労災保険に関する不服申立方法

第0 目次

第1 総論
第2 労災保険審査官に対する審査請求
第3 労働保険審査会に対する再審査請求

* 厚生労働省労働基準局が平成26年8月に作成した,労災保険審査請求事務取扱手引1/2及び労災保険審査請求事務取扱手引2/2を掲載しています(平成29年4月16日追加)。

第1 総論

1(1) 労災保険に対する不服申立方法としては,労災保険審査官に対する審査請求,及び労働保険審査会に対する再審査請求があります。
   また,審査請求又は再審査請求に納得できない場合,地方裁判所に対する取消訴訟を提起することができます。
(2) 裁判所に対する訴訟提起に関しては,「弁護士依頼時の一般的留意点」「陳述書」「証人尋問及び当事者尋問」を参照して下さい。

2   労災保険の方が自賠責よりも認定が甘いです。
   そのため,交通事故に関して労災保険からの給付がある場合,労災保険に対する審査請求で有利な結果を得た後に,自賠責保険に対する異議申立て等をした方がいいです。

3 労働災害に該当する交通事故との関係でいえば,労働基準監督署による症状固定の判断が速すぎるという理由で休業補償給付不支給決定に対する審査請求をしたり,労働基準監督署による後遺障害等級の認定がおかしいという理由で障害補償給付不支給決定に対する審査請求をしたりすることができます。

第2 労災保険審査官に対する審査請求

1(1) 労災保険からも後遺障害等級認定を受けている場合,労災の方が自賠責よりも認定が甘いですから,労災保険の後遺障害等級認定に関して,認定を知った日から3ヶ月以内に(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条1項),都道府県労働局労災保険審査官(例えば,大阪労働局労働基準部労災補償課にいる大阪労働局大阪労災保険審査官)に対する審査請求をした方がいいです。
(2) 大阪労働局労働基準部労災補償課は,大阪市交通局の谷町四丁目駅の近くにある大阪合同庁舎第2号館(西隣にある大阪合同庁舎第4号館とは異なります。)9階にあります(大阪労働局HPの「大阪労働局へのアクセス」参照)。
   また,館内に入館する場合,受付で入館証を記載する必要があります。
(3) 審査請求の代理人は,審査請求人のために,当該審査請求に関する一切の行為をすることができます(労働保険審査官及び労働保険審査会法9条の2第2項)。

2 27年度労災保険審査関係統計表によれば,27年度の場合,後遺障害等級の認定に争いがあるものに関する407件の決定のうち,棄却が323件,取消が78件,却下が6件でした。

3   労災保険の後遺障害等級認定に関する取消訴訟は,審査請求に対する労災保険審査官の決定を経た後でなければ,提起することができません(労災保険法40条)。

4   労災保険審査官に対する審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がない場合,労災保険審査官が審査請求を棄却したものとみなした(労災保険法38条2項)上で,取消訴訟を提起することができます。

5(1) 審査請求人は,決定があるまでの間,審査官に対し,文書の閲覧,文書の写しの交付等を請求できます(労働保険審査官及び労働保険審査会法16条の3第1項)。
(2) 閲覧の場合,日時及び場所の指定があります(労働保険審査官及び労働保険審査会法16条の3第3項)。
   謄写の場合,白黒コピーにつき1枚10円,カラーコピーにつき1枚20年の手数料が必要となります(労働保険審査官及び労働保険審査会法16条の3第4項・同法施行令14条の5第1項)。

第3 労働保険審査会に対する再審査請求

1(1) 労災保険審査官の決定に対して不服がある場合,労災保険審査官の決定書の謄本が送付された日から2ヶ月以内に(労災保険審査官及び労災保険審査会法38条1項),労働保険審査会に対する再審査請求をすることができます。
   平成28年4月1日以降,労災保険の後遺障害等級認定に関する取消訴訟は,労働保険審査会に対する再審査請求を経ずして,提起することができるようになりました(労災保険法40条参照)。
(2) 再審査請求の代理人は,審査請求人のために,当該審査請求に関する一切の行為をすることができます(労働保険審査官及び労働保険審査会法50条・9条の2第2項)。

2 労働保険審査会は,労災保険及び雇用保険の給付処分に関して,第二審として行政不服審査を行う国の機関です(厚生労働省HPの「労働保険審査会」参照)。

3(1) 再審査請求人は,決定があるまでの間,審査官に対し,文書の閲覧,文書の写しの交付等を請求できます(労働保険審査官及び労働保険審査会法50条・16条の3第1項)。
(2) 閲覧の場合,日時及び場所の指定があります(労働保険審査官及び労働保険審査会法16条の3第3項)。
   謄写の場合,白黒コピーにつき1枚10円,カラーコピーにつき1枚20年の手数料が必要となります(労働保険審査官及び労働保険審査会法50条・16条の3第4項,同法施行令33条1項・14条の5第1項)。

4 労働保険再審査取扱状況の(第3表)事件種類別裁決件数によれば,労災保険において後遺障害を理由とする再審査請求の裁決状況は以下のとおりです。
   そのため,労働保険審査会に対する再審査請求において後遺障害等級認定が変わることはまずありませんから,取消訴訟を提起した方がいいと思います。
平成18年度:取消が2件,棄却が143件,却下が2件
平成19年度:取消が6件,棄却が126件,却下が6件
平成20年度:取消が6件,棄却が133件,却下が4件
平成21年度:取消が3件,棄却が97件,却下が1件
平成22年度:取消が6件,棄却が120件,却下が3件
平成23年度:取消が5件,棄却が106件,却下が3件
平成24年度:取消が0件,棄却が98件,却下が1件
平成25年度:取消が0件,棄却が76件,却下が3件
平成26年度:取消が0件,棄却が83件,却下が6件
平成27年度:取消が0件,棄却が83件,却下が3件
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。