症状固定後の社会保険及び失業保険

第0 目次

第1 交通事故被害者にとっての社会保険
第2 交通事故被害者にとっての失業保険
第3 会社を退職した後の公的医療保険及び年金
第4 障害者の雇用状況
第5 社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧が掲載されている外部HP

*0 「症状固定後の医療費の助成制度」及び「休職期間中の社会保険料及び税金」も参照してください。
*1 「雇用保険に係る不服申立て及び訴訟に関する業務取扱要領(平成25年8月版)」を掲載しています。
*2 平成29年8月1日以降,年金受給のための資格期間は10年間となります(厚生労働省HPの「新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年→10年)」参照)。
*3 母子家庭に対する支援策については,外部HPの「シングルマザー必見!母子家庭を支援する手当と助成金制度まとめ」が参考になります。
*4 厚生労働省HPに「介護保険事業状況報告:結果の概要」(月報のほか,平成12年度以降の年報があります。)が載っています。
*5 日本年金機構の国民年金及び厚生年金保険に関する業務処理マニュアルが行政文書情報販売店HPの「社会保険各マニュアル」で販売されています。

第1 交通事故被害者にとっての社会保険

1 労災保険からの給付
(1) 会社員として労災保険に加入していた場合,後遺障害に対しては以下の支給があります。
① 後遺障害等級が8級以下のとき,(a)障害補償給付(1回給付),(b)障害特別支給金(1回給付)及び(c)障害特別一時金(1回給付)を支給してもらえます。
   (a)及び(b)は毎月の給料に対するものであり,(c)は賞与に対するものです。
② 後遺障害等級が7級以上のとき,(a)障害補償給付(年金形式),(b)障害特別支給金(1回給付)及び(c)障害特別年金(年金形式)を支給してもらえます。
   (a)及び(b)は毎月の給料に対するものであり,(c)は賞与に対するものです。 
(2) 障害補償給付は損益相殺の対象となりますから,交通事故に基づく損害賠償金と重複して支給してもらうことはできません(労災保険法12条の4参照)。
   これに対して,労働者災害補償保険特別支給金支給規則に基づいて支給される障害特別支給金,並びに障害特別一時金及び障害特別年金は,損益相殺の対象となりません(最高裁平成8年2月23日判決)から,交通事故に基づく損害賠償金とは別枠で支給してもらえます。
(3) 労災保険の場合,年金形式となる7級と一時金給付となる8級との間には非常に大きな差があります。
(4) 障害補償給付等の請求手続については,厚生労働省HPの「障害(補償)給付の請求手続」が参考になります。
(5) 厚生労働省労働基準局が平成25年10月に作成した,労災保険給付事務取扱手引1/3労災保険給付事務取扱手引2/3及び労災保険給付事務取扱手引3/3を掲載しています。
 
2 障害基礎年金及び障害厚生年金からの給付
(1) 厚生年金に加入していた場合,交通事故後の初診日から1年6月を経過した時点で概ね10級以上に該当する後遺障害が残ったとき,障害手当金の支給対象となり,概ね6級に該当する後遺障害が残ったとき,障害厚生年金3級の支給対象となります。
(2) 会社員として国民年金及び厚生年金に加入していた場合,交通事故後の初診日から1年6月を経過した障害認定日において概ね5級又は4級に該当する後遺障害が残ったとき,障害基礎年金・障害厚生年金2級の支給対象となり,概ね3級以上に該当する後遺障害が残ったとき,障害基礎年金・障害厚生年金1級の支給対象となります。
(3) 社会保険の障害認定については,日本年金機構HPの「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」が基準となります。
(4) 労災保険及び障害基礎年金・障害厚生年金の両方から年金を支給される場合,併給調整として,労災保険からの支給額が73%,83%又は88%となります。
(5) 平成29年度の年金額は,平成28年度の年金額から0.1%減少となります(厚生労働省HPの「平成29年度の年金額改定について」参照)。
 
3 国民年金保険料の免除
(1) 国民年金に加入していた人が交通事故によって収入が減った場合,翌年7月以降,国民年金手帳又は基礎年金番号通知書等を持参して,市役所等の国民年金担当窓口又は年金事務所において,国民年金保険料の免除申請をすることができます(日本年金機構HPの「保険料を納めることが,経済的に難しいとき」参照)。
(2) 厚生年金に加入していたものの,失業によって国民年金に加入した人の場合,前年所得が多い場合でも,所得にかかわらず,失業のあった月の前月から国民年金保険料の免除を受けられます(失業等の特例免除)(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。
   ただし,世帯主や配偶者がいる場合,世帯主や配偶者が所得要件を満たしているか,失業等の特例免除に該当している必要があります。
(3)   国民年金保険料について未納のままにしておくと,障害基礎年金又は遺族基礎年金を支給してもらえなくなったり,将来的に老齢基礎年金を支給してもらえなくなったりする可能性があります。
   そのため,国民年金保険料を支払うことが難しい場合,必ず免除申請をしておいてください。
(4) 障害基礎年金又は被用者年金の障害年金(2級以上)を支給されるようになった場合,国民年金法89条1項1号・国民年金法施行令6条の5第1項1号・4条の6及び別表に基づき,認定された日を含む月の前月の保険料から免除になります(日本年金機構HPの「生活保護(生活扶助),障害基礎年金及び被用者年金の障害年金を受けている方は,国民年金保険料が「法定免除」となります。」参照)。
(5) 日本年金機構HPの「国民年金保険料の変遷」に昭和36年4月以降の国民年金保険料の変遷が載っています。
 
4 国民健康保険料の減額
(1) 交通事故による怪我が原因で解雇されたり,退職したりしたことによって国民健康保険に加入した場合,国民健康保険料を軽減してもらえます。
   ただし,例えば,大阪市の場合,①減免を受けるための手続については,減免を受けようとする月の納期限前7日までに申請が必要ですし,②減免の対象となる保険料は,特別な事由のない限り申請があった月以降の保険料となりますし,③保険料の軽減・減免を受けるためには,世帯全員の所得が判明していることが必要であるため,未申告の人がいる場合,必ず所得の申告を行う必要があります(大阪市HPの「国民健康保険料の減額・減免等」参照)。
(2) 外部HPの「国民健康保険計算機」を使えば,自治体を選択した後,年齢と年収を入力することで,国民健康保険料を計算することができます。

第2 交通事故被害者にとっての失業保険

1 総論
(1) いわゆる失業保険は,失業等給付の一内容である「求職者給付の基本手当」のことです。
(2) 失業保険を受け取るまでの流れは,外部HPの「【漫画】第1話「失業保険の貰い方!金額の計算から支給日まで」」が非常に分かりやすいです。
   また,全体の流れは,外部HPの「自己都合退職でも失業保険を最大まで受け取るまでの全知識」が詳しいです。
(3) 交通事故によるケガが原因で解雇されたり,退職するように勧奨されたりした人は通常,特定受給資格者(雇用保険法23条2項)となります(いわゆる会社都合退職のことです。)。
   また,少なくとも,体力の不足,心身の障害等により離職するわけですから,特定理由離職者(契約の更新がないことにより離職した者及び正当理由離職者)(雇用保険法13条3項)となります(「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」参照)。
   そのため,一般受給資格者(いわゆる自己都合退職のことです。)と異なり,①離職前1年間に6月以上給料の支払があれば,90日間,失業保険をもらえることがありますし,②失業保険の支給期間が長くなります(「基本手当の所定給付日数」参照)し,③3ヶ月間の給付制限期間(雇用保険法33条1項参照)がありません(ハローワークに求職の申込みをした日からの7日間の待機期間(雇用保険法21条)はあります。)。
(4) 勤務先において雇用保険への加入手続をしてもらっていなかった場合であっても,ハローワークの職権による被保険者資格の確認(雇用保険法8条及び9条)を経て,最大で2年間遡及して被保険者資格を取得した上で失業保険を支給してもらえることがありますから,最寄りのハローワークに相談してください(大阪ハローワークHPの「ハローワーク管轄MAP」参照)。
   詳細については,雇用保険に関する業務取扱要領(平成28年8月1日以降)の「適用関係」の第5に書いてあります。
(5) 離職票の発行に関する会社側の手続は,外部HPの「離職票と退職証明書,退職時に会社が用意しなければならないのは?」が分かりやすいです。
   また,正式な説明が厚生労働省HPの「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」に載っています。
 
2 ハローワークでの手続
(1) 退職後の失業保険の受給方法は,ハローワークインターネットサービスの「雇用保険手続きのご案内」に書いてあります。
(2) 失業保険を支給してもらうためにはまず,雇用保険被保険者離職票,マイナンバーの通知カードその他マイナンバーを確認できる書類(例えば,マイナンバーが書いてある住民票),運転免許証等の本人確認書類,写真2枚,印鑑及び本人名義の普通預金通帳(郵便局を含む。)を持参して,住所地を管轄するハローワークに行き,「求職の申込み」を行った後,雇用保険被保険者離職票を提出して受給資格を決定してもらう必要があります。
   失業保険の支給手続は,ハローワークにおける「受給資格の決定」から始まりますから,失業した場合,速やかにハローワークに行ってください。
(3) 交通事故によるケガが原因で休職した後に失業した場合,交通事故の日から3年6月が経過するまでに失業したのであれば,失業保険を支給してもらえることがあります(賃金日額の算定対象期間に関する雇用保険法13条参照)から,最寄りのハローワークに相談してください。
(4)ア ハローワークにおける受給資格の決定に際して,離職理由が判定されます。
   仮に会社からもらった雇用保険被保険者離職票において自己都合退職と記載されていた場合,特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する旨の異議申立てをしてください。
イ 「離職理由の判定手続きの流れ」が,ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」に載っています。
   ハローワークとしては,事業主が離職票に記載している「離職理由」について,それを裏付ける客観的資料等により確認します。
   事業主と離職者との間で「離職理由」に関する見解が異なる場合,離職者及び事業主から収集した客観的資料等により,ハローワークが「離職理由」を判断することとなります。
ウ 外部HPの「ハローワークで受給手続き!退職理由について質問を受ける」に,受給資格の決定のために,ハローワークで離職理由を質問された際の体験談が載っています。
   また,受給資格の決定日から7日後に雇用保険受給者初回説明会があったみたいです。
(5) 雇用保険受給資格者証及び失業認定申告書は,雇用保険受給者初回説明会で交付してもらえます(ハローワークインターネットサービスの「雇用保険受給者初回説明会」参照)。
   外部HPの「雇用保険受給説明会に参加!貰える金額が日額で5,666円でわかる」によれば,説明会の3週間後に「失業保険の第1回失業認定日」があったみたいです。
(6)ア 原則として,4週間に1度,失業の認定(失業状態にあることの確認)を行ってもらう必要があります。
   そのため,指定された日に管轄のハローワークに行き,「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し,「雇用保険受給資格者証」とともにハローワークに提出してください。
イ 外部HPの「失業保険の第2回失業認定日!アルバイトで就業手当が貰える」に,失業認定の体験談が書いてあります。
(7) 交通事故によるケガが原因で失業した場合,「被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態」という意味での「失業」(雇用保険法4条3項)に該当しませんから,ケガが治って就労できるようにならない限り,失業保険を支給してもらえませんから,ケガが治るまでに1年間の支給期間が過ぎてしまうことがあります。
   そのため,離職日の翌日から30日を過ぎてから1ヶ月以内に(=離職の31日後から61日後までに),最大で3年間支給期間を延長してもらえる「受給期間の延長申請」(雇用保険法20条1項・雇用保険法施行規則30条1号)をしておいてください(大阪ハローワークの「受給期間延長の手続き」参照)。

第3 会社を退職した後の公的医療保険及び年金

0 はじめに
   外部HPの「退職したら最初に見るサイト」が分かりやすいです。

1 公的医療保険との関係

(1) 会社を退職した場合,公的医療保険との関係では,以下のいずれか三つを選択します。
① 国民健康保険
② 健康保険の任意継続
③ 健康保険の被扶養者
→ 家族(配偶者,親,子等)が加入している健康保険の被扶養者になることです。
(2) 国民健康保険と健康保険の任意継続のどちらがお得であるかについては,ケースバイケースです(外部HPの「国保と任意継続を比較」参照)。
   しかし,健康保険の任意継続を選択するためには,退職した日から20日以内に手続をする必要があります(健康保険法37条1項)から,どちらがいいか分からない場合,とりあえず健康保険の任意継続をした方がいいと思います。
(3) 健康保険の場合,被扶養者が増えたからといって,健康保険料が上がることはありませんから,被扶養者の条件を満たすのであれば,健康保険の被扶養者となるのが一番お得です。

2 年金との関係 
(1) 会社を退職した場合,年金との関係では,以下のいずれかを選択します。
① 国民年金
② 国民年金の第3号被保険者
→ 厚生年金に加入している配偶者がいる場合において,その被扶養者になることです。 
(2) 国民年金の第3号被保険者の場合,自分で年金保険料を支払うことなく国民年金制度に加入できますから,こちらの方がお得です。
 
3 失業保険との関係
   失業保険に税金はかかりません(雇用保険法12条)。
   ただし,失業保険の基本手当日額が3612円以上となった場合,健康保険の被扶養者及び国民年金の第3号被保険者になることができなくなります(外部HPの「被扶養者になるのがもっとも経済的!」参照)。

第4 障害者の雇用状況

1(1) 従業員が一定数以上の規模の事業主は,従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を法定雇用率以上にする必要があります(障害者雇用促進法43条1項)。
   民間企業の法定雇用率は2.0%ですから,従業員を50人以上雇用している企業は,身体障害者又は知的障害者を1人以上雇用しなければなりません。
(2) 精神障害者については,現在,法定雇用率の算定基礎の対象となっていませんが,雇用した場合は雇用率制度上,身体障害者又は知的障害者を雇用したものとみなされます。
(3) 平成30年度からは,精神障害者も法定雇用率の算定基礎の対象に加えられることになっています。
(4) 厚生労働省HPの「障害者の雇用」が参考になります。
 
2 障害者の雇用状況については,厚生労働省HPの「平成28年障害者雇用状況の集計結果」(平成28年12月13日付)に詳しく書いてあります。

第5 社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧が掲載されている外部HP

国立社会保障・人口問題研究所HPの「社会保障統計年報データベース」において,「社会保障の体系と現状」に掲載されている,「社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧」(エクセルデータ)を見れば,社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容が正確かつ網羅的に分かります。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。