交通事故証明書及び自動車安全運転センター

第1 交通事故証明書

1 交通事故証明書には,交通事故発生の日時・場所,当事者の住所・氏名,自動車の登録番号,自賠責保険の保険会社・証明書番号,事故類型等が記載されています(自動車安全運転センター法29条1項5号,自動車安全運転センター法施行規則10条参照)。

2(1) 交通事故とは,車両等の交通による人の死傷又は物の損壊をいいます(道路交通法67条2項・自動車安全運転センター法2条2号)。
(2) 人身事故については事故発生から5年,物損事故については事故発生から3年をそれぞれ経過した交通事故については,原則として交通事故証明書を交付してもらえません。

3   交通事故証明書には,自賠責保険会社,自賠責保険証券番号も記載されていますから,交通事故証明書を取り寄せれば,加害者の自賠責保険会社がどこであるかが分かります。

4 交通事故証明書の事故類型としては以下のものが記載されています。
① 人対車両
② 車両相互
・ 正面衝突,側面衝突,出会い頭衝突,接触,追突,その他があります。
③ 車両単独
・ 転倒,路外逸脱,衝突,その他があります。
④ 踏切
⑤ 不明・調査中

5(1)   交通事故証明書は,損害の程度,事故原因,過失の有無を証明するものではありません。
(2) 交通事故証明書の当事者欄の記載については,公には加害者,被害者を区別するものではないとされていますものの,実務上は,警察において責任が重いと判断した者が甲欄に記載されていることなどから,事故態様を考える上で参考になります。

6 警察に対して届出をしていない交通事故の場合,交通事故証明書は存在しません。

第2 交通事故証明書の入手方法

1 交通事故証明書は,以下の人が入手できます(自動車安全運転センター法29条1項5号参照)。
① 交通事故の加害者及び被害者
② 交通事故証明書の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる人
→ 例えば,損害賠償請求権のある親族,保険金の受取人です。
③ ①又は②の人の代理人

2 交通事故証明書を取得するための「交通事故証明書申込用紙」は,各保険会社,警察署,交通安全協会(=安協。都道府県及び警察署単位で存在します。全国団体としては,全日本交通安全協会があります。),自動車安全運転センターの各都道府県事務所に備え付けられています。
  「交通事故証明書申込用紙」を取得して,申請人の住所又は郵送希望宛先,氏名,事故日,事故発生場所等を記入し,郵便局窓口で540円の交付手数料及び130円の送金手数料を支払うと,郵便局から自動車安全運転センターの各都道府県事務所に送付され,1週間以内に「交通事故証明書」が送られてきます。

3 自動車安全運転センターの各都道府県事務所の窓口に行けば,交通事故証明書を即日,交付してくれます。
  ただし,例えば,自動車安全運転センター大阪府事務所において,大阪府以外の場所で発生した交通事故証明書の発行を申請した場合,即日発行とはならず,後日の郵送となります。

4 交通事故の当事者である被害者又は加害者である場合,インターネット申請により交通事故証明書を入手できます(自動車安全運転センターHPの「インターネット申請には以下の条件があります」参照)。

5 交通事故の刑事記録を入手したい場合,「交通事故事件の刑事記録の入手方法」を参照してください。

第3 代理人弁護士が交通事故証明書を取得する方法等

1 代理人弁護士が交通事故証明書を取り寄せる場合,以下の手順となります(自動車安全運転センターHPの「申請方法」参照)。
① 交通事故証明書申込用紙にある払込取扱票を記入してコピーを取る。
   その際,交通事故証明書申込用紙の払込取扱票の「通信欄〒」に,「別便で委任状を発送済み」と書いておけばいいです。
② 記入済みの払込取扱票を持参して郵便局窓口で代金を支払う。
③ 別便により,自動車安全運転センターの各都道府県事務所(交通事故発生場所に所在する事務所です。)に,交通事故証明書申込用紙及び委任状のコピーを郵送する(各都道府県事務所の住所につき,自動車安全運転センターHPの「センター所在地一覧」参照)。

④ 1週間以内に,交通事故証明書が記載した住所に郵送されてくる。

2 交通事故証明書のコピーでいいのであれば,加害者の任意保険会社にお願いすれば送ってくれます。

   自賠責保険に対する被害者請求にも利用したい場合,「原本に相違ない」旨の記載をした交通事故証明書のコピーを送ってもらえばいいです。

第4 交通事故証明書に加害者の記載がない場合の被害者請求の方法

1 非接触事故において警察が単独事故扱いにした場合,交通事故証明書に加害者の記載をしてもらえません(非接触事故であっても損害賠償責任が発生する場合があることにつき最高裁昭和47年5月30日判決参照)。
   この場合,加害者に対して直接,損害賠償請求をした上で,加害者又はその代理人弁護士に対して自賠責保険会社及び自賠責保険の証券番号を問い合わせた上で,人身事故証明書入手不能理由書を添えて,自賠責保険会社に対する被害者請求をすることとなります。

2(1) 人身事故証明書入手不能理由書の「理由」としては,その他欄に「警察が単独事故扱いにしたため」等と記載します。
   また,自賠責保険の被害者請求は,法第16条請求ですから,「上記理由により人身事故証明書は取得していませんが,人身事故の事実に相違ありません。」欄には,被害者が当事者として自己の住所,氏名,連絡先等を記載します。
(2) 交通事故110番に「自賠責保険に対する被害者請求の書式」が掲載されています。

3 加害者との間で損害賠償請求訴訟が係属している場合,自賠責保険として被害者請求(法第16条請求)に応じることの可否について判断を行うことは困難であるとして,「○○様側からの法第16条請求については,当事者間訴訟の終結まで判断を保留することとし,現時点では法第16条請求に応じられないものと判断します。」ということで,「自動車損害賠償責任保険お支払い不能のご通知」が自賠責保険会社から送られてくる可能性が高いです。

4 後日,自賠責保険に対する被害者請求をすることを前提に訴訟上の和解をする場合,以下のような和解条項にすればいいと思います。
   過失割合が70%未満である場合,自賠責保険における過失相殺はありません。
 
1 被告は,原告に対し,本件事故に関して,民法709条及び自動車損害賠償責任保障法3条に基づく損害賠償責任を負うことを認める。
2 原告及び被告は,本件事故による過失割合について,原告に65%の過失があり,被告に35%の過失があることを確認する。
3 被告は,原告に対し,本件事故の物損部分に関する損害賠償金として,金○万円の支払義務があることを認める。
4 被告は,原告に対し,平成29年○月○日限り,前項の金員を,○○銀行○○支店の「預り金口座弁護士山中理司(あずかりきんこうざべんごしやまなかまさし)」名義の普通預金口座(口座番号:○○○○○)に振り込んで支払う。ただし,振込手数料は被告の負担とする。
5 原告は,本件事故の物損部分に関するその余の請求を放棄する。
6 原告及び被告は,本件事故の人損部分に関する損害賠償額については別途,協議するものとする。
7 原告は,本件事故に関して,被告が被保険者となっている自賠責保険会社に対する被害者請求により損害賠償金の支払を受けることができた場合,被告に対し,本件事故の人損部分に関する損害賠償請求はしないものとする。
8 訴訟費用は,各自の負担とする。

第5 自動車安全運転センター

1 自動車安全運転センターは,昭和50年9月1日施行の自動車安全運転センター法(昭和50年7月10日法律第57号)に基づき設立された特別民間法人であり,無事故無違反の携帯用証明書であるSD(=Safety Driver)カードの発行団体でもあります。

2 自動車安全運転センターは,運転経歴に関して,以下の証明書を発行しています(自動車安全運転センター法29条1項4号,自動車安全運転センター法施行規則9条)。
① 無事故・無違反証明書
→ 無事故・無違反で経過した期間を証明します。
② 運転記録証明書
→ 過去5年,3年又は1年間の交通違反,交通事故,運転免許の行政処分の記録について証明します。
③ 累積点数等証明書
→ 交通違反や交通事故の点数が,現在何点になっているかを証明します。
④ 運転免許経歴証明書
→ 過去に失効した免許,取り消された免許又は現在受けている免許の種類,取得年月日等について証明します。

3 「運転免許経歴証明書」は,公安委員会が,自発的に免許を取り消した人(=自主返納者)に対し,取消しを受けてから1ヶ月以内に,運転免許証に代わる写真付き身分証明書として発行する「運転経歴証明書」とは異なります。

4 自動車安全運転センター大阪府事務所は「大阪府門真市一番町23-16 大阪府警察本部門真運転免許試験場内」にあり,代表電話番号は06-6909-5821です。
   自動車安全運転センター大阪府事務所光明池分室は「大阪府和泉市伏屋町(ふせやちょう)5丁目13番1号 大阪府警察本部光明池運転免許試験場内」にあり,代表電話番号は0725-56-2626です。

第6 交通事故統計における当事者順位の決定方法

〇大阪府警察の「交通事故統計取扱要綱」の「5 当事者順位の決定」とほぼ同じではありますが,大阪府警察の「交通事故統計データ登録の手引」(抄本です。)によれば,当事者順位の決定方法は以下のとおりです。
 
1 原則
(1) 当事者に過失の差がある場合
   当該交通事故の当事者順位は,「過失の軽重」により,重い方を「先位当事者」,軽い方を「後位当事者」とします。
(2) 当事者間の過失の程度が同程度の場合
   「人身損傷の程度」により,損傷の軽い方を「先位当事者」,損傷の重い方を「後位当事者」とします。
 
2 例外
(1) 単独事故の場合
   常に車両等の運転者を第1当事者とし,その相手方となった「物件」等を第2当事者とします。
(2) 同乗者の場合
   同乗者(運転者のいる車両等に同乗している者に限ります。)については,直接当該事故に関与した当事者以外の後位当事者とします。
(3) 家屋内等物件の中にいた場合
   例えば,運転者AはCを同乗させて走行中家屋Bに衝突,同乗者C及び屋内にいたDが共に負傷した場合,第1当事者は運転者A,第2当事者は家屋B,第3当事者は同乗者C,第4当事者は家屋内にいた者Dとなります。
(4) ひき逃げ事故の場合
   ひき逃げ事故で,当事者不明の場合は,過失の大小を問わず「逃走した当事者」を第1当事者とします。ただし,登録修正期間内に逃走者を検挙した場合,原則に従って当事者順位を決定します。 
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。