交通事故被害者が警察に対応する場合の留意点

第0 目次

第1   警察に対して人身事故で届出をすること等
第2   実況見分調書等の刑事記録
第3   実況見分調書作成時の留意点
第4の1 警察段階の被害者供述調書(簡約特例書式)の記載要領
第4の2 警察段階の被害者供述調書(特例書式)の記載要領
第5の1 都道府県公安委員会に対する苦情申出制度
第5の2 被害者において捜査機関の捜査が適正を欠くことを理由に国家賠償請求をすることはできないこと
第6   警察の被害者連絡制度
第7   大阪府内の警察署
第8   被害者に関する犯罪捜査規範の条文

*1 「犯罪事件受理簿等の様式について」(平成29年1月31日付の警察庁刑事局長通達)の犯罪事件受理簿,犯罪事件処理簿及び交通法令違反事件簿を見れば,警察が事件を受理する際,どういうことを確認するかが分かります。
   また,犯罪事件受理簿(交通事故関係)(様式第2号及び様式第3号)につき,交通事故証明書の記載とかなり重複しています。
*2 高速道路交通警察隊及び交通機動隊については,「交通警察」を参照して下さい。
*3 「交通事故事件の刑事記録」「交通事故事件の刑事記録の入手方法」及び「刑事手続及び少年審判における被害者の権利」も参照して下さい。
*4 「症状固定前の交通事故被害者の留意点」及び「症状固定後の交通事故被害者の留意点」も参照して下さい。
犯罪事件受理簿(様式第1号)(一般犯罪用)
犯罪事件受理簿(交通事故関係)(様式第2号)
犯罪事件受理簿(交通事故関係)(様式第3号)

第1 警察に対して人身事故で届出をすること等

1(1)   警察に対して交通事故を届ける場合,物件事故か人身事故のいずれかに区分されることになりますところ,交通事故で怪我をしている場合,必ず人身事故で届出をしてください。
(2)   後日,物件事故から人身事故へと切り替えることはできますものの,交通事故から時間が経過している場合,警察は人身事故への切り替えに難色を示すようになります。

2(1)   交通事故証明書の右端の欄を見れば,物件事故と人身事故のどちらの扱いになっているかが分かります。
(2)   任意保険会社に依頼すれば,交通事故証明書のコピーを送ってもらえます。

3 高速道路での交通事故の場合,都道府県警察本部交通部の高速道路交通警察隊(高速道路における交通警察の運営に関する規則(昭和46年4月1日国家公安委員会規則第3号)),大阪府警察組織規則(平成26年3月31日大阪府公安委員会規則第5号)47条(9),大阪府警察組織規程(平成6年10月28日大阪府警察本部訓令第41号)9条等参照)が担当部署となります。

4 物件事故で届出をした場合,「物件事故処理要領について」(平成4年2月14日付の警察庁交通局交通指導課長等の通知)に基づく物件事故報告書が作成されるだけとなり,現場見分(警察官が現場に臨場し,実況見分を行うこと)が省略されることが多くなります。

5 平成29年3月30日付の大阪府警察の「不存在による非公開決定通知書」,及び平成29年4月5日付の警察庁の行政文書不開示決定通知書によれば,以下の文書は存在しません。
① 警察官が犯罪被害者の事情聴取を行う際,どのような場合であれば,犯罪被害者から依頼を受けた弁護士が同席できるかが分かる文書
② 警察官が犯罪被害者の立会を得た上で交通事故現場の実況見分を行う際,どのような場合であれば,犯罪被害者から依頼を受けた弁護士が同席できるかが分かる文書
送致書・捜査報告書
捜査報告書(継続)

第2 実況見分調書等の刑事記録

1   人身事故で届出をした場合,警察が被害者及び加害者の事情聴取をして供述調書,実況見分調書等の刑事記録を作成します。

2(1) 警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間を超える交通事故の場合, 「過失運転致傷等事件に係る特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,実況見分調書,交通事故現場見取図,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです。
   これに対して,警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間以下の交通事故の場合,「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達)に基づき,現場の見分状況書,被疑者供述調書,被害者供述調書等が作成されることが多いです(「交通事故事件の刑事記録」参照)。 
(2) 実務上は,「現場の見分状況書」も含めて,「実況見分調書」と呼んでいます。

3   事故直後に加害者が自分の非を認めていたという事実は,示談や訴訟においてあまり大きな意味を持たないのであって,実況見分調書の記載の方が遙かに大事です。

4   現場の見分状況書には,①最初に相手を発見した地点,②危険を感じた地点,③ブレーキをかけた地点及び④衝突をした地点が図示されています。
   例えば,②ないし④が同じ地点である場合,加害者がブレーキをかけずに被害者に衝突したこととなります。

5 信号表示内容が争点となる事件では,正確な信号サイクルを知る必要があります。
信号サイクルは実況見分調書と一緒に検察庁で開示されることがありますものの,開示されなかった場合,弁護士会照会(日弁連HPの「弁護士会照会制度」参照)を利用して信号サイクルを取り寄せる必要があります。

6(1)   加害者が不起訴となっていた場合,検番(検察庁の事件受付番号)等が判明してから実況見分調書を取り寄せるまでに少なくとも2週間はかかります。
(2) 詳細については,「交通事故事件の刑事記録の入手方法」を参照してください。

7(1) 加害者の不起訴処分を争う方法については,「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」を参照して下さい。 
(2)   加害者が起訴されて罰金刑等の刑事罰を受けた場合,供述調書を含む刑事記録が開示されます(刑事訴訟法53条及び刑事確定訴訟記録法4条)。 
現場の見分状況書(簡約特例書式)
実況見分調書1/2(特例書式)
実況見分調書2/2(特例書式)
交通事故現場見取図(特例書式)

第3 実況見分調書作成時の留意点

1   加害者が不起訴になった場合,検察庁において供述調書が開示されることはない(刑事訴訟法47条本文参照)ものの,実況見分調書は開示されます。
   そして,過失割合が争いになった場合,実況見分調書は信用性の高い証拠として非常に重視されることとなります。
   そのため,警察の実況見分にはできる限り立ち会うようにするとともに,実況見分調書の作成に立ち会った場合,担当の警察官に対して事故当時の状況を正確に説明できるようにしてください。

2 実況見分調書は,客観的に記載するように努め,被疑者,被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても,その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならないとされています(犯罪捜査規範105条1項)。 

3 警察官が交通事故現場の実況見分を行った際,被疑者,被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて,特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合,関係者の署名押印を求めてきますものの,署名押印は拒絶することができます(
犯罪捜査規範105条2項前段・刑事訴訟法198条5項ただし書)。

4 警察の実況見分に立ち会う際,道路標識の意味(外部HPの
「道路標識の種類と意味」参照)を復習しておいた方がいいです。
   また,道路に引かれている黄色及び白色の線の意味,バイクのすり抜けの過失割合等については,「センターライン,車線境界線,バイクのすり抜け及び交通違反に対する不服申立方法」を参照して下さい。 

5 交通事故の特例書式及び簡約特例書式に関する平成26年5月14日付の警察庁の通達には以下の記載があります(「交通事故事件の刑事記録」参照)から,交通事故現場における加害者の態度等にかんがみ,加害者が警察に対して嘘の説明をしている可能性がある場合,交通事故の態様に関して後日問題となるおそれが大きいなどと主張して,被害者立ち会いの下での実況見分調書の作成を警察に対して要求すべきです。
立会人
   原則として当事者を立ち会わせること。ただし、当事者のいずれかが病院等に収容されたような場合は、立会可能な当事者等を立ち会わせること。
   病院等に収容された当事者が立会可能となった場合は、その段階でその者を立ち会わせて改めて実況見分を行うこと。ただし、1回目の見分により真相が究明され、後日問題となるおそれがない場合で、その見分を被疑者の立会いの下で実施しているときは、この限りでない。

第4の1 警察段階の被害者供述調書(簡約特例書式)の記載要領

   警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間未満の交通事故である場合,被害者供述調書(簡約特例書式)が作成されます。
   そして,「過失運転致傷等事件に係る簡約特例書式の運用について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達) 添付の「簡約特例書式の運用要領」の「第2・4 被害者供述調書」によれば,警察段階の被害者供述調書(簡約特例書式)の記載要領は以下のとおりです。

(1)  「1 ロ別紙(ロ現場の見分状況書)」
ア 供述人が被害に遭った交通事故を特定するため、第2. 3、 (2)、アと同様に、原則として、現場の見分状況書を被害者に示した上で、供述調書を作成すること。
   交通事故現場見取図(原図)等を現場の見分状況書に代えて使用する場合にあっては、それを被害者に示すこと。
   現場の見分状況書を被害者に示した場合は、「ロ現場の見分状況書」のロ印の中にレを付け、交通事故現場見取図(原図)等を示した場合は、空白部分の口印の中にレを付けるとともに、交通事故現場見取図(原図)等の名称を記載すること。
   上記現場の見分状況書又は交通事故現場見取図(原図)等のいずれも未作成等のため被害者に示すことができない場合には、下部「ロ平成 年 月日午 時 分頃,」 のロ印の中にレを付け、交通事故の発生日時を記載すること。
イ 被害者の事故当時の状況については、不動文字記載事項の中から該当事項の口印にレを付けること。不動文字記載事項に該当しない場合は、空白部分の口印の中にレを付け、その状況を記載すること。
ウ 「ロ事故直前の私の車両の速度」は、被害者が事故当時、自動車又は原動機付自転車を運転中であった場合、ロ印の中にレを付け、被害者が認識する事故直前の車両の速度を記載すること。
エ 「口シートベルト」は、被害者が事故当時、四輪自動車に乗車中であった場合、ロ印の中にレを付け、シートベルト着用の有無について、不動文字記載事項の該当事項の口印の中にレを付けること。
(2) 「2 この事故で私が不注意だった点」
   被害者の過失の有無について簡潔に記載すること。被害者の中には、故意に自分の過失を隠し、相手側の過失を誇大に供述する者があり、逆に事故によるショックから必要なことを供述し得ない者もあるので注意すること。
   また、被害者側の過失(不注意)が認められる場合は、その状況を供述させること。
   ただし、この場合は、その言い分を十分に聴取するどともに、いたずらに被害者の感情を害さないよう特に注意すること。
(3) 「3 相手方の不注意な点」
   被疑者の過失に関する被害者の認識を記載すること。分からない場合は、「口わかりません。」のロ印の中にレを付け、その他の場合には、空白部分のロ印の中にレを付けるとともに、その要旨を簡潔に記載すること。
(4) 「4 相手方との示談」
   示談状況については、第2. 3、(5)と同様に、不動文字の該当事項に口印の中にレを付けることとし、不動文字記載事項に該当しない場合には、空白部分のロ印の中にレを付け、その要旨を簡潔に記載すること。
(5) 「5 相手方(     さん)の処罰」
   処罰意思については、( )内に当該事故の被疑者の氏名を記載するとともに、被疑者に対する処罰意思を記載すること。
   この場合、不動文字に対応する意思の場合は、そのロ印の中にレを付け、それ以外の意思を表明したときには、空白部分のロ印の中にレを付け、「どちらとも言えません。」「まだ分かりません。」等と記載すること。
(6) 「6」
ア 必要に応じ、捜査上参考となる事項又は被害者が上記以外の事項について本調書への記載を希望した場合は、その要旨を簡潔に記載すること。
イ 被害車両に複数名が乗車していた場合には、その同乗者の氏名及び負傷の有無を記載すること。
(7) 被害者が幼児等の場合の保護者等の立会い
   被害者が小学生、幼児等の場合であっても、原則として本調書を作成することとするが、この場合、保護者等の立会いを求めるとともに、供述人が署名・押(指)印した同一行に立会人として署名・押(指)印させること。
   本人から供述を録取できない場合は、保護者等から供述を録取すること。
   なお、この場合は、被害者との関係、被害者の供述が得られない状況等も記載すること。
(8) 被害者が複数の場合
   被害車両に複数名が乗車していた場合、運転者については負傷の有無を問わず供述調書を作成し、同乗者については負傷した全員の供述調書を作成し、運転者及び負傷した同乗者全員について被害者ー覧表に記載すること。
   複数の歩行者が負傷した場合には、負傷した全員の供述調書を作成し、その全員について被害者一覧表に記載すること。
現場の見分状況書(簡約特例書式)
交通事故現場見取図(原図)(簡約特例書式)
被害者供述調書(簡約特例書式)

第4の2 警察段階の被害者供述調書(特例書式)の記載要領

   警察に提出した診断書に書いてある加療期間が約3週間を超える交通事故の場合,被害者供述調書(特例書式)が作成されます。
   そして,「過失運転致傷等事件に係る特例書式の運用について」(平成26年5月14日付の警察庁交通局長・刑事局長通達) 添付の「特例書式の運用要領」の「第2・5 被害者供述調書」によれば,警察段階の被害者供述調書(特例書式)の記載要領は以下のとおりです。

(1) 被害者の中には、故意に自分の過失を隠し、相手側の過失を誇大に供述する者があり、逆に事故によるショックから必要なことを供述し得ない者もあるので注意すること。
(2) 被害者が小学生、幼児等の場合であっても、原則として本調書を作成することとするが、この場合、保護者等の立会いを求めるととも・に、供述人が署名・押(指)印した同ー行に立会人として署名・押(指)印させること。
   ただし、本人から供述を録取できない場合は、保護者等から供述を録取すること。
   なお、この場合は、被害者との関係、被害者の供述が得られない状況等も記載すること。
(3) 被害者側の過失(不注意)が認められる場合は、その状況を供述させること。 ただし、この場合は、その言い分を十分に聴取するとともに、いたずらに被害者の感情を害さないよう特に注意すること。
被害者供述調書(特例書式)1/2
被害者供述調書(特例書式)2/2

第5の1 都道府県公安委員会に対する苦情申出制度

1(1) 警察職員が,職務執行において違法,不当な行為をしたり,なすべきことをしなかったりしたことによって,何らかの不利益を受けた場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます(警察法79条)。
   そのため,例えば,実況見分における警察官の対応について違法不当な行為があった場合,都道府県公安委員会に対し,文書により苦情の申出をすることができます。
   ただし,交通違反について,後日否認を申し出る場合,取り締まった警察署等に申し出る必要があります。
(2) 大阪府公安委員会に対する苦情申出については,大阪府警察HPの「苦情申出制度のご案内」を参照して下さい。

2 都道府県公安委員会における苦情申出制度の運用状況については,警察庁作成の以下の資料を参照してください。
① 平成23年中の苦情申出制度の運用状況
② 平成24年中の苦情申出制度の運用状況
③ 平成25年中の苦情申出制度の運用状況
④ 平成26年中の苦情申出制度の運用状況
⑤ 平成27年中の苦情申出制度の運用状況
⑥ 平成28年中の苦情申出制度の運用状況

第5の2 被害者において捜査機関の捜査が適正を欠くことを理由に国家賠償請求をすることはできないこ

1 犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は,国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって,犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく,また,告訴は,捜査機関に犯罪捜査の端緒を与え、検察官の職権発動を促すものにすぎないから,被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は,公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず,法律上保護された利益ではありません。
   そのため,被害者ないし告訴人は,捜査機関による捜査が適正を欠くこと又は検察官の不起訴処分の違法を理由として,国家賠償法の規定に基づく損害賠償請求をすることはできません(最高裁平成2年2月20日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和27年12月24日判決参照)。

2 被害者保護制度は,主として,犯罪被害者による刑事手続への関与や,その過程における犯罪被害者の処遇に関する制度を個別に定めるものであって,犯罪捜査や公訴提起自体を犯罪被害者の被害回復を目的とするものではなく,犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使が国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであることを変更するものではありません。
   そのため,被害者保護制度の整備によって,犯罪被害者が適正な捜査を求める利益が法律上保護される利益となったということはできないと解されています(東京地裁平成28年8月29日判決)。

第6 警察の被害者連絡制度等

1 ひき逃げ事件にあったり,交通事故により警察に提出した診断書ベースで全治3箇月以上の傷害を負ったりした場合,警察の被害者連絡制度の対象となります。
   この場合,事件を担当している捜査員等から,以下の事項に関する連絡があります(警察庁HPの「被害者への情報提供」参照)。
○ 刑事手続や犯罪被害者のための制度
○ 捜査状況(被疑者検挙まで)
○ 被疑者(犯人と思われる者)検挙の旨
○ 被疑者の氏名、年齢等 注1)
○ 被疑者の処分状況 注2)
(1)送致先検察庁
(2)起訴、不起訴などの処分結果
(3)起訴された裁判所
注1) 被疑者が少年の場合でも、原則として成人事件と同様の方法により連絡を行っています。ただし、健全育成の観点から、その保護者の氏名等の連絡にとどめる場合があります。
注2) 被疑者を逮捕せずに事件送致した場合は、送致先検察庁のみの連絡となります。 
 
2(1) 警察の被害者連絡制度は,「被害者連絡実施要領の改正について」(平成26年5月20日付の警察庁刑事局長等の通達)に基づいて運用されています。
(2)   被害者連絡制度の対象となる交通事故に関しては,「交通事故に係る被害者支援の一層の推進について」(平成25年4月16日付の警察庁交通局長通達)に基づき,警視庁又は道府県警察本部の交通事故事件捜査担当課に被害者連絡調整官(警視又は警部の階級にある者です。)及び被害者連絡調整官補佐(警部又は警部補の階級にある者です。)が設置されています。 

3 「適正な交通事故事件捜査及び被害者対策の推進について」(平成10年9月17日付の警察庁交通局長通達)に基づき,事故原因の究明が困難な交通事故事件の捜査については,警視庁又は道府県警察本部の事故捜査指導官が警察署を実地に指導することとされています。

4(1) 「ち密な交通事故事件捜査の推進について」(平成20年3月17日付の警察庁交通局長通達)に基づき,特定事故事件について警察本部の実質的関与が図られ,組織的かつ重点的な捜査が遂行させることを確立し,指導対象事故事件について本部による警察署に対する指導体制を強化するため,警視庁又は道府県警察本部の交通事故事件捜査担当課に交通事故事件捜査統括官(警視又は警部の階級にある者です。)及び交通事故鑑識官(警部又は警部補の階級にある者です。)が設置されています。
(2) 特定事故事件とは,死亡,重傷事故のうち,救護義務違反に係るもの,危険運転致死傷罪の適用が見込まれるもの,一方当事者の供述以外に証拠が得られないおそれがあるもの及び警察職員が一方当事者であるものをいいます。
   指導対象事故事件とは,特定事故事件以外の交通事故事件で当事者の言い分が食い違う事故等事故原因の究明が困難なものをいいます。

第7 大阪府内の警察署

1(1) 大阪府警察HPの「大阪市内の警察署」及び「大阪市外の警察署」のとおりです。
(2) 正式には,「大阪府警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例」(昭和29年6月30日大阪府条例第25号)で定められています。

2(1) 箕面警察署は昭和60年4月1日,豊中南警察署は昭和62年4月1日,泉北警察署は平成元年4月1日,摂津警察署は平成2年4月1日,関西空港警察署は平成6年4月1日に開署しました。
堺市内を管轄する警察署(黒山警察署を除く。)は,平成20年4月1日,堺北警察署は堺署,堺東警察署は北堺警察署,堺南警察署は西堺警察署,泉北警察署は南堺警察署に名称変更しました(大阪府交通安全協会HPの「大阪の交通白書」参照)。
(2) 大阪府交通安全協会は,道路交通法108条の31第1項及び交通安全活動推進センターに関する規則(平成10年3月6日国家公安委員会規則第3号)に基づき,都道府県交通安全活動推進センターの指定を受けています(大阪府交通安全協会HPの「交通安全活動推進事業」参照)。

3 アトラスウェブHPの「パトカーなど警察車両図鑑」に,交通系・自動車警ら隊等の白黒パトカー,交通系・捜査系・警備系等の覆面パトカー,その他の警察車両,各種機動隊車両等の写真が載っています。

第8 被害者に関する犯罪捜査規範の条文

○被害者に関する犯罪捜査規範の条文は以下のとおりです。

(秘密の保持等) 
第九条   捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者、被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。 
2   捜査を行うに当たつては、前項の規定により秘密を厳守するほか、告訴、告発、犯罪に関する申告その他犯罪捜査の端緒又は犯罪捜査の資料を提供した者(第十一条(被害者等の保護等)第二項において「資料提供者」という。)の名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない。 

(関係者に対する配慮) 
第十条   捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。 

(被害者等に対する配慮) 
第十条の二   捜査を行うに当たつては、被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。 
2   捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。 

(被害者等に対する通知) 
第十条の三   捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。ただし、捜査その他の警察の事務若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は、この限りでない。 

(被害者等の保護等) 
第十一条   警察官は、犯罪の手口、動機及び組織的背景、被疑者と被害者等との関係、被疑者の言動その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは、被疑者その他の関係者に、当該被害者等の氏名又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか、必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。 
2   前項の規定は、資料提供者に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。  

(捜査の回避) 
第十四条   警察官は、被疑者、被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは、上司の許可を得て、その捜査を回避しなければならない。 
 
(親告罪の要急捜査) 
第七十条   警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知つた場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。 

(現場における負傷者の救護等) 
第八十五条   警察官は、現場を臨検した場合において負傷者があるときは、救護の処置をとらなければならない。 
2   前項の場合において、ひん死の重傷者があるときは、応急救護の処置をとるとともに、その者から犯人の氏名、犯行の原因、被害者の氏名、目撃者等を聴取しておかなければならない。 
3   前項の重傷者が死亡したときは、その時刻を記録しておかなければならない。 

(現場における捜査の要点) 
第九十条   現場において捜査を行うに当たつては、現場鑑識その他の科学的合理的な方法により、次に掲げる事項を明らかにするよう努め、犯行の過程を全般的に把握するようにしなければならない。 
一   時の関係
イ 犯行の日時及びこれを推定し得る状況
ロ 発覚の日時及び状況
ハ 犯行当時における気象の状況
ニ その他時に関し参考となる事項
二   場所の関係
イ 現場に通ずる道路及びその状況
ロ 家屋その他現場附近にある物件及びその状況
ハ 現場の間取等の状況
ニ 現場における器具その他物品の状況
ホ 指掌紋、足跡その他のこん跡並びに遺留物件の位置及び状況
ヘ その他場所に関し参考となる事項
三   被害者の関係
イ 犯人に対する応接その他被害前の状況
ロ 被害時における抵抗、姿勢等の状況
ハ 傷害の部位及び程度、被害金品の種別及び数量等被害の程度
ニ 死体の位置及び創傷、流血その他の状況
ホ その他被害者に関し参考となる事項
四   被疑者の関係
イ 現場についての侵入及び逃走の経路
ロ 被疑者の数及び性別
ハ 犯罪の手段、方法その他犯罪実行の状況
ニ 被疑者の犯行の動機並びに被害者との面識及び現場についての知識の有無を推定し得る状況
ホ 被疑者の人相、風体、特徴、習癖その他特異な言動等
ヘ 凶器の種類、形状及び加害の方法その他加害の状況
ト その他被疑者に関し参考となる事項

 (資料を発見した時の措置) 
第九十二条   遺留品、現場指掌紋等の資料を発見したときは、年月日時及び場所を記載した紙片に被害者又は第三者の署名を求め、これを添付して撮影する等証拠力の保全に努めなければならない。 

 (実況見分調書記載上の注意) 
第百五条   実況見分調書は、客観的に記載するように努め、被疑者、被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても、その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならない。 
2   被疑者、被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて、特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合には、刑訴法第百九十八条第三項 から第五項 までおよび同法第二百二十三条第二項 の規定によらなければならない。この場合において、被疑者の供述に関しては、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げ、かつ、その点を調書に明らかにしておかなければならない。 

 (微罪処分の際の処置) 
第二百条   第百九十八条(微罪処分ができる場合)の規定により事件を送致しない場合には、次の各号に掲げる処置をとるものとする。 
一   被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること。 
二   親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を徴すること。 
三   被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと。 
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。