損害賠償請求訴訟を提起する場合の被告,及び裁判所の土地管轄

第1 損害賠償請求訴訟を提起する場合の被告

1 加害者を被告として損害賠償請求訴訟を提起する場合であっても,加害者が任意保険に加入している場合,訴訟前の交渉において,任意保険会社が免責事由を主張していない限り,任意保険会社を被告とする損害賠償請求訴訟を提起する必要はありません。
    また,後述するとおり,自賠責保険会社を被告とする損害賠償請求訴訟を提起する必要もありません。
    よって,この場合は通常,加害者だけを被告として損害賠償請求訴訟を提起することとなります。

2 被害者の任意保険会社に対する直接請求権が発生するためには,約款上,以下のいずれかの要件に該当する必要があります。
① 損害賠償額が裁判上又は裁判外で確定したとき
② 損害賠償請求権者が被保険者に対し,損害賠償請求権を行使しないことを書面で承諾した場合(=免責証書を発行した場合)
③ 損害賠償額が保険限度額を超えることが明らかとなった場合
④ 被保険者又はその法定相続人が破産又は生死不明である場合
⑤ 被保険者が死亡し,その法定相続人がいない場合

3(1) ①の要件との関係で,任意保険会社を共同被告として訴訟する場合,将来給付の訴えとなります(最高裁昭和57年9月28日判決参照)から,請求の趣旨は以下のように記載します。
    被告保険会社は,原告の被告〔注:被保険者〕に対する判決が確定したときは,原告に対し,金○○円及びこれに対する平成○○年○○月○○日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 任意保険会社を共同被告として訴訟する場合,請求の原因の中で,被告保険会社の責任原因として,①保険契約の成立,及び②直接請求の根拠となる保険約款の存在について記載する必要があります。
(3) 交通事故訴訟では,多くの場合,加害者側には任意保険会社が付いていますから,現実に損害賠償金を支払うのは任意保険会社です。
そのため,損害賠償金を回収するだけであれば,運行供用者又は運転者だけを被告とすれば足ります。

第2 裁判所の土地管轄

1 民事訴訟は原則として,相手方である被告の住所地を管轄する裁判所に提起する必要があります(民事訴訟法4条1項)。
    しかし,不法行為(例えば,交通事故)に基づく損害賠償請求訴訟の場合,原告の現在の住所地が義務履行地です(民法484条)から,原告の現在の住所地を管轄する裁判所にも提起できます(民事訴訟法5条1号)し,不法行為があった地を管轄する裁判所にも提起できます(民事訴訟法5条9号)。

2 本来の管轄裁判所が大阪地裁でない場合であっても,加害者の任意保険会社に対し,訴訟提起予定であるから加害者の代理人弁護士を早急に選任するように連絡した上で,加害者の代理人弁護士との間で,合意管轄(民事訴訟法11条)又は応訴管轄(民事訴訟法12条)に基づき,大阪地裁に管轄を発生させることがあります。

3(1) 加害者及び任意保険会社の両方を被告とする損害賠償請求訴訟を提起する場合,任意保険会社の本店所在地を管轄する裁判所(通常は東京地方裁判所)の併合管轄を生じさせることができます(民事訴訟法38条前段)。
  この場合,裁判所は,損害賠償請求権者の被保険者(=加害者)に対する損害賠償請求を認容するとともに,認容する当該損害賠償額に基づき損害賠償請求権者の保険会社に対する保険金請求は,予めその請求をする必要のある場合として認容してくれます(最高裁昭和57年9月28日判決参照)。
(2) 原告及び被告の普通裁判籍が東京になく,かつ,事故発生場所も東京でないような事案で,東京地裁で管轄を取得するために任意保険会社を被告として追加したとしか考えられないような場合,被告から民事訴訟法17条に基づく移送の申立てがなされると,通常は,被告の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所等に移送されます(東弁リブラ2013年8月号「東京地裁書記官に訊く-交通部編-」4頁参照)。

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