自賠責保険及び民法709条の損害賠償請求権の消滅時効

第1 自賠責保険の消滅時効

□ ①加害者請求の場合の保険金,及び②被害者請求の場合の損害賠償額の消滅時効は2年間です(①につき自賠法23条・商法663条,②につき自賠法19条)。

   ただし,平成22年4月1日以降に発生した事故については,保険金等の消滅時効は3年間です(①につき自賠法23条・保険法95条,②につき平成20年6月6日法律第57号による改正後の自賠法19条)。
□ 消滅時効の期間は以下のとおりです(平成22年4月1日以降に発生した事故については3年間です。)。
① 加害者請求の場合
    加害者が被害者に損害賠償金を支払った日の翌日から2年間。
② 被害者請求の場合
    (a)傷害による損害については,事故発生日の翌日から2年間であり,(b)後遺障害による損害については,症状固定日の翌日から2年間です。
③ 一括払事案の場合
    任意保険会社が最後に治療費の立替払をし,又は被害者に損害賠償金を支払って,自賠責保険会社から保険金の支払を受けた日の翌日から2年間です。
    よって,堅く見積もっても,任意保険会社が最後に治療費の立替払をした日から2年間は,自賠責保険の消滅時効は完成しません。
□ 加害者に対する損害賠償請求権と,自賠責保険会社に対する被害者請求の権利は,別個独立の権利であり,加害者に対し損害賠償請求訴訟を提起しても,自賠責保険会社に対する被害者請求の権利については,時効中断の効果が生じません。
    ただし,消滅時効が完成するまでに,それぞれの自賠責保険会社所定の書式による時効中断申請書を自賠責保険会社に提出すれば,提出された時点で消滅時効が完成している場合を除き,無条件で承認され,これによって消滅時効は中断します(民法147条3号)。
   そして,その時からさらに2年間又は3年間は,消滅時効は完成しません。
□ 被害者請求権が時効消滅した場合であっても,被害者が加害者に対する判決を得て,加害者の自賠責保険会社に対する保険金請求権を差押え,転付命令(民事執行法159条)を得ることで,加害者請求権による回収を図るという手段はあります(最高裁昭和56年3月24日判決参照)。
□ 加害者が任意保険に加入している場合,仮に被害者請求権について消滅時効が完成したとしても,被害者請求ができなくなるだけにすぎず,被害者が加害者の任意保険会社から損害賠償金を受領することはできます。
    そして,加害者の任意保険会社は,被害者に対する支払をしてから2年又は3年以内であれば,自賠責保険会社に対し,保険金の請求ができることとなります。

第2 民法709条の損害賠償請求権の消滅時効

□ 民法709条の不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は3年です(民法724条前段)。
□ 不法行為の被害者につきその不法行為によって受傷した時から相当の期間経過後に当該受傷に基因する後遺症が現われた場合には,当該後遺症が顕在化した時が民法724条にいう損害を知った時にあたり,後遺症に基づく損害であって,その当時において発生を予見することが社会通念上可能であったものについては,すべて被害者においてその認識があったものとして,当該損害の賠償請求権の消滅時効はその時から進行を始めます(最高裁昭和49年9月26日判決)。
□ 不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において被害者が一定の種類の損害に限り裁判上の請求をすることを明らかにし,その他の種類の損害についてはこれを知りながらあえて裁判上の請求をしない場合には,それらの損害が同一の不法行為に基づくものであっても訴えの提起による消滅時効中断の効力は請求のなかった部分には及びません(最高裁昭和54年3月9日判決)。
□ 後遺障害の場合,遅くとも,症状固定の診断を受けた時点が消滅時効の起算点とされています。
    そして,損害保険料率算出機構による等級認定は,自賠責保険の保険金額を算定することを目的とする損害の査定にすぎず,被害者の加害者に対する損害賠償請求権の行使を何ら制約するものではないから,事前認定の結果が非該当であり,その後の異議申立てによって等級認定がされたとしても,消滅時効の起算点には影響を与えません(最高裁平成16年12月24日判決参照)。
□ 民法724条後段所定の除斥期間の起算点は,「不法行為の時」と規定されており,加害行為が行われた時に損害が発生する不法行為の場合には,加害行為の時がその起算点となると考えられます。
   しかし,身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害されることによる損害や,一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病による損害のように,当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となります(最高裁平成18年6月16日判決。なお,先例として,最高裁平成16年4月27日判決,最高裁平成16年10月15日判決参照)。

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