症状固定前の交通事故被害者の留意点

第0 目次

第1 病院で治療を受ける場合
第2 労災保険
第3 整骨院への通院
第4 入院慰謝料及び通院慰謝料等
第5 警察との関係
第6 休業損害
第7 物損に関する示談,過失割合及び少額訴訟
第8 任意保険会社の説明義務及び同意書
第9 休職期間中の社会保険及び税金
第10 弁護士費用特約を利用できる場合,弁護士への相談は早ければ早いほどよいこと

*1 本ページでは,交通事故で怪我をした場合に,症状固定前に注意することを中心に記載しています。
*2 症状固定後の注意事項については,「症状固定後の交通事故被害者の留意点」を参照してください。

第1 初診時等の留意点,診療録,医療安全支援センター及び公的医療保険の利用等

1   初診時
(1) 交通事故から概ね3日以上が経ってから病院又は診療所(以下単に「病院」といいます。)の整形外科を受診した場合,交通事故と怪我との因果関係を争われる可能性が非常に高くなります(外部HPの「むち打ち損傷の発症時期と事故との因果関係」参照)。
   そのため,警察等への報告が終わった場合,当日又は翌日,遅くとも翌々日までに病院又は診療所(以下単に「病院」といいます。)の整形外科を受診してください(交通事故弁護士相談広場HPの「交通事故で自覚症状がなくても病院に行く!後で症状が出てくる怪我もある」参照)。
(2)  金曜日の夕方に交通事故にあった場合,「交通事故」+「整形外科」+「土曜日」+「(地名)」でネット検索をして,自宅の近くで土曜日の診察をしている整形外科を探した上で,土曜日に診察を受けた方がいいです。
(3) 怪我をした部位の全部について,警察に提出する診断書に記載してもらう他,レントゲン検査,CT検査,MRI検査等により画像を撮影してもらうようにしてください。
   自賠責保険に対して後遺障害の等級申請をした場合,等級認定の審査の一環としてA3サイズの「後遺障害事案整理票」が作成されますところ,そこには①初診時の傷病名,並びに②初期の症状及び態様も記載されています。
   また,自賠責保険診療報酬明細書を通じて,初診時の検査内容も重視されます。
(4) MRI検査は強力な磁石でできた筒の中に入り,磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影する検査です(外部HPの「MRI検査とは」参照)。
(5) 警察に提出する診断書では,被害者の加療期間が1週間から3週間ぐらいとなっていることが多いです。
   しかし,この診断書における加療期間は加害者の違反点数に影響するだけであって(例えば,加療期間が15日以上30日未満の場合は6点又は4点となり,15日未満の場合は3点又は2点となります(外部HPの「人身事故と物損事故の「罰金と点数」を完璧に知っておく」参照)。),実際の治療期間はこれよりも遥かに長くなることが通常です。
(6) 信頼できる整形外科に通院しないと,治療効果が十分に上がらない可能性があります。
   また,途中で転院した場合,交通事故の直後から診察してもらっているわけではないため,後遺障害診断書を作成するに際して,交通事故と後遺障害との因果関係を十分に説明できない可能性が高まります。
  そのため,通院することを検討している整形外科について,ネット検索で評判を調べた方が無難です。

2   診療録(カルテ)
(1) 交通事故直後に痛みを訴えていなかった箇所については,交通事故と痛みとの因果関係を争われる可能性が高くなるのであって,例えば,2週間ぐらいしてから初めて痛みを訴えた場合,それまでも痛かったけれど我慢していたといった程度の説明だけでは因果関係を否定される可能性が高いです。
   そのため,交通事故直後に受診する場合,痛みがある箇所はすべて診断してもらい,診療録に記載してもらうようにしてください。
(2)ア 訴訟提起した場合,被害者である患者が送付に反対したとしても,少なくとも交通事故日以後の整形外科の診療録は全部,裁判所の文書送付嘱託(民事訴訟法226条)により加害者側の弁護士が入手することとなり(個人情報保護法23条1項4号参照), 診療録に記載されなくなった痛みはその時点で治ったものであるなどと加害者側の弁護士に主張されることがあります。
   そのため,痛み,しびれ等が続いているにもかかわらず,痛み等が治まったなどと診療録に記載されることのないようにしてください。 
イ 上肢の3大関節としては,肩関節,肘関節及び手関節があり,下肢の3大関節としては,股関節,膝関節及び足関節があります。
   そして,例えば,これらの関節のいずれかが健康な側と比べて4分の3以上曲がらなくなった場合,12級の後遺障害等級が認定されますところ,途中の診療録で4分の3以上曲がったことがあることが記載されていた場合,仮に関節の可動域制限について後遺障害等級が認定されたとしても,将来の損害賠償請求訴訟に深刻な悪影響を及ぼします。
   そのため,日々のリハビリにおいて関節の可動域を計測する場合,痛みを我慢して無理に曲げることは絶対に止めて下さい。
(3) 医師は診療録に基づいて,任意保険会社に対し,毎月の自賠責保険診断書を作成して送付しています。
   そのため,診療録に痛み等が記載されなくなった場合,毎月の自賠責保険診断書にも痛み等が記載されなくなる結果,任意保険会社による治療費の打ち切りを誘発することとなります。
(4) 「症状固定後の被害者の留意点」でも記載していますが,後遺障害等級を認定してもらいたい場合,交通事故の当初から症状固定時までの間,毎月の自賠責保険診断書において症状が一貫していることが非常に望ましいです。
   そのため,毎月の自賠責保険診断書において痛み等の記載が中断した場合,後遺障害等級認定に不利に働くこととなります。
(5) 患者は,医師,歯科医師,薬剤師,看護師等に対し,診療録,処方箋,手術記録,看護記録,検査所見記録,エックス線写真,紹介状,退院した患者に係る入院期間中の診療経過の要約といった診療記録について,閲覧又は写しの交付を求めることができます(平成22年9月17日改正の,厚生労働省医政局医事課の「診療情報の提供等に関する指針」参照)。

3 医療安全支援センター
(1) 医療安全支援センターは,医療法6条の13に基づき,都道府県,保健所を設置する市及び特別区により,日本全国で380カ所以上設置されています。
(2) 大阪府下の医療安全支援センターの連絡先は,外部HPの「全国の医療安全支援センター 大阪府」に掲載されています。
   医療相談としては,大阪府健康医療部が行う医療相談(大阪府HPの「医療相談」参照)のほか,大阪府下の保健所が行う医療相談があります(大阪府HPの「保健所における医療相談窓口」参照)。
(3)   大阪市の場合,大阪市医療安全相談窓口(患者ほっとライン)が設置されています。

4   
公的医療保険の利用
(1) 公的医療保険を利用することを検討すべき場合
ア 被害者の過失が概ね3割以下の交通事故の場合,加害者側の任意保険会社(詳細につき「任意保険の示談代行制度」参照)による一括払を受けることができます。
   一括払というのは,加害者が加入している対人賠償責任保険において自賠責保険部分を含めて保険金を支払うという仕組みであり,症状固定前の場合,主として治療費及び休業損害の支払を意味します。
イ 以下の場合,治療費の負担を抑えるために公的医療保険を利用することを検討してください。
① 被害者にもそれなりの過失がある場合
→ 自由診療としての取扱いを受けて加害者側の任意保険会社に一括払をしてもらった場合,公的医療保険(国民健康保険,健康保険等)を使った場合と比べて治療費が倍ぐらいになる結果,それ以外の損害について得られる賠償金が少なくなります。
② 加害者が自賠責保険にしか加入していない場合
→ 傷害の場合,自賠責保険の上限は120万円です。
   そのため,公的医療保険を利用しない場合,重傷事案では治療費だけで120万円を超えてしまう結果,休業損害等について賠償を受けられなくなります。
ウ 例えば,公的医療保険を利用した場合の治療費が100万円,通院慰謝料が100万円,過失割合が3割の場合,200万円の損害額のうち,相手方に対して請求できる損害額は140万円となりますところ,100万円は治療費に充当されますから,追加で請求できるのは40万円となります。
   これに対して,任意保険会社の一括払を利用し続けた場合,自由診療として1点20円で計算される結果,公的医療保険を利用した場合の治療費の2倍ぐらいとなることがあります(ただし,自賠責保険診療費算定基準が適用されている場合,1.44倍近くです。)。
   そのため,例えば,治療費が公的医療保険を利用した場合の2倍である200万円,通院慰謝料が100万円,過失相殺が3割の場合,300万円の損害額のうち,相手方に対して請求出来る損害額は210万円となりますところ,200万円は治療費に充当されますから,追加で請求できるのは10万円だけとなります。
エ 自賠責保険診療報酬明細書を取り寄せれば,1点20円で計算されているのか,それとも自賠責保険診療費算定基準で計算されているのかが分かります。
   後者の場合,左下の「請求額の計算」欄に,「A(イ×単価×1.2)」とか,「B(ロ×単価)」などと書いてあります(単価は1点12円です。)。
詳細については,「交通事故の診療費算定基準」を参照して下さい。 
オ 公的医療保険を利用する場合,交通事故証明書を持参して,「第三者行為による傷病届」(「第三者行為による災害届」ともいわれます。)を市区町村等に提出する必要があります(大阪市HPの「保険給付でのご注意」参照)。 
(2) 交通事故でも公的医療保険を利用できること等
ア 病院は,自由診療の場合と比べて受領できる治療費が半分ぐらいになりますから,交通事故の治療において公的医療保険を使うことに消極的です。
   しかし,公的医療保険の適用範囲の傷病であれば,保険医療機関である病院は,患者から被保険者証の提出とともに公的医療保険による診療を求められた場合,それが交通事故によるものであることを理由として,公的医療保険による診療を拒否することができません(「犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて」(平成23年8月9日付の厚生労働省保険局保険課長等の通知)等参照)。
イ 公的医療保険による診療の場合,通常の診療の場合と同様に,窓口で毎回,3割の自己負担金を支払う必要があります(保険医療機関及び保険医療養担当規則5条1項参照)。
   その後,自己負担金の分を別途,任意保険会社に対して請求する必要がありますから,一括払と比べると,被害者側の手続は面倒になります。
ウ 交通事故に起因する疾病等で公的医療保険を利用した場合,最終的には自賠責保険会社及び任意保険会社が医療費を負担することになります。
   その関係で,医療機関で診察を受ける際,交通事故に起因する疾病等に基づく場合,「第三者行為傷病届」を病院の窓口で提出する必要があります(国民健康保険法施行規則32条の6,健康保険法施行規則65条参照)。
自賠責保険診断書
自賠責保険診療報酬明細書(入院外)(J9A2)1/2
自賠責保険診療報酬明細書(入院外)(J9A2)2/2

第2 労災保険

1 労災事故の場合,公的医療保険を利用できないこと等
(1) 業務中の事故(業務災害)又は通勤中の事故(通勤災害)である場合,労災保険を利用できる反面,公的医療保険を利用することはできません(協会けんぽ鹿児島支部HPの「仕事中や通勤途中にケガをしたとき」参照)(国民健康保険法56条1項,健康保険法55条1項)。
(2) 労働災害であるにもかかわらず,健康保険で治療を受けてしまった場合の手続については,厚生労働省HPの「お仕事でのケガ等には,労災保険!」が参考になります。 
(3)   労災保険を利用できる場合,被害者の過失割合に関係なく,治療費の全額を労災保険に支払ってもらうことができます。
(4) 20人以上の事業所において,業務災害が全くない場合,労災保険料率が基準額から最大で40%割引となるのに対し,業務災害がたくさんある場合,労災保険料率が基準額から最大で40%割増となります(外部HPの「労災保険のメリット制に関する基礎知識」参照)。
   ただし,通勤災害の場合,事業主に責任がないことから,労災保険料率の割増にはつながりません。

2 労災保険の利用に必要な書類
(1) 労災保険給付関係請求書は,厚生労働省HPの「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」に掲載されています。
(2) 労災保険指定医療機関で治療を受ける場合,病院に対し,「療養補償給付たる療養の給付請求書(様式第5号)」(業務災害用)又は「療養給付たる療養の給付請求書(様式第16号の3)」(通勤災害用)を提出します。
(3) 労災保険指定医療機関以外の医療機関で治療を受ける場合,労基署に対し,「療養補償給付たる療養の費用請求書(様式第7号)」(業務災害用)又は「療養給付たる療養の費用請求書(様式第16号の5)」(通勤災害用)を提出します。
   ただし,これらの請求書に関する文書料は労災保険から支給してもらえません。
(4) 療養補償給付等を請求する場合,①負傷又は発病の年月日,並びに②災害の原因及び発生状況について事業主の証明を受ける必要があります(労災保険法施行規則12条1項3号及び4号・同条2項等)。
   ただし,会社が事業主の証明をしてくれない場合であっても,労災保険を利用できることがあります(外部HPの「会社が「事業主証明」を拒否した場合の労災保険給付請求書の取扱い」参照)から,この場合,労基署に相談して下さい。
(5) 事業主である会社は,被災労働者が労災保険を利用するのに助力する必要がある(労災保険法施行規則23条)反面,労基署長に対し,業務災害又は通勤災害に該当するかどうかについて意見を申し出ることができます(労災保険法施行規則23条の2)。
 
3 交通事故の場合でも,労災保険を自由に利用できること
(1) 厚生労働省HPに掲載されている「第三者行為災害のしおり」の10頁「自賠責保険等に対する請求権を有する場合」には,「自賠先行の場合に、引き続いていわゆる「任意保険」(自動車保険または自動車共済)による保険金支払いを受けるか、または労災保険給付を先に受けるかについても、同様に被災者等が自由に選べます。」と書いてあります。
   そのため,交通事故の場合でも,加害者側の任意保険会社ではなく,労災保険に治療費を支払ってもらうことができます。
(2) 労災保険に治療費を支払ってもらった場合,公的医療保険の1.2倍ぐらい治療費で済むこととなります。
   そのため,被害者にもそれなりの過失がある場合,公的医療保険を利用するのと同様の理由により,労災保険を利用した方がいいこととなります。

4 第三者行為災害及び労働者死傷病報告
(1) 交通事故に関して労災保険を利用する場合,労基署に対し,交通事故証明書等を持参して第三者行為災害届(労災保険法施行規則22条)及び念書(兼同意書)(様式第1号)を提出する必要があります(大阪労働局HPの「第三者行為災害について」参照)。 
   第三者行為災害については,厚生労働省の「第三者行為災害のしおり」が参考になります。 
(2) 交通事故が業務災害に該当する場合,事業主は,所轄の労基署に対し,労災申請とは別に,労働者死傷病報告書(労働安全衛生規則97条)を提出する必要があります(外部HPの「労働者死傷病報告書」参照)。  

第3 整骨院に通院する際の留意点

1 整骨院の説明
(1) 整骨院(「接骨院」ともいいます。)に通院した場合,国家資格者としての柔道整復師が施術に当たります。
(2) 整骨院では,電気療法,手技療法,温熱療法,運動・ストレッチといった施術が行われます。
(3) 柔道整復師は医師ではありませんから,外科手術及び薬品投与ができませんし(柔道整復師法16条),医師の同意がない限り脱臼又は骨折の患部に施術をすることができません(柔道整復師法17条)。
   ただし,脱臼又は骨折の患部の施術については,医師から同意を得た旨が施術録に記載されていれば足りるのであって,医師の同意書までは必要とされていませんし,整形外科医以外の医師の同意で足ります(昭和31年7月11日付の厚生省医務・保険局長通知)。
  
2 整骨院の施術費は争われやすいこと
(1) 整骨院の施術費は整形外科の治療費と比べて割高であることが普通です(1回当たり平均で6000円ぐらいかかります。)。
   また,マッサージ等により症状が楽になることもあって整形外科よりも通院頻度が多くなることが普通です。
   その結果,任意保険会社から整骨院の施術費と交通事故との因果関係を争われることが多いです。
   そのため,①病院が遠方にあるとか,②仕事をしていて病院の診療時間内に通院することができないとか,③病院の整形外科では鎮痛薬,湿布薬等の処方しかしてもらえないといった事情により,近所の整骨院に通院する場合,病院の整形外科医等に事前に相談した上で,少なくとも整骨院への通院の必要性がある旨を診療録に記載してもらうようにしてください。
(2) 整形外科への通院回数と比べて整骨院への通院回数が極端に多い場合,任意保険会社において,整骨院への通院回数又は施術内容の水増しがあるのではないかといった疑念を抱いてくることがあります。
   実際,任意保険会社に通院回数又は施術内容の水増しがばれた結果,整骨院が施術費の返還を強いられたり,交通事故の被害者も通院回数又は施術内容の水増しを疑われたりすることがあります。
   そのため,整形外科への通院回数と比べて整骨院への通院回数が極端に多い場合,メモ書きで結構ですから,通院した日を記録しておいた方がいいです。
(3) 整骨院は,整体院又はカイロプラクティックとは異なります。
   整体院又はカイロプラクティックの場合,施術者は国家資格を持っていませんし,公的医療保険を利用することもできませんから,整骨院への通院以上に治療の必要性及び相当性が争われます。
  
3 整形外科への通院を優先すべきであること
(1) 一般的に,外傷に起因する捻挫や挫傷等による症状は,追突や衝突等による衝撃で筋肉や靱帯等の軟部組織が損傷を受けた際に発症するものであることから,受傷直後が最も重篤であり,その後,時間の経過に伴い損傷を受けた部位の修復が得られることにより,症状は徐々に軽減をたどるとされています。
   その関係で,通院慰謝料を計算する場合,整骨院は整形外科と同様の取扱いを受けますものの,後遺障害が残ってしまった場合に後遺障害の有無を判断する場合,整骨院は医療機関ではありませんから,整形外科への通院歴が非常に重視されます。
   そのため,同じリハビリ治療を行うのであれば,整骨院ではなく,交通事故のリハビリ治療も行っている整形外科に通院することが非常に望ましいです。
(2)   「交通事故」+「整形外科」+「リハビリ」+「(地名)」でネット検索をすれば,リハビリ治療をしている整形外科を探すことができます。
   例えば,「交通事故 整形外科 リハビリ 大阪市北区」という風に検索すればいいです。
(3) 交通事故のリハビリ治療をしていない整形外科の場合,治療のために1週間に2回通院することが難しいものの,既に通院している整形外科から通院先を変更することは望ましくありません。
   そのため,代替手段として,1週間に1回は整形外科に通院し,整形外科医の指示に基づき,1週間に1回以上,整骨院でリハビリ治療を受ければいいです。

第4 入院慰謝料及び通院慰謝料の留意点

1 総論
(1) 慰謝料とは,交通事故によって被った精神的な苦痛に対する賠償のことであり,入院慰謝料及び通院慰謝料のほか,症状固定となった時点で発生する後遺障害慰謝料があります。
(2) 入院慰謝料及び通院慰謝料については,入院又は通院の頻度及び期間を基準として金額が定められます。
(3)   任意保険の場合,通院慰謝料を計算する場合の基準となる通院回数は1週間に2回ですから,1週間に2回以上のペースで整形外科又は整骨院に通院してください。
(4) 自賠責保険の場合,①治療期間(交通事故で怪我をした日から症状固定日まで)の全日数,又は②実際に通院をした日数の2倍のいずれか少ない方の日数に4200円をかけた金額が通院慰謝料となります(通常は②で計算します。)。
   例えば,4月10日に交通事故に遭い,同月27日までの間に5回,通院した場合,治療期間の全日数18日間よりも,実際に通院した日数の2倍である10日の方が小さいですから,自賠責保険からの通院慰謝料は4200円×5日×2=4万2000円となります。
(5)   自賠責保険に対して上限の通院慰謝料(1ヶ月30日の場合,12万6000円)を請求したい場合,例えば,週に1回,整形外科で鎮痛薬及び湿布薬を処方してもらう一方で,週に2日か3日,整骨院で患部に対する直接的な施術をしてもらうといった方法で,2日に1回以上のペースで整形外科又は整骨院に通院してください。
(6) 交通事故直後に救急搬送された病院が遠方にある等の事情により通院しにくい場合,紹介状(=診療情報提供書)を書いてもらい,任意保険会社の了解をもらった上で,通院しやすい病院に転院してください。
(7) 病院は,毎月末締めで診断書及び診療報酬明細書を作成し,これを加害者側の任意保険会社に送付することで治療費の立替払いを受けています。
   その関係で,任意保険会社としては,病院から被害者の医療情報を取得することとなりますから,被害者に対し,「個人情報の提供に関する同意書」の作成を依頼しています。
(8) 1ヶ月以上の通院期間の中断がある場合,病院から毎月送られてくる診断書及び診療報酬明細書をチェックしている任意保険会社から今後の通院の必要性を否定される可能性が高くなりますし,後遺障害の等級認定に大きな悪影響を与えます。
   そのため,痛み,しびれ等が少しでも続いている場合,絶対に通院を中断しないようにしてください。
(9) 交通事故から6ヶ月以上が経過した場合,任意保険会社が治療費の打ち切りを通告してくることが多くなります。
   この場合において未だに痛み等が継続しているなど治療の必要がある場合,任意保険会社に対し,主治医を通じて治療の必要性があることを連絡してもらうようにしてください。
(10) 入院慰謝料につき,仕事や家庭の都合等で本来より入院期間が短くなった場合には増額が考慮され,他方,入院の必要性に乏しいのに本人の希望によって入院していた場合には減額が考慮されます。
   なお,入院待機中の期間及びギブス固定中等による自宅安静期間は,入院期間と見ることがあります。
(11) 任意保険会社は通常,示談を成立させる前の時点で入院慰謝料及び通院慰謝料を支払ってくれることはありません。
(12) 14級の後遺障害等級の認定をしてもらうためにはできる限り整形外科に半年間,週2回のペースで通院することが望ましいです。
   その関係で,通院実日数は183日間×2/7=52日間は欲しいところです。
 
2 入通院慰謝料の目安
(1) 通常の事故の場合
ア 大阪地裁で使用されている入通院慰謝料額表(通常の事故)によれば,通院だけの場合,1月当たりの通院慰謝料(週2回以上の通院した場合)は,27万円(1月目)→約23万円(2月目~)→18万円(4月目)→12万円(6月目~)→8万円(7月目~)→6万円(12月目~)→約5万円(13月目~)→約4万円(16月目~)→約3万円(19月目~)と推移します。
   また,入院だけの場合,1月当たりの入院慰謝料は,53万円(1月目)→48万円(2月目)→45万円(3月目)→40万円(4月目)→34万円(5月目)→30万円(6月目)→16万円(7月目)→11万円(8月目)→9万円(9月目~)→8万円(11月目)→5万円(12月目)→約4万円(13月目~)→約3万円(15月目~)と推移します。
イ   軽度の神経症状(むち打ち症で他覚所見のない場合等)の入通院慰謝料は,以上の入通院慰謝料の3分の2程度となります。
  例えば,骨折等がレントゲンで確認できる場合,他覚所見に該当することに争いはないものの,椎間板ヘルニアがMRIで確認できるに過ぎない場合,加齢性の変性によることが多いため,それだけでは他覚所見とはいえません。
ウ 例えば,他覚所見のないむち打ち症で6ヶ月間通院した場合の慰謝料は80万円であり,他覚所見のあるむち打ち症で6ヶ月間通院した場合の慰謝料は120万円です。
 
(2)   重傷の事故の場合
ア 大阪地裁で使用されている入通院慰謝料額表(重傷の事故)によれば,通院だけの場合,1月当たりの通院慰謝料(週2回以上の通院した場合)は,34万円(1月目)→約28万円(2月目~)→約23万円(4月目~)→15万円(5月目)→10万円(6月目~)→8万円(12月目)→約5万円(13月目~)→約4万円(19月目~)→3万円(24月目~)と推移します。
   また,入院だけの場合,1月当たりの入院慰謝料は,64万円(1月目)→57万円(2月目)→54万円(3月目)→48万円(4月目)→41万円(5月目)→36万円(6月目)→19万円(7月目)→13万円(8月目)→11万円(9月目)→11万円(10月目)→10万円(11月目)→6万円(12月目)→約5万円(13月目~)→約3万円(19月目~)と推移します。
イ   重傷の事故とは,重度の意識障害が相当期間継続した場合,骨折又は臓器損傷の程度が重大であるか多発した場合等,社会通念上,負傷の程度が著しい場合をいいます。
 
   なお,上記の重傷に至らない程度の傷害についても,傷害の部位・程度によっては,通常基準額を増額することがあります。
自賠責保険診療報酬明細書(入院)(J9A1)1/2
自賠責保険診療報酬明細書(入院)(J9A1)2/2

第5 警察との関係の留意点

1   警察に対して必ず人身事故で届出をすること等
(1)   警察に対して交通事故を届ける場合,物件事故か人身事故のいずれかに区分されることになりますところ,交通事故で怪我をしている場合,必ず人身事故で届出をしてください。
(2)   交通事故直後に物件事故扱いになっていた場合,事故日と初診日の記載がある診断書のほか,運転免許証を持参して,交通事故の処理を行った警察署の交通課に行って下さい。
   交通事故から時間が経過している場合,警察は,交通事故と怪我との因果関係が分からないなどということで,物件事故から人身事故への切り替えに難色を示すようになりますから,遅くとも交通事故の日から10日以内に早く行って下さい。
(3) 高速道路での交通事故の場合,都道府県警察本部交通部の高速道路交通警察隊(大阪府警察組織規程9条等参照)が担当部署となります(「交通警察」参照)。 
(4)   交通事故証明書の右端の欄を見れば,物件事故と人身事故のどちらの扱いになっているかが分かります。
   なお,任意保険会社に依頼すれば,交通事故証明書のコピーを送ってもらえます。 
(5) 物件事故で届出をした場合,「物件事故処理要領について」(平成4年2月14日付の警察庁交通局交通指導課長等の通知)に基づく物件事故報告書が作成されるだけとなり,現場見分(警察官が現場に臨場し,実況見分を行うこと)が省略されることが多くなります。
(6) 犯罪捜査規範10条は「捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。 」と定めています。 
   また,犯罪捜査規範10条の2第1項は「捜査を行うに当たつては、被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。 」と定め,同条第2項は「捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。 」と定めています。 
(7)   平成29年3月30日付の大阪府警察の「不存在による非公開決定通知書」によれば,以下の文書は存在しません。
① 警察官が犯罪被害者の事情聴取を行う際,どのような場合であれば,犯罪被害者から依頼を受けた弁護士が同席できるかが分かる文書
② 警察官が犯罪被害者の立会を得た上で交通事故現場の実況見分を行う際,どのような場合であれば,犯罪被害者から依頼を受けた弁護士が同席できるかが分かる文書 
 
2   実況見分調書等の刑事記録
(1)   人身事故で届出をした場合,警察が被害者及び加害者の事情聴取をして供述調書,実況見分調書等の刑事記録を作成します。
(2)   警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,実況見分調書を簡略化した,「現場の見分状況書」が作成されることが多いです。
   ただし,実務上は,「現場の見分状況書」も含めて,「実況見分調書」と呼んでいます。
(3)   事故直後に加害者が自分の非を認めていたという事実は,示談や訴訟においてあまり大きな意味を持たないのであって,実況見分調書の記載の方が遙かに大事です。
(4)   現場の見分状況書には,加害者からの指示説明に基づき,①最初に相手を発見した地点,②危険を感じた地点,③ブレーキをかけた地点及び④衝突をした地点が図示されています。
   例えば,②ないし④が同じ地点である場合,加害者がブレーキをかけずに被害者に衝突したこととなります。
(5) 信号表示内容が争点となる事件では,正確な信号サイクルを知る必要があります。
   信号サイクルは実況見分調書と一緒に検察庁で開示されることがありますものの,開示されなかった場合,弁護士会照会を利用して信号サイクルを取り寄せる必要があります。

(6) 弁護士費用における実費のうちの5340円は,実況見分調書等の刑事記録を取り寄せるために必要な検番(検察庁の事件番号です。)等を調査するために大阪弁護士会の弁護士会照会(日弁連HPの「弁護士会照会制度」参照)を利用するときに必要となる費用です(5340円のうち,4320円は照会申出の手数料であり,1020円は往復のレターパックの代金です。)。

   ただし,交通事故証明書及び運転免許証を持参して,交通事故証明書に記載されている警察署の窓口に依頼者が自分で行き,送致日,送致番号,罪名,送致検察庁及び検番を聞いてくることができる場合,不要にできる費用です。

(7)   加害者が不起訴となっていた場合,検番(検察庁の事件受付番号)等が判明してから実況見分調書を取り寄せるまでに少なくとも2週間はかかります。
   また,加害者が起訴されて罰金刑等の刑事罰を受けた場合,供述調書を含む刑事記録が開示されます(「交通事故事件の刑事記録の入手方法」参照)。 
(8) 加害者の不起訴処分を争う方法については,「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」を参照して下さい。 
  
3 実況見分調書作成時の留意点
(1)   加害者が不起訴になった場合,検察庁において供述調書が開示されることはない(刑事訴訟法47条本文参照)ものの,実況見分調書は開示されます。
   そして,過失割合が争いになった場合,実況見分調書は信用性の高い証拠として非常に重視されることとなります。
   そのため,警察の実況見分にはできる限り立ち会うようにするとともに,実況見分調書の作成に立ち会った場合,担当の警察官に対して事故当時の状況を正確に説明できるようにしてください。
(2) 実況見分調書は,客観的に記載するように努め,被疑者,被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても,その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならないとされています(犯罪捜査規範105条1項)。 
(3) 警察官が交通事故現場の実況見分を行った際,被疑者,被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて,特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合,関係者の署名押印を求めてきますものの,署名押印は拒絶することができます(
犯罪捜査規範105条2項前段・刑事訴訟法198条5項ただし書)。
(4) 警察の実況見分に立ち会う際,道路標識の意味(外部HPの「道路標識の種類と意味」参照)を復習しておいた方がいいです。
   また,道路に引かれている黄色及び白色の線の意味,バイクのすり抜けの過失割合等については,「センターライン,車線境界線,バイクのすり抜け及び交通違反に対する不服申立方法」を参照して下さい。
(5) 交通事故の特例書式及び簡約特例書式に関する平成26年5月14日付の警察庁の通達には以下の記載があります(「交通事故事件の刑事記録」参照)から,交通事故現場における加害者の態度等にかんがみ,加害者が警察に対して嘘の説明をしている可能性がある場合,交通事故の態様に関して後日問題となるおそれが大きいなどと主張して,被害者立ち会いの下での実況見分調書の作成を警察に対して要求すべきです。
立会人
   原則として当事者を立ち会わせること。ただし、当事者のいずれかが病院等に収容されたような場合は、立会可能な当事者等を立ち会わせること。
   病院等に収容された当事者が立会可能となった場合は、その段階でその者を立ち会わせて改めて実況見分を行うこと。ただし、1回目の見分により真相が究明され、後日問題となるおそれがない場合で、その見分を被疑者の立会いの下で実施しているときは、この限りでない。

4   警察で作成される刑事記録の種類
(1)   警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間を超える交通事故の場合, 「過失運転致傷等事件に係る特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,実況見分調書,交通事故現場見取図,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです。
   これに対して,警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,現場の見分状況書,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです(「交通事故事件の刑事記録」参照)。 
(2) 人身事故を起こした場合の刑事責任については,「交通事故等の刑事責任及び資格制限その他の不利益」を参照して下さい。

5 加害者の交通違反の点数 
人身事故を起こした場合,加害者の交通違反の点数として,基礎点数(例えば,安全配慮義務違反の2点)のほか,被害者の治療期間及び加害者の責任の度合いに応じて以下の付加点数が加算されます(「交通違反及び行政処分」参照)ところ,過去3年間の行政処分歴がない場合であっても,違反点数6点で免許停止となり,違反点数15点で免許取消となります。
① 被害者の治療期間が15日未満である場合,3点又は2点
② 被害者の治療期間が15日以上30日未満である場合,6点又は4点
③ 被害者の治療期間が30日以上3月未満である場合,9点又は6点
④ 被害者の治療期間が3月以上である場合,13点又は9点

6 都道府県公安委員会に対する苦情申出制度
(1) 警察職員が,職務執行において違法,不当な行為をしたり,なすべきことをしなかったりしたことによって,何らかの不利益を受けた場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます(警察法79条)。
   そのため,例えば,実況見分における警察官の対応について違法不当な行為があった場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます。
   ただし,交通違反について,後日否認を申し出る場合,取り締まった警察署等に申し出る必要があります。
(2) 大阪府公安委員会に対する苦情申出については,大阪府警察HPの「苦情申出制度のご案内」を参照して下さい。 
 
7 白切符,青切符及び赤切符並びにこれらに対する不服申立方法
(1) 白切符,青切符及び赤切符
ア 交通事故を起こした際に交通違反がある場合,①白切符(違反点数のみの場合),②青切符(違反点数及び反則金の納付が予定されている場合)又は③赤切符(違反点数・行政処分及び罰金等の刑事罰が予定されている場合)を交付されます(外部HPの「白切符,青切符,赤切符の違いをわかりやすく説明します。」参照)。
イ 反則金が発生する反則行為の場合,交通反則通告制度が適用される結果,青切符が交付され,反則金を納付すれば前科は付きません(道路交通法130条本文)。
   これに対して反則行為よりも悪質な非反則行為の場合,赤切符が交付され,罰金等の前科が付くこととなります。
ウ 普通に交通反則金を支払う場合,長野県警察HPの「交通反則通告制度についてよくある質問」が非常に参考になります。
エ 外部HPの「点数一覧表①」及び「点数一覧表②」に,交通違反の種類ごとの,違反点数及び反則金又は罰金の金額が記載されています。
オ 反則行為をした結果として交通事故が発生した場合,交通反則通告制度が適用されません(道路交通法125条1項3号)から,例えば,人身事故を発生させたことについて過失がある場合,罰金等の刑事罰を受けることとなります。
   また,交通違反の基礎点数に加えて,被害者の治療期間及び不注意の程度に応じた付加点数が付きます(外部HPの「基礎点数と付加点数」参照)から,少なくとも免許停止になることが多いです。
(2) 違反点数に対する不服申立方法
ア 違反点数が付いた結果,免許停止又は免許取消となった場合,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます。
   これに対して違反点数が付いただけの場合,運転免許証の有効期間の更新に際して一般運転者に当たるとされますから,優良運転者である旨を記載した運転免許証の交付を求めて,都道府県公安委員会に対する審査請求及び地方裁判所に対する取消訴訟によって争うことができます(運転免許証の更新処分の取消しを求める訴えの利益があることにつき最高裁平成21年2月27日判決)。
イ ドラレコ又はGoProで違反行為の不存在を客観的に主張できる場合,違反点数に対する不服申立てによって,違反点数を取り消してもらえることがあります。
ウ 免許停止等については,「免許取消及び免許停止,各種の違反者講習」を参照して下さい。
(3) 青切符における反則行為及び赤切符における非反則行為の不服申立方法
ア 青切符にサインをしたものの,青切符における反則行為の存在を争いたい場合,納付書を無視し,警察本部長名義の反則金通告を無視し,警察からの説得の電話を拒絶した後,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。),略式命令による罰金を断ればいいです。
   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。
   これらの一連の流れは,外部HPの「青切符違反の無実を裁判で争うための正しい知識」が非常に参考になります。 
イ   赤切符における非反則行為を争いたい場合,検察庁での取調べにおいて否認し(検察庁には絶対に出頭する必要があるのであって,理由なく不出頭を続けた場合,逮捕される可能性があります。,略式命令における罰金を断ればいいです。
   検察庁において嫌疑不十分で不起訴となったり,起訴猶予処分となったりした場合,その時点で正式に終わるものの,起訴された場合,正式裁判を受けることとなります。
ウ 略式命令による罰金が出た後であっても,略式命令を受け取ってから14日以内に正式裁判の請求(刑事訴訟法465条1項)をすれば,正式裁判で自分の言い分を主張できることとなります。
   実際,赤切符の裏側には,正式裁判の請求ができる旨の「略式手続説明書」及び「申述書」が記載されていますし,「上記略式命令に対しては,告知を受けた日から14日以内に当裁判所に対して正式裁判の請求をすることができます。」という記載もあります。
エ 正式裁判を受ける際に私選弁護人を選任していない場合,事件が係属している簡易裁判所に請求すれば,国選弁護人を選任してもらえます(刑事訴訟法36条)。 
現場の見分状況書(簡約特例書式)
実況見分調書1/2(特例書式)
実況見分調書2/2(特例書式)
交通事故現場見取図(特例書式)

第6 休業損害の留意点

1 休業損害の対象期間
(1)  休業損害は,事故による傷害が治癒し,又は症状固定までの間に,受傷のために休業したことにより得ることができなかった額について認められます。
   そして,症状固定の後に発生した損害については,後遺障害逸失利益となります。
(2) 賠償の対象となる休業期間は原則として現実に休業した期間とされます。
   しかし,症状の内容・程度,治療経過等からして就労可能であったと認められる場合,①現実に休業していても賠償の対象にならないことや,②一定の割合に制限されることがあります(②については,休業損害の割合的認定といいます。)。
(3) 土日祝日につき,休業初日より連続して欠勤や有給休暇を取得している場合,休業日数に含まれます。
   これに対して,いったん出勤した後の欠勤日や有給休暇取得日に隣接した土日・祝日については,原則として休業日数に含まれません(特に,任意保険会社との事前交渉の場合)。
   そのため,少なくとも勤務先等の理解により休業できるのであれば,無理に就労することは止めて下さい。
(4) 自動車事故による頸部(=首)やその周辺の打ち身,捻挫等の通称名は「むち打ち」であります。
   しかし,むち打ちは,損傷そのものではなくその受傷機転(損傷を負うこととなった原因)を示す用語であり,病名ではありませんから,医師の診断書における診断名としては,頸部捻挫,頸椎捻挫,頸部挫傷,頸椎挫傷,外傷性頸部症候群等となります。
  そして,外傷性頸部症候群等が診断名となっている場合,全額の休業損害は長くても1ヶ月ぐらいまでしか出ませんし,その後の休業損害については割合的認定がなされることが多いです。
   また,首や肩が痛んで動かしにくいという症状だけでしびれ等の症状がない場合,任意保険会社は休業損害を渋りやすいです。
(5) むち打ちにおける休業損害については, 「むち打ちの治療等」を参照してください。
 
2 休業損害の認定方法 
(1) 休業損害における基礎収入は,事故前3ヶ月間の実収入を基準としたり,事故前年の所得を基準としたりします。
(2)   確定申告において過少申告をしていた場合,実際の所得に基づく収入(=実収入)を基礎収入として主張しますから,そのような事情がある場合,必ずご連絡下さい。
   ただし,過少申告をしていた場合は通常,実際の所得よりもかなり少ない金額が基礎収入として認定されるのであって,実収入がそのまま基礎収入となるわけではありません。
(3) 休業損害を請求する場合,源泉徴収票等の前年の所得が分かる書類のほか,勤務先から発行してもらう休業損害証明書が必要となります。
   休業損害証明書の書き方については,外部HPの「休業損害証明書の書き方と覚えておくべき3個のこと」が参考になります。 
(4) 休業損害は,現実に休業により喪失した額が分かる場合,その額が損害と認められ,それが判明しない場合,基礎収入に休業期間を乗じて算定されます。
  賠償の対象となる休業期間は原則として現実に休業した期間とされますものの,症状の内容・程度,治療経過等からして就労可能であったと認められる場合,①現実に休業していても賠償の対象にならないことや,②一定の割合に制限されることがあります(②については,休業損害の割合的認定といいます。)。
 その関係で,病状の推移が診療記録にどのように書かれてあるかが非常に大事になりますから,身体の不具合については余すところなく積極的に主治医に伝え,できる限りカルテに書いておいてもらって下さい。
(5) 自賠責保険の場合,休業損害は原則として1日5700円となります。 
(6) 専業主婦等の家事従事者の場合,自賠責保険の基準では1日当たり5700円となるものの,裁判基準では,1日当たり約1万円の休業損害を請求できます。

3 失業保険受給中の交通事故
(1) 雇用保険の失業等給付の基本手当(いわゆる失業保険)受給中に交通事故にあった場合,原則として休業損害は認められません。
(2)   ①治療が長期にわたる場合で,治療期間中に就職する蓋然性が認められるときは休業損害が認められますし,②15日以上就労できないことが予想される場合,雇用保険の失業等給付から,基本手当に代えて傷病手当を支給してもらえます(雇用保険の全体像につき,ハローワークインターネットサービスの「雇用保険制度の概要」参照)。
休業損害証明書

第7 物損に関する示談,過失割合及び少額訴訟

1 物損に関する示談
(1) 総論
ア 物損に関して示談をする場合,任意保険会社に対し,損害を受けた物品の購入金額,購入時期等を申告したり,損害を受けた物品の写真を提出したりして,物損の損害額を確定する必要があります。
   そして,任意保険会社と合意した過失割合に基づいて示談を成立させることとなります。
イ 損害を受けた携行品の写真を撮る場合,①携行品全体の写真及び②品番・型番等が分かる部分の写真の両方を取ってください。 
ウ 車両につき損害を受けた箇所の写真だけしか撮らなかった場合,車両全体のどの場所の写真であるかが分かりません。
   そのため,損害を受けた車両の写真を撮る場合,車両全体の写真及び損害を受けた箇所の写真の両方を取って下さい。
エ 物損の示談が成立するまでの間,損害を受けた物品の現物のほか,保証書等の書類を残しておいた方がいいです。
オ 加害者側の損害保険会社との間で車の修理費に関する合意が成立する前に廃車手続をする場合,事前に自動車検査証,軽自動車届出済証又は標識交付証明書のコピーをとっておいてください。
カ 任意保険会社における物損担当者及び人損担当者は通常,異なります。
キ 外部HPの「事故調査に必要な道具」によれば,保険調査員は会話を録音することはまずないみたいです。
   また,事故調査に必要な七つ道具は,①ロードメジャー,②巻き尺,③傾斜計測器,④ストップウォッチ,⑤ビデオ,⑥デジカメ及び⑦録音機であるそうです。
ク 「任意保険の示談代行制度」も参照して下さい。
ケ 物件事故報告書の入手方法については,「交通事故事件の刑事記録の入手方法」を参照してください。 

(2) 物損に関して認められる損害
ア 総論
(ア) 物損に関して示談をする場合,以下の費用が問題となります。
① 車両修理費又は買換差額費
② 評価損(格落ち損)
③ 代車使用料又は休車損害及び保管料
④ レッカー代
⑤ 積荷,着衣,携行品等の損害
(イ) 物的損害に関する慰謝料は原則として認められません。
イ 車両修理費又は買換差額費
(ア) 総論
a ①車両を物理的に修理できない物理的全損の場合,又は②修理費が事故時の時価額を上回る経済的全損の場合,修理費ではなく,交通事故直前の車両時価額に買換諸費用を含めた額から,事故車両の下取り価格を差し引いた金額である買換差額費が損害額となります(最高裁昭和49年4月15日判決参照)。
   これに対して全損ではない場合,相当な額の車両修理費が損害額となります。
b 修理費については通常,修理工場の見積り又はアジャスター(物損事故調査員)の査定のとおりの金額が認められます。
c 交通事故とは無関係の修理部分に関する費用を請求したり,破損していない部品の交換費用を請求したりして,そのことが後で発覚した場合,人損部分の損害賠償も含めて任意保険会社の態度が非常に厳しくなりますから,絶対に止めて下さい。
d 自動車のそれぞれの部品が自動車のどの部分にあるかについては,JFEスチール株式会社HPの「自動車」を見れば分かります。
   損傷箇所として良く出てくるパネルについては,同社HPの「外板・内板パネル」を見れば分かります。
(イ) 車両時価額の算定方法
a 車両時価額は,同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を,中古車市場において取得するに要する価格をもって決するものとされています(最高裁昭和49年4月15日判決)。
   具体的には,メーカー,グレード,走行距離,車検残期間,修復歴の有無といった基準に基づき,カーセンサーnetGoo-net(グーネット)GooBike(グーバイク)といったインターネットでの中古車販売価格を調べることが多いです。
   ただし,損保会社は通常,オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)に基づく価格を主張してきます。
b ①事故車両と近似する車両が中古車市場に流通していない場合,又は②車両の年式が相当古い場合等で,中古車市場での取得価格を算定することができない場合,減価償却の一手法である定率法を用いて車両の時価を算定することがあります(減価償却率につき,外部HPの「自動車の耐用年数とそれに対する減価償却率」参照)。
   この場合,使用年数が5年を超える車両については,形式的に購入価格の10%が時価として査定されることがあります。
c 中古車の毎年の値下がり率は約30%であるといわれています(外部HPの「中古車価格の下がり方・推移の仕方」参照)。
(ウ) 板金又は部品交換
   車両に発生したへこみについては,板金(専門の工具を使ってたたいたり,引いたりすることによって修理すること)で対応できない場合に限り,バンパー又はパネルといった部品の交換の費用が認められます(作業内容につき,外部HPの「板金工程」及び「板金ができない修理(パネル交換)」参照)。
(エ) 塗装
a 塗装とは,板金による修復作業や部品交換後,車を元通りの色に復元するために塗料原色を調合し,スプレーガンで車体や部品に塗料を吹きつけ,仕上げることをいいます(作業内容につき,外部HPの「塗装工程」参照)。
   破損部分に関する部分塗装だけでは他の部分との差が明確で著しく美観を害するような場合を除き,部分塗装の費用しか認められません。
b 板金塗装の費用については,外部HPの「板金塗装の料金や相場」が参考になります。
(オ) 買換諸費用
a 全損における買換諸費用としては,①買換のため必要になった登録,車庫証明及び廃車に関する法定の手数料相当分,並びに②ディーラー報酬部分(登録手数料,車庫証明手数料,納車手数料,廃車手数料)のうちの相当額のほか,③自動車取得税(事故車両と同程度の中古車両に関するもの)については損害として認められます。
b 全損した車両について前納していた自動車税(還付されない軽自動車税は除く。),自動車重量税及び自賠責保険料は,事故車両を廃車にすることによって還付を受けることができます(ただし,自動車重量税及び自賠責保険料を還付してもらうためには,そのための申請が必要です。)。
   そのため,事故車両の自動車税,自動車重量税及び自賠責保険料の未経過分は,損害としては認められません。
c 「新車購入時の費用等」も参照して下さい。 
ウ 評価損(格落ち損)
(ア) 評価損とは,事故車両を修理に出したにもかかわらず,機能的・美観的な欠陥の残存,又は事故歴の存在自体により減少した市場価値のことです。
   前者を理由とする評価損は認められやすいものの,後者を理由とする評価損はなかなか認めてもらえません。
(イ) 交通事故等で損傷を受けた車両のすべてが「修復歴車」(いわゆる「事故車」)に該当するわけではないのであって,交通事故等で自動車の骨格等に修復歴のあるものだけが「修復歴車」となります。
   つまり,交通事故等により,自動車の骨格等に欠陥を生じたもの,又はその修復歴のあるものは,商品価値の下落が見込まれるので,「修復歴車」となるわけです(日本自動車査定協会(日査協,JAAI)HPの「修復歴の考え方」参照)。
(ウ) 日本自動車査定協会の事故減価額証明書(同協会東京支所の「評価損(事故落ち)」参照)の証拠価値は概ね認められているようですが,必ずしもその数値がそのまま評価損と認められるものではなく,それより低めに算定されている裁判例が多いそうです(外部HPの「修理費用について」参照)。 
エ 代車使用料又は休車損害及び保管料
(ア) 代車使用料は,①普段の通勤,幼稚園・保育園の送迎,病院への通院等に使っていて,②電車等の代替の交通手段がないために代車を使用する必要があり,③他に車を持っていないため実際にレンタカー等を利用していた場合に限り,④相当な修理期間又は買換期間を限度として,⑤事故車両と同種の車両又は同等のグレードの車両の代車料を基準として認められるに過ぎません。
(イ) 対物賠償保険に加入している場合,事故車の修理業者と保険会社との間で,修理方法・内容等について協議し,協定を結んだ上で修理をするのが一般的であるため,この交渉期間も含めて相当な修理期間が判断されますところ,通常は1週間から2週間ぐらいです。
(ウ) 物理的全損の場合,物損の示談成立に数ヶ月かかったとしても,物損の示談成立までの代車使用料の全額が損害として認められることはあり得ないのであって,被害車両と同等の車両を買い換えるのに必要な期間(2週間が目安と思われます。)が相当な買換期間とされることが多いです。
(エ) 経済的全損の場合,経済的全損であることが判明するまでの期間,及びそれから被害車両と同等の車両を買い換えるのに必要な期間(2週間が目安と思われます。)が,相当な買換期間とされることが多いです。
   また,経済的全損であることが判明するまでの期間の保管料を請求できることがあります。
(オ) お互いに過失がある交通事故であっても,過失割合に応じた代車費用を請求することができます。
(カ) 事業用自動車(=緑ナンバーの車)については,車両の修理,買い替え等のためこれを使用できなかった場合,修理相当期間又は買替相当期間につき,営業を継続していたであれば得られたであろう利益が損害として認められます。
  ただし,代車使用料が認められる場合,休車損害は認められません。
オ 積荷,着衣,携行品等の損害
   ①事故車両に積んでいた荷物(カーナビ等を含む。),②事故時の着衣,及び③事故時に身に付けていたヘルメット,時計,携帯電話等の携行品については,購入価格を基準として,一定の減価償却をした金額が損害額となります。
 
(3) 対物賠償責任保険との関係
ア ノンフリート等級が下がるのを避けるために対物賠償責任保険を使わない場合,相手方の物損については自腹で支払う必要があります。
   ただし,事故車けん引のためのレッカー代といったロードサービスを利用しただけの場合,ノンフリート等級は下がりませんし,示談交渉をしてもらっただけの場合,保険金の支払がありませんから,ノンフリート等級は下がりません。
イ 対物賠償責任保険の保険金を使用して損害賠償金を支払った場合,ノンフリート等級が3等級下がりますところ,この場合の保険料差額については,外部HPの「保険料差額シミュレーション」を使用すれば,大体の保険料差額が分かります。
ウ   物損に関する示談において対物賠償責任保険を使わない場合,こちらが有する損害賠償請求権と,相手方が有する損害賠償請求権とを合意により相殺した上で,相手方から差額だけを支払ってもらうことになります(相殺払い)。
エ   物損に関する示談において対物賠償責任保険を使う場合,こちらが有する損害賠償請求権と,相手方が有する損害賠償請求権をそれぞれ支払ってもらうことになります(クロス払い)。
オ 追突事故のように被害者に全く過失がない場合,被害者の対物賠償責任保険は問題とならないのであって,被害者が加害者側の任意保険会社に対して「免責証書」を提出することによって示談を成立させることが多いです。
   免責証書とは,被害者が一方的に加害者及び任意保険会社宛に金○○円を受領することにより,加害者に対する損害賠償請求権を放棄することを宣言して署名押印する書面をいい,加害者の署名押印,及び任意保険会社の記名押印はなされません。
 
(4) 車両保険との関係
ア 車両保険に加入している場合,物損事故について自分の車両保険を使用できます。
イ 全損の場合,協定保険価額と修理代のどちらか低い方が車両保険の保険金として支払われるのであって,免責金額が差し引かれることはありません。
ウ 分損の場合,修理代から免責金額を差し引いた金額が車両保険の保険金として支払われます。

エ 車両保険を使用した場合,ノンフリート等級が3等級下がって翌年度からの任意保険の保険料が上がります。
   また,保険会社によっては,次に車両保険を使うときの免責金額が上がります(例えば,損保ジャパン日本興亜の「車両保険とは」参照)。
   そのため,車両保険の保険金(全損時に支払われる車両全損時諸費用特約を含む。)と,任意保険の保険料の値上がり分を比較して,車両保険を使うかどうかを判断すべきこととなります。
オ 車両保険を使った方がいいかどうかにつき,外部HPの「3等級ダウン事故~こんな場合,保険を使った方が良い?~」 が参考になります。
カ 相手方自動車の追突,センターラインオーバー,赤信号無視又は駐停車中の契約自動車への衝突・接触による事故において,契約自動車の運転者及び所有者に過失がなかったと保険会社が判断したような場合,車両保険を使ってもノンフリート等級が下がりませんから,自分の保険会社に問い合わせてください(例えば,損保ジャパン日本興亜の「車両保険とは」参照)。
  
2 過失割合 
(1) 過失割合は通常,平成26年7月4日発売の「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)(判例タイムズ38号)」(平成16年12月10日発売の全訂4版(判例タイムズ16号)とは異なります。)に書いてある基準に基づき,事故発生状況等を踏まえて決定されます。
   その際,実況見分調書は信用性の高い証拠として非常に重視されることとなります。
(2) 任意保険会社が提示する過失割合は,加害者の言い分だけに基づいていることが通常ですし,過失割合に関する修正要素を無視していることもありますから,正当な過失割合よりも被害者側に不利であることが多いです。
(3)   任意保険会社が過失割合を提示する際,「お互いに動いていれば,過失は0ではない」などと説明することがありますものの,そういうわけでは全くありません。
    例えば,信号機の設置された交差点において,被害者の車が青信号で交差点に直進し,加害者の車が赤信号で交差点に直進して衝突した場合,被害者の過失は0です。
(4) 物損に関して示談をする際に不利な過失割合を受け入れた場合,通院期間中の休業損害の支払額が不当に減少しますし,将来の人身損害の示談における過失割合に悪影響を及ぼすことがあります。
   そのため,任意保険会社から何らかの過失を主張された場合,弁護士に相談することが非常に望ましいです。
(5) 自転車同士の事故の過失割合については,「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準(全訂5版)(判例タイムズ38号)」に記載されていません。
   ただし,民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」) 2016年版下巻(講演録)115頁ないし154頁に,「自転車同士の事故の過失相殺基準(第一次試案)」が掲載されています。
  
3 少額訴訟
(1) 物損に関する示談において損害額については合意できたものの,過失割合については合意できないという場合,物損の額が60万円以下であれば,少額訴訟(民事訴訟法368条ないし381条)を提起して解決することができます(裁判所HPの「少額訴訟」参照)。 
(2) 少額訴訟は,相手方の住所地を管轄する簡易裁判所(民事訴訟法4条1項参照)だけでなく,自分の住所地を管轄する簡易裁判所(民事訴訟法5条1号の「義務履行地」)又は交通事故が発生した住所地を管轄する簡易裁判所(民事訴訟法5条9号の「不法行為があった地」)でも提起できます。
(3) 車両損害の請求権者は,所有登録名義人となるのが原則です。
   そのため,少額訴訟を提起する場合,請求権者を説明するため,自動車検査証(自動車,軽自動車又は小型二輪の場合),軽自動車届出済証(軽二輪の場合)又は標識交付証明書(原付の場合)の写しが必要になります。
(4) 少額訴訟は,1回の期日で審理を終えて判決することを原則とする特別な訴訟手続です(民事訴訟法370条及び374条1項参照)から,依頼者の他,証言してもらいたい証人にも期日に出席してもらう必要があります。
   また,請求認容判決の場合,仮執行宣言が必要的に付されます(民事訴訟法376条1項)から,調書判決の送達(民事訴訟法374条2項・255条)終了後,直ちに強制執行に着手することができます。
(5) 少額訴訟の場合,調書判決となりますから,判決書は作成されません(民事訴訟法374条2項・254条2項)。
調書判決とは,当事者及び法定代理人,主文,請求並びに理由の要旨を記載した口頭弁論調書のことです。
(6) 少額訴訟判決に対する不服申立ては異議申立てに限られるのであって,控訴はできません(民事訴訟法377条及び378条)。
(7) 少額訴訟を提起したとしても,被告が通常訴訟への移行の申述を行った場合,通常の訴訟手続となります(民事訴訟法373条)から,半年ぐらいはかかります。
(8) 外部HPの「札幌簡裁の実務」を見れば,少額訴訟を含む簡裁の実務がよく分かります。  
物件事故報告書1/2
物件事故報告書2/2

第8 任意保険会社の説明義務及び同意書

1 任意保険会社の説明義務
   平成14年3月11日付の国土交通省自動車交通局保障課長通知「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」(国土交通省HPの告示・通達検索参照)に基づき,任意保険会社は,被害者と初期に接触した時点で,
① 一括払制度の概要
② 被害者は自賠責保険に直接請求できること
③   一括払の金額は自賠責保険支払限度額内では自賠責保険の「支払基準」(平成13年金融庁・国土交通省告示)(自動車損害賠償保障法16条の3)による積算額を下回らないこと
④ 自賠責保険支払基準の概要
⑤ 指定紛争処理機関等紛争処理の仕組みの概要
⑥ 自賠責保険の請求から支払までの手続の概要
を記載した書面を交付することにより,これらの事項を説明する必要があります。
 
2 同意書
(1) 任意保険会社は,一括払いを行う手続上,被害者に対し,一括払に関する説明書と一緒に「個人情報の提供に関する同意書」(以下「同意書」といいます。)を送付し,署名・捺印して返送するように求めてきます。
   同意書の提出は義務ではないものの,任意保険会社が治療費を支払うために医療機関から診断書,診療報酬明細書等を取得したり,治療状況や症状固定の時期等について主治医に医療照会を行ったりするためには必要不可欠な書面となります。
   そのため,被害者が同意書を返送しない場合,任意保険会社において一括払手続をとれませんから,同意書は速やかに返送した方がいいです。
(2) 一般社団法人日本損害保険協会の「損害保険の保険金支払に関するガイドライン」(平成24年4月作成)5頁には,「センシティブ情報(保健医療等)の取得・利用・第三者提供は、他の個人情報以上に慎重な取扱いが求められるため、本人の同意に基づき、真に業務上必要な範囲に限り取り扱うこととする。」と書いてあります。
(3) 任意保険会社は,一般的な治療期間が終了すると思われるタイミングで,被害者の症状,治療経過等を確認するため,被害者に対し,医療調査に関する同意書を送付し,署名・捺印して返送するように求めてきます。
   被害者が同意書を返送した場合,任意保険会社において医療調査を行い,主治医の回答等を元にして症状固定と判断した場合,治療費の立替払を終了しますものの,未だ症状固定に至っていないと判断した場合,治療費の立替払を継続してくれます。
   仮に被害者が同意書を返送しなかった場合,任意保険会社としては医療調査ができないという理由で治療費の立替払を終了してきますから,同意書は返送せざるを得ませんが,任意保険会社に対し,主治医を通じて治療の必要性があることを連絡してもらうようにしてください。

第9 休職期間中の社会保険及び税金

1 休職期間中の社会保険料及び税金の負担
(1) 交通事故によるケガが原因で休職している場合,社会保険料及び税金の負担は以下のとおりとなります。
① 厚生年金保険料
   休職前と同じ額を負担する必要があります。
② 健康保険料
   休職前と同じ額を負担する必要があります。
③ 介護保険料(40歳以上の人が徴収されます。)
   休職前と同じ額を負担する必要があります。
④ 雇用保険料
   かかりません。
⑤ 労災保険料
   そもそも会社が全額負担するものですから,かかりません。
⑥ 所得税
   所得がない限りかかりません。
⑦ 住民税
   前年の所得を基準として課税されるものですから,交通事故にあった年に一定以上の所得がある場合,翌年も課税されます。
(2) 休職期間中,「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づき,会社からの給料の支払がなくなることが普通です。
   その結果,厚生年金保険料,健康保険料及び介護保険料を給料から天引きすることができなくなりますから,その支払方法について会社と相談する必要があるのであって,会社が何もいってこないからといって,これらの保険料の支払義務が消滅しているわけではありません。
(3) 翌年5月までの支払額が決まっている住民税については,①引き続き特別徴収を継続して会社からの立替払いを続けてもらい,休職期間満了時又は退職時に清算するか,又は②普通徴収に切り替えて自分で役所に支払うかを選択することになります。
(4) 雇用保険料は,会社からの賃金の支払がない限り支払う必要がないものですから,雇用保険料を請求されていないことが,雇用保険被保険者資格の喪失(=失業)を意味するわけではありません。
   解雇等により失業した場合,失業保険の受給に必要となる雇用保険被保険者離職票を会社から交付してもらえます。
 
2 休職期間中の社会保険からの給付等
(1) 休職期間中の社会保険からの給付
ア 業務中又は通勤中の交通事故によるケガが原因で働けない期間については,労災保険から休業補償給付(給料の60%)及び休業特別支給金(給料の20%)が支給されますし,休業特別支給金については,任意保険からの休業損害と重複して支給してもらえます。

   それ以外の交通事故によるケガが原因で働けない期間については,健康保険(国民健康保険は除く。)から最大で1年6月間,傷病手当金(給料の66.7%)が支給されますものの,任意保険からの休業損害と重複して支給してもらうことはできません。
イ 被害者に100%の過失がある交通事故であっても,社会保険からの給付が減額されることはありません。
   また,休業補償給付及び傷病手当金は,被害者の休業損害のみに充当され,被害者の過失が大きい場合であっても,慰謝料等の別の費目の損害額に充当されることはありません(休業補償給付につき最高裁平成22年10月15日判決参照)。
ウ 労災保険の特別加入者についても,休業特別支給金(給付基礎日額の20%相当額)等が支給されます(神奈川労働局HPの「Ⅵ 保険給付・特別支給金の種類について」参照)。
エ 休業補償給付等の請求手続については,厚生労働省HPの「休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続」が参考になります。
オ 1年6月を経過しても交通事故によるケガが治っておらず,任意保険からの休業損害を打ち切られていた場合において,一定程度以上の障害状態となっているのであれば,障害厚生年金を支給してもらえます。
(2) 社会保険からの給付の消滅時効

ア   休業補償給付及びこれに連動している休業特別支給金の消滅時効は,労働不能のため賃金を受けない日ごとにその翌日から2年です(労災保険法42条前段)し,最寄りの労基署に申請しない限りもらえませんから,忘れずに申請する必要があります。
イ   健康保険の傷病手当金の消滅時効は,労働不能であった日ごとにその翌日から2年です(健康保険法193条1項)し,全国健康保険協会(協会けんぽ)の最寄りの都道府県支部に申請しない限りもらえませんから,忘れずに申請する必要があります。
(3) 社会保険への加入手続をしてもらっていなかった場合の対応方法
ア 会社員としての勤務実態があるにもかかわらず,社会保険への加入手続をしてもらっていなかった場合,以下の手続をとることができます。

① 労災保険への加入手続をしてもらっていなかった場合
   業務災害又は通勤災害に該当するのであれば,労基署の職権による成立手続及び労災保険料の認定決定(労災保険法31条1項1号参照)を経ることで,労災保険を支給してもらえることがありますから,最寄りの労基署に相談してください(厚生労働省HPの「労働基準行政の相談窓口」参照)。
→ この場合,勤務先の会社は労災保険未手続事業主となりますから,労基署は,事業主である会社に対し,最大2年間遡った労働保険料及び追徴金を徴収し,かつ,労災保険給付に要した費用の40%(労災保険の成立手続を行うよう指導を受けた事実がない場合)又は100%(労災保険の成立手続を行うよう指導を受けていた場合)を徴収します(厚生労働省HPの「成立手続を怠っていた場合は」参照)。
   そのため,場合によっては,勤務先の会社が倒産する結果,会社の同僚に対して甚大な迷惑をかける可能性はあります。
健康保険への加入手続をしてもらっていなかった場合
   厚生労働大臣又は健康保険組合の職権による被保険者資格の確認(健康保険法39条,51条1項)を経て,健康保険の傷病手当金を支給してもらえることがあります(日本年金機構HPの「確認請求」参照)から,協会けんぽの都道府県支部に相談してください。
→ 確認請求に基づく調査は,請求書の受付日から原則として2年間を遡る範囲での調査となります。
イ 建設業における労働保険,社会保険の加入義務等については,国交省HPの「建設業の社会保険未加入対策について」が分かりやすいです。 
ウ 平成28年10月1日から,週30時間以上働く方に加え,従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方などにも厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象が広がりました。
また,平成29年4月1日から,従業員500人以下の会社で働く方も,労使で合意すれば社会保険に加入できるようになりました(厚労省HPの「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」参照)。
エ 具体的状況によっては,バイク便事業者と運送請負契約を締結しているバイクライダーは,労働基準法9条の労働者に該当する結果,労災保険への加入手続が認められることがあります(平成19年9月27日付の厚生労働省労働基準局長通知「バイシクルメッセンジャー及びバイクライダーの労働者性について」参照)。
 
3 休職期間満了後の取扱い
(1) 就業規則所定の休職期間満了までに復職できる程度に交通事故によるケガが回復しない場合,休職期間満了をもって自然退職となることが多いです。
   ただし,休職前と同じ業務ができないというだけの理由で会社が社員の復職を拒否することはできません(最高裁平成10年4月9日判決参照)。
(2)  交通事故が業務災害に該当する場合,原則として就労不能状態が継続している期間及びその後の30日間,解雇されることはありません(労働基準法19条1項本文)。

   ただし,療養開始後3年を経過してもケガが治らない場合,会社が平均賃金の1200日分の打切補償(労働基準法81条)を支払うことを条件に,解雇されることがあります(労働基準法19条1項ただし書,最高裁平成27年6月8日判決)。

第10 弁護士費用特約を利用できる場合の留意点

1 弁護士費用特約の概要
(1) 弁護士費用特約を利用できる場合,最大300万円まで保険金で弁護士費用が支払われます。
   そのため,重度後遺障害かつ無過失の事案でない限り,加害者に対する損害賠償請求において弁護士費用の自己負担が発生することはまずありません。
(2) 自分が加入している自動車保険はもちろん,同居の家族等が加入している自動車保険に付帯されている弁護士費用特約を利用できることがあります。
   また,弁護士費用特約の中には,契約車に乗車していたときの交通事故だけでなく,契約車に乗車していないときに発生した交通事故についても適用されるものがあります。
   そのため,弁護士に相談する場合,ご自宅の自動車及びバイクに関する自動車保険の保険証券及びパンフレットを持参することが望ましいです。
(3) 弁護士費用特約を利用した場合でも,通常は自動車保険の等級が悪くなることはありません。
(4)   早期に弁護士に依頼した場合,弁護士が任意保険会社との交渉を担当してくれますから,自分で任意保険会社と交渉する必要がなくなります。
(5) 被保険者が免許取消中に運転をしたり,免許停止期間中に運転をしたり,酒気帯び運転をしたりしている時に交通事故が発生した場合,弁護士費用特約を使用することはできません。
 
2   弁護士費用特約を利用できる人
(1) 弁護士費用特約を利用できる人は以下のとおりです。
① 記名被保険者
② 記名被保険者の配偶者
③ 記名被保険者又はその配偶者の同居の親族
④ 記名被保険者又はその配偶者の別居の未婚の子
⑤ ①ないし④以外の者で,契約自動車に搭乗中の者
(2) ③の人が利用できる結果,例えば,父親の自動車に弁護士費用特約が付いている場合,同居の息子が歩行中等に交通事故にあったときでも弁護士費用特約を利用できます。
(3)  ④の人が利用できる結果,例えば,父親の自動車に弁護士費用特約が付いている場合,親元を離れて一人暮らしをしている息子が歩行中等に交通事故にあったときでも弁護士費用特約を利用できます。
(4)   ⑤の人が利用できる結果,例えば,友人の自動車に弁護士費用特約が付いている場合,その友人の自動車に乗車中に交通事故にあったときでも弁護士費用特約を利用できます。 
   この場合,仮に相手の自動車に過失がないとき,友人の自動車の任意保険に対してだけ損害賠償請求をすることとなりますところ,そのための弁護士費用も友人の自動車の任意保険から支払われることとなります。  
(5) 少しでも弁護士費用特約の適用の可能性がある場合,損害保険代理店(例えば,自動車販売店)に問い合わせた方がいいです。

3 日弁連LACが関与する場合があること等
(1)  あいおいニッセイ同和損害保険株式会社,損害保険ジャパン日本興亜株式会社,三井住友海上火災保険株式会社等の損害保険会社は,日本弁護士連合会リーガル・アクセス・センター(=日弁連LAC)と弁護士費用保険に関する協定を結んでいます。
   そのため,これらの損害保険会社の弁護士費用特約を利用する場合,日弁連が関与した委任契約書を作成することとなります。
   これに対して東京海上日動火災保険株式会社は,日弁連LACとの協定を結んでいませんから,日弁連が関与することはありません。
(2) 大阪弁護士会所属の弁護士は,日弁連が関与した委任契約書を作成する場合,弁護士費用の7%を,負担金会費として大阪弁護士会に対して支払う必要があります。
(3) 東京海上日動火災保険株式会社は,弁護士費用特約に基づく保険金の金払いが非常にいいですから,弁護士費用特約を利用する弁護士にとっては大変ありがたい損害保険会社です。
   ただし,平成27年10月1日以降の自動車保険約款が適用される場合(平成27年10月1日以降に自動車保険を更新した場合を含む。),日弁連LACと異なり,自賠責保険に対する被害者請求だけを依頼することについて弁護士費用特約を使用することはできなくなりました。
(4) 早期に弁護士に依頼した場合,依頼した弁護士が弁護士費用保険に基づいて受領できる弁護士費用が増えますから,依頼した弁護士にとっても非常にありがたい話となります。
 
4 火災保険又は医療保険の弁護士費用特約を利用できる場合があること
   以下の火災保険又は医療保険に加入している場合,交通事故に基づく損害賠償請求について弁護士費用特約を利用できることがあります。
   ただし,富士火災の「未来住まいる」のパンフレットを見る限り,同商品の弁護士費用特約は交通事故で使用することはできません。
(1) 火災保険の例
① あいおいニッセイ同和損保の「タフ 住まいの保険」
② エース損保の「リビングプロテクト総合保険」(賃貸住宅入居者専用の火災保険です。)
③ 東京海上日動火災の「超保険」
(2) 医療保険の例
① エース保険の「まかせて安心医療保険」
 
5 弁護士費用特約を利用できない手続
(1) 人身傷害補償保険に請求するための弁護士費用は支払ってもらえないこと
ア 自分が被保険者となっている人身傷害補償保険に請求する場合,加害者に対する損害賠償請求に該当しないために弁護士費用保険を使えませんから,請求手続を弁護士に依頼する場合,そのための手数料を自己負担する必要があります。
イ 人身傷害補償保険を利用した場合,加害者に対する損害賠償金が減少する結果,その分,成功報酬金が減少しますから,加害者に対する損害賠償請求が終わった後に,自分の過失部分についてだけ人身傷害補償保険を利用してもらえる方がありがたいです。
   また,人身傷害補償保険を先に利用した場合,訴訟をして判決をもらったとしてもその分の遅延損害金(年5%)及び弁護士費用(損害額の10%)を回収できなくなりますから,最終的な回収額は少なくなることが多いです。
(2) 相手方からの反訴提起に対応するための弁護士費用は支払ってもらえないこと

ア 人身事故に付随する物損事故について損害賠償請求訴訟をした場合において被害者に少しでも過失がある場合,加害者からも,加害車両の物損の損害賠償を求めて反訴提起されることがあります。
   この場合,対物賠償責任保険を使用しない限り,反訴提起に対応するための弁護士費用を保険会社から支払ってもらうことはできません。
   そのため,反訴提起に対応するための弁護士費用については,依頼した弁護士との間での相談となります。 
イ 反訴提起に対する対応については本訴と別の手間がかかるわけではありません。
   そのため,私に依頼された場合において対物賠償責任保険を使いたくない場合,原則として無料で対応しています(ただし,当然ですが,損害賠償債務は依頼者の自己負担です。)。
(3) 労災保険給付を請求するための弁護士費用は支払ってもらえないこと
   労働基準監督署に対して療養補償給付,休業補償給付,障害補償給付等の労災保険給付を請求することは,加害者に対する損害賠償請求に該当しないために弁護士費用保険を使えませんから,請求手続を弁護士に依頼する場合,そのための手数料を自己負担する必要があります。
 
6 訴訟上の和解の方が判決よりも望ましい場合が多くなること
   損害賠償請求訴訟を提起して判決をもらった場合,既払金控除後の損害額の約10%の金額が弁護士費用として認めてもらえます最高裁昭和44年2月27日判決参照)。
   しかし,判決で弁護士費用を認めてもらった場合,弁護士費用特約から支払われる保険金がその分減少します(東京高裁平成25年12月25日判決参照)から,依頼者の手取額が増えるわけではありません。
   つまり,弁護士費用特約を利用している場合,弁護士費用を認めてもらうために判決を取得する実益がありませんから,紛争を早期かつ終局的に解決できるものの,弁護士費用までは認めてくれない訴訟上の和解の方が判決よりも望ましい場合が多くなります。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。