交通事故証明書の入手方法等

第0 目次

第1   交通事故証明書
第2の1 交通事故証明書の入手方法
第2の2 交通事故証明書の利用例
第3   代理人弁護士が交通事故証明書を取得する方法等
第4   交通事故証明書に加害者の記載がない場合の被害者請求の対応
第5   交通事故統計における当事者順位の決定方法

*1 交通事故証明書の見本が自動車安全運転センターHPの「交通事故証明書」に載っています。
*2 「自動車安全運転センター」も参照して下さい。 

第1 交通事故証明書

1(1) 交通事故証明書には,交通事故発生の日時・場所,当事者の住所・氏名,自動車の登録番号,自賠責保険の保険会社・証明書番号,事故類型等が記載されています(自動車安全運転センター法29条1項5号,自動車安全運転センター法施行規則10条参照)。
(2) 交通事故証明書の発行手数料は,平成22年3月31日までは600円でしたが,平成22年4月1日からは540円となりました(神奈川県警高津警察署HPの「交通事故証明書・運転経歴証明書の発行手数料が変更になります」参照)。

2(1) 交通事故とは,車両等の交通による人の死傷又は物の損壊をいいます(道路交通法67条2項・自動車安全運転センター法2条2号)。
(2) 人身事故については事故発生から5年,物損事故については事故発生から3年をそれぞれ経過した交通事故については,原則として交通事故証明書を交付してもらえません。

3(1)   交通事故証明書には,自賠責保険会社,自賠責保険証券番号も記載されていますから,交通事故証明書を取り寄せれば,加害者の自賠責保険会社がどこであるかが分かります。
(2) 交通事故証明書のサンプルが外部HPの「交通事故証明書の取り方と物件事故を人身事故で申請する方法」に載っています。

4 交通事故証明書の事故類型としては以下のものが記載されています。
① 人対車両
② 車両相互
・ 正面衝突,側面衝突,出会い頭衝突,接触,追突,その他があります。
③ 車両単独
・ 転倒,路外逸脱,衝突,その他があります。
④ 踏切
⑤ 不明・調査中

5(1)   交通事故証明書は,損害の程度,事故原因,過失の有無を証明するものではありません。
(2) 交通事故証明書の当事者欄の記載については,公には加害者,被害者を区別するものではないとされていますものの,実務上は,警察において責任が重いと判断した者が甲欄に記載されていることなどから,事故態様を考える上で参考になります。

6 「犯罪事件受理簿等の様式について」(平成29年1月31日付の警察庁刑事局長通達)の犯罪事件受理簿(交通事故関係)(様式第2号及び様式第3号)は,交通事故証明書の記載とかなり重複しています。

7 警察に対して届出をしていない交通事故の場合,交通事故証明書は存在しません。

第2の1 交通事故証明書の入手方法

1 交通事故証明書は,以下の人が交付申請をすれば入手できます(自動車安全運転センター法29条1項5号参照)。
① 交通事故の加害者及び被害者
② 交通事故証明書の交付を受けることについて正当な利益を有すると認められる人
→ 例えば,損害賠償請求権のある親族,保険金の受取人です。
③ ①又は②の人の代理人

2(1)ア 交通事故証明書を取得するための「交通事故証明書申込用紙」は,各保険会社,警察署,交通安全協会,自動車安全運転センターの各都道府県事務所に備え付けられています(自動車安全運転センターHPの「申請方法」参照)。
  「交通事故証明書申込用紙」を取得して,申請人の住所又は郵送希望宛先,氏名,事故日,事故発生場所等を記入し,郵便局窓口で540円の交付手数料及び130円の送金手数料を支払うと,郵便局から自動車安全運転センターの各都道府県事務所に送付され,1週間以内に「交通事故証明書」が送られてきます。
イ 交通安全協会の略称は安協であり,都道府県及び警察署単位で存在します。全国団体としては,全日本交通安全協会があります。
(2) 交通事故証明書申込用紙裏面の「交通事故証明書申込みご案内」には,「証明書は,通常の場合,申込みの日から約10日~2週間でお届け(郵送)します。」と書いてありますものの,通常はそこまで時間がかかっていません。

3 自動車安全運転センターの各都道府県事務所の窓口に行けば,交通事故証明書を即日,交付してくれます(大阪府警察HPの「Q3 各証明書はすぐに交付してもらえるのですか。」参照)。
  ただし,例えば,自動車安全運転センター大阪府事務所において,大阪府以外の場所で発生した交通事故証明書の発行を申請した場合,即日発行とはならず,後日の郵送となります。

4(1) 交通事故の当事者である被害者又は加害者である場合,インターネット申請により交通事故証明書を入手できます(自動車安全運転センターHPの「インターネット申請には以下の条件があります」参照)。
   ただし,交通事故発生時と交通事故証明書の請求時とで住所の変更がある場合,インターネット申請を利用することはできません。
(2) 「申請項目の入力」を見る限り,交通事故を特定するための必須項目は以下のとおりですから,交通事故が発生した時刻は不可欠ではありませんし,交通事故が発生した住所は○○駅付近といった記載でも大丈夫みたいですし,相手方の氏名の記載は不要みたいです。
① 事故種別(人身事故・物件事故)
② 事故発生年月日
③ 事故発生都道府県
→ 北海道の場合,札幌方面,函館方面,旭川方面又は釧路方面まで記載する必要があります。
④ 取扱いをした警察署名又は高速隊名

5 交通事故の刑事記録を入手したい場合,「交通事故事件の刑事記録の入手方法」を参照してください。
交通事故証明書申込用紙表面

第2の2 交通事故証明書の利用例

1 交通事故証明書申込用紙裏面の「交通事故証明書申込みご案内」には,証明書の利用例として以下の趣旨の記載があります。
● 自動車損害賠償責任保険(農協共済)金の請求・・・保険会社(農協)へ提出
● 対人・対物・車両等の任意保険(農協共済)金の請求・・・保険会社(農協)へ提出
● 市町村・各種団体共済金の請求・・・市町村・各種の共済団体へ提出
● かんぽ生命保険・生命保険(特約付)金の請求・・・郵便局,保険会社へ提出
● 交通遺児育英資金の申請・・・交通遺児育英会,自動車事故対策センターへ提出
● 交通事故の示談,調停,訴訟
● 勤務先等への報告,廃車届
● 申請者の手控え等

2(1) 公益財団法人交通遺児育英会は,保護者が道路上の交通事故が原因で亡くなったり,7級以上の後遺障害又は身体障害者手帳4級以上の障害のため,経済的に修学が困難になった高校生・大学生・大学院生に対し,奨学金を無利子で貸し付けています(交通遺児育英会HPの「奨学金制度の概要」参照)。
(2) 自動車事故対策センターは昭和48年12月に発足した特殊法人でありますものの,平成15年10月,独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA(ナスバ))となりました(自動車事故対策機構HPの「沿革」参照)。
(3) 「任意保険の概要」及び「任意保険の示談代行制度」も参照して下さい。
交通事故証明書申込用紙裏面

第3 代理人弁護士が交通事故証明書を取得する方法等

1(1) 代理人弁護士が交通事故証明書を取り寄せる場合,以下の手順となります(自動車安全運転センターHPの「申請方法」参照)。
① 交通事故証明書申込用紙にある払込取扱票を記入してコピーを取る。
   その際,交通事故証明書申込用紙の払込取扱票の「通信欄〒」に,「別便で委任状を発送済み」と書いておけばいいです。
② 記入済みの払込取扱票を持参して郵便局窓口で代金を支払う。
③ 別便により,自動車安全運転センターの各都道府県事務所(交通事故発生場所に所在する事務所です。)に,交通事故証明書申込用紙及び委任状のコピーを郵送する(各都道府県事務所の住所につき,自動車安全運転センターHPの「センター所在地一覧」参照)。

④ 1週間以内に,交通事故証明書が記載した住所に郵送されてくる。
(2) 自動車安全運転センター大阪府事務所は「〒571-0033 大阪府門真市一番町23-16 大阪府警察本部門真運転免許試験場内」にあり,代表電話番号は06-6909-5821です。
(3) 交通事故証明書を入手するためだけの委任状を作成する場合,委任事項は,「大阪市北区西天満4丁目7番3号において,平成29年○月○日に発生した,私が当事者となっている交通事故に関する交通事故証明書を取り寄せる件,及びこれに関連する一切の件」という風に書けばいいです。

2 交通事故証明書のコピーでいいのであれば,加害者の任意保険会社にお願いすれば送ってくれます。

   自賠責保険に対する被害者請求にも利用したい場合,「原本に相違ない」旨の記載をした交通事故証明書のコピーを送ってもらえばいいです。

第4 交通事故証明書に加害者の記載がない場合の被害者請求の方法

1 非接触事故において警察が単独事故扱いにした場合,交通事故証明書に加害者の記載をしてもらえません(非接触事故であっても損害賠償責任が発生する場合があることにつき最高裁昭和47年5月30日判決参照)。
   この場合,加害者に対して直接,損害賠償請求をした上で,加害者又はその代理人弁護士に対して自賠責保険会社及び自賠責保険の証券番号を問い合わせた上で,人身事故証明書入手不能理由書を添えて,自賠責保険会社に対する被害者請求をすることとなります。

2(1) 人身事故証明書入手不能理由書の「理由」としては,その他欄に「警察が単独事故扱いにしたため」等と記載します。
   また,自賠責保険の被害者請求は,法第16条請求ですから,「上記理由により人身事故証明書は取得していませんが,人身事故の事実に相違ありません。」欄には,被害者が当事者として自己の住所,氏名,連絡先等を記載します。
(2) 交通事故110番に「自賠責保険に対する被害者請求の書式」が掲載されています。

3 加害者との間で損害賠償請求訴訟が係属している場合,自賠責保険として被害者請求(法第16条請求)に応じることの可否について判断を行うことは困難であるとして,「○○様側からの法第16条請求については,当事者間訴訟の終結まで判断を保留することとし,現時点では法第16条請求に応じられないものと判断します。」ということで,「自動車損害賠償責任保険お支払い不能のご通知」が自賠責保険会社から送られてくる可能性が高いです。

4 後日,自賠責保険に対する被害者請求をすることを前提に訴訟上の和解をする場合,以下のような和解条項にすればいいです。
   過失割合が70%未満である場合,自賠責保険における過失相殺はありません。
 
1 被告は,原告に対し,本件事故に関して,民法709条及び自動車損害賠償責任保障法3条に基づく損害賠償責任を負うことを認める。
2 原告及び被告は,本件事故による過失割合について,原告に65%の過失があり,被告に35%の過失があることを確認する。
3 被告は,原告に対し,本件事故の物損部分に関する損害賠償金として,金○万円の支払義務があることを認める。
4 被告は,原告に対し,平成29年○月○日限り,前項の金員を,○○銀行○○支店の「預り金口座弁護士山中理司(あずかりきんこうざべんごしやまなかまさし)」名義の普通預金口座(口座番号:○○○○○○○)に振り込んで支払う。ただし,振込手数料は被告の負担とする。
5 原告は,本件事故の物損部分に関するその余の請求を放棄する。
6 原告及び被告は,本件事故の人損部分に関する損害賠償額については別途,協議するものとする。
7 原告は,本件事故に関して,被告が被保険者となっている自賠責保険会社に対する被害者請求により損害賠償金の支払を受けることができた場合,被告に対し,本件事故の人損部分に関する損害賠償請求はしないものとする。
8 訴訟費用は,各自の負担とする。
人身事故証明書入手不能理由書1/2
人身事故証明書入手不能理由書2/2

第5 交通事故統計における当事者順位の決定方法

〇大阪府警察の「交通事故統計取扱要綱」の「5 当事者順位の決定」とほぼ同じではありますが,大阪府警察の「交通事故統計データ登録の手引」によれば,当事者順位の決定方法は以下のとおりです。
 
1 原則
(1) 当事者に過失の差がある場合
   当該交通事故の当事者順位は,「過失の軽重」により,重い方を「先位当事者」,軽い方を「後位当事者」とします。
(2) 当事者間の過失の程度が同程度の場合
   「人身損傷の程度」により,損傷の軽い方を「先位当事者」,損傷の重い方を「後位当事者」とします。
 
2 例外
(1) 単独事故の場合
   常に車両等の運転者を第1当事者とし,その相手方となった「物件」等を第2当事者とします。
(2) 同乗者の場合
   同乗者(運転者のいる車両等に同乗している者に限ります。)については,直接当該事故に関与した当事者以外の後位当事者とします。
(3) 家屋内等物件の中にいた場合
   例えば,運転者AはCを同乗させて走行中家屋Bに衝突,同乗者C及び屋内にいたDが共に負傷した場合,第1当事者は運転者A,第2当事者は家屋B,第3当事者は同乗者C,第4当事者は家屋内にいた者Dとなります。
(4) ひき逃げ事故の場合
   ひき逃げ事故で,当事者不明の場合は,過失の大小を問わず「逃走した当事者」を第1当事者とします。ただし,登録修正期間内に逃走者を検挙した場合,原則に従って当事者順位を決定します。 
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。