交通事故事件の刑事記録の入手方法

第0 目次

第1   総論
第2の1 謄写業者及び確定した刑事記録の保管場所
第2の2 西村謄写館及びOPO謄写センター
第2の3 西村謄写館及びOPO謄写センターの謄写料金等(平成29年7月12日追加
第2の4 西村謄写館及びOPO謄写センターと検察庁との間の協定書等(平成29年7月1日追加
第3の1 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)
第3の2 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)
第4の1 検番等の入手方法等(平成29年8月5日追加
第4の2 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法
第5の1 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法
第5の2 被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録
第6   不起訴事件記録の開示範囲の拡大
第7   検察庁における交通事故事件に関する記録閲覧等の概況(平成29年6月17日追加
第8   少年事件記録の入手方法
第9   事件の送致基準
第10    訓令及び通達

*1  「交通事故事件の刑事記録」「実況見分調書等の刑事記録の保管期間」及び「交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点」も参照して下さい。
*2 「症状固定前の交通事故被害者の留意点」及び「症状固定後の交通事故被害者の留意点」も参照して下さい。
*3 民事裁判所から不起訴事件記録の文書送付嘱託等がなされた場合の取扱いについては,「文書送付嘱託」を参照してください。
*4 刑事事件に関する書類については,行政機関に対する保有個人情報開示請求の適用対象外です(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律45条1項,刑事訴訟法53条の2第2項)から,個人情報開示請求によって,交通事故事件の刑事記録を取り寄せることはできません。
保管記録閲覧請求書(刑事確定訴訟記録法施行規則の様式第3号)
閲覧に関する決定書(記録事務規程様式第9号)
裁判書謄本・抄本交付請求書(記録事務規程様式第16号)

第1 総論

1(1)ア   交通事故の刑事記録に関して後述する取り寄せ方法は,①加害者が起訴されて刑事裁判が係属している場合,②起訴された加害者の刑事裁判の判決が確定した場合,③加害者が不起訴となった場合,又は④少年の加害者について審判開始決定が出た場合に関するものです。
  そして,刑事事件の捜査が継続している場合(=加害者がまだ起訴されていない場合),刑事記録を入手することはできません。
イ 被害者が刑事記録を取り寄せる場合,①については犯罪被害者保護法が適用され,②については刑事確定訴訟記録法が適用され,③については刑事訴訟法が適用され,④については少年法が適用されます。
(2) 刑事記録の取り寄せで不可欠となる交通事故証明書の入手方法については,「交通事故証明書の入手方法等」を参照して下さい。


2(1) 交通事故事件の刑事記録としては,実況見分調書,被疑者供述調書及び被害者供述調書があります。
   加害者が起訴された場合,原則として実況見分調書,被疑者供述調書及び被害者供述調書を入手できるのに対し,加害者が起訴されなかった場合,原則として実況見分調書しか入手できません。
(2) 刑事記録の具体的中身については,
「交通事故事件の刑事記録」を参照してください。 

3(1) 起訴事件の刑事記録は,①手続関係調書(例えば,起訴状,公判調書(手続)及び判決書),②証拠関係書類(例えば,証拠等関係カード,証拠書類及び公判調書(供述)),③身柄関係書類,④その他の書類及び⑤裁判員等選任手続関係書類に分かれます。
(2) 起訴事件の刑事記録の具体的中身については,「刑事訴訟記録の編成」を参照してください。

4 被害者が検察庁に処分結果の通知を希望する場合の手続については,「被害者等通知制度実施要領」を参照してください。 

5 大阪地検の記録の取扱いについては,「大阪地検の記録事務取扱要領」を参照してください。 

6 各地の検察庁の執務規程等については,「検察修習」を参照してください。 

第2の1 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所

1 謄写業者
(1) 大阪地家裁及び大阪地検の場合
ア   刑事記録を謄写(コピー)する際に利用する謄写業者は以下のとおりです。
①  加害者の刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の場合(一般財団法人司法協会HPの「記録謄写(複写)」参照)
・ 大阪地裁本庁に係属している場合
   「本庁」1階に入居している司法協会大阪出張所(電話:06-6336-1290)
・ 大阪地裁堺支部に係属している場合
   司法協会堺出張所(電話:072-227-4781) 
・ 大阪地裁岸和田支部に係属している場合
   司法協会岸和田出張所(電話:072-441-4374)
②  加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録
・ 大阪地検本庁に保管されている場合
    西村謄写館(電話:06-6455-2280)又はOPO謄写センター(電話:06-4796-2299)
・ 大阪地検堺支部又は岸和田支部に保管されている場合
    西村謄写館(電話:06-6455-2280)
③ 不起訴事件の刑事記録
   ②の場合と同じです。
(2) 京都地家裁及び京都地検の場合
   京都地家裁の裁判記録の謄写については,京都弁護士協同組合HP「地家裁謄写について」が,京都地検の刑事記録の謄写については,京都弁護士協同組合HP「検察謄写について」が非常に参考になります。
(3) 神戸地検の場合
ア 神戸地検の刑事記録の謄写については,兵庫県弁護士協同組合の謄写部が担当しています。
   神戸地検の刑事記録に関して謄写申請書を郵送する場合の宛先は,「〒650-0016 神戸市中央区橘通1-4-3」(兵庫県弁護士会と同じ住所です。)であるのに対し,謄写申請書を持参する場合,神戸地裁1階の謄写館室に持参します(全国弁護士協同組合HPにある,兵庫県弁護士協同組合の「当組合おすすめお役立ち情報」参照)。
イ 兵庫県弁護士協同組合の「当組合おすすめお役立ち情報」には,①乾式複写機の設置場所及び謄写の形態,並びに②兵庫県内における記録謄写の申請先一覧表が載っています。
(4)   謄写申請書等の書式
   全国弁護士協同組合HPにある,熊本弁護士協同組合の「当組合おすすめお役立ち情報」に,不起訴記録閲覧・謄写申請書,保管記録閲覧請求書及び謄写申出書の書式が載っています。

2 確定した刑事記録の保管場所
(1)ア 刑事事件について控訴又は上告された場合であっても,判決が確定した後は,第一審の裁判所を通じて対応する検察庁に送付されます刑事訴訟規則304条)。
   そのため,刑事記録の保管場所は,地裁が第一審の刑事事件の場合は地方検察庁であり,簡裁が第一審の刑事事件の場合(例えば,罰金の略式命令の場合)は区検察庁です(刑事確定訴訟記録法2条1項参照)。
イ 高松高検HPの「刑事事件記録の閲覧・謄写」には,「刑事事件記録の閲覧・謄写の請求は,第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官に対して行えます。」と書いてあります。
(2)ア 大阪の場合,大阪地検・大阪区検は,大阪池田区検,豊中区検,吹田区検,茨木区検,東大阪区検及び枚方区検に関する問い合わせを受け付けています。
   大阪地検岸和田支部・岸和田区検は,佐野区検に関する問い合わせを受け付けています。
   羽曳野区検は,富田林区検に関する問い合わせを受けて付けています(大阪地検HPの「管内検察庁の所在地・交通アクセス」参照)。
イ 「大阪地検の記録事務取扱要領」も参照してください。 

3 検察庁HPの説明
   京都地検HPの「検務部門の業務」の「記録担当」には,以下の記載があります。
(以下引用)  
   裁判が終結するなど全ての手続が終了した書類(記録)を一定期間保管・管理しています。
記録の閲覧についても取り扱っています。ただし,法律により閲覧が制限されることがあります。
〇交通事故の記録については膨大な数が取り扱われているため,閲覧の申込みには次の点に留意願います。
(1) 警察から検察庁に書類が送付されているか。
   警察から書類が送付されていない場合,検察庁で処理できませんので,まず事故の取扱警察署に確認してください。
(2) 検察庁の処分等が終わっているか。
   捜査中の記録等は閲覧できないため,検察庁の事件担当に処分状況をおたずねください。
〇被害者の方については,当庁の被害者支援員に相談して頂ければ,閲覧までのアドバイスを受けることができます。
閲覧・謄写に関する申出書

第2の2 西村謄写館及びOPO謄写センター

1(1) 西村謄写館は大阪地検本庁及び大阪地検堺支部の記録の謄写業務を担当し,OPO謄写センターは大阪地検本庁の記録の当社業務を担当しています。
   その関係で,大阪地検本庁で刑事記録を謄写する場合,OPO謄写センター及び西村謄写館のどちらで謄写するかという,閲覧・謄写に関する申出書を提出する必要があります。
(2) OPO謄写センターは18階にある公判提出予定記録の閲覧部屋の隣にあり,西村謄写館は18階のOPO謄写センターの隣にあります。
   また,大阪地検が入居している大阪中之島合同庁舎は,1階から13階までは低層階エレベーターを使用し,13階から24階までは高層階エレベーターを使用しています。
(3) OPO謄写センターは,検察庁職員だった人が運営しているといわれています(友新会HPの「第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部」参照)。

2 平成21年3月までは,大阪弁護士協同組合が大阪地検堺支部の記録謄写業務を行っていたものの,同年4月以降,西村謄写館が大阪地検堺支部の記録謄写業務を行うようになりました(友新会HPの「第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部」参照)。

3(1) 岸和田支部に保管されている刑事記録の謄写を西村謄写館に依頼する場合,西村謄写館が検察庁にその都度,コピー機を持ち込んでコピーしている関係で,枚数に応じた出張料を請求されます(全国弁護士協同組合HPにある,大阪弁護士協同組合の「当組合おすすめお役立ち情報」参照)。
(2) 平成29年4月現在,西村謄写館が岸和田支部に出張するのは週に1回だけですから,岸和田支部の刑事記録を謄写する場合,特に時間がかかります(早い場合は10日から2週間,長い場合は2ヶ月ぐらいらしいです。)。
   そのため,例えば,実況見分調書だけが欲しい場合,とりあえずは,デジカメ等で接写した上でプリントアウトしたものを利用した方がいいかもしれません。

4(1) 西村謄写館の電話番号は06-6455-2280(大阪地検18階)又は06-6364-2280(秋田ビル1階)です。
(2) OPO謄写センターの電話番号は06-4796-2299(大阪地検18階)です。

第2の3 西村謄写館及びOPO謄写センターの謄写料金等

1 西村謄写館の謄写料金等
(1) 平成29年7月時点の謄写料金(基本)一覧表を掲載しています。
(2) 大阪地検本庁,堺支部,岸和田支部及び羽曳野区検を通じて,公判前であると確定記録であるとを問わず,税抜きで,モノクロが1枚40円,カラーが1枚70円です。
(3) 公判前であると確定記録であるとを問わず,堺支部への出張経費等は500円以上であり,岸和田支部への出張経費は1000円以上であり,羽曳野区検への出張経費は1500円以上です。
   ただし,案件によりケースバイケースでとのことです。
(4) 確定記録の場合,150円の印紙代が別途,実費として発生します。
(5) 謄写料金には5%の消費税が付加されます(8%の消費税ではないです。)。
(6) 西村謄写館に謄写を依頼した場合,堺支部又は岸和田支部の記録についても,大阪弁護士会館北隣にある秋田ビル1階において,謄写料金と引換に刑事記録を交付してもらえます。

2 OPO謄写センターの謄写料金等
(1) 平成29年7月時点の謄写料金表を掲載しています。
(2) 大阪地検本庁,堺支部,岸和田支部及び羽曳野区検を通じて,公判前であると確定記録であるとを問わず,税込みで,モノクロが1枚40円,カラーが1枚80円です。
(3) 大阪地検本庁の記録だけを取り扱っています。
(4) 大阪市北区西天満1~6丁目とその一部周辺は,原則,平日(月~金曜日)夕方に弁護士事務所まで無料配達しています。
   また,同市中央区北浜1~4丁目及び同区今橋1~4丁目は,平日の月・水・金曜日の夕方に弁護士事務所まで無料配達しています。
西村謄写館の謄写料金(基本)一覧表
OPO謄写センターの謄写料金表

第2の4 西村謄写館及びOPO謄写センターと検察庁との間の協定書等

1(1) 大阪高検及び大阪地検と協定書等を作成している謄写業者(西村謄写館及びOPO謄写センター)の謄写業務のうち,紙媒体による謄写業務には以下の3種類があります。
① 対面業務式
   使用許可に係る設置場所に乾式複写機を設置し,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりに事件記録等の謄写を行う業務
② セルフ式業務
   使用許可に係る設置場所に設置されている特定の乾式複写について,謄写申請人自らが行う事件記録等の謄写に利用させる業務
→ 大阪高検及び大阪地検の場合,1枚当たり20円を超えて設定することはできない反面,白黒コピーに限定されています。
③ 出張謄写業務
   大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理する事件記録等の謄写について,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりに当該事件記録等を管理する検察庁まで赴き,事件記録等の謄写を行う業務
(2) パソコン等を設置し,謄写申請人の依頼を受けて,同人の代わりにCD-R,DVD,BD-R,USBメモリ,フロッピーディスクその他の外部電磁的記録媒体に記録された情報を,別の外部電磁的記録媒体に謄写する業務は,対面式業務及び出張謄写業務に含まれる業務とされています。
   
2 西村謄写館が,大阪高検,大阪地検本庁,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成している以下の文書を掲載しています。
① 平成26年4月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年4月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年4月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。

3 OPO謄写センターが,大阪高検,大阪地検本庁,大阪地検岸和田支部,大阪区検察庁交通分室及び羽曳野区検察庁が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成されている以下の文書を掲載しています。
① 平成26年4月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年4月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年4月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。

4 西村謄写館が,大阪地検堺支部が管理している事件記録等の謄写業務に関して,大阪高検及び大阪地検との間で作成している以下の文書を掲載しています。
① 平成26年9月1日付の事件記録等謄写業務協定書
② 平成26年9月1日付の謄写対象物管理計画
③ 平成26年9月1日付の情報セキュリティ計画
→ 本文は全部黒塗りです。
 

第3の1 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(被害者側)

以下の記載は,被害者又はその代理人弁護士が,加害者の刑事裁判係属中に,起訴事件の刑事記録を入手する場合に関する取扱いです。

1 第1回公判期日前の,最高検察庁の通達に基づく刑事記録の閲覧・謄写

(1) 第1回公判期日前の,最高検察庁の通達に基づく刑事記録の閲覧・謄写は,加害者の刑事裁判に対して被害者参加の申出をした被害者(刑事訴訟法316条の33以下)(以下「被害者参加人」といいます。)についてだけ認められています。
(2) 被害者参加人は,原則として,検察官請求証拠の閲覧が認められているものの,謄写までは認められていません。
   しかし,被害者参加人から委託を受けた弁護士が検察官請求証拠の謄写を求めた場合,謄写を求める理由や対象となる証拠の内容等に鑑みて,謄写の必要性が認められ,かつ,謄写に伴う弊害が認められないときであれば,被告人の身上調書,戸籍謄本,前科調書等を除く検察官請求証拠の謄写まで認められています。
(3)ア 「犯罪被害者等の権利利益の尊重について」(平成26年10月21日付の最高検察庁次長検事通達)4項には,以下の記載があります。
   対象被害者等から、検察官が証拠調べ請求をすることとしている証拠の開示を求められたときは、事案の内容、捜査·公判に支障を及ぼすおそれや関係者の名誉·プライバシーを害するおそれの有無·程度等を考慮して相当でないと認める場合を除き、当該証拠の閲覧を認めるなど、弾力的な運用に努められたい。なお、対象被害者等に証拠を開示するに当たっては、これにより知り得た事項をみだりに使用することのないよう注意を喚起するなど、適切な情報管理に配意されたい。
イ 「「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」の発出について」(平成26年10月21日付の最高検察庁総務部長及び公判部長の通達)第3・3項(2)イには,以下の記載があります。

   被害者参加人が適切かつ効果的に訴訟行為を行うためには,あらかじめ,証拠関係を十分把握する必要があるし,被害者等が被害者参加の申出をするか否かを判断するに当たっても,証拠関係を十分に把握することが必要な場合もあると考えられる。そして,検察官手持ち証拠のうち,検察官が当該被告事件について証拠調べ請求をすることとしている証拠(以下「検察官請求証拠」という。)については,検察官が当該被告事件の罪体及び情状の立証に必要であると判断した証拠であるので,上記いずれの観点からも一般に開示の必要性が高いと考えられる一方,検察官証拠請求は,検察官が後に公判廷で明らかにすることを予定している証拠であるので,一般に開示による弊害も少ないと考えられる。そこで,本依命通達3の(2)後段は,対象被害者等から,検察官請求証拠の開示を求められたときは,原則としてその閲覧を認めるなど,弾力的な運用に努めることを求めるものである。

   同後段は,対象被害者等から証拠の開示を求められた場合に,検察官請求証拠については原則としてその閲覧を認めることとする点にその趣旨があるのであって,それ以外の検察官手持ち証拠の開示を一律に禁止する趣旨ではない。したがって,例えば,刑事訴訟法第316条の15第1項又は第316条の20第1項の規定により検察官が被告人又は弁護人に開示した証拠についても,開示の必要性及び開示に伴う弊害の有無·程度を考慮して相当と認められるときは,これを開示することとしても差し支えない。

   また,同後段は,閲覧の方法により開示することを原則としている。これは,証拠の謄写まで認めることとすると,種々の弊害が生じるおそれが大きくなることを考慮してのことである。したがって,同後段は,証拠の謄写を一律に禁止するものではなく,例えば,被害者参加人から委託を受けた弁護士から証拠の謄写を求められた場合において,謄写を求める理由や対象となる証拠の内容等に鑑みて,謄写の必要性が認められ,かつ,謄写に伴う弊害が認められないときは,証拠の謄写を認めて差し支えない。


2 第1回公判期日後の,犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写等
(1)   
犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写
ア 犯罪被害者保護法3条に基づく刑事記録の閲覧・謄写は,被害者参加人に限らず,被害者一般に認められています。
イ 加害者について刑事裁判が係属している場合,第1回の公判期日後,刑事事件の判決が確定するまでの間において,裁判所は,刑事裁判の被害者等から公判記録の閲覧又は謄写の申出があるときは,①閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び②犯罪の性質,審理の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合を除き,閲覧又は謄写をさせるものとすることとされています(犯罪被害者保護法3条1項)。
   つまり,被害者は,被害者参加の申し出をしていない場合であっても,第1回公判期日以降であれば,原則として,加害者の刑事裁判を担当している裁判所の刑事部で刑事記録の閲覧・謄写ができるということです。
ウ(ア) 裁判所は,刑事記録の謄写をさせる場合において,謄写した刑事記録の使用目的を制限し,その他適当と認める条件を付することができます(犯罪被害者保護法3条2項)。
   また,刑事記録を閲覧し又は謄写した者は,閲覧又は謄写により知り得た事項を用いるに当たり,不当に関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し,又は捜査若しくは公判に支障を生じさせることのないよう注意しなければなりません(犯罪被害者保護法3条3項)。
   そのため,実務上は誓約書の提出を条件に刑事記録のコピーを認めてもらいます。また,誓約書の提出はコピーをするごとに求められます。
(イ) 犯罪被害者保護法3条に基づく閲覧・謄写の場合であっても,被告人の身上調書,戸籍謄本,前科調書等は通常,対象外となります。
(ウ) 犯罪被害者保護法3条に基づく閲覧・謄写の場合,刑事裁判に提出された記録だけが対象となります。
   そして,弁護人が「不同意」にした部分については,該当部分が黒塗りにされた状態で裁判所の記録となっていますから,そもそも閲覧すらできません。
エ 犯罪被害者保護法に基づく刑事記録の閲覧又は謄写は,判決書を謄写する場合であっても,当該被告事件の確定前に申出人の閲覧又は謄写が完了していなければなりません(法務省HPの「平成19年改正刑事訴訟法等に関する意見交換会」の第12回会合議事録2頁参照)。
オ 被害者が刑事記録を閲覧する場合,刑事事件記録等閲覧・謄写票に150円の収入印紙を貼付する必要があります(裁判所パンフレット「犯罪によって被害を受けた方へ」参照)。
カ 略式命令事件の場合,公判期日が存在しない点で犯罪被害者保護法3条の適用はないと解されていますから,被告事件の終結前に刑事記録を閲覧又は謄写をすることはできません。
キ 平成19年6月27日法律第95号(平成19年12月26日施行)による改正前は,当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合で,かつ,犯罪の性質,審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときに限り,閲覧又は謄写が認められていました。
(2)   最高検察庁の通達に基づく公訴事実記載書面及び冒頭陳述の取り寄せ
ア 被害者が,被告人となっている加害者の刑事裁判を担当している検察官に依頼した場合,起訴状記載の公訴事実等の内容を記載した書面,及び冒頭陳述の内容を記載した書面を交付してもらえます。
イ 「「犯罪被害者等の権利利益の尊重について(依命通達)」の発出について」(平成26年10月21日付の最高検察庁総務部長及び公判部長の通達)第3・3項(1)には以下の記載があります。

   被害者等が, 自己を被害者等とする事件の真相を知りたいと思うのは当然のことであり,刑事司法が「事件の当事者」である生身の被害者等の権利利益の回復に重要な意義を有するものである以上,真相解明の途上である捜査段階においては十分な説明は困難であっても,事件を公判請求した場合には,当該事件の被害者等の要望に応じて,事件の内容,捜査·公判に支障を及ぼすおそれや関係者の名誉·プライバシーを害するおそれの有無·程度等を考慮しつつ, 公判における検察官の主張·立証の内容を分かりやすく説明するのが相当である。

   このような説明に関連して,被害者等の要望があれば,起訴状記載の公訴事実等の内容を記載した書面や,冒頭陳述に際してあらかじめ書面を作成して裁判所に提出した場合においては,当該冒頭陳述の内容を記載した書面を交付するのが相当である。ただし,これらの書面を交付するに際しては,関係者のプライバシー保護に適切に配意する必要があり、例えば,公判廷で明らかにされない関係者の氏名を伏せた書面を交付すること,第三者へこれらの書面が不当に流出することがないように被害者等に注意喚起することなどの配慮が求められる。

3 裁判所HPでの説明
   裁判所HPの「裁判手続 刑事事件Q&A」には以下の記載があります。
Q.訴訟記録の閲覧及び謄写とはどのようなものですか。
A.刑事事件においては,裁判が進行中の事件では,その訴訟記録を一般の人が閲覧したり謄写したりすることはできません。しかし,刑事事件の被害者等については原則として,訴訟記録を閲覧したり,謄写したりすることができます。また,閲覧謄写をしようとする事件の被告人等により行われた,その事件と同種の犯罪行為の被害者の方(同種余罪の被害者)は,損害賠償を請求するために必要があると認められる場合には,訴訟記録を閲覧したり,謄写したりすることができます。

刑事事件記録等閲覧・謄写票
刑事事件記録等閲覧・謄写票(切取線の上に原符があります。)

第3の2 刑事裁判係属中の,起訴事件の刑事記録の入手方法(加害者である被告人側)

1(1) 弁護人は,第1回の公判期日前に,検察官が取調べを請求する予定の証拠書類及び証拠物を閲覧する機会を与えられます(刑訴法299条,刑訴規則178条の6第1項1号参照)。
   そのため,加害者は,依頼している弁護人に依頼すれば,起訴事件の刑事記録を入手できます。
(2)ア 弁護人として大阪地検本庁で公判提出予定記録の閲覧をする場合,午前であれば11時40分までに,18階の窓口に,証拠書類閲覧・謄写申請書及び弁護人選任届等の写しを持参する必要があります。
   ただし,事前に予約をする必要はありません。
イ 弁護人として神戸地検本庁で公判提出予定記録の閲覧をする場合,神戸地検5階の会議室で閲覧することとなります。

2(1) 平成17年11月1日施行の刑訴法に基づき,被告人又は被告人であった者が,検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠(=開示証拠)に係る複製等を,刑事裁判以外の目的で,人に交付し,又は提示し,若しくはインターネットに載せることは禁止されています(刑訴法281条の4)。
   被告人又は被告人であった者がこれに違反した場合,1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑訴法281条の5第1項)。 
(2) 東京地裁は,平成26年3月2日,法廷で警備職員にかみついた公務執行妨害事件の証拠を動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載した男性に対し,開示証拠の目的外使用の罪により,懲役6月,執行猶予2年の有罪判決を言い渡しました(外部ブログの「やったな!証拠の目的外使用で逮捕・有罪!」参照)。

3(1) 弁護士は,開示証拠の複製等を被告人に交付等するときは,被告人に対し,複製等に含まれる秘密及びプライバシーに関する情報の取扱いに配慮するように注意を与えなければなりません開示証拠の複製等の交付等に関する規程(平成18年3月3日会規第74号)(平成18年4月1日施行)3条1項)。
   また,弁護士は,開示証拠の複製等を交付等するに当たり,被告人に対し,開示証拠の複製等を審理準備等の目的以外の目的でする交付等の禁止及びその罰則について規定する刑訴法281条の4第1項及び281条の5第1項の規定の内容を説明しなければなりません(開示証拠の複製等の交付等に関する規程3条2項)。
(2) 弁護士が被告人に刑事記録を交付する場合,事件の検討に直接関係しない犯罪被害者等の個人情報はマスキングすることがあります(東弁リブラ2014年8月号「開示記録を差し入れる際の注意点」参照)。 

4(1) 証人等の安全が害されるおそれがある場合,弁護人は,被告人を含む関係者に対し,証人等の安全について配慮を求めることができます(刑訴法299条の2)。
(2) 被害者特定事項が明らかにされることにより,被害者等の安全が著しく害されるおそれがある場合において,検察官から配慮を求められたときは,弁護人は,被告人その他の者に被害者特定事項を知られないように配慮しなければなりません(刑訴法299条の3)。

5(1) 民事事件等で起訴事件の刑事記録を利用したい場合,検察官請求証拠又は弁号証として取り調べられた書証を刑事事件が係属している裁判所で謄写すればいいと思います。
(2)  平成18年3月3日の日弁連臨時総会の議事概要には,以下の記載があります。
   石崎和彦会員(第二東京)より、例えば、松川事件の広津和郎氏の場合のように、裁判所において取り調べ済みの捜査記録を報道機関などに資料として提示するなど、社会に向かって不当性を訴えていくことは、第4条に該当するか、また、第4条にただし書として、違法性がない旨を入れて頂きたいとの質問がなされた。これに対し、星副会長から、十分に理解のできることであるが、例えば、強姦事件の被害者の調書、有名人のプライバシーを記載した調書、企業秘密に属することが記載された調書などのように、公開の法廷において調べられた記録であれば、目的を問わず、どんな使用をしても懲戒の対象にはならない旨明文で言い切ってしまうことは賛成し難いが、被告人の防御のため、法廷で取り調べ済みのもの、現実に第三者の秘密、プライバシー、名誉が侵害されたのでなければ、多くの場合違法性が阻却されるであろうことは、刑訴法第281条の4第2項で考慮すべき事項として盛られていて、無罪を勝ち取るために闘っている弁護人が懲戒の対象になることは、例外的なケースであると思われ、ただ、自主判断事項なので、弁護士自治により我々が懲戒手続の中で判断することになるとの答弁がなされた。 

6(1) 弁護人が裁判所に対し,判決宣告の日から14日以内に判決書の謄本の交付請求をした場合(刑事訴訟法46条),判決書を必ず作成してもらえます(刑事訴訟規則219条1項ただし書)。
   しかし,弁護人が裁判所に対し,判決書の謄本の交付請求をしなかった場合,裁判所書記官が判決主文並びに罪となるべき事実の要旨及び適用した罰条を判決の宣告をした公判期日の調書の末尾に記載することで,判決書に代えることがあり(刑事訴訟規則219条1項本文),これを調書判決といいます。
(2) 判決書が作成された場合,調書判決と異なり,証拠の標目が記載されます(刑事訴訟法335条1項参照)し,通常は量刑の理由も記載されます。
(3) 弁護人が判決書の謄本の交付請求をする場合,1枚当たり60円の収入印紙が必要となります(刑事訴訟法施行法10条1項前段)。

第4の1 検番等の入手方法等

1 検番等の入手方法
(1) 被害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を入手する場合,①交通事故証明書に記載されている警察署に対し,弁護士会照会(弁護士法23条の2に基づく照会)を利用して送致日,送致番号,罪名,送致検察庁及び検番(=検察庁の事件受付番号)を調査します。
(2) 大阪弁護士会会員が同会の弁護士会照会を利用する場合,往復のレターパック料金1020円,及び弁護士会照会の手数料4320円の合計5340円が必要となります。

2 弁護士会照会の照会書の記載方法
   弁護士会照会の照会書における「2.申出の理由」及び「3.照会事項」は以下のとおり記載します。
① 「2.申出の理由」
申出弁護士は,別紙交通事故証明書記載の交通事故(以下「本件交通事故」という。)について,依頼者より,加害者に対する損害賠償請求の依頼を受けており,事故態様を明らかにするため,刑事記録を閲覧・謄写する必要があります。
② 「3.照会事項」
   本件交通事故に関し,下記の者について,以下の事項にご回答下さい。
(1) 検察庁へ送致済ですか。
未送致の場合は送致後にご回答ください。
また,送致予定がない場合は,その旨をご回答ください。
(2) 送致済の場合は,送致日,送致番号,罪名,送致検察庁,検番。
(氏名) 「甲野太郎」及び「乙野次郎」

3 被害者本人が検番等を教えてもらえること
(1) 被害者本人が①本人確認書類(例えば,運転免許証)及び②交通事故証明書を持参して交通事故証明書に書いてある警察署を訪問すれば,弁護士会照会を利用しなくても検番等を教えてもらえます。
(2) 被害者本人が警察署に電話をしても本人確認ができませんから,検番等を教えてもらうことはできません。

4 弁護士会照会の位置づけ等
(1) 弁護士会照会に対して自治体が前科及び犯罪経歴を回答した場合,国家賠償責任の問題となることがあります(最高裁昭和56年4月14日判決参照)。
(2) 弁護士会照会を受けた公務所又は公私の団体は,正当な理由がない限り,照会された事項について報告をすべきものと解されています(最高裁平成28年10月18日判決。なお,「弁護士会照会報告拒絶に対する損害賠償請求訴訟の最高裁判決に関する会長談話」(平成28年10月18日付の愛知県弁護士会会長談話)参照)。
(3) 郵便法上の守秘義務を負う日本郵便が,弁護士法23条の2第2項に基づき照会された事項の報告を拒絶する正当な理由があるか否かは,照会事項ごとに,報告することによって生ずる不利益と報告を拒絶することによって犠牲となる利益を比較衡量することにより決せられるべきであるとし,照会事項のうち,①郵便物についての転居届の提出の有無,②転居届の届出年月日及び③転居届記載の新住所(居所)については,報告を拒絶する正当な理由がないが,転居届に記載された電話番号については正当な理由があるとされた(最高裁平成28年10月18日判決の差戻控訴審である名古屋高裁平成29年6月30日判決)。

第4の2 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法

1 刑事記録の入手方法
(1)ア 被害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を入手する場合,①検察庁に対し,刑事事件の処分状況を,検番等を記載した「保管記録の調査依頼書」と題する手紙(添付書類は,交通事故証明書及び民事事件の委任状のコピー並びに82円切手を貼付した返信用封筒となります。)で問い合わせをして回答書を送ってもらい,②罰金等の有罪判決が確定した後に保管記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
イ 加害者代理人である弁護士が大阪地検で起訴事件の刑事記録を取り寄せる場合,検察庁に対して同じように処分結果の問い合わせをして回答書を送ってもらい(刑事訴訟法259条),起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
(2) 被害者代理人であると加害者代理人であるとを問わず,代理人弁護士が大阪地検で確定した起訴事件の刑事記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を検察庁の窓口に持参して提出する必要があります(大阪地検本庁の場合,窓口は8階にあります。その場で記録を閲覧したい場合,事前の予約が必要です。)。
① 保管記録閲覧請求書(検察庁指定の書式によるもの)
→ 150円の収入印紙が必要となります刑事確定訴訟記録法7条・刑事確定訴訟記録閲覧手数料令)。
② 謄写申出書(検察庁指定の書式によるもの)
③ 民事事件の委任状のコピー
④ 交通事故証明書のコピー
⑤ 回答書のコピー
→ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
⑥ 閲覧・謄写に関する申出書
→ 謄写業者としてOPO謄写センターと西村謄写館のどちらかを選択します。
   また,写真等についてカラーコピーを希望する場合,その旨を記載する必要があります。
⑦ 弁護士会発行の身分証明書
 
2 刑事記録の閲覧ができない場合
(1) 刑事記録の閲覧は,刑事訴訟法53条及び刑事確定訴訟記録法4条に基づき,法律上認められた権利であります。
   ただし,憲法21条及び82条は,刑事確定訴訟記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではありません(最高裁平成27年10月27日決定。なお,先例として,最高裁平成2年2月16日決定参照)。
(2)ア 以下の場合,訴訟関係人(例えば,被告人)又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があった場合を除き,閲覧できません(刑事確定訴訟記録法4条2項各号)。
① 保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
② 保管記録に係る被告事件が終結した後3年を経過したとき。
③ 保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。
④ 保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
⑤ 保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
⑥ 保管記録を閲覧させることが裁判員,補充裁判員,選任予定裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させることとなるおそれがあると認められるとき。
イ 刑事確定訴訟記録法4条2項の不開示事由は非常に広く解釈されているため,訴訟関係人以外の第三者が刑事記録を閲覧することは非常に難しいです(東京地検への閲覧申込みの体験談につき,外部ブログの「司法の秘密主義ってひどくなってないか」参照)。
(3) 保管検察官は,保管記録について閲覧の請求があった場合において,請求に係る保管記録を閲覧させないときは,その旨及びその理由を書面により請求をした者に通知します(刑事確定訴訟記録法施行規則8条3項)。
  そして,保管検察官の閲覧に関する処分について不服がある場合,準抗告により,その保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所(例えば,保管検察官が大阪地検に所属していた場合,大阪地裁)にその処分の取消し又は変更を請求することができます(刑事確定訴訟記録法8条・刑事訴訟法430条1項)。

3 刑事記録の閲覧・謄写に関する判例
(1) 刑事記録の謄写(=コピーの取り寄せ)は,記録事務規程17条に基づき,保管検察官の裁量により認められているに過ぎないのであって,保管検察官のした保管記録謄写不許可処分に対し,準抗告で争うことはできません(最高裁平成14年6月4日決定)。
(2) 刑事確定訴訟記録法6条の規定に照らし,関係人の名誉又は生活の平穏を害する行為をする目的でされた刑事記録の閲覧請求は,権利の濫用として許されません(最高裁平成20年6月24日決定)。
   そのため,実務上,検察庁からは,被告人の身上・前科関係の記録についてはそもそも閲覧・謄写の請求をしないように要請されます。
(3) 刑事記録を閲覧した場合,閲覧により知り得た事項をみだりに用いて,公の秩序若しくは善良の風俗を害し,犯人の改善及び更生を妨げ,又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはなりません(刑事確定訴訟記録法6条)。
(4) 再審請求人により選任された弁護人が,再審請求のための記録確認を目的として,当該再審請求がされた刑事被告事件に係る保管記録の閲覧を請求した場合には,同弁護人は,刑事確定訴訟記録法4条2項ただし書にいう「閲覧につき正当な理由があると認められる者」に該当します。
   そのため,保管検察官は,同項5号の事由の有無にかかわらず,保管記録を閲覧させる必要があります(最高裁平成21年9月29日決定)。
(5)  刑事確定訴訟記録法に基づく判決書の閲覧請求について,「プライバシー部分を除く」とする限定の趣旨を申立人に確認することなく,閲覧の範囲を検討しないまま,民事裁判においてその内容が明らかにされるおそれがあるというだけの理由で同法4条2項4号及び5号の閲覧制限事由に該当するとして判決書全部の閲覧を不許可とした保管検察官の処分には,同条項の解釈適用を誤った違法があります(最高裁平成24年6月28日決定)。
(6)  刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書,刑訴法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には,保管記録を請求者に閲覧させることによって,その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれる(最高裁平成27年10月27日決定)。 

保管記録閲覧請求書
保管記録閲覧請求書の記載例
謄写申出書
謄写申出書の記載例

第5の1 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書及び物件事故報告書)の入手方法

1 不起訴事件記録(例えば,実況見分調書)の入手方法等
(1)ア 被害者代理人である弁護士が大阪地検で不起訴事件記録を取り寄せる場合,①検察庁に対し,刑事事件の処分状況を,検番等を記載した「保管記録の調査依頼書」と題する手紙(添付書類は,交通事故証明書及び民事事件の委任状のコピー並びに82円切手を貼付した返信用封筒となります。)で問い合わせをして回答書を送ってもらい,②不起訴となった後に不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
イ(ア) 加害者代理人である弁護士が大阪地検で不起訴事件記録を取り寄せる場合,検察庁に対して同じように処分結果の問い合わせをして回答書を送ってもらい(刑事訴訟法259条),不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をすればいいです。
   ただし,後述するとおり,閲覧謄写申請に際しては弁護士会照会を利用する必要があります。
(イ) 加害者又はその代理人弁護士が検察庁に問い合わせをした場合,不起訴裁定の主文(例えば,「嫌疑なし」,「嫌疑不十分」,「起訴猶予」)を回答してもらうことはできません。
(2)ア 被害者代理人である弁護士が大阪地検で不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を検察庁の窓口で提出する必要があります(大阪地検本庁の場合,記録係の窓口は8階にあります。その場で記録を閲覧したい場合,事前の予約が必要です。)。
① 不起訴記録閲覧申請書(検察庁指定の書式によるもの)
② 謄写申請書(検察庁指定の書式によるもの)
③ 民事事件の委任状のコピー
④ 交通事故証明書のコピー
⑤ 大阪地検からの回答書のコピー
→ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
⑥ 閲覧・謄写に関する申出書(検察庁指定の書式によるもの)
→ 謄写業者としてOPO謄写センターと西村謄写館のどちらかを選択します。
  また,写真等についてカラーコピーを希望する場合,その旨を記載する必要があります。⑦ 弁護士会発行の身分証明書
イ 加害者代理人である弁護士が大阪地検で不起訴記録の閲覧・謄写申請をする場合,弁護士会照会を使用する必要があります。
(3)ア 被害者代理人である弁護士が神戸地検本庁で不起訴事件記録の閲覧・謄写申請をする場合,以下の書類を兵庫県弁護士協同組合謄写部(〒650-0016 神戸市中央区橘通1-4-3。電話:078-371-0548)に郵送すればいいです。
① 兵庫県弁護士協同組合宛の謄写委任状
② 民事事件の委任状のコピー
③ 交通事故証明書のコピー
④ 弁護士会照会に対する兵庫県警察署長の回答書のコピー
⑤ 神戸地検からの回答書のコピー
→ 検番に基づき刑事事件の処分状況を問い合わせた際に返ってくる文書です。
イ 兵庫県弁護士協同組合謄写部は,実際のコピー作業は神戸地裁1階の謄写館室で行っていますものの,住所は兵庫県弁護士会と同じです。
ウ 神戸地検本庁で不起訴事件記録の閲覧をする場合,神戸地検4階の記録係が窓口になります。
(4) 不起訴事件記録の入手方法自体は,起訴事件の刑事記録を入手する場合とほとんど同じであって,異なる点としては,①検察庁に提出する書類の書式が異なること,及び②150円の収入印紙が不要になることぐらいです。
  警察提出の診断書に書いてある加療期間が3週間以下の人身事故の場合,検番に基づく問い合わせをした後,検察庁から刑事事件の処分状況を知らされた時点で,加害者について罰金等の有罪判決を受けたか,又は不起訴となったのかが分かることが多いです(交通事故の刑事記録参照)。
(5) 不起訴事件記録としてほぼ常に存在する実況見分調書は,事故直後に警察が当事者双方の言い分を聞いて作成することから,事故態様を判断する上で最有力の証拠となります。
(6) 実況見分調書のうち,写真が添付されている部分については,カラー印刷のコピーを取り寄せるべきです。
(7) 刑事記録の謄写(=コピーの取り寄せ)は,記録事務規程17条に基づき,保管検察官の裁量により認められているに過ぎません。
(8) 加害者の不起訴処分を争う方法については,「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」を参照して下さい。

3 物件事故報告書の入手方法

(1) 物損事故の場合,実況見分調書ではなく,より簡略な物件事故報告書だけが作成されている場合があります。
(2) 物件事故報告書を取得するためには,交通事故証明書に記載されている担当の警察署に対する弁護士会照会を利用する必要があります。
   この場合,「申出の理由」として,「申出弁護士は,別紙交通事故証明書記載の交通事故(以下「本件交通事故」といいます。)について,依頼者より損害賠償請求事件の依頼を受けており,事故態様を明らかにするため,本照会に及んだ次第です。」と記載します。
    また,「照会事項」として,「本件交通事故に関し,事故発生現場の形状,衝突地点,衝突時及び衝突前後の双方の車両の位置関係並びに双方の車両の衝突箇所及び損傷箇所をご回答ください。回答に代えて,本件交通事故の現場状況図の写し及び物件事故報告書の写しをご送付いただければ幸いです。」と記載します。 

不起訴記録閲覧申請書
不起訴記録閲覧申請書の記載例
謄写申請書
謄写申請書の記載例

第5の2 被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録

「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長依命通達)によれば,被害者参加対象事件(例えば,人身の交通事故)において,閲覧又は謄写の対象となる不起訴事件記録は,以下のとおりです(意味の同一性を失わない限度で,閲覧・謄写を請求する側の表現に変えています。)。
○通達原文では,供述調書等につき,代替性がない場合,例外的に閲覧が認められ,供述者が死亡する「など」代替性がない場合,例外的に謄写が認められると書いてあります。
   そのため,例えば,供述者は生存しているが,その連絡先が不明である場合,供述調書の閲覧は認められるが,供述調書の謄写は認められないのかもしれません。

1 客観的証拠の閲覧
   被害者参加対象事件の被害者等については,「事件の内容を知ること」等を目的とする場合であっても閲覧が可能ですから,原則として,代替性の有無にかかわらず,相当でないと認められる場合を除き,閲覧が認められます。
  具体的な証拠の取扱いについては,以下のとおりです。
(1) 実況見分調書,検証調書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,原則として,閲覧が認められます。
   ただし,立会人の特定に関する記載や立会人が写っている写真等は,立会人のプライバシーにかかわるものであり,これが公になることにより第三者の協力が得られないこととなるおそれがあることなどから,マスキング等の措置がなされることがあります。
  その他,例えば,犯罪に関する痕跡のない部屋の見取図や写真についても,関係者のプライバシーという観点から,マスキング等の措置がなされることがあります。
  また,立会人の指示説明部分については,供述調書に準ずるものとして取り扱われますし,犯行状況の再現等のために行われた実況見分や検証の調書等についても同様です。
(2) 死者の検視調書,死亡診断書,死体検案書,死体の鑑定書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,当該死者の遺族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として,閲覧が認められます。
   この場合,死体の写真については,死者の名誉やプライバシーを侵害するおそれが高いことから,原則として,マスキングの措置が講じられますが,遺族及びその代理人たる弁護士からの強い要望があり,他に特段の弊害があるとは認められない場合,閲覧が認められることがあります。
  その場合,事前に遺族等に対し,死体の写真が衝撃的でショックを受けるおそれがあることなどを十分説明し,状況に応じて再考を促すなど,十分な意思確認が行われます。
(3) 身体の鑑定書,身体検査調書,診断書及びこれらに関する写真撮影報告書等については,鑑定等の対象となった被害者本人若しくはその親族又はその代理人たる弁護士からの請求である場合,原則として閲覧が認められます。
(4) 精神鑑定書等については,鑑定の対象者のプライバシー性がきわめて高いことから,原則として,閲覧が認められません。
  ただし,開示に伴う弊害がなく,かつ,開示を必要とする特段の事情があると認められる場合に限り,閲覧が認められます。例えば,鑑定の対象者等又はその代理人たる弁護士の有効な同意があるような場合には,鑑定人に及ぶ影響や弊害等も踏まえ,閲覧が認められることがあります。
(5) 信号機サイクル表については,原則として閲覧が認められます。
(6) 証拠物の写真撮影報告書,鑑定書等については,証拠物の性状等の客観的な事実を示すものですから,原則として,閲覧が認められます。
(7) 関係者の飲酒の有無・アルコール濃度に関する飲酒検知管,鑑定書等については,対象者が生存していても,原則として,閲覧に応じ,又はその結果の照会に対して回答してもらえます。
(8) その他の交通事故鑑定,速度違反,出火原因鑑定等の鑑定書については,原則として,閲覧が認められます。

2 供述調書等の閲覧
   供述調書等については,関係者の名誉・プライバシー,今後の捜査一般の円滑な遂行を害するおそれが高いため,原則として閲覧が認められていません。
  ただし,閲覧請求に係る供述調書等が代替性のないものであるときは,相当でないと認められる場合を除き,例外的に閲覧が認められることがあります。
  このように,供述調書については,原則として閲覧が認められませんが,被害者等の要望に応じて,不起訴処分をする際に,検察官において,処分理由の説明の一環として,必要と認められるときは供述内容を口頭で説明するなどの配慮が行われることがあります。

3 謄写できる部分
(1)   謄写については,当該事件が被害者参加対象事件であるか否かにかかわらず,民事訴訟等において被害回復のため損害賠償請求権その他の権利を行使する場合に限り,必要性及び相当性が認められる部分について認められることになっていますところ,通常は閲覧できる範囲と謄写できる範囲は同じです。
(2)   供述調書等については,供述人が死亡するなど代替性がないと認められる場合を除き,謄写が認められません。

第6 不起訴事件記録の開示範囲の拡大

1 不起訴事件記録は原則として開示されないこと
(1) 刑事訴訟に関する書類は,公判の開廷前(=通常,第1回の公判期日前)は,原則として非公開とされています(刑事訴訟法47条本文)。
   そのため,不起訴事件記録(=①不起訴処分となった後の不起訴記録及び②公訴提起後第1回公判期日前の記録並びに③公判不提出記録)の閲覧・謄写は原則として認められません。
(2) 刑事訴訟法47条本文が「訴訟に関する書類」を公にすることを原則として禁止しているのは,それが公にされることにより,被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーが侵害されたり,公序良俗が害されることになったり,又は捜査,刑事裁判が不当な影響を受けたりするなどの弊害が発生するのを防止することを目的としています(最高裁平成16年5月25日決定)。
(3) 刑訴法47条ただし書の規定によって「訴訟に関する書類」を公にすることを相当と認めることができるか否かの判断は,当該「訴訟に関する書類」が原則として公開禁止とされていることを前提として,これを公にする目的,必要性の有無,程度,公にすることによる被告人,被疑者及び関係者の名誉,プライバシーの侵害,捜査や公判に及ぼす不当な影響等の弊害発生のおそれの有無等の諸般の事情を総合的に考慮してされるべきものであり,当該「訴訟に関する書類」を保管する者(検察庁の保管検察官のことです。)の合理的な裁量にゆだねられています(最高裁平成19年12月12日決定)。

2 通達に基づく,不起訴事件記録の開示範囲の拡大
(1) 被害者等に対する不起訴事件記録の開示について(平成12年2月4日付法務省刑事局長通知(法務省刑総第128号))(「検察における被害者保護への取組みについて」に中身が書いてあります。)
ア(ア) 本通知発出前は,「検察庁においては,従来から交通事故に関する実況見分調書等の証拠につき,当該事件に関連する民事訴訟の係属している裁判所からの送付嘱託や弁護士会からの照会に応じてきたところである」という取扱いでした。
   つまり,交通事故事件の実況見分調書等に限り,裁判所からの文書送付嘱託又は弁護士会照会を通じて入手できるに過ぎませんでした。
(イ) 本通知発出前に交通事故の刑事記録を閲覧しようとした際の体験談につき,外部HPの「-「調書」が見たいという人のために-」が参考になります。
イ    本通知により,以下の取扱いとなりました。
(ア) 被害者等に対する不起訴記録開示の新たな方針
① 開示対象となる事件の範囲を,交通事故に係るもの以外の事件に拡大する。
② 開示対象となる記録の範囲を,写真撮影報告書,検視調書等の客観的証拠で,かつ,代替性がないと認められるものに拡大する。
③ 被害者又はその親族からの請求又はその代理人たる弁護士からの請求についても開示に応じる。
(イ) 閲覧又は謄写の請求者等
① 被害者又はその親族からの請求又はその代理人たる弁護士からの請求若しくは弁護士法に基づく照会(ただし,当該事件が単なる民事紛争に係るものであって,刑事事件の実質を有しないと認められる場合等を除く。
② 裁判所からの文書送付嘱託
③ 自動車保険料率算定会及び財団法人交通事故紛争処理センターからの照会
④ ①ないし③以外の場合における記録の開示の当否については,従前どおりの取扱いである。ただし,過失相殺事由の有無等を把握するため,加害者側が記録の閲覧又は謄写を求めるような場合には,正当に被害回復が行われることに資する場合も少なくないので,相当と認められるときは,請求に応じる。
(2) 民事裁判所からの不起訴事件記録の文書送付嘱託等について(平成16年5月31日付け法務省刑事局長通知(法務省刑総第627号))
ア 公判不提出記録に対する文書提出命令に関する最高裁平成16年5月25日決定を受けたものです。
イ 開示する条件自体は,平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知と同じであると思われます。
(3)  「被害者等に対する不起訴事件記録の開示について」(平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知(法務省刑総第1595号))
ア 平成20年12月1日以降,被害者参加対象事件である交通事故の被害者は,「事件の内容を知ること」等を目的とするときであっても,実況見分調書や写真撮影報告書等の客観的証拠について閲覧・謄写することができるようになりました(法務省HPの「不起訴事件記録の開示について」参照)。
イ 平成20年11月19日付の法務省刑事局長通知に基づき,現在,不起訴事件記録の開示が実施されています。 
ウ 民事裁判所から不起訴事件記録の文書送付嘱託等がなされた場合の取扱いについては,「文書送付嘱託」を参照してください。

第7 検察庁における交通事故事件に関する記録閲覧等の概況

1(1) 法務省刑事局総務課が作成した,「記録閲覧等の概況及び不服申立事件等について」を掲載しています。
① 平成23年分(平成25年 3月の検察月報の記事)
② 平成24年分(平成25年12月の検察月報の記事)
③ 平成25年分(平成26年12月の検察月報の記事)
④ 平成26年分(平成27年11月の検察月報の記事)
⑤ 平成27年分(平成28年11月の検察月報の記事)
(2)ア 検察月報の記事中における保管記録に以下の①及び②の記録が含まれることは間違いありませんが,不起訴記録が含まれているかどうかはよく分かりません。
① 刑事確定訴訟記録
      確定記録のうち,公判提出記録のことです(刑事確定訴訟記録法4条1項本文参照)。
② 裁判所不提出記録
      確定記録のうち,公判不提出記録のことです(刑事確定訴訟記録法4条3項参照)。
イ 刑事確定訴訟記録法の「保管記録」に不起訴記録は含まれません(刑事確定訴訟記録法2条1項及び2項参照)。
(3) 記録事務規程1条は,以下のとおり定めています。
   この規程は,刑事確定訴訟記録,裁判所不提出記録,不起訴記録,費用補償請求事件記録及び刑事補償請求事件記録の管理に関する事務の取扱手続を規定し,これを取り扱う職員の職務とその責任を明確にし,もってその事務の適正な運用を図ることを目的とする。

2 暦年ごとの記録閲覧等の概況の推移は以下の通りです。「⑦ 被害者又はその親族又はその代理人たる弁護士に係る不起訴記録の閲覧(謄写)状況」が交通時事訴訟の増加に直結しているのかもしれません(「地裁の各種事件数」参照)。

① 保管記録等の閲覧状況(交通事故に限らない。)(1表)
23年:2万1640件の閲覧請求
→ 許可が2万1573件,一部不許可が35件,不許可が32件
24年:2万3019件の閲覧請求
→ 許可が2万2925件,一部不許可が45件,不許可が49件
25年:2万2200件の閲覧請求
→ 許可が2万2116件,一部不許可が60件,不許可が24件
26年:2万3189件の閲覧請求
→ 許可が2万3076件,一部不許可が97件,不許可が16件
27年:2万2856件の閲覧請求
→ 許可が2万2666件,一部不許可が165件,不許可が25件

② 保管記録等の謄写状況(交通事故に限らない。)(1表)
23年:2万203件の謄写請求
→ 許可が2万152件,一部不許可が29件,不許可が22件
24年:2万1107件の謄写請求
→ 許可が2万101件,一部不許可が39件,不許可が37件
25年:2万838件の謄写請求
→ 許可が2万746件,一部不許可が47件,不許可が45件
26年:2万1846件の謄写請求
→ 許可が2万1772件,一部不許可が46件,不許可が28件
27年:2万1873件の謄写請求
→ 許可が2万1718件,一部不許可が59件,不許可が33件

③ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,確定記録の文書送付嘱託の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(3表及び4表)(「文書送付嘱託」参照)
21年:610件の受理(全体で1058件の受理)
22年:579件の受理(全体で1072件の受理)
23年:540件の受理(全体で1037件の受理)
→ 全て送付が369件,一部送付が141件,全く応じないが30件
24年:543件の受理(全体で970件の受理)
→ 全て送付が369件,一部送付が138件,全く応じないが36件
25年:510件の受理(全体で907件の受理)
→ 全て送付が372件,一部送付が107件,全く応じないが31件
26年:469件の受理(全体で759件の受理)
→ 全て許可が336件,一部送付が101件,全く応じないが32件
27年:451件の受理(全体で760件の受理)
→ 全て送付が324件,一部送付が94件,全く応じないが33件

④ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,不起訴記録の文書送付嘱託の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(6表及び7表)「文書送付嘱託」参照)
21年:1573件の受理(全体で1573件の受理)
22年:1592件の受理(全体で1592件の受理)
23年:1551件の受理(全体で1551件の受理)
→ 全て送付が549件,一部送付が884件,全く応じないが118件
24年:1626件の受理(全体で1809件の受理)
→ 全て送付が571件,一部送付が925件,全く応じないが130件
25年:1564件の受理(全体で1783件の受理)
→ 全て送付が538件,一部送付が909件,全く応じないが117件
26年:1537件の受理(全体で1777件の受理)
→ 全て送付が650件,一部送付が760件,全く応じないが127件
27年:1716件の受理(全体で1935件の受理)
→ 全て送付が635件,一部送付が959件,全く応じないが122件

⑤ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,確定記録の弁護士会照会による閲覧(謄写)の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(10表の上段)
23年:481件の受理(全体で513件の受理)
→ 全て許可が307件,一部許可が19件,全く応じないが155件
24年:555件の受理(全体で606件の受理)
→ 全て許可が411件,一部許可が5件,全く応じないが139件
25年:547件の受理(全体で593件の受理)
→ 全て許可が343件,一部不許可が11件,全く応じないが193件
26年:469件の受理(全体で533件の受理)
→ 全て許可が321件,一部不許可が8件,全く応じないが140件
27年:579件の受理(全体で635件の受理)
→ 全て許可が385件,一部許可が33件,全く応じないが161件

⑥ 自動車による過失運転致死傷罪に関する,不起訴記録の弁護士会照会による閲覧(謄写)の受理件数及び処理区分別件数(カッコ内は全体の受理件数)(10表の下段)
23年:2万3791件の受理(全体で2万4641件の受理)
→ 全て許可が2万631件,一部許可が2811件,全く応じないが349件
24年:2万5687件の受理(全体で2万6639件の受理)
→ 全て許可が2万3277件,一部許可が2145件,全く応じないが265件
25年:2万5801件の受理(全体で2万6635件の受理)
→ 全て許可が2万2726件,一部許可が2512件,全く応じないが563件
26年:2万7315件の受理(全体で2万8203件の受理)
→ 全て許可が2万4413件,一部許可が2650件,全く応じないが252件
27年:2万4912件の受理(全体で2万5826件の受理)
→ 全て許可が2万1828件,一部許可が2854件,全く応じないが230件

自動車による過失運転致死傷罪に関する,被害者又はその親族又はその代理人たる弁護士に係る不起訴記録の閲覧(謄写)状況(カッコ内は全体の受理件数)(12表及び13表)
21年:5336件の受理(全体で5497件の受理)
22年:4833件の受理(全体で5027件の受理)
23年:5671件の受理(全体で5935件の受理)
→ 全て許可が5395件,一部許可が272件,全く応じないが4件
24年:6718件の受理(全体で7068件の受理)
→ 全て許可が6180件,一部許可が532件,全く応じないが6件
25年:7345件の受理(全体で7701件の受理)
→ 全て許可が6711件,一部許可が628件,全く応じないが6件
26年:8853件の受理(全体で9380件の受理)
→ 全て許可が8644件,一部許可が207件,全く応じないが2件
27年:1万498件の受理(全体で1万1042件の受理)
→ 全て許可が1万226件,一部許可が258件,全く応じないが14件

3 総務省HPの「対象文書等(訴訟に関する書類)」によれば,平成12年から平成14年までの保管記録(交通事故に限らない。)の閲覧請求における閲覧目的は以下のとおりです。
① 平成12年の閲覧目的(合計1万7283件)
関連刑事事件のため:199件
関連民事事件のため:6525件
自動車保険料率算定のため:8814件
再審請求準備のため:59件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:326件
学術研究のため:33件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:78件
その他:1249件
② 平成13年の閲覧目的(合計1万7862件)
関連刑事事件のため:403件
関連民事事件のため:7206件
自動車保険料率算定のため:8889件
再審請求準備のため:51件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:224件
学術研究のため:37件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:92件
その他:960件
③ 平成14年の閲覧目的(合計2万158件)
関連刑事事件のため:266件
関連民事事件のため:7697件
自動車保険料率算定のため:1万631件
再審請求準備のため:73件
訴訟関係人(本人)が自己の記録を見るため:344件
学術研究のため:85件
マスコミ,文筆家の文筆資料とするため:98件
その他:964件
閲覧不許可通知書(記録事務規程様式第10号)
閲覧一部不許可通知書(記録事務規程様式第11号)
謄写申出書(記録事務規程様式第12号)

第8 少年事件記録の入手方法

1(1)ア 少年保護事件(=少年事件)とは,家庭裁判所における非行少年の事件をいい,交通事故の加害者が未成年者である場合,少年事件となります(「少年事件」参照)。
イ ここでいう少年とは,20歳に満たない者をいい(少年法2条1項),女性も含みます。
(2) 家庭裁判所が少年事件を扱う手続を少年審判手続又は少年保護事件手続といいます。

2 少年保護事件手続は,決定までの過程として,①非行少年の家裁への送致,通告→②家庭裁判所調査官等による調査→③審判開始決定→④調査結果を踏まえた審判という流れをとるのが原則です。

3(1) 少年事件の記録にはいわゆる法律記録及び社会記録があり,少年事件の係属中はもちろん,家庭裁判所の保護処分決定によって完結されたものについても家庭裁判所に保管されます。
(2) 法律記録は,非行事実の有無等に関する記録であり,社会記録は,要保護性に関する記録です。

4 少年事件の被害者等又は被害者等の委託を受けた弁護士は,審判開始決定(少年法21条)の発令後,保護事件を終局させる決定が確定してから3年を経過するまでの間(少年法5条の2第2項参照),原則として法律記録の閲覧又は謄写ができます(少年法5条の2第1項)。

第9 事件の送致基準

1 平成29年6月2日付の警察庁の行政文書不開示決定通知書によれば,どういう種類の事件を地方検察庁に送致し,どういう種類の事件を区検察庁に送致することになっているかが分かる文書は警察庁に存在しないところ,不開示とした理由について以下の記載があります。
   地方検察庁又は区検察庁のいずれかに送致するかといった具体的な基準については,刑事訴訟法第193条第1項に基づく検察官の司法警察職員に対する一般的指示として,各地方検察庁検事正から各都道府県警察に対して示されており,これに従っているところである。
   したがって,警察庁において送致基準に関する文書を作成・送付しておらず,また,都道府県警察から送致基準に関する文書の送付を受けていないことから,本請求に係る文書を保有しておらず,不開示とした。

2 「事件送致(付)の基準について」(平成19年6月11日付の大阪府警察の文書)によれば,大阪府警の場合,交通事故については,簡約特例書式が使用された事件は区検察庁に送致され,特例書式が使用された書式は地方検察庁に送致されるみたいです。

第10 訓令及び通達

1 訓令
(1)   訓令は,各省大臣等がその機関の所掌事務について命令又は至達するため,  所管の諸機関や職員に対して発するものであり(国家行政組織法14条2項),行政組織内部における規律を定めるもので,原則として法規の性質を持たず,私人に対する拘束力を有するものではありません(名古屋地裁平成23年4月22日判決)。
(2)ア 法務省の場合,法務省訓令は官報掲載を必要とする訓令であるのに対し,法務大臣訓令は官報掲載を必要としません。
イ 法務省訓令の例としては, 法務省刑事局HPに掲載されている,検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号)があります。
   法務大臣訓令の例としては,法務省刑事局HPに掲載されている,事件事務規程,執行事務規程,証拠品事務規程,徴収事務規程,記録事務規程及び犯歴事務規程があります。

2 通達
   通達は,行政上の取扱いの統一性を確保するために,上級行政機関が下級行政機関に対して発する法解釈の基準であって,国民に対し直接の法的効力を有するものではないとはいえ,通達に定められた事項は法令上相応の根拠を有するものであるとの推測を国民に与えるものです(最高裁平成19年2月6日判決)。

1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。