交通事故の損害賠償金等と税金

第1 交通事故の損害賠償金と所得税

□ 所得税法9条1項16号は,「損害保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で,心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの」を非課税所得としています。
   そして,所得税法施行令30条は,具体的に以下の所得が非課税所得としています。
① (a)損害保険契約に基づく保険金及び生命保険契約に基づく給付金で,身体の傷害に基因して支払を受けるもの,並びに(b)心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかったことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
→ 人身損害に起因する損害保険金・損害賠償金等は,給与所得者又は事業所得者の休業補償に関するもの(括弧内の文言のことです。)も含め,非課税所得になるということです。
② (a)損害保険契約に基づく保険金及び当該契約に準ずる共済に係る契約に基づく共済金で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに(b)不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)
→ 物的損害に起因する損害保険金・損害賠償金等は,(a)棚卸資産等について損失を受けたことにより取得する損害保険金等,及び(b)業務の収益の補償として取得する補償金等(括弧内の文言のことです。)を除き,非課税所得になるということです。
    なお,(a)及び(b)は本来所得として課税対象となるべき収入金額に代わる性質を有するから,それは本来の収入と見て課税対象になるということです。
③ 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金
□ (a)心身又は資産の損害に基因して休業する場合にその休業期間中における使用人の給料,(b)店舗の賃借料その他通常の維持管理に要する費用を補てんするものとして計算された金額のような「必要経費に算入される金額を補てんするための金額」は,人身損害に起因する保険金・損害賠償金等であっても,課税所得となります(所得税法施行令30条本文)。
□ 所得税法9条1項16号の趣旨は,損害賠償が他人の被った損害を補てんし,損害がないのと同じ状態にすることを目的とするものであって,その間に所得の観念を入れることが酷であるから,これを非課税所得とし,他方,損害賠償金の名目で支払われたとしても,そのすべてが非課税所得になるわけではなく,本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは,喪失した所得(利益)が補てんされるという意味においてその実質は所得(利益)を得たのと同一の結果に帰着すると考えられるから,それを非課税所得としないとするものです(平成17年9月12日付の国税不服審判所の裁決,平成22年4月22日付の国税不服審判所の裁決参照)。
    ただし,交通事故に基づく損害賠償金の場合,非課税所得であることに争いが生じることはまずありません。

第2 高度障害保険金等と所得税

□ 疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は,所得税法施行令30条1号の「身体の傷害に起因して支払を受けるもの」に該当しますから,非課税所得となります(所得税基本通達9-21)。

第3 所得補償保険金と所得税

□ 被保険者の傷害又は疾病により当該被保険者が勤務又は業務に従事することができなかったことによるその期間の給与又は収益の補てんとして損害保険契約に基づき当該被保険者が支払を受ける所得補償保険金は,所得税法施行令30条1号の「身体の傷害に起因して支払を受けるもの」に該当しますから,非課税所得となります(所得税基本通達9-22)。
    ただし,業務を営む者が自己を被保険者として支払う所得補償保険金に係る保険料は,当該業務に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することはできません。

第4 葬祭料等の取扱い及び相続税

□ 葬祭料,香典又は災害等の見舞金で,その金額がその受贈者の社会的地位,贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては,所得税法施行令30条に基づき非課税所得となります(所得税基本通達9-23)。
□ 交通事故により死亡した被害者の遺族が,加害者又は保険会社から損害賠償金を受領した場合,人身損害に起因する損害賠償金に当たりますから,非課税所得となります。
□ 交通事故の被害者が,加害者又は保険会社から損害賠償金を受領できることが決まったものの,受領する前に死亡した場合,当該損害賠償金を受領できる権利,つまり,債権は相続財産となりますから,相続税の課税対象となります。
□ 業務災害によって死亡した場合,会社によっては,慶弔見舞金規程に基づき,労災保険とは別に,弔慰金,花輪代,葬祭料等(=弔慰金等)を支給してくれることがあります。

   そして,弔慰金等のうち,ボーナスを除く給料の3年分以下の部分は,税務上も弔慰金等としての取扱いを受ける結果,相続税の対象とはなりません(相続税基本通達3-20)。

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