被疑者の逮捕,被疑者及び被告人の勾留並びに取調べ

第1 被疑者の逮捕

1 逮捕状の執行等
□ 検察官,検察事務官又は司法警察職員は,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは,裁判官のあらかじめ発する逮捕状により,これを逮捕することができます(刑訴法199条1項)。
□ 逮捕状の請求を受けた裁判官は,逮捕の理由があると認めるときは,明らかに逮捕の必要がないと認められる場合(刑訴規則143条の3)を除いて,逮捕状を発付しなければなりません(刑訴法199条2項)。
□ 逮捕状には,①被疑者の氏名及び住居,②罪名,③被疑事実の要旨,④引致すべき官公署その他の場所,⑤有効期間及びその期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに⑥発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し,裁判官が,これに記名押印しなければなりません(刑訴法200条1項)。
□ 逮捕状により被疑者を逮捕するには,逮捕状を被疑者に示さなければなりません(刑訴法201条1項)。
□ 逮捕状を所持しない場合において,急速を要するときは,被疑者に対し,被疑事実の要旨及び令状が発付されている旨を告げて逮捕することができる(逮捕状の緊急執行。刑訴法201条2項・73条3項)。
□ 検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは,直ちに,検察事務官はこれを検察官に,司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければなりません(刑訴法202条)。
2 72時間又は48時間以内に勾留を請求する必要があること
□ 司法警察員は,逮捕状により被疑者を逮捕したとき,又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解の機会を与え,留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し,留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければなりません(刑訴法203条1項)。
これは,「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」と規定する憲法34条に基づく条文です。
□ 検察官は,逮捕状により被疑者を逮捕したとき,又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは,直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上,弁解の機会を与え,留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し,留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければなりません(刑訴法204条1項)。
□ 検察官は,司法警察員から送致された被疑者を受け取ったときは,弁解の機会を与え,留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し,留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければなりません(刑訴法205条1項)。
□ ①刑訴法203条に基づく司法警察員の被疑者に対する弁解録取書,又は②刑訴法204条若しくは205条に基づく検察官の被疑者に対する弁解録取書は,専ら被疑者を留置する必要あるか否かを調査するための弁解録取書であって,同法198条所定の被疑者の取調調書ではないから,訴訟法上その弁解の機会を与えるには犯罪事実の要旨を告げるだけで充分であって,同法198条2項所定のように被疑者に対し,あらかじめ,供述を拒むことができる旨を告げなければならないことは要請されていません(最高裁昭和27年3月27日判決)。
□ ①警察が被疑者を逮捕した場合,合計72時間(警察の48時間及び検察の24時間)以内に被疑者の勾留を請求する必要があり,②検察が自ら被疑者を逮捕した場合,48時間以内に被疑者の勾留を請求しなければなりません。
3 緊急逮捕
□ 検察官,検察事務官又は司法警察職員は,死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で,急速を要し,裁判官の逮捕状を求めることができないときは,その理由を告げて被疑者を逮捕することができます(刑訴法210条1項前段)。
この場合,直ちに裁判官の緊急逮捕状を求める手続をしなければならないのであって,緊急逮捕状が発せられないときは,直ちに被疑者を釈放しなければなりません(刑訴法210条1項後段,犯罪捜査規範120条)。
□ 「急速を要し」とは,裁判官に通常逮捕状を請求していたのでは,仮に逮捕状が発付されたとしても,被疑者の逃亡等により逮捕が不可能又は著しく困難となる場合をいいます。
□ 緊急逮捕は,厳格な制約の下に,罪状の重い一定の犯罪のみについて,緊急やむを得ない場合に限り,逮捕後直ちに裁判官の審査を受けて逮捕状の発付を求めることを条件とし,被疑者の逮捕を認めるものであって,憲法33条の趣旨に反するものではありません(最高裁昭和32年5月28日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和30年12月14日判決)。
□ 例えば,緊急逮捕のため被疑者方に赴いたところ,被疑者がたまたま他出不在であっても,帰宅次第緊急逮捕する態勢の下に捜索,差押がなされ,且つ,これと時間的に接着して逮捕がなされる限り,その捜索,差押は,なお,緊急逮捕する場合その現場でなされたとするのを妨げるものではありません(最高裁大法廷昭和36年6月7日判決)。
□ 被疑者を緊急逮捕した場合,緊急逮捕状が発せられた後の手続は,通常逮捕の場合と同じです(刑訴法211条参照)。
4 現行犯逮捕及び準現行犯逮捕
□ 現行犯人は,何人でも,逮捕状なくしてこれを逮捕することができます(刑訴法213条)。
□ 捜査機関であっても,その権限外の犯罪,例えば,管轄区域外の犯罪及び特別司法警察職員が与えられた犯罪捜査権の及ばない犯罪については,私人として逮捕することとなります。
また,税関職員,税務署職員,国税査察官,入国警備官及び公正取引委員会職員等は,それぞれ特定の法令違反の事実について調査権を与えられ,実質的に捜査に近い権能を有しているものの,捜査機関ではありませんから現行犯逮捕も私人として行うこととなります。
□ 準現行犯逮捕とは,以下のいずれかに該当する者を,罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合に逮捕することをいいます(刑訴法212条2項)。
① 犯人として追呼されているとき。
② 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
③ 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
④ 誰何されて逃走しようとするとき。
□ 現行犯・準現行犯逮捕後の手続は以下のとおりです。
① 通常人が現行犯人を逮捕した場合,直ちにこれを検察官又は司法警察職員に引き渡す必要があります(刑訴法214条)。
② 司法巡査が通常人から現行犯人を受け取ったときは,速やかにこれを司法警察員に引致しなければなりません(刑訴法215条1項)。
③ 逮捕後のその他の手続はすべて通常逮捕の場合と同じです(刑訴法216条)。

第2 被疑者及び被告人の勾留

1 総論
□ 勾留とは,被告人又は被疑者を刑事施設に拘禁する裁判及びその執行をいいます。
□ 勾留の要件は以下のとおりです。
① 犯罪の嫌疑(刑訴法60条1項柱書)
被告人が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることです。
② 勾留の理由(刑訴法60条1項各号)
(a)被告人が定まった住居を有しないとき(住居不定),(b)罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき(罪証隠滅のおそれ),(c)逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき(逃亡のおそれ)のいずれかが存在することです。
③ 勾留の必要性(刑訴法87条1項参照)
□ 勾留に対しては,犯罪の嫌疑がないことを理由として抗告又は準抗告をすることはできません(刑訴法420条3項・429条2項)。
□ 弁護士は,身体の拘束を受けている被疑者及び被告人について,必要な接見の機会の確保及び身体拘束からの解放に努めます(弁護士職務基本規程47条)。

2 勾留質問
□ 勾留は,被疑者に対しては被疑事実を告げ,被告人に対しては被告事件を告げ,これに関する陳述を聴いた後でなければ,これをすることができません(刑訴法61条・207条1項)。
□ 被告事件を告げるとは,事件の同一性を明らかにし,かつ,被告人がこれに対して適切な弁解をすることができる程度に,具体的に事案の内容を告げることをいい,公訴事実の要旨の告知(刑訴法76条1項,203条1項,204条1項)と同じことです。
□ 勾留をする裁判所が,すでに被告事件の審理の際,被告事件に関する陳述を聞いている場合には,改めて刑訴法61条のいわゆる勾留質問をしなければならないものではありません(最高裁昭和41年10月19日決定)。
□ 勾留質問には裁判所書記官を立ち会わせ(刑訴規則69条),調書を作成しなければなりません(刑訴規則39条,42条)。
この場合の調書が勾留質問調書であり,①読み聞かせ及び②供述者の署名押印がなされる(刑訴規則39条2項・38条3項及び6項)ことから,被告人の供述を録取した書面として証拠能力を有します(刑訴法321条1項1号,322条1項)。
□ 憲法32条は,すべて国民は憲法または法律に定められた裁判所によってのみ裁判を受ける権利を有し,裁判所以外の機関によって裁判をされることはないことを保障したものであって,裁判を行なう場所についてまで規定したものではありません。
よって,裁判官が裁判所の庁舎外において勾留質問を行ったとしても,憲法32条に違反しません(最高裁昭和44年7月25日決定)。

3 勾留状の執行等
□ 勾留状は,検察官の指揮によって,検察事務官又は司法警察職員がこれを執行します(刑訴法70条1項本文)。
なお,刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は,検察官の指揮によって,刑事施設職員がこれを執行します(刑訴法70条2項)。
□ 検察官の指揮により勾引状又は勾留状を執行する場合には,これを発した裁判所又は裁判官は,その原本を検察官に送付しなければなりません(刑訴規則72条)。
原本を検察官に送付するのは,勾留状の執行に当たって,原本を被告人に示す必要があるからです(刑訴法73条1項及び2項)。
□ 遠隔の地で勾引状・勾留状の執行をした場合,引致すべき場所との距離等との関係で長時間を要し,あるいは利用する交通機関との関係で待ち時間ができたりすることが考えられ,そのようなとき,近接地にある刑事施設に一時的に身柄を留置することができます(刑訴法74条)。
□ 勾留状の執行を受けた被告人は,その謄本の交付を請求することができます(刑訴規則74条)。

4 勾留と弁護人等への通知
□ 被疑者又は被告人が勾留された場合,接見交通(刑訴法39条1項),勾留理由開示請求(刑訴法82条2項),勾留取消請求(刑訴法87条1項)及び保釈請求(刑訴法88条1項)等,護人の活動すべき範囲は広く,弁護人が被告人の勾留されたことを直ちに知ることは人権保障の上で極めて重要ですから,刑訴法79条1項・207条1項による通知は弁護人依頼権を実質化するものです。
被告人に弁護人がないときは,被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人に通知しなければならないとされる(刑訴法79条2項・207条1項)のも,これらの者は独立して弁護人を選任することができる者である(刑訴法30条2項)から,弁護人依頼権を実質化しようとするものであるとともに,これらの者が被告人の所在を知って接見し(刑訴法80条),勾留理由開示請求(刑訴法82条2項,勾留取消請求(刑訴法87条1項)及び保釈請求(刑訴法88条1項)等をなし得るようにするものです。
□ 被告人を勾留した場合において被告人に弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹がないときは,被告人の申出により,その指定する者1人にその旨を通知しなければなりません(刑訴規則79条)。

5 勾留と,弁護人等以外の者との接見交通
□ 勾留されている被疑者又は被告人は,弁護人等以外の者と,法令の範囲内で接見し,又は書類若しくは物の授受をすることができます(刑訴法80条前段)。
□ 接見しようとする者が弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者である場合,その者は通常,刑事司法の目的及び運営に暗い者であるから,法令による各種の制限を置くことはやむを得ないといわれています。
□ ①逮捕状により留置中の被告人(逮捕中公判請求の場合),及び②被疑者(刑訴法209条は同法80条を準用していない)については,弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見は認められていません。
□ 裁判所は,逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは,検察官の請求により又は職権で,勾留されている被告人と弁護人等以外の者との接見を禁じ,又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し,その授受を禁じ,若しくはこれを差し押えることができます(刑訴法81条本文)。

6 勾留理由開示
(1) 総論
□ 勾留理由開示は憲法34条後段の要請に基づく制度です。
□ 勾留されている被疑者又は被告人は,裁判所に勾留の理由の開示を請求することができます(刑訴法82条1項・207条1項)。
□ 勾留されている被疑者又は被告人の弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族,兄弟姉妹その他利害関係人も,裁判所に勾留の理由の開示を請求することができます(刑訴法82条2項・207条1項)。
□ 勾留理由開示は,公開の法廷でなされ(刑訴法83条1項・207条1項),裁判官及び裁判所書記官が列席して開かれます(刑訴法83条2項・207条1項)。
なお,被告人及びその弁護人が出頭しないときは,原則として開廷することができません(刑訴法83条3項・207条1項)。
□ 裁判長は,勾留理由開示の法廷において,勾留の理由を告げる必要があります(刑訴法84条1項・207条1項)。
□ 検察官,弁護人等は,10分以内で意見を述べることができますし(刑訴法84条2項本文・207条1項,刑訴規則85条の3第1項),書面を差し出すことができます(刑訴法84条2項ただし書・207条1項,刑訴規則85条の3第2項)。

(2) 勾留理由開示に関する判例
□ 刑訴法86条の趣旨に徴すれば,既に一度勾留理由の開示がなされたときは,その同一勾留の継続中は重ねて勾留理由の開示を請求することを許されません(最高裁昭和28年10月15日決定)。
なお,刑訴法86条は同一時点における請求の競合について規定するものに対し,最高裁昭和28年10月15日決定は異なる時点における請求の競合について判示するものです。
□ 勾留理由開示の請求を却下する決定で高等裁判所がしたものに対しては,たとえ判決後にしたものであっても,刑訴法428条2項により,その高等裁判所に通常の抗告に代る異議の申立てをすることができます(最高裁昭和31年12月13日決定)。
□ 勾留理由開示の請求は,同一勾留については,勾留の開始せられた当該裁判所において一回にかぎり許されます(最高裁昭和44年4月9日決定。なお,先例として,最高裁昭和29年8月5日決定,最高裁昭和29年9月7日決定参照)。
□ 裁判官が勾留理由開示の請求を却下した裁判に不服がある者は,刑訴法429条1項2号により,その取消又は変更を請求することができます(最高裁昭和46年6月14日決定)。
□ 簡易裁判所の裁判官が発した勾留状により勾留されている被疑者の事件が地方裁判所に起訴された場合には,第一回公判期日前における勾留理由の開示は,その地方裁判所の裁判官が行なうべきものです(最高裁昭和47年4月28日決定)。
□ 勾留理由開示の請求は,勾留の開始された当該裁判所にのみなすことを許されます(最高裁昭和48年6月20日決定及び最高裁昭和50年10月18日決定。なお,先例として,最高裁昭和29年8月5日決定,最高裁昭和29年9月7日決定参照)。
そのため,被告人に対する勾留が第一審で開始されたものである場合,上告審において勾留理由開示の請求をすることはできません(最高裁昭和50年10月18日決定)。
□  最高裁判所がした勾留理由開示請求却下決定に対し,特別抗告をすることはできません(最高裁昭和60年12月12日決定)。
□ 勾留理由の開示は,公開の法廷で裁判官が勾留の理由を告げることであるから,その手続においてされる裁判官の行為は,刑訴法429条1項2号にいう勾留に関する裁判には当たりません(最高裁平成5年7月19日決定)。
□  公訴提起後第1回公判期日前に弁護人が申請した起訴前の勾留理由開示の期日調書の謄写について裁判官が刑訴法40条1項に準じて行った不許可処分に対しては,同法429条1項2号による準抗告を申し立てることはできず,同法309条2項により異議を申し立てることができるにすぎません(最高裁平成17年10月24日決定)。

7 勾留の取消
□ 勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは,裁判所は,検察官,勾留されている被告人若しくはその弁護人,法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により,又は職権で,決定を以て勾留を取り消す必要があります(刑訴法87条1項・207条1項)。
□ ①勾留に対する不服申立てが勾留の裁判自体に内在する瑕疵を原因とする勾留の否定であり,②保釈及び勾留の執行停止が勾留後の事情を考慮しての一時的効力の停止であるのに対し,③勾留の取消は,勾留後の事情を原因とするその撤回です。
□ 刑訴法60条1項の勾留の理由は元々,勾留の必要のある場合の典型的な例ですから,勾留の理由がある以上,勾留の必要性も推定されます。
そのため,勾留の理由があって必要性のない場合としては,住居不定ではあるものの確実な身元引受人がある場合が考えられるにすぎません。
□ 勾留取消決定(ただし,刑訴法207条,280条の場合は勾留取消命令)をする場合,それが検察官の請求によるものでない限り,急速を要する場合を除き,検察官の意見を聴く必要があります(刑訴法92条2項)。

8 勾留の執行停止
□ 裁判所は,適当と認めるときは,決定で,勾留されている被告人を親族,保護団体その他の者に委託し,又は被告人の住居を制限して,勾留の執行を停止することができます(刑訴法95条・207条1項)。
□ 勾留の執行停止は実務上,被告人の病気療養のための入院,親族の冠婚葬,就職試験といった場合に限り,認められているにすぎません。
また,執行停止の期間は実務上ほとんどの場合に付されています。
□ 勾留の執行停止をする場合は必ず,親族,保護団体その他の者に委託するか(刑訴規則90条参照),又は被告人の住居を制限しなければなりません。
なお,ハイジャック犯からの要求で超実定法的に被告人の勾留の執行を一時停止するといったように,委託も住居制限もできない場合に勾留の執行を停止することは,刑訴法95条とは無関係です。
□ 勾留の執行停止決定をする場合,急速を要する場合を除き,検察官の意見を聴く必要があります(刑訴規則88条)。

9 被疑者勾留の特有事項
□ 被疑者の勾留は原則として10日以内であり(刑訴法208条1項),やむを得ない事由があると認められる場合に限り,20日以内となります(刑訴法208条2項)。
□ 刑訴法208条2項の「やむを得ない事由」とは,①被疑者若しくは被疑事実の多数,計算複雑,被疑者・関係人らの供述その他の証拠の食い違い,取調べが必要と見込まれる関係人・証拠物多数等,又は,②重要参考人の病気,旅行,所在不明若しくは鑑定等証拠収集の遅延,困難等により,起訴,不起訴の決定が困難な場合を指し,その存否の判断には,関連する事件も相当の限度で考慮に入れることができます(最高裁昭和37年7月3日判決)。
□ 勾留期間の延長請求書には,勾留状と期間延長のやむを得ない事由があることを認めるべき資料を添付しなければなりません(刑訴規則152条)。
通常は,取調べを要する関係者多数,重要参考人が遠隔地のため取調べ未了及び事案複雑等,その事由を具体的に記載し,一件捜査記録を資料として添付しています。
□ 勾留の期間延長の裁判は,延長する期間及び理由を記載した勾留状を検察官に交付することによって効力を生じます(刑訴規則153条1項ないし3項)。
□ 検察官は,勾留状の交付を受けたときは,ただちに刑事施設職員を通じてこれを被疑者に示す必要があります(刑訴規則153条4項)。

10 被告人勾留の特有事項
□ 被告人の勾留の目的は,①被告人の公判廷への出頭を確保し,罪証隠滅を防止する点,及び②有罪判決がなされた場合の刑を執行するために身柄を確保する点にある。
□ 第1回公判期日前の勾留は裁判官が行います(刑訴法280条1項)。
□ 被告人勾留の場合,裁判所が職権で行うのであって,被疑者勾留の場合のように検察官の請求によって行う(刑訴法207条)わけではありません。
□ 逮捕中の被疑者について逮捕の基礎となった犯罪事実につき公訴を提起する場合において,その者を勾留する必要があると認めるときに,実務上,検察官が被告人の勾留を求めること(逮捕中求令状)がありますものの,これは裁判官に対してその職権の発動を促す意思表示にすぎません。
□ 勾留の期間は原則として2ヶ月である(刑訴法60条2項本文前段)ものの,特に継続の必要がある場合においては,具体的に理由を付した決定で,1ヶ月ごとにこれを更新することができます(刑訴法60条2項本文後段)。
ただし,罪証隠滅,住居不定等の場合を除き,勾留の更新は1回しかできません(刑訴法60条2項ただし書)。
□ 刑訴法60条2項本文前段の「勾留の期間」とは,勾留状の執行として拘禁できる期間をいいます。
□ 勾留状の有効期間(刑訴法64条1項,刑訴規則300条)とは,勾留状を執行する有効期間をいい,被告人を交流すべき期間をいうものではありません(最高裁昭和25年6月29日決定)。
□ 起訴前の勾留中における捜査官の取調べの当否は起訴後の勾留の効力に影響を及ぼしません(最高裁昭和44年9月27日決定。なお,先例として,最高裁昭和42年8月31日決定)。
□ 勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は,右決定による勾留の期間の満了により失われます(最高裁平成6年7月8日決定)。

11 第一審裁判所の無罪判決後の勾留
□ 刑訴法345条は,無罪等の一定の裁判の告知があったときには勾留状が失効する旨規定しており,特に,無罪判決があったときには,本来,無罪推定を受けるべき被告人に対し,未確定とはいえ,無罪の判断が示されたという事実を尊重し,それ以上の被告人の拘束を許さないこととしたものと解されるから,被告人が無罪判決を受けた場合においては,同法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断は,無罪判決の存在を十分に踏まえて慎重になされなければならず,嫌疑の程度としては,第1審段階におけるものよりも強いものが要求されます(最高裁平成19年12月13日決定)。
□ 第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であっても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮しても,勾留の理由及び必要性が認められるときは,その審理の段階を問わず,被告人を勾留することができます(最高裁平成23年10月5日決定。なお,先例として,最高裁平成12年6月27日決定,最高裁平成19年12月13日決定参照)。

第3 取調べの心構え

以下の文章は,日本弁護士連合会の「被疑者ノート」(第3版・2009年4月版)からの抜粋です。
① 取調官の作文を許さない~供述調書は,取調官の作文になりがちです~
取調べで作成される供述調書は,まるで,あなた自身が書いたかのように,「わたしは,○○しました」という文章になっています。
しかし,供述調書の内容は,あなたが話した内容をそのまま書いたものではありません。取調官がまとめて文章にしたものです。あなたの言い分と,取調官の作文が混ざってしまい,どこまでが本当のあなたの言い分で,どこからが取調官の作文かは,区別がつきません。日本の取調べは,弁護人の立会いもなく,録画も録音もされていませんので,どれがあなたのことばなのか,後から調べようがないのです。
このため,日本では,裁判になって,供述調書の内容は自分の言い分とはちがう,取調官の作文が入っている,と争いになることが非常に多いのです。そのような争いには,多くの労力と時間が必要となります。しかも,そのような調書でも,それなりにもっともらしく作られていますので,弁護人が後からどれだけ必死に争っても,日本の裁判官は,それがすべてあなたの言ったことであるかのように考えてしまいがちです。
このように供述調書はとてもおそろしい力をもっていますので,供述調書を作成する際には注意してください。
以下,具体的なアドバイスです。
② ずっと黙っていることもできる~あなたはずっと黙っていることができます~
憲法38条1項は,「何人も,自己に不利益な供述を強要されない」と定め,黙秘権を保障しています。また,刑訴法198条2項は,「取調に際しては,被疑者に対し,あらかじめ,自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない」と定めています。被疑者は,取調官から供述を迫られたとしても,黙秘権を行使し,供述を拒否することができます。一切の質問に対し,何も答えず,黙っていてもかまわないという権利です。
黙秘権は,権力が,無実の人からも無理にウソの自白をさせてきたことの反省から生まれたものです。世界のどこでも,近代国家であるかぎり,このような黙秘権が認められることは,当然のことです。黙秘権を行使することは,けっして,間違ったことではありません。
③ 署名押印に応じる義務はない~署名押印を求められても,応じる義務はありません~
取調官が長い供述調書を書き上げた後に,「署名押印をしたくありません」とは言いにくいかもしれません。しかし,供述調書に署名押印することは,あなたの義務ではありません。
刑訴法198条5項は「被疑者が,調書に誤のないことを申し立てたときは,これに署名押印することを求めることができる。但し,これを拒絶した場合は,この限りでない」と明確に規定しています。あなたには署名押印拒否権が認められているのです。
調書が,100パーセントあなたの言い分どおり,正しく書かれていたとしても,署名押印する義務はないのです。あなたの供述調書には,あなたが本当に言ったことと,取調官が作文してしまったことばが,いっしょに書かれていることがよくあります。もし,あなたが「自分はそんなこと言っていないのに」と感じたら,そのような供述調書に署名押印する義務がないのは,なおさらあたりまえのことなのです。
④ 間違っている調書は訂正してもらう~調書の内容は訂正してもらえます~
刑訴法198条4項は,取調官が供述調書を作成した後,「被疑者に閲覧させ,又は読み聞かせて,誤がないかどうかを問い,被疑者が増減変更の申立をしたときは,その供述を調書に記載しなければならない」と定めています。あなたは,取調官に対し,供述調書の記載内容を訂正することを求める権利があるのです。納得がゆく訂正がなされるまで,署名押印をする必要はありません。
ただし,長い調書が作成された場合,その一部分だけをとりあげて,訂正を申し立てるのは,むずかしいものです。しかも,訂正が一部だけだと,訂正しなかった部分は,あなたが納得した部分だと思われてしまいます。訂正をするときは,よく考えて,すこしでも疑問がのこれば,供述調書の署名押印を拒否して,弁護人と相談することをおすすめします。
⑤ 調書は読んで確認する~あなた自身の目でじっくりと調書の内容を読んでください~
刑訴法の規定では,取調官があなたに読み聞かせる方法でもかまわないことになっています。しかし,取調官が早口で読み聞かせたり,あなたが疲れていたりすると,うっかり聞き逃したり,勘違いしてしまうおそれがあります。調書への署名押印を考えている場合には,取調官に「わたし自身で読みたいので,読ませてください」と言って,必ずあなた自身の目でじっくりと調書の内容を読むようにしてください。あなたには署名押印拒否権が認められるのですから,もし取調官がこれに応じないのであれば,調書への署名押印を拒否してもかまわないのです。
⑥ けっして妥協しない~おかしいと思ったら調書にはサインしないでください~
もし,あなたが否認したり,黙秘をしたり,調書の内容の訂正を求めたり,署名押印を拒否したりすれば,取調官が,認めないと不利になるとか,調書を作らなければ不利になるとかという話をしてくるかもしれません。怒鳴られたり,ときには暴行をふるわれた,あるいは,家族や関係者に不利になると言われたという元被疑者の人もいます。一部はあなたの言い分をそのまま書く代わりに,別のところで,取調官の言い分を認めるという取引を持ち出してくるかもしれません。
しかし,調書の内容がおかしいと感じたら,けっして妥協したりせず,間違った調書にサインをしないでほしいのです。調書を作らないからと言って,すぐに不利になることはありません。弁護人と相談してからでも,おそくはありません。悩んだら,「弁護人を呼んでください。署名するかどうかは,相談してから決めます」と言ってください。取調官に遠慮する必要は,まったくありません。
⑦ 録画のときにこそ主張する~あなたの言い分を録画してもらいましょう~
2008年(平成20年)4月から,重大な事件(裁判員対象事件)のうち「自白調書」を証拠請求する事件については,検察官の取調べの一部を録画(以下「一部録画」といいます)することになりました。また,警察官の取調べについても,2009年(平成21年)4月から一部録画を全国で試験的に導入することになっています。
現在行われている一部録画は,「自白調書」が完成した後で自白内容等を確認する場面や,「自白調書」の文面作成後に読み聞かせ等をする場面にかぎって録画するというものです(警察庁が試験的に導入している一部録画も同様のものと考えられます。)。
したがって,一部録画は少なくとも一定の取調べがなされた上で行われますから,それまでの取調べで,取調官に脅されて署名させられたとか,自分の言い分とちがう調書を作られたとか,訂正に応じてくれなかった,といった取調官の違法・不当な行為があった場合には,必ずそのことを主張して,録画してもらうようにしましょう。
あなたの主張を,映像として残しておくことは,非常に大切なことです。

第4の1 警察及び検察の取調べに対する苦情の申し入れ方法

1 警察の取調べに対する苦情の申し入れ方法等
□ 被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則(平成20年4月3日国家公安委員会規則第4号。平成21年4月1日施行)3条1項2号に基づき,被疑者取調べに際し,当該被疑者取調べに携わる警察官が被疑者に対して行う以下の行為は監督対象行為として規制されています。
① やむを得ない場合を除き,身体に接触すること。
② 直接又は間接に有形力を行使すること(①に掲げるものを除く。)。
③ 殊更に不安を覚えさせ,又は困惑させるような言動をすること。
④ 一定の姿勢又は動作をとるよう不当に要求すること。
⑤ 便宜を供与し,又は供与することを申し出,若しくは約束すること。
⑥ 人の尊厳を著しく害するような言動をすること。
□ 取調べ監督官は,警察本部長又は警察署長の指揮を受け,以下の職務を行います(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則4条2項)。
① 被疑者取調べの状況の確認を行うこと。
② 被疑者取調べの中止の要求その他の必要な措置をとること。
③ 巡察官が行う巡察に協力すること。
④ 取調べ調査官が行う調査に協力すること。 
⑤ その他法令の規定によりその権限に属させられ,又は警察本部長若しくは警察署長から特に命ぜられた事項
□ 取調べ監督官の職務を行う者及びその職務を補助する者は,その担当する被疑者取調べに係る被疑者に係る犯罪の捜査に従事してはなりません(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則4条3項)。
□ 取調べ監督官は,取調べ室の外部からの視認,事件指揮簿(犯罪捜査規範19条2項)及び取調べ状況報告書(犯罪捜査規範182条の2第1項)の閲覧その他の方法により被疑者取調べの状況の確認を行います(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則6条1項)。
なお,警察官が,被疑者又は被告人を取調べ室等において取り調べたときは,当該取調べを行った日ごとに,速やかに取調べ状況報告書を作成しなければなりません(犯罪捜査規範182条の2第1項)。
□ 警察職員は,被疑者取調べについて苦情の申出を受けたときは,速やかに,当該被疑者取調べを担当する取調べ監督官にその旨及びその内容を通知しなければなりません(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則7条)。
□ 警察本部長は,必要があると認めるときは,取調べ監督業務担当課の警察官のうちから巡察官を指名し,取調べ室を巡察させます(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則8条1項前段)。
□ 警察本部の犯罪捜査を担当する課の長又は警察署長(=警察署長等)は,その指揮に係る被疑者取調べに関し,取調べ状況報告書の写しの送付その他の方法により,当該被疑者取調べの状況について,取調べ監督業務担当課の長を経由して,警察本部長に報告しなければなりません(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則9条1項)。
□ 警察本部長は,①被疑者取調べについての苦情,②警察署長等の報告その他の事情から合理的に判断して被疑者取調べにおいて監督対象行為が行われたと疑うに足りる相当な理由のあるときは,取調べ監督業務担当課の警察官のうちから調査を担当する者(=取調べ調査官)を指名して,当該被疑者取調べにおける監督対象行為の有無の調査を行う必要があります(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則10条1項)。
□ 警視総監及び道府県警察本部長は都道府県公安委員会に対し,方面本部長は方面公安委員会に対し,毎年度少なくとも一回,被疑者取調べの監督の実施状況を報告しなければなりません(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則11条)。
□ 警察庁長官は,国家公安委員会に対し,毎年度少なくとも一回,この規則の施行状況を報告しなければなりません(被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則13条)。
2 検察の取調べに対する苦情の申し入れ方法等
□ 取調べに関する不満等の把握とこれに対する対応について(平成20年5月1日付の次長検事依命通達。平成20年9月1日実施)(=不満対応通達)は概要,以下のとおり定めています。
① 被疑者の弁護人等から,検察官等による被疑者の取調べに関して申入れがなされたときは,その申入れを受けた検察官等は,速やかに,取調べ関係申入れ等対応票を作成して申入れの内容等を記録した上,当該事件の決裁官に対し,これを提出して申入れの内容等を報告するものとする。
② 決裁官は,弁護人等の申入れを把握した場合,速やかに,所要の調査を行い,必要な措置を講ずるものとする。
③ 調査結果及び講じた措置については,捜査・公判遂行に与える影響等を考慮しつつ,申入れ等を行った弁護人等に対し,適時に,可能な範囲において説明を行うものとする。
④ 調査を行い,必要な措置を講じた当該事件の決裁官は,取調べ関係申入れ等対応票に,その調査結果,講じた措置等を記録するとともに,その上位の決裁官にこれを報告するものとする。
⑤ 検察官等が,司法警察職員による被疑者の取調べに関して,弁護人等から申入れを受けたときは,速やかに,当該事件の主任検察官にその旨を連絡し,当該連絡を受けた主任検察官において,検察官等による被疑者の取調べに関する申入れ等がなされた場合に準じて,取調べ関係申入れ等対応票を作成して申入れ又は不満等の内容等を記録し,当該事件の決裁官にこれを報告するとともに,当該事件の捜査主任官である司法警察職員に申入れ又は不満等の内容等を連絡し,必要な措置を講ずるものとする。
⑥ 決裁官とは,地方検察庁のうち,部制庁においては,当該事件の捜査又は公判を所管する部(当該申入れ等に係る取調べを担当した検察官等の所属する部)の部長(副部長が置かれている場合には,担当副部長)とし,非部制庁においては,次席検事とする。
区検察庁においては,上席検察官又は検事正が指定した者とする。
⑦ 取調べ当時に当該被疑者の身柄が拘束されているかどうかにかかわらず,以上の措置を実施する。
□ 取調べ状況の記録等に関する訓令(平成15年11月5日法務省刑刑訓第117号。平成16年4月1日施行)1条に基づき,検察官又は検察事務官(=検察官等)は,逮捕又は勾留されている者を取調べ室等において被疑者又は被告人(=被疑者等)として取り調べた場合,当該取調べを行った日ごとに,取調べ状況等報告書を作成しなければなりません。
そして,検察官等は,取調べ状況等報告書を作成したときは,被疑者等にその記載内容を確認させ,これに署名指印することを求めるものとされています(取調べ状況の記録等に関する訓令2条)。
□ 不満対応通達の運用状況については,平成23年8月の「取調べに関する国内調査結果報告書」(法務省)に記載されています。

第4の2 被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の運用状況

1 インターネットアーカイブに掲載されている警察庁作成資料のバックナンバーは以下のとおりです。
① 平成24年度における被疑者取調べ監督に関する実地点検及び指導の実施状況について(平成25年4月18日付)
② 平成25年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について(平成26年2月6日付)
③ 平成26年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について(平成27年2月19日付)
④ 平成27年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について(平成28年3月3日付)
⑤ 平成28年における被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況について(平成29年2月16日付)

2 警察庁HPには,「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則の施行状況」の最新版しか掲載されていません。

第5 代用監獄及び被告人の移送

□ 被疑者及び被告人の勾留場所は本来,刑事施設としての拘置所です(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(=刑事収容施設法)3条3号)。
しかし,拘置所の収容能力に限界があることから,被疑者の勾留場所はほぼ常に警察署留置場であり,被告人の勾留場所も当初は警察署留置場となっており(刑事収容施設法15条1項参照),これを代用監獄といいます。
□ 検察官は,裁判長の同意を得て,勾留されている被告人を他の刑事施設に移すことができます(刑訴規則80条1項)。
□ 検察官は,被告人を他の刑事施設に移したときは,直ちにその旨及びその刑事施設を裁判所及び弁護人に通知しなければなりません(刑訴規則80条2項前段)。
被告人に弁護人がないときは,被告人の法定代理人,保佐人,配偶者,直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨及びその刑事施設を通知しなければなりません(刑訴規則80条2項後段)。
□ 勾留に関する処分を行う裁判官は職権により被疑者又は被告人の勾留場所を変更する旨の移監命令を発することができます(最高裁平成7年4月12日決定)。

第6 被疑者に対する不起訴処分の告知

□ 検察官は,刑事事件を起訴しなかった場合において,被疑者の請求があるときは,速やかにその旨を告げる必要があります(刑訴法259条)。
しかし,被疑者が検察庁に問い合わせをしない場合,検察官は,被疑者に対し,不起訴処分とした旨を伝える必要はありません。
□ 検察官が被疑者に対して書面で不起訴処分の告知をする場合,不起訴処分告知書によります(事件事務規程73条1項)。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。