担の自費診療です。)により,主治医の紹介状なしでも受け付けています(同クリニックHPの「脳ドック(3.0テスラMRI)」参照)。
(2) 交通事故慰謝料弁護士相談HP(菅藤法律事務所)「交通事故でMRI撮影するタイミングは?」には以下の記載があります。
   MRIを撮影するタイミングは、交通事故から早ければ早いほどよいです。
   というのが、交通事故から時間を空けて撮影したMRI画像に異常が映っていても、果たしてその異常が交通事故に起因するのか、交通事故とは別に例えばそれ以前から存在する既往疾患なのか、時間が経てば経つほど、相手損保が争ってくるリスクが高くなるからです。
   また、陳旧性か新鮮か見分ける場合、T2強調画像では水分が高信号を示し白く映る特性を活かして、内出血などが白く高信号で映っているからとして、新鮮な負傷であると主張できることもあります。
   逆に言えば、交通事故から時間を空けて撮影している場合には、T2強調画像の特性は活かされないのです。
自賠責保険診断書1/2
自賠責保険診断書2/2

第1の2 大阪府内の救命救急センター,及び救急安心センターおおさか

1   大阪府HPの「大阪府内の救命救急センター一覧」によれば,大阪府内の救命救急センターは以下のとおりです。
(1) 大阪市医療圏
・ 大阪府立病院機構 大阪急性期・総合医療センター
・ 国立病院機構 大阪医療センター
・ 大阪市立総合医療センター
・ 大阪赤十字病院
・ 大阪警察病院
・ 大阪市立大学医学部附属病院
(2) 豊能医療圏
・ 大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター
・ 大阪大学医学部附属病院
(3) 三島医療圏
・ 大阪府三島救命救急センター
(4) 北河内医療圏
・ 関西医科大学総合医療センター
・ 関西医科大学附属病院
(5) 中河内医療圏
・ 大阪府立中河内救命救急センター
(6) 南河内医療圏
・ 近畿大学医学部附属病院
(7) 堺市医療圏
・ 堺市立総合医療センター
(8) 泉州医療圏
・ 岸和田徳洲会病院
・ りんくう総合医療センター(大阪府泉州救命救急センター)

2 大阪急性期・総合医療センター,大阪大学医学部附属病院及び関西医科大学附属病院は,高度救命救急センターです。

3(1) 大阪市HP「救急安心センターおおさか 電話♯7119 または 06-6582-7119」が載っています。
(2) コンビニ受診とは,一般的に外来診療をやっていない休日や夜間に緊急性のない軽症患者が病院の救急外来を自己都合で受診する行為をいいます(上越メディカルナビHP「コンビニ受診とは~医療機関の適正な利用について~」参照)。

第1の3 警察提出用の見込み診断書

1 交通事故被害者を2度泣かせないHP「警察提出用の見込み診断書」には以下の記載があります。
   警察に提出する診断書を見込診断書といいます。刑事罰や行政処分の決定に際し利用するのですが、その診断書の内容はたいてい「2週間の加療を要する見込み」などとなっていて、治療見込期間を3週間以内にしており、よほどの重傷事案でないかぎり治療見込期間が3週間を超えることがありません。

2(1) 警察に提出する診断書における加療期間は加害者の違反点数に影響するだけであって,実際の治療期間はこれよりも遥かに長くなることが通常です。
(2) 例えば,加療期間が15日以上30日未満の場合は6点又は4点となり,15日未満の場合は3点又は2点となります(交通事故弁護士相談カフェHP「人身事故と物損事故の「罰金と点数」を完璧に知っておく」参照)。)

第2の1 整形外科

1(1) 整形外科は運動器の疾患を扱う診療科です。スポーツ傷害や交通外傷,労働災害などによる外傷のほとんどは整形外科の疾患です。
   切創,挫創などのケガ,打撲,捻挫,骨折,脱臼,関節損傷,脊髄損傷,開放骨折,切断指・肢などは,整形外科が扱います。
   整形外科が扱わない外傷には,頭部・顔面外傷や心臓・肺損傷,腹部外傷などの臓器外傷,泌尿・生殖器損傷などがあります(日本整形外科学会HP「整形外科と外傷-すり傷や切り傷などのケガも診てくれますか?」参照)。
(2) 整形外科は身体の芯になる骨・関節などの骨格系とそれを取り囲む筋肉やそれらを支配する神経系からなる「運動器」の機能的改善を重要視して治療する外科で,背骨と骨盤というからだの土台骨と,四肢を主な治療対象にしています。
   これに対して形成外科は,生まれながらの異常や,病気や怪我などによってできた身体表面が見目のよくない状態になったのを改善する(治療する)外科で,頭や顔面を含めたからだ全体を治療対象としています(日本整形外科学会HP「整形外科と形成外科」参照)。
(3) 運動器とは,身体運動に関わる骨,筋肉,関節,神経等の総称です(日本整形外科学会HP「運動器のしくみ-「運動器」とはどのようなものを指すのでしょうか?」参照)。

2 整形外科には,背骨と脊髄を扱う「脊椎外科」,上肢を扱う「手の外科」と「肩関節外科」,下肢の「股関節外科」,「膝関節外科」と「足の外科」,スポーツによるけがや障害を扱う「スポーツ医学」,「リウマチ外科」,腫瘍(できもの)を扱う「骨・軟部腫瘍外科」,骨粗鬆症などを扱う「骨代謝外来」と多数の専門分野があります(日本整形外科学会HP「整形外科のかかりかた-整形外科ではどのような病気を診てくれますか」参照)。

3 信頼できる整形外科に通院しないと,治療効果が十分に上がらない可能性があります。
   また,途中で転院した場合,交通事故の直後から診察してもらっているわけではないため,後遺障害診断書を作成するに際して,交通事故と後遺障害との因果関係を十分に説明できない可能性が高まります。
   そのため,通院することを検討している整形外科について,ネット検索で評判を調べた方が無難です。

4(1) 日本整形外科学会HP「整形外科/運動器 症状・病気をしらべる」が載っています。
(2) 日本整形外科スポーツ医学会HP「スポーツ損傷シリーズ」が載っています。

第2の2 交通事故に関係する専門医

1 交通事故に関係する専門医としては,例えば,以下のものがあります。
① 整形外科専門医
・ 日本整形外科学会が認定します。
② 放射線科専門医
・ 日本医学放射線学会が認定します。
③ 形成外科専門医
・ 日本形成外科学会が認定します。
④ 救急科専門医
・ 日本救急医学会が認定します。
⑤ 超音波専門医
・ 日本超音波学会が認定します。
⑥ 脳神経外科専門医
・ 日本脳神経外科学会が認定します。
⑦ リハビリテーション専門医
・ 日本リハビリテーション医学会が認定します。
⑧ 神経内科専門医
・ 日本神経学会が認定します。
⑨ 核医学専門医
・ 日本核医学会が認定します。

2 学術団体が専門医の認定を行うためには以下の条件を満たす必要があります(厚生労働省HPの「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名等について」参照)。
① 学術団体として法人格を有していること。
② 会員数が千人以上であり、かつ、その八割以上が当該認定に係る医療従事者であること。
③ 一定の活動実績を有し、かつ、その内容を公表していること。
④ 外部からの問い合わせに対応できる体制が整備されていること。
⑤ 当該認定に係る医療従事者の専門性に関する資格(以下「資格」という。)の取得条件を公表していること。
⑥ 資格の認定に際して、医師、歯科医師、薬剤師においては五年以上、看護師その他の医療従事者においては三年以上の研修の受講を条件としていること。
⑦ 資格の認定に際して適正な試験を実施していること。
⑧ 資格を定期的に更新する制度を設けていること。
⑨ 会員及び資格を認定した医療従事者の名簿が公表されていること。

第3の1 大阪府内の人気病院ランキング等

1 看護師の転職初心者HP「【大阪府内】看護師が転職したい人気病院ランキング!評判や給料を比較」によれば,以下のランキングになっています。
1位:近畿大学医学部付属病院
2位:北野病院
3位:大阪大学医学部付属病院
4位:大阪医科大学附属病院
5位:淀川キリスト教病院
6位:大阪市立総合医療センター
7位:住友病院
8位:大阪急性期・総合医療センター
9位:ベルランド総合病院

2 大阪府HPの「平成30年度 大阪府南河内医療保険医療協議会 開催状況」(平成30年10月10日開催分)「資料 近畿大学医学部移転に伴う医学部附属病院再編計画(案)」(2018年10月)が載っています。

3 近畿厚生局HP「特定機能病院の業務報告について」に,平成22年度以降の,特定機能病院(平成29年6月1日時点で全国に553個あります。)の業務報告書が載っています。

4 厚生労働省HP「臨床研究中核病院に係る業務報告書の公表について」に,平成28年度以降の,臨床研究中核病院(平成29年6月1日時点で全国に11個あります。)の業務報告書が載っています。

第3の2 入院に関するメモ書き

1 シニアガイドHP「自分や家族が入院したら、すぐに「限度額適用認定証」を入手しよう」(平成30年8月1日付)が載っています。

2(1) 入院雑費の例は以下のとおりです(自動車保険ガイドHP「入院雑費の内訳や賠償金額の基準及び判例の紹介」参照)。
① 日用品や雑貨の購入費
② 栄養補給費
③ 通信費
④ 文化費(例えば,テレビカード)
⑤ 家族通院交通費
(2) 入院雑費の領収書を残しておかなくても,自賠責保険基準の場合,入院1日当たり1100円が認められ,裁判基準の場合,入院1日当たり1500円が認められます。

3 入院中の食事の自己負担額は1食につき260円(27年度まで)→360円(28年度及び29年度)→460円(30年度以降)という風に推移しており,30年度以降についていえば,自己負担額を超える部分となる180円が入院時食事療養費として健康保険等から病院に支払われているのであって,入院中の食事につき,病院は1食あたり640円の収入を得ています(協会けんぽHPの「入院時食事療養費」,及び日本栄養士会HP「入院時食事療養費の見直しについて」参照)。

一般的な病院でICU(集中治療室)に入院した場合,自己負担額ベースでいえば,7日以内の期間については,4万950円(特定集中治療室管理料1の場合)から2万8083円(特定集中治療室管理料4の場合)かかります(健康保険や高額療養費、医療費のことを女性が教えますHP「ICU(集中治療室)の料金は1日いくら?DPCだったら含まれる?」参照)。

5(1) 価格.comに「入院費用・相場シミュレーション」が載っています。
(2) 価格.comの「入院費用・相場シミュレーション(脱臼/身体のケガ・傷など)」によれば,1日あたりの費用は,3割負担の場合,1万400円とのことです。

6 医師は,患者の疾患の治療のために手術を実施するに当たっては,診療契約に基づき,特別の事情のない限り,患者に対し,当該疾患の診断(病名と病状),実施予定の手術の内容,手術に付随する危険性,他に選択可能な治療方法があれば,その内容と利害得失,予後などについて説明すべき義務があります(最高裁平成13年11月27日判決)。

7 タンドレHP「入院について,お役立ち情報」が載っています。

第3の3 入院診療計画書及び退院療養計画書に関する法令の主な定め

1 入院診療計画書に関する法令の主な定め(法的義務です。)
(1) 医療法6条の4
第1項
   病院又は診療所の管理者は、患者を入院させたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該患者の診療を担当する医師又は歯科医師により、次に掲げる事項を記載した書面の作成並びに当該患者又はその家族への交付及びその適切な説明が行われるようにしなければならない。ただし、患者が短期間で退院することが見込まれる場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
一 患者の氏名、生年月日及び性別
二 当該患者の診療を主として担当する医師又は歯科医師の氏名
三 入院の原因となつた傷病名及び主要な症状
四 入院中に行われる検査、手術、投薬その他の治療(入院中の看護及び栄養管理を含む。)に関する計画
五 その他厚生労働省令で定める事項
第4項
   病院又は診療所の管理者は、第一項の書面の作成に当たつては、当該病院又は診療所に勤務する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の有する知見を十分に反映させるとともに、当該書面に記載された内容に基づき、これらの者による有機的な連携の下で入院中の医療が適切に提供されるよう努めなければならない。
(2) 医療法施行規則
1条の5
   患者の診療を担当する医師又は歯科医師は、法第六条の四第一項の規定により、入院した日から起算して七日以内に同項に規定する書面(以下「入院診療計画書」という。)を作成し、当該患者又はその家族に対し当該書面を交付して適切な説明を行わなければならない。
1条の6
   法第六条の四第一項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 患者が短期間で退院することが見込まれる場合
二 当該書面を交付することにより、当該患者の適切な診療に支障を及ぼすおそれがある場合
三 当該書面を交付することにより、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせるおそれがある場合
1条の7
   法第六条の四第一項第五号に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 推定される入院期間
二 病院又は診療所の管理者が患者への適切な医療の提供のために必要と判断する事項

2 退院療養計画書に関する法令の主な定め(努力義務です。)
(1) 医療法6条の4
第3項
   病院又は診療所の管理者は、患者を退院させるときは、退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスに関する事項を記載した書面の作成、交付及び適切な説明が行われるよう努めなければならない。
第5項
   病院又は診療所の管理者は、第三項の書面の作成に当たつては、当該患者の退院後の療養に必要な保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携が図られるよう努めなければならない。
(2) 医療法施行規則の定めはありません。

第4 公的医療保険(例えば,国民健康保険)

1 公的医療保険を利用することを検討すべき場合
(1) 被害者の過失が概ね3割以下の交通事故の場合,加害者側の任意保険会社(詳細につき「任意保険の示談代行制度」参照)による一括払を受けることができます。
   一括払というのは,加害者が加入している対人賠償責任保険において自賠責保険部分を含めて保険金を支払うという仕組みであり,症状固定前の場合,主として治療費及び休業損害の支払を意味します。
(2) 以下の場合,治療費の負担を抑えるために公的医療保険を利用することを検討してください。
① 被害者にもそれなりの過失がある場合
→ 自由診療としての取扱いを受けて加害者側の任意保険会社に一括払をしてもらった場合,公的医療保険(国民健康保険,健康保険等)を使った場合と比べて治療費が倍ぐらいになる結果,それ以外の損害について得られる賠償金が少なくなります。
② 加害者が自賠責保険にしか加入していない場合
→ 傷害の場合,自賠責保険の上限は120万円です。
   そのため,公的医療保険を利用しない場合,重傷事案では治療費だけで120万円を超えてしまう結果,休業損害等について賠償を受けられなくなります。
(3) 例えば,公的医療保険を利用した場合の治療費が100万円,通院慰謝料が100万円,過失割合が3割の場合,200万円の損害額のうち,相手方に対して請求できる損害額は140万円となりますところ,100万円は治療費に充当されますから,追加で請求できるのは40万円となります。
   これに対して,任意保険会社の一括払を利用し続けた場合,自由診療として1点20円で計算される結果,公的医療保険を利用した場合の治療費の2倍ぐらいとなることがあります(ただし,自賠責保険診療費算定基準が適用されている場合,1.44倍近くです。)。
   そのため,例えば,治療費が公的医療保険を利用した場合の2倍である200万円,通院慰謝料が100万円,過失相殺が3割の場合,300万円の損害額のうち,相手方に対して請求出来る損害額は210万円となりますところ,200万円は治療費に充当されますから,追加で請求できるのは10万円だけとなります。
(4)ア 自賠責保険診療報酬明細書を取り寄せれば,1点20円で計算されているのか,それとも自賠責保険診療費算定基準で計算されているのかが分かります。
   後者の場合,左下の「請求額の計算」欄に,「A(イ×単価×1.2)」とか,「B(ロ×単価)」などと書いてあります(単価は1点12円です。)。
イ 詳細については,「交通事故の診療費算定基準」を参照して下さい。 
(5) 公的医療保険を利用する場合,交通事故証明書を持参して,「第三者行為による傷病届」を市区町村等に提出する必要があります(大阪市HPの「保険給付でのご注意」参照)。 

2 交通事故でも公的医療保険を利用できること等
(1) 病院は,純粋な自由診療の場合と比べて受領できる治療費が半分ぐらいになりますから,交通事故の治療において公的医療保険を使うことに消極的です。
   しかし,公的医療保険の適用範囲の傷病であれば,保険医療機関である病院は,患者から被保険者証の提出とともに公的医療保険による診療を求められた場合,それが交通事故によるものであることを理由として,公的医療保険による診療を拒否することができません(「犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて」(平成23年8月9日付の厚生労働省保険局保険課長等の通知)等参照)。
(2) 公的医療保険による診療の場合,通常の診療の場合と同様に,窓口で毎回,3割の自己負担金を支払う必要があります(保険医療機関及び保険医療養担当規則5条1項参照)。
   その後,自己負担金の分を別途,任意保険会社に対して請求する必要がありますから,一括払と比べると,被害者側の手続は面倒になります。
(3) 大阪府保険医協会HP「No.31 自賠責の請求について」に以下の記載があります(QとAを追加しました。)。
Q:患者(被害者)から「健康保険で治療してほしい」と申し出を受けた場合、どのように対応すればよいか。
A:医療機関は、患者の被保険者証を確認し、患者が「第三者行為による傷病届」を保険者に提出してから、保険診療で治療を行うことができます。保険診療をした場合の医療機関は、診療報酬明細書の「特記事項」欄に10番コードの「第三」と表示する必要があります。

3 医療費の領収書,明細書,領収証明書及び医療費のお知らせ
(1) 厚生労働省HPに「医療費の内容の分かる領収証及び個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書の交付について」(平成22年3月5日)(保発0305第2号)(平成22年4月1日施行)が載っています。
(2) 宮城県HPの「医療費明細書発行の義務化について」に①「「診療報酬明細書(レセプト)」の様式例」,及び②「「領収証」と「明細書」の様式例」が載っています。
(3) 医療費の領収書は再発行できないものの,50円から1620円ぐらいの費用を支払えば,領収証明書を発行してもらえます(健康保険や高額療養費,医療費のことを女性が教えますブログ「医療費の領収証は再発行できません。領収証明書なら可能です。」参照)。
(4) 大阪市HPに「「国民健康保険医療費のお知らせ」をお届けしています」(国民健康保険法施行規則32条の7の2参照)が載っています。

4 その他
   国立国会図書館HPレファレンス平成27年2月号の「国民健康保険の現状と改革の論点」が載っています。

第5 第三者行為による傷病届

1(1) 交通事故に起因する疾病等で公的医療保険を利用した場合,最終的には自賠責保険会社及び任意保険会社が医療費を負担することになります。
   その関係で,医療機関で診察を受ける際,交通事故に起因する疾病等に基づく場合,「第三者行為傷病届」を病院の窓口で提出する必要があります(国民健康保険法施行規則32条の6,健康保険法施行規則65条参照)。 
(2) 医療機関は,健康保険のレセプトの「特記事項」欄に「第三」と記載して請求します。 
 
2 国民健康保険の場合につき自治体ごとの説明例は以下のとおりです。
① 大阪市HPの「保険給付でのご注意」
② 堺市HPの「第三者(加害者)による行為(交通事故等)が原因で介護が必要となった場合」
 
3 健康保険の場合につき,保険者ごとの説明例は以下のとおりです。
① 協会けんぽHPの「事故にあったとき(第三者行為による傷病届等について)」
② ジェイアールグループ健康保険組合HPの「交通事故など第三者の行為により病気やケガをしたとき-もっと知りたい」
 
4 国民健康保険組合の場合につき,例えば,東京都弁護士国民健康保険組合HPの「届出・給付一覧」に言及があります。
 
5 共済組合の場合につき,保険者ごとの説明例は以下のとおりです。
① 国土交通省共済組合HPの「第三者加害行為(交通事故等)にあったとき」
② 地方職員共済組合HPの「交通事故などにあったとき」
③ 日本郵政共済組合HPの「事故のとき(交通事故や暴力行為等にあったとき)」

第6の1 診療記録(カルテ)

1 交通事故直後に痛みを訴えていなかった箇所については,交通事故と痛みとの因果関係を争われる可能性が高くなるのであって,例えば,2週間ぐらいしてから初めて痛みを訴えた場合,それまでも痛かったけれど我慢していたといった程度の説明だけでは因果関係を否定される可能性が高いです。
   そのため,交通事故直後に受診する場合,痛みがある箇所はすべて診断してもらい,診療録に記載してもらうようにしてください。

2(1) 訴訟提起した場合,被害者である患者が送付に反対したとしても,少なくとも交通事故日以後の整形外科の診療録は全部,裁判所の文書送付嘱託(民事訴訟法226条)により加害者側の弁護士が入手することとなり(個人情報保護法23条1項4号参照), 診療録に記載されなくなった痛みはその時点で治ったものであるなどと加害者側の弁護士に主張されることがあります。
   そのため,痛み,しびれ等が続いているにもかかわらず,痛み等が治まったなどと診療録に記載されることのないようにしてください。 
(2) 上肢の3大関節としては,肩関節,肘関節及び手関節があり,下肢の3大関節としては,股関節,膝関節及び脚関節があります。
   そして,例えば,これらの関節のいずれかが健康な側と比べて4分の3以上曲がらなくなった場合,12級の後遺障害等級が認定されますところ,途中の診療録で4分の3以上曲がったことがあることが記載されていた場合,仮に関節の可動域制限について後遺障害等級が認定されたとしても,将来の損害賠償請求訴訟に深刻な悪影響を及ぼします。
   そのため,日々のリハビリにおいて関節の可動域を計測する場合,痛みを我慢して無理に曲げることは絶対に止めて下さい。
(3) 「後遺障害としての関節の可動域制限」も参照して下さい。

3 医師は診療記録に基づいて,任意保険会社に対し,毎月の自賠責保険診断書を作成して送付しています。

   そのため,診療記録に痛み等が記載されなくなった場合,毎月の自賠責保険診断書にも痛み等が記載されなくなる結果,任意保険会社による治療費の打ち切りを誘発することとなります。

「症状固定後の被害者の留意点」でも記載していますが,後遺障害等級を認定してもらいたい場合,交通事故の当初から症状固定時までの間,毎月の自賠責保険診断書において症状が一貫していることが非常に望ましいです。
   そのため,毎月の自賠責保険診断書において痛み等の記載が中断した場合,後遺障害等級認定に不利に働くこととなります。

5 診療記録は,医師法24条及び医師法施行規則23条,並びに保険医療機関及び保険医療養担当規則22条に基づく文書であり,保存期間は療養完結の日から5年です(医師法24条2項)。

6(1) 診療記録等の記載方法については,東京都衛生局病院事業部が発行している,「都立病院における診療録等記載マニュアル(平成13年2月)」が非常に参考になります。
(2) できる研修医のつくり方HP「2.はじめてのカルテ作成」が載っています。
(3) 日本看護協会HP「看護記録に関する指針」が載っています。
療養担当規則様式第1号(1)の1
療養担当規則様式第1号(1)の2
療養担当規則様式第1号(1)の3
療養担当規則様式第2号(処方せん)

第6の2 診療記録の開示

1(1) 患者は,医師,歯科医師,薬剤師,看護師等に対し,診療録,処方箋,手術記録,看護記録,検査所見記録,エックス線写真,紹介状,退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約といった診療記録について,閲覧又は写しの交付を求めることができます(平成15年9月12日付の,厚生労働省医政局長の「診療情報の提供等に関する指針」参照)。 
(2) 診療情報の提供等に関する指針には平成22年9月17日付の改正がありました。

2(1) あなたの弁護士HP「医療カルテの開示請求方法|弁護士に依頼した場合の費用目安」には,「請求費用・手数料の相場」として以下の記載があります。
   医療カルテの開示請求費用や手数料の相場について以下にまとめました。あくまでも相場となるため、請求する病院によっては金額が前後する可能性があります。
・ 医療カルテ開示手続料(1申請につき) 3,000~5,000円
・ 診療記録の謄写代 50円/1枚
・ その他証明書の謄写代 1,000円/1枚
・ CD-R(画像取り込み) 1,000円/1枚
・ 診療記録の保管期限終了証明書 1,000円/1件
・ 医師の口頭説明(1診療につき) 12,000円/60分
※時間超過の場合、30分につき6,000円が加算されます。
・ 紙カルテ閲覧 3,000円/30分
(2) デジタル証拠の法律実務Q&A228頁には「電子カルテの開示では、診療記録等については電子カルテから最終版の診療記録等を印刷した紙が、また、CT等の画像データについては、紙ではなく、専用のビューアソフトとともに画像データをCD-ROM等の記録媒体にコピーしたものが提供されることが多いようです。」と書いてあります。
3 福岡地裁平成23年12月20日判決(ウエストロージャパン)は以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を加えています。)。
① 診療契約は,患者が医師や医療機関に対して適切な診療を求め,医師等がこれに承諾することにより成立する準委任契約であり,受任者である医師等は,患者に対し,診療が終了したときは,その結果を報告する義務を負う(民法655条,645条)。
   そして,医療行為が医師の高度な専門的な知識や技術をもって行われる行為であり,医師がその内容,経過,結果等を最も知り得る立場にあるのに対し,患者は一般的にこれを容易に知ることが困難であると考えられること,医療行為の内容,経過,結果等は,患者にとってその生命,身体等に関わる当然に重大な関心を有する事項であり,患者の自己決定の前提となる自己情報コントロール権の尊重の観点をも併せ考慮すると,医師等は,診療契約上の報告義務の一環として,少なくとも患者が請求した場合には,その時期に報告するのが相当とはいえないなどの特段の事情がない限り,患者に対して医療行為の内容,経過,結果等について説明及び報告すべき義務(てん末報告義務)を負うと解するのが相当である。
② この医師等の負うてん末報告義務においては,医師等の患者に対する説明及び報告の内容,方法等によっては患者の生命,身体に重大な影響を与える可能性があることから,医師等に説明及び報告の内容,方法等に一定の裁量が認められるというべきである。
   しかしながら,診療録等の診療記録は,診療が行われたときに遅滞なく診療に関する事項等を記載して作成されるものであり(医師法24条1項参照),診療の内容,経過等に係る記録として客観性,信頼性の高いものであり,患者にとっては診療録等の診療記録の開示を受ける利益が大きいということができる一方で,医師等にとっては,事務の負担,自己に対する責任追及の可能性の観点を除くと,診療録等の診療記録を開示することの不利益は直ちに想定し難いということができる。
③  そうすると,患者が医師等に対して上記の説明及び報告として診療録等の診療記録の開示を求めた場合には,患者の自己情報コントロール権を尊重する観点からも,医師等は,そのような方法により説明及び報告することが求められているといい得るのであって,医師等の説明の内容や方法,診療録等の診療記録の記載の内容等の事情を考慮して,医師等の患者に対する説明及び報告が合理的であるといえない限り,医師等が上記のてん末報告義務違反であるとの評価を免れることはできないと解するのが相当であり,前記(ア)の厚生労働省作成の指針等も,上記の趣旨に沿うものということができる。

第7 レセプト

1 総論
(1) レセプトとは,患者が受けた診療について,医療機関(病院,診療所,薬局)が保険者に請求する医療費の明細書をいい,診療報酬明細書(医科,歯科の場合),又は調剤報酬明細書(薬局における調剤の場合)ともいわれます。
  ただし,昭和51年11月1日施行の療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(略称は「請求省令」です。)5条1項では,診療報酬請求書及び診療報酬明細書並びに調剤報酬請求書及び調剤報酬明細書をレセプトと定義しています。
(2) レセプトを作成するコンピューターは,レセプトコンピューター(=レセコン)といわれます。
(3) 病院等の医療機関は,被保険者である患者ごとにカルテを作り,傷病名,投薬,注射等の診療内容を診療録(=カルテ)に記録します。
  そして,公的医療保険の場合,この診療録から被保険者ごとに1か月単位で集約した上で診療報酬請求書又は調剤報酬請求書を作成し,診療報酬明細書又は調剤報酬明細書を添えて,毎月10日までに,医療機関の所在する①各都道府県の国民健康保険団体連合会(例えば,大阪府国民健康保険団体連合会),又は②社会保険診療報酬支払基金の都道府県支部(例えば,大阪支部)に提出します。
  レセプトは,審査支払機関の審査を経た上で,最終的には,保険者に送られます。
(4)ア レセプト病名(保険病名,疑い病名)は,疾病を疑って検査等を行い,疾病の疑いが晴れた場合でも,検査に対応する病名の記載がないと検査料の請求が認められないため,慣例として記載されています(レセプト代行サービスのスマイルHP「レセプト病名、疑い病名の転帰はいつしますか?」参照)。
イ 転帰とは,疾病・ケガ等の治療における症状の経過・結果をいい,治癒した場合は「治癒」,死亡した場合は「死亡」,治癒していないが当該治療を見合わせたり,放置しても大丈夫な場合は「中止」,店員した場合は「転院」などと記載されます(看護ルーHP「転帰」参照)。

2 レセプトの発行単位及び主なレセプトの種類(厚生労働省HPの「第1章 レセプトとは」と題する文書(株式会社JMDC作成)参照)
(1) レセプトは一人一人の患者ごと,受診する医療機関ごと,請求単位の1ヶ月後と,レセプトの種類ごとに発行されます。
   そのため,一人の患者に対して1枚とは限らず,複数発行されている場合があります。
(2)   主なレセプトの種類として以下のものがあります。
① 医療機関から発行される医科入院レセプト及び医科入院外レセプト
・ 「傷病名」欄には,疑い病名,診療開始日,診療実日数等が記載されます。
   疑い病名につき,検査等で受診した際に傷病に(疑い)と記載された病名を示します。
   診療開始日につき,当該医療機関において対象傷病ごとに診療を開始した年月日を示します。
   診療実日数につき,当該医療機関における入院日数,外来受診回数を示します。
・ 「摘要」欄には,投与量,投与日数,処方回数,診療区分等が記載されます。
   投与量につき,レセプトに記載される処方量をいい,内用薬は1日の投与量,注射・外用薬は1回の投与量を示します。
   投与日数につき,内用薬は投与日数,注射・外用薬は処方回数を示します。
   診療区分につき,11初診,12再診,20投薬,30注射,40処置,50手術,60検査,70画像診断等と記載されます。
② 調剤薬局から発行される調剤レセプト
・ 「医療機関」欄には,医師機関名(施設ID),所在地,医師名,医師標榜診療科等が記載されます。
・ 「処方」欄には,処方医師番号,投与量・投与日数・処方回数等が記載されます。
   投与量につき,内用薬は1日の投与量,注射・外用薬は1回の投与量が記載されます。
   投与日数・処方回数につき,内用薬は投与日数,注射・外用薬は処方回数が記載されます。
③ 歯科から発行される歯科レセプト
④ 急性期病院で用いるDPCレセプト

3 電子レセプト請求
(1) レセプト電算処理システムに参加している医療機関は,電子レセプト請求を行います。
    電子レセプト請求には,①オンライン請求(=電子情報処理組織の使用による請求),及び②電子媒体による請求(=光ディスク等を用いた請求)があります。
    なお,レセプト電算処理システムは,保健医療情報システム検討会が,厚生労働省に対し,平成13年12月26日に提言した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」で言及されていたものです。
(2) 電子レセプト請求が義務づけられている保険医療機関又は保険薬局については,平成22年4月1日以降,医療費の明細書の交付が義務づけられるようになりました(保険医療機関及び保険医療養担当規則5条の2第2項)。
(3) ①レセコンを使用していない保険医療機関又は保険薬局(請求省令5条),及び②常勤の保険医,保険薬剤師が全員,65歳以上である保険医療機関である診療所又は保険薬局(請求省令6条)を除き,請求省令に基づき,平成23年4月1日以降,電子レセプト請求が義務づけられるようになりました。
(4) 東京都国民健康保険団体連合会HP「診療(調剤)報酬明細書等の無償配布について※平成30年3月30日にて終了」には,「国保連合会では、診療(調剤)報酬明細書等を保険医療機関等へ配布してまいりましたが、国保連合会における診療報酬等の電子レセプト等が9割以上に達している状況を鑑み、診療(調剤)報酬明細書等の配布について、平成30年3月30日(金)をもって、終了させていただきます。」と書いてあります。

4 レセプトの開示請求
(3) 厚生労働省HPに以下の通達が載っています。
① 診療報酬明細書等の被保険者等への開示について(平成17年3月31日)(保国発第0331009号)
② 診療報酬明細書等の開示の取扱いについて〔国民健康保険法〕(平成23年6月23日)(保国発0623第1号/保高発0623第1号)
③ 診療報酬明細書等の開示の取扱いについて〔高齢者の医療の確保に関する法律〕(平成23年6月23日)(保国発0623第1号/保高発0623第1号)
(2)ア 大阪市HP「診療報酬明細書等の開示に係る取扱要領」(国民健康保険)及び「診療報酬明細書等の開示に係る取扱要領」(生活保護)が載っています。
   レセプトというのは,診療報酬明細書,調剤報酬明細書,施設療養費明細書及び(老人)訪問看護療養費明細書をいうとされています。
イ 大阪府後期高齢者医療広域連合HP「情報公開・個人情報保護制度」に,診療報酬明細書(レセプト)の開示請求手続が書いてあります。
(3) 大阪市HPの「診療報酬明細書等の開示事務に係るQ&A」及びに以下の記載があります。
① 診療報酬明細書等とは、病院と保険者間における金銭の請求書であると同時に、病院を名義人とする権利義務に関する書類であり、診療録や診断書のような医学上の事実証明のための文書ではないので、診療内容に係る照会には答えることができない。
② 診療録は、診療に関する情報を記載したもので、病院等が保存を義務づけられたものである。診療報酬明細書等は、その診療内容のうち保険診療に係る費用の請求書であるため、必ずしも診療内容のすべてが記載されていない場合もある。

5 診療報酬の改定
(1)ア 厚生労働大臣は,2年に1回,中央社会保険医療協議会(=中医協)の答申に基づき,診療報酬の改定を行っています。
イ 中医協は,社会保険医療協議会法(昭和25年3月31日法律第47号。昭和25年4月1日施行)に基づき設置されており,①支払側委員7人,②診療側委員(=医師,歯科医師及び薬剤師を代表する委員)7人及び③公益委員6人で構成されています。
(2) 厚生労働省HPの「医療保険」に,平成22年度以降の診療報酬改定が載っています。

6 その他
(1) Tech Target HP「レセプトコンピュータ一覧」によれば,レセプトコンピュータ(レセコン)として,アップルドクターのアーチャンレセプト2,ワイズマンの医療事務管理システム,日本医師会のORCA(日医標準レセプトソフト(日レセ))等があります。
(2)  国民健康保険診療報酬明細書(レセプト)に記録された個人の診療に関する情報について,実際に受けた診療の内容と異なることを理由として個人情報の訂正の請求をすることはできません(最高裁平成18年3月10日判決)。
(3) 介護保険に関しては介護給付費請求書及びその明細書が存在します(カイポケHP「介護給付費請求書の書き方例と様式(第一)無料ダウンロード 」参照)。
(4) 社会保険診療報酬支払基金HP「医療機関・薬局の方」に,診療報酬明細書等の書式が載っています。
(5) 大阪府国民健康保険団体連合会(こくほ大阪)HP「紙レセプト請求について」に,診療報酬請求書,調剤報酬請求書,訪問看護療養費請求書等の書式が載っています。
   また,日弁連交通事故相談センターHPに「診療報酬明細書を読むうえでの留意点」が載っています。
自賠責保険診療報酬明細書1/2(入院)
自賠責保険診療報酬明細書2/2(入院)
自賠責保険診療報酬明細書1/2(入院外)
自賠責保険診療報酬明細書2/2(入院外)

第8 看護師及び准看護師,並びに理学療法士及び作業療法士

1 看護師及び准看護師
(1) 看護師とは,厚生労働大臣の免許を受けて,傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいいます(保健師助産師看護師法5条)。
   褥婦(じょくふ)とは,出産後間もなく,まだ産褥(さんじょく)にある女性をいい,産褥とは,妊娠及び分娩によってもたらされた母体や生殖器の変化が,分娩の終了から妊娠前の状態に戻るまでの期間をいい,6週間から8週間ぐらいです。
(2) 准看護師とは,都道府県知事の免許を受けて,医師,歯科医師又は看護師の指示を受けて,傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいいます(保健師助産師看護師法6条)。

2 理学療法士及び作業療法士
(1) 理学療法士(PT:physical therapist)
ア 理学療法とは,身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マツサージ,温熱その他の物理的手段を加えることをいいます(理学療法士及び作業療法士法2条1項)。
イ 理学療法士とは,厚生労働大臣の免許を受けて,理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいいます(理学療法士及び作業療法士法2条3項)。
ウ 彰栄リハビリテーション専門学校HP「理学療法士と作業療法士の違いとは?」には,「理学療法士は、寝返る、起き上がる、立ちあがる及び歩くなど、日常生活で必要な基本動作ができるように身体の基本的な機能回復をサポートする動作の専門家です。歩行練習などの運動療法や、電気・温熱・光線などを使った物理療法を用いて、身体の機能や動作の回復をうながし、自立した日常生活が送れるようにバックアップします。」と書いてあります。
(2) 作業療法士(OT:occupational therapist)
ア 作業療法とは,身体又は精神に障害のある者に対し,主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため,手芸,工作その他の作業を行なわせることをいいます(理学療法士及び作業療法士法2条2項)。
イ 作業療法士とは,厚生労働大臣の免許を受けて,作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいいます(理学療法士及び作業療法士法2条3項)。
ウ 彰栄リハビリテーション専門学校HP「理学療法士と作業療法士の違いとは?」には,「作業療法士は、入浴や食事など日常生活の動作や、手工芸、園芸及びレクリエーションまであらゆる作業活動を通して、身体と心のリハビリテーションを行う専門家です。理学療法士と異なる点として、作業療法士はそううつ病及び摂食障害などの精神障害の患者さんも対象としており、幅広くリハビリテーションの医療現場で活躍しています。」と書いてあります。

3 その他の医療関係職種
   厚生労働省HPの「その他医療関係職種の業務等に関する法律による規定」に,診療放射線技師,臨床検査技師,理学療法士,作業療法士,視能訓練士,言語聴覚士,臨床工学技士,義肢装具士,救急救命士,歯科衛生士,歯科技工士及び薬剤師に関する法令の条文が載っています。

第9 保険会社に提出する同意書

1 保険会社に提出する同意書については,交通事故被害者を2度泣かせないHP「医療照会や医療調査のための同意書について」が参考になります。

2 保険会社に提出する同意書の本文は以下のように書いてあります。

私(患者さま)の傷病について○○保険会社の社員,またはその委託を受けた者が,医療機関に対して下記の行為を行うことに同意します。
なお,本状は私(患者さま)の保険金の請求および支払いに関する一切の手続きが終了,もしくは請求を取り下げた時点で効力を失うものとします。

1.医師または医療機関から以下の資料を交付・貸し出しを受けること,及び資料の複写やデジタルカメラによる撮影を行うこと。
(1) 診断書・診療報酬明細書・施術証明書などの診療情報資料
(2) レントゲン写真・CT・MRIなどの検査資料
(3) 上記医療機関の処方箋により療養給付を行う調剤薬局発行の調剤薬局明細書
2.私が診療・検査を受けた医師または医療機関から診断・診療内容,検査結果,既往症・病歴,治療見込み,就労の可否等の説明を受けること。」
3.私の傷病の治療歴,事故状況・原因などに関する情報を医師または医療機関に提供すること。

第10 人間ドック

1 人間ドックには,体全体的な検査を行う全身ドックのほか,それぞれの部位ごとに徹底した検査を行う脳ドック,心臓ドック,脊椎ドックがあります(人間ドック選びクイックガイドHP「全身か部位別か 人間ドックの種類と内容」参照)。

2   脊椎ドックの場合,頚椎ドック,胸椎ドック及び腰椎ドックの3つに分かれていることがありますところ,脊柱菅狭窄症などの脊椎疾患,首や腰の痛みの元になる椎間板ヘルニアの早期発見や予防に役立つ検査です(同HPの「脊椎ドック」参照)。

第11の1 裁判所における,医学書及び医学論文の信用性

判例タイムズ1389号(平成25年8月発行)に,東京地裁医療訴訟対策委員会が作成した「医療訴訟の審理運営指針(改訂版)」が掲載されていますところ,17頁に以下の記載があります。

(ア) 医学書,医学論文
a 医学書,医学論文には様々なものがあり,その性質(例えば教科書的なものか,新規発見を記載した論文であるか),内容(例えば,統計的なものであれば標本の質や数等),刊行時期及び論文の作成年月日,執筆者,掲載されている雑誌の種類等によって,その正確性及び一般性並びに当該事件において問題となっている当時の医療水準や因果関係を立証する資料としての有用性が大きく異なる。
   そのため,立証目的や立証主題に応じて,適切なものを選択する必要がある。例えば,新規発見や臨床上まれな事例を報告した症例報告等をもって医療水準を主張する例も見られるが,そのような文献をもって当時の一般的な医療水準として法的義務があったと認めることは,通常,困難である。
b 医学書,医学論文を提出する際には,その出典,該当部分の作成者,刊行時期及び論文の作成年月日を明らかにするため,表紙や奥書等を付して提出する。また,必要に応じて,証拠説明書の中で上記事項について説明する。
c なお,医学文献は,一般的な知見を明らかにするものであるから,性質上,個々の事案への当てはめには限界があり(一般的には医療水準に適合する医療行為であっても当該患者に対して適用すべきでない場合やその逆の場合もあり得る。),当該事案についての医師の意見書等が有用である。

第11の2 裁判所における,診療ガイドラインの信用性

判例タイムズ1389号(平成25年8月発行)に,東京地裁医療訴訟対策委員会が作成した「医療訴訟の審理運営指針(改訂版)」が掲載されていますところ,17頁に以下の記載があります。

(イ) 診療ガイドライン
   現在,多数の診療ガイドラインが作成され,ホームページ等で公開されているが,診療ガイドラインごとに,作成目的,作成主体,診療ガイドラインの想定する医療機関,作成の際に参照された医学文献の範囲やエビデンスレベル等が異なることから,診療ガイドラインの証拠価値を一律に論じることはできない。
   しかしながら,診療ガイドラインの中には,関連する学会等が主体となり,複数の専門家が関与し,エピデンスレベルの高い論文に基づき作成されたものもある。そのような診療ガイドラインは策定時点における医学的知見を集約し,標準的な診療内容を示すものであるから,当該事案で問題になっている診療行為について更に個別的な検討を行う必要があるという点に留意が必要であるものの,医療水準を認定する上で重要な資料になる場合も多い。そのため,事案に関連する診療ガイドラインが公表されている場合には,提出することを検討すべきである。
   診療ガイドラインを提出する場合には,診療ガイドラインの作成主体,作成目的等が記載された冒頭部分を併せて提出する必要がある。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。