症状固定後の社会保険及び失業保険

第0 目次

第1   交通事故被害者にとっての社会保険
第2   年金事務所に対する障害年金の申請方法
第3   交通事故被害者にとっての失業保険
第4   会社を退職した後の公的医療保険及び年金
第5   障害者の雇用状況
第6   最近の年金受給資格者の拡大等
第7   社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧が掲載されている外部HP
第8の1 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(上肢の機能障害)
第8の2 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(下肢の機能障害)

*0 以下の記事も参照してください。
① 症状固定後の医療費の助成制度
② 休職期間中の社会保険料及び税金
③ 後遺障害としての関節の可動域制限 
*1 以下の資料を掲載しています。
① 日本年金機構が平成30年3月に作成した,障害年金審査業務マニュアル(平成30年3月)1/132/133/134/135/136/137/138/139/1310/1311/1312/13及び13/13
② 厚生労働省年金局が作成した社会保険審査官事務取扱要領(平成28年4月)
*2 にわ法律事務所HP「重度後遺障害を負った方の入院期間と退院後の介護」に「回復期リハビリテーション病棟に入院した早い段階から、医療ソーシャルワーカーに退院後の介護体制について相談しておくと安心です。」と書いてあります。
*3 日本年金機構HP「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(平成29年12月1日改正)が載っています。
*4 厚労省HPの「『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定及び実施について」(平成28年7月15日付)に以下の資料が載っています。
① 国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年9月)
② 国民年金・厚生年金保険 診断書(精神の障害用)
③ 国民年金・厚生年金保険 診断書(精神の障害用)の記載要領
④ 日常生活及び就労に関する状況について(照会)
*5 厚労省HPの「障害基礎年金」が非常に参考になります。
*6 厚労省HPに「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」が載っています。
*7 大阪市HPの「身体障がい者手帳」に,身体障害者診断書・意見書等が載っています(例えば,「肢体不自由用」があります。)。
   また,「障がいを理由とする差別の解消の推進に向けて」が載っています。
*8 交通事故・損害賠償請求ネット相談室HP「症状固定後(将来)の診療費・治療費等を損害として賠償請求できるか?」が載っています。
*9 健康長寿ネットHP「介護保険の主治医意見書とは」が載っています。
   また,福岡県介護保険広域連合HP「主治医意見書記入の手引き」が載っています。
*10 大阪労働局HPに「労働保険の適用単位と対象となる労働者の範囲」が載っています。

第1 交通事故被害者にとっての社会保険

1 労災保険からの給付
(1) 会社員として労災保険に加入していた場合,後遺障害に対しては以下の支給があります。
① 後遺障害等級が8級以下のとき,(a)障害補償給付(1回給付),(b)障害特別支給金(1回給付)及び(c)障害特別一時金(1回給付)を支給してもらえます。
   (a)及び(b)は毎月の給料に対するものであり,(c)は賞与に対するものです。
② 後遺障害等級が7級以上のとき,(a)障害補償給付(年金形式),(b)障害特別支給金(1回給付)及び(c)障害特別年金(年金形式)を支給してもらえます。
   (a)及び(b)は毎月の給料に対するものであり,(c)は賞与に対するものです。 
(2) 障害補償給付は損益相殺の対象となりますから,交通事故に基づく損害賠償金と重複して支給してもらうことはできません(労災保険法12条の4参照)。
   これに対して,労働者災害補償保険特別支給金支給規則に基づいて支給される障害特別支給金,並びに障害特別一時金及び障害特別年金は,損益相殺の対象となりません(最高裁平成8年2月23日判決)から,交通事故に基づく損害賠償金とは別枠で支給してもらえます。
(3) 労災保険の場合,年金形式となる7級と一時金給付となる8級との間には非常に大きな差があります。
(4)ア 障害補償給付等の請求手続については,「労災保険の給付内容」を参照してください。
イ 厚生労働省HPに「障害(補償)給付の請求手続」が載っています。
 
2 障害基礎年金及び障害厚生年金からの給付
(1) 厚生年金に加入していた場合,交通事故後の初診日から1年6月を経過した時点で概ね10級以上に該当する後遺障害が残ったとき,障害手当金の支給対象となり,概ね6級に該当する後遺障害が残ったとき,障害厚生年金3級の支給対象となります。
(2) 会社員として国民年金及び厚生年金に加入していた場合,交通事故後の初診日から1年6月を経過した障害認定日において概ね5級又は4級に該当する後遺障害が残ったとき,障害基礎年金・障害厚生年金2級の支給対象となり,概ね3級以上に該当する後遺障害が残ったとき,障害基礎年金・障害厚生年金1級の支給対象となります。
(3) 労災保険及び障害基礎年金・障害厚生年金の両方から年金を支給される場合,併給調整として,労災保険からの支給額が73%,83%又は88%となります。
(4) 平成29年度の年金額は,平成28年度の年金額から0.1%減少となります(厚生労働省HPの「平成29年度の年金額改定について」参照)。
(5)  厚生年金保険法47条に基づく障害年金の支給を受ける権利の消滅時効は,当該障害年金に係る裁定を受ける前であっても,厚生年金保険法36条所定の支払期が到来した時から進行する(最高裁平成29年10月17日判決)。
(6) 障害年金申請サポートさくやこの花相談室HP「同時受給できる?生活保護受給者が障害年金を申請するメリットを解説」によれば,障害年金の受給者の平均額は以下のとおりです。
障害厚生年金1級 平均月額153,752円
障害厚生年金2級 平均月額118,738円
障害厚生年金3級 平均月額  61,530円
障害基礎年金1級 平均月額  82,016円
障害基礎年金2級 平均月額  66,358円
(7) 平成18年4月以降,障害基礎年金及び老齢厚生年金の両方を受給できるようになりました(厚生年金・国民年金増額対策室HP「障害基礎年金と老齢厚生年金は併給できますか?」参照)。
(8) 老齢年金は雑所得として課税されるのに対し,障害年金は所得税との関係では非課税ですが,社会保険との関係では収入扱いされます(横浜障害年金申請相談室HP「障害年金を受給した場合の税金」参照)。
(9) ふくおか障害年金サポートHP「審査請求・再審査請求」に,関東信越厚生局東海北陸厚生局近畿厚生局中国四国厚生局及び九州厚生局の社会保険審査官について,審査請求件数及び処理状況等が載っています。
(10)  厚生年金保険法47条に基づく障害年金の支分権(支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利)の消滅時効は,当該障害年金に係る裁定を受ける前であっても,厚生年金保険法36条所定の支払期が到来した時から進行します(最高裁平成29年10月17日判決)。
(11) 在職老齢年金制度による年金額の減額及び支給停止の対象は老齢厚生年金だけです(タスカルナHP「年金を受け取りながら働くと損?在職老齢年金の仕組み」参照)。

3 国民年金保険料の免除

(1) 国民年金に加入していた人が交通事故によって収入が減った場合,翌年7月以降,国民年金手帳又は基礎年金番号通知書等を持参して,市役所等の国民年金担当窓口又は年金事務所において,国民年金保険料の免除申請をすることができます(日本年金機構HPの「保険料を納めることが,経済的に難しいとき」参照)。
(2) 厚生年金に加入していたものの,失業によって国民年金に加入した人の場合,前年所得が多い場合でも,所得にかかわらず,失業のあった月の前月から国民年金保険料の免除を受けられます(失業等の特例免除)(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。
   ただし,世帯主や配偶者がいる場合,世帯主や配偶者が所得要件を満たしているか,失業等の特例免除に該当している必要があります。
(3)   国民年金保険料について未納のままにしておくと,障害基礎年金又は遺族基礎年金を支給してもらえなくなったり,将来的に老齢基礎年金を支給してもらえなくなったりする可能性があります。
   そのため,国民年金保険料を支払うことが難しい場合,必ず免除申請をしておいてください。
(4)ア 障害基礎年金又は被用者年金の障害年金(2級以上)を支給されるようになった場合,国民年金法89条1項1号・国民年金法施行令6条の5第1項1号・4条の6及び別表に基づき,認定された日を含む月の前月の保険料から免除になります(日本年金機構HPの「生活保護(生活扶助),障害基礎年金及び被用者年金の障害年金を受けている方は,国民年金保険料が「法定免除」となります。」参照)。
イ 障害年金を受給している方の約70%の人は更新がある有期認定であります(咲くやこの花相談室HPの「障害年金がもらえたら申請できる!国民年金の免除申請とは?」参照)ところ,障害の程度が回復して障害基礎年金を支給されなくなった場合,その後については再び国民年金保険料を支払う必要が出てきます。
(5) 日本年金機構HPの「国民年金保険料の変遷」に昭和36年4月以降の国民年金保険料の変遷が載っています。
 
4 国民健康保険料の減額
(1) 交通事故による怪我が原因で解雇されたり,退職したりしたことによって国民健康保険に加入した場合,雇用保険の特定受給資格者又は特定理由離職者に該当しますから,申請により国民健康保険料を軽減してもらえます(前年の給与所得を30%とした上で国民健康保険料を計算します。)。
   ただし,例えば,大阪市の場合,①減免を受けるための手続については,減免を受けようとする月の納期限前7日までに申請が必要ですし,②減免の対象となる保険料は,特別な事由のない限り申請があった月以降の保険料となりますし,③保険料の軽減・減免を受けるためには,世帯全員の所得が判明していることが必要であるため,未申告の人がいる場合,必ず所得の申告を行う必要があります(大阪市HPの「国民健康保険料の減額・減免等」参照)。
(2) てつづきの美学HP「国保の軽減:失業したときの保険料はいくら?計算方法と申請方法を確認」が載っています。
(3) 国民健康保険計算機HPを使えば,自治体を選択した後,年齢と年収を入力することで,通常の国民健康保険料を計算することができます。

5 65歳未満の被害者の場合,介護保険は利用できないこと等
(1)ア   第2号被保険者が介護保険を利用できるのは老化を原因とする16の特定の疾病(例えば,後縦靭帯骨化症)によって要介護状態になってしまった時だけです(厚生労働省HPの「特定疾病の選定基準の考え方」参照)。
   そのため,40歳以上65歳未満の人が交通事故で要介護状態と認定されても介護保険は利用できません。
イ 厚生労働省HPに「介護保険事業状況報告:結果の概要」(月報のほか,平成12年度以降の年報があります。)が載っています。
(2) 大阪市HPに「介護保険 要介護認定・要支援認定申請書」が載っています。
(3) 厚生労働省HPの「介護保険事業状況報告:結果の概要」に月報及び年報が載っています。

6 障害者手帳
(1) 大阪府HPの「障がい者手帳制度」に,①身体障がい者手帳(1級から6級まで),②療育手帳(A(重度),B1(中度),B2(軽度))及び③精神障がい者保健福祉手帳(1級から3級まで)の説明が載っています。
(2) 大阪府HPの「障がい者の交通機関における運賃割引に関する情報」に,鉄道,一般路線バス(高速路線バスを除く),大阪メトロ,大阪シティバス,タクシー・船舶,航空機,有料道路に関する割引情報が載っています。
(3) クレヨンボックスHP「福祉制度の情報」に手帳制度の説明のほか,障害程度等級表などが載っています。
(4) 生活保護受給者が身体障害者手帳3級以上になった場合,障害者加算が適用されます(生活保護を学ぼうHP「障害者加算」参照)。
(5) 身体障害者手帳又は精神障害者保健福祉手帳を取得した場合,所得税との関係では,障害者控除(控除額は27万円)が適用されるようになります。
   また,身体障害者手帳1級若しくは2級,又は精神障害者保健福祉手帳1級を取得した場合,所得税との関係では,特別障害者控除(控除額は40万円)が適用されるようになります(国税庁HPの「No.1160 障害者控除」参照)。
(6) 福ナビ とうきょう福祉ナビゲーションHP「第1種・2種 身体障害者・知的障害者」が載っています。
(7) VoicE of RepeL HP「身体障害者手帳6級のメリットを紹介【実体験付き】」が載っています。

7 社会保険及び労働保険への加入状況の検索
(1) 日本年金機構HPの「厚生年金保険・健康保険 適用事業場検索システム」を使えば,厚生年金保険及び健康保険への加入状況を調査できます。
(2) 厚生労働省HPの「労働保険適用事業場検索」を使えば,労災保険及び雇用保険への加入状況を調査できます。

8 その他
(1) 母子家庭に対する支援策については,保険の教科書HP「シングルマザー必見!母子家庭を支援する手当と助成金制度まとめ」が参考になります。
(2) 日本年金機構の国民年金及び厚生年金保険に関する業務処理マニュアルが行政文書情報販売店HP「社会保険各マニュアル」で販売されています。
(3) 日本年金機構HPに「年金記録問題について」が載っています。
(4) 国立障害者リハビリテーションセンター高次脳機能障害情報・支援センターHP「福祉サービスについて知りたい」によれば,高次脳機能障害のある方が利用できる福祉サービスとして,①障害者手帳,②障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)による障害福祉サービス及び③介護保険制度による介護サービスがあります。

第2 年金事務所に対する障害年金の申請方法等

1 障害基礎年金の受給条件
(1) 障害基礎年金を受給するためには,国民年金法30条に基づき,①初診日要件,②保険料納付要件及び③障害認定日要件の三つの要件を満たす必要があります(厚生労働省HPの「障害基礎年金」2頁参照)。
(2) 阪神・障害年金サポートセンターHP「障害年金の初診日について詳しく解説します!」には,初診日について以下の記載があります。
・ 同一傷病で転医があった場合,一番初めに医師等の診察を受けた日です。
・ 障害の原因となった傷病の前に,相当因果関係があると認められる傷病がある場合,最初の傷病の初診日です。
・ 「前の疾病や負傷がなかったら,後の傷病は起こらなかったであろう」と認められる場合,相当因果関係があると考え,前後の傷病を同一の傷病として取り扱います。
(3) 初診日が2026年4月1日までの場合,初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がない場合,国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年5月1日法律第34号)附則20条1項に基づき②保険料納付要件を満たします。
(4)ア 障害認定日時点の障害の程度を判断するには,初診日から1年6月経過した日から3月以内に受診した際のカルテの記録に基づき作成された診断書が必要です(障害年金119HP「遡及請求,時効について」参照)。
イ ③障害認定日要件を満たさない場合,事後重症による障害基礎年金(国民年金法30条の2)となり,請求日が属する月の翌月分から障害基礎年金を支給されるに過ぎません(厚生労働省HPの「障害基礎年金」22頁参照)。

2 年金事務所に対する障害年金の申請時の書類
(1) 自分又は社会保険労務士等が作成する書類
① 年金請求書
・ 障害基礎年金の場合は「年金請求書(国民年金障害基礎年金)(様式第107号)」を,障害厚生年金の場合は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)(様式第104号)」を作成します(書式は「障害基礎年金を受けられるとき」又は「障害厚生年金を受けられるとき」に載っています。)。
② 病歴・就労状況等申立書
・ 「病歴・就労状況等申立書を提出しようとするとき」に,病歴・就労状況等申立書の書式及び記載要領が載っています。
(2) 病院が作成する書類
① 受診状況等証明書
・ 「受診状況等証明書を提出しようとするとき」に,受診状況等証明書及び受診状況等証明書が添付できない申立書の書式が載っています。
② 医師の診断書
・ 「精神の障害用の診断書を提出するとき」に,診断書(精神の障害用)の書式及び記載要領が載っています。
   なお,診断書(精神の障害用)の「① 障害の原因となった傷病名」欄に,ICD-10コードを忘れずに記載する必要があります。
・ 「肢体の障害用の診断書を提出するとき」に,診断書(肢体の障害用)の書式及び記載要領が載っています
(3) その他の書類
① 戸籍謄本,戸籍抄本,戸籍の記載事項証明,住民票,住民票の記載事項証明書のいずれか
② 受取先金融機関の通帳等(本人名義)のコピー
(4) その他
ア 日本年金機構HPの「障害基礎年金を受けられるとき」に障害基礎年金を請求する際の必要書類が,「障害厚生年金を受けられるとき」に障害厚生年金を請求する際の必要書類が載っています。
イ 年金請求書等の提出先は,自宅近くの年金事務所となりますところ,日本年金機構HPの「全国の相談・手続き窓口」に,全国の年金事務所等の連絡先が載っています。
ウ 厚労省HPに「『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定及び実施について」(平成28年7月15日付)が載っています。

3 その他
(1) 阪神・障害年金サポートセンターHP「てんかんで障害年金を受給するポイントを解説します!」によれば,認定については,「発作のタイプと頻度」,及び「日常生活能力の判定及び程度」が等級を決める上で最も重視されます。
(2) 障害年金申請サポート咲くやこの花相談室HP「てんかんで障害年金を受給できる!認定基準と審査のポイント」が載っています。
(3) 「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(平成29年12月1日改正)49頁には,「神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。」と書いてあります。

第3 交通事故被害者にとっての失業保険

1 総論
(1) いわゆる失業保険は,失業等給付の一内容である「求職者給付の基本手当」のことです(ハローワークインターネットサービスHPの「雇用保険制度の概要」参照)。
(2) 失業保険を受け取るまでの流れは,フクポンHP「【漫画】第1話「失業保険の貰い方!金額の計算から支給日まで」」が非常に分かりやすいです。
   また,全体の流れは,外部HPの「自己都合退職でも失業保険を最大まで受け取るまでの全知識」が詳しいです。
(3) 交通事故によるケガが原因で解雇されたり,退職するように勧奨されたりした人は通常,特定受給資格者(雇用保険法23条2項)となります(いわゆる会社都合退職のことです。)。
   また,少なくとも,体力の不足,心身の障害等により離職するわけですから,特定理由離職者(契約の更新がないことにより離職した者及び正当理由離職者)(雇用保険法13条3項)となります(「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」参照)。
   そのため,一般受給資格者(いわゆる自己都合退職のことです。)と異なり,①離職前1年間に6月以上給料の支払があれば,90日間,失業保険をもらえることがありますし,②失業保険の支給期間が長くなります(「基本手当の所定給付日数」参照)し,③3ヶ月間の給付制限期間(雇用保険法33条1項参照)がありません(ハローワークに求職の申込みをした日からの7日間の待機期間(雇用保険法21条)はあります。)。
(4) 勤務先において雇用保険への加入手続をしてもらっていなかった場合であっても,ハローワークの職権による被保険者資格の確認(雇用保険法8条及び9条)を経て,最大で2年間遡及して被保険者資格を取得した上で失業保険を支給してもらえることがありますから,最寄りのハローワークに相談してください(大阪ハローワークHPの「ハローワーク管轄MAP」参照)。
   詳細については,雇用保険に関する業務取扱要領(平成28年8月1日以降)の「適用関係」の第5に書いてあります。
(5)ア 離職票の発行に関する会社側の手続は,外部HPの「離職票と退職証明書,退職時に会社が用意しなければならないのは?」が分かりやすいです。
   また,正式な説明が厚生労働省HPの「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」に載っています。
イ 離職票には,A4サイズの「雇用保険被保険者離職票-1」,及びA3サイズ・緑色の「雇用保険被保険者離職票-2」(3枚綴りであり,1枚目は事業主控え,2枚目はハローワーク控え,3枚目は本人分)からなります。
ウ   雇用保険被保険者離職票-2の右端の「離職区分」につき,特定受給資格者であれば,1A, 1B, 2A, 2B, 3A又は3Bに印が付き,
   特定理由離職者であれば,2C(給付日数の優遇あり),3C又は3D(後2者は給付日数の優遇なし)に印が付き,
   一般受給資格者(自己都合退職)であれば,4D又は5Eに印が付きます(知らないと損する雇用保険(失業保険)HP「離職理由コード(詳細を詳しく説明)」参照)。
(6) 平成29年1月1日から,65歳以上の人も雇用保険に加入できるようになりました(気になるノートHP「65歳からの雇用保険:高年齢求職者給付金の基本手当日額と計算方法」参照)。
 
2 ハローワークでの手続
(1) 退職後の失業保険の受給方法は,ハローワークインターネットサービスの「雇用保険手続きのご案内」に書いてあります。
(2) 失業保険を支給してもらうためにはまず,雇用保険被保険者離職票,マイナンバーの通知カードその他マイナンバーを確認できる書類(例えば,マイナンバーが書いてある住民票),運転免許証等の本人確認書類,写真2枚,印鑑及び本人名義の普通預金通帳(郵便局を含む。)を持参して,住所地を管轄するハローワークに行き,「求職の申込み」を行った後,雇用保険被保険者離職票を提出して受給資格を決定してもらう必要があります。
   失業保険の支給手続は,ハローワークにおける「受給資格の決定」から始まりますから,失業した場合,速やかにハローワークに行ってください。
(3) 交通事故によるケガが原因で休職した後に失業した場合,交通事故の日から3年6月が経過するまでに失業したのであれば,失業保険を支給してもらえることがあります(賃金日額の算定対象期間に関する雇用保険法13条参照)から,最寄りのハローワークに相談してください。
(4)ア ハローワークにおける受給資格の決定に際して,離職理由が判定されます。
   仮に会社からもらった雇用保険被保険者離職票において自己都合退職と記載されていた場合,特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する旨の異議申立てをしてください。
イ 「離職理由の判定手続きの流れ」が,ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」に載っています。
   ハローワークとしては,事業主が離職票に記載している「離職理由」について,それを裏付ける客観的資料等により確認します。
   事業主と離職者との間で「離職理由」に関する見解が異なる場合,離職者及び事業主から収集した客観的資料等により,ハローワークが「離職理由」を判断することとなります。
ウ 外部HPの「ハローワークで受給手続き!退職理由について質問を受ける」に,受給資格の決定のために,ハローワークで離職理由を質問された際の体験談が載っています。
   また,受給資格の決定日から7日後に雇用保険受給者初回説明会があったみたいです。
(5) 雇用保険受給資格者証及び失業認定申告書は,雇用保険受給者初回説明会で交付してもらえます(ハローワークインターネットサービスの「雇用保険受給者初回説明会」参照)。
   外部HPの「雇用保険受給説明会に参加!貰える金額が日額で5,666円でわかる」によれば,説明会の3週間後に「失業保険の第1回失業認定日」があったみたいです。
(6)ア 原則として,4週間に1度,失業の認定(失業状態にあることの確認)を行ってもらう必要があります。
   そのため,指定された日に管轄のハローワークに行き,「失業認定申告書」に求職活動の状況等を記入し,「雇用保険受給資格者証」とともにハローワークに提出してください。
イ 外部HPの「失業保険の第2回失業認定日!アルバイトで就業手当が貰える」に,失業認定の体験談が書いてあります。
(7) 交通事故によるケガが原因で失業した場合,「被保険者が離職し,労働の意思及び能力を有するにもかかわらず,職業に就くことができない状態」という意味での「失業」(雇用保険法4条3項)に該当しませんから,ケガが治って就労できるようにならない限り,失業保険を支給してもらえませんから,ケガが治るまでに1年間の支給期間が過ぎてしまうことがあります。
   そのため,離職日の翌日から30日を過ぎてから1ヶ月以内に(=離職の31日後から61日後までに),最大で3年間支給期間を延長してもらえる「受給期間の延長申請」(雇用保険法20条1項・雇用保険法施行規則30条1号)をしておいてください(大阪ハローワークの「受給期間延長の手続き」参照)。

3 雇用保険に係る不服申立て及び訴訟
(1) 雇用保険審査官配付表を以下のとおり掲載しています。
① 平成30年度分
(2) 雇用保険に係る不服申立て及び訴訟に関する業務取扱要領(平成28年4月)1/2及び2/2を掲載しています。

4 再就職手当及び就業促進定着手当
(1) 再就職手当は,雇用保険の受給資格者が,自己都合や解雇,会社の倒産や契約終了等で離職をし,雇用保険受給資格の決定を受けた後,早期に再就職をした場合に支給される手当のことです(派遣社員かんたんスタートガイドHP「【派遣の再就職手当】支給条件や手続きについて」参照)。
(2) 就業促進定着手当は,再就職手当の支給を受けた方で,再就職先に6か月以上雇用され,再就職先での6か月間の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給される手当のことです(ハローワークHPの「再就職後の手当が、離職前の賃金より低い場合には「就業促進定着手当」が受けられます」参照)。

第4 会社を退職した後の公的医療保険及び年金

0 はじめに
   外部HPの「退職したら最初に見るサイト」が分かりやすいです。

1 公的医療保険との関係

(1) 会社を退職した場合,公的医療保険との関係では,以下のいずれか三つを選択します。
① 国民健康保険
② 健康保険の任意継続
③ 健康保険の被扶養者
→ 家族(配偶者,親,子等)が加入している健康保険の被扶養者になることです。
(2)ア 国民健康保険と健康保険の任意継続のどちらがお得であるかについては,ケースバイケースです(国民健康保険HP「国保と任意継続を比較」参照)。
   しかし,健康保険の任意継続を選択するためには,退職した日から20日以内に手続をする必要があります(健康保険法37条1項)から,どちらがいいか分からない場合,とりあえず健康保険の任意継続をした方がいいと思います。
イ 退職したら最初に見るサイト「国民健康保険と任意継続はどちらがお得?保険料を比較しよう!」が載っています。
(3) 健康保険の場合,被扶養者が増えたからといって,健康保険料が上がることはありませんから,被扶養者の条件を満たすのであれば,健康保険の被扶養者となるのが一番お得です。

2 年金との関係 
(1) 会社を退職した場合,年金との関係では,以下のいずれかを選択します。
① 国民年金
② 国民年金の第3号被保険者
→ 厚生年金に加入している配偶者がいる場合において,その被扶養者になることです。 
(2) 国民年金の第3号被保険者の場合,自分で年金保険料を支払うことなく国民年金制度に加入できますから,こちらの方がお得です。
 
3 失業保険との関係
   失業保険に税金はかかりません(雇用保険法12条)。
   ただし,失業保険の基本手当日額が3612円以上となった場合,健康保険の被扶養者及び国民年金の第3号被保険者になることができなくなります(退職したら最初に見るサイト「被扶養者になるのがもっとも経済的!」参照)。

第5 障害者の雇用状況

1(1) 従業員が一定数以上の規模の事業主は,従業員に占める身体障害者・知的障害者の割合を法定雇用率以上にする必要があります(障害者雇用促進法43条1項)。
   民間企業の法定雇用率は2.0%ですから,従業員を50人以上雇用している企業は,身体障害者又は知的障害者を1人以上雇用しなければなりません。
(2) 精神障害者については,現在,法定雇用率の算定基礎の対象となっていませんが,雇用した場合は雇用率制度上,身体障害者又は知的障害者を雇用したものとみなされます。
(3) 平成30年度からは,精神障害者も法定雇用率の算定基礎の対象に加えられることになっています。
(4) 厚生労働省HPの「障害者の雇用」が参考になります。
 
2 障害者の雇用状況については,厚生労働省HPの「平成28年障害者雇用状況の集計結果」(平成28年12月13日付)に詳しく書いてあります。

第6 最近の年金受給資格者の拡大

0 厚生労働省HPの「社会保障全般分野のトピックス」に,毎年3月下旬及び9月下旬,「厚生労働省関係の主な制度変更」が掲載されています。

1 平成28年10月1日から,従業員501人以上の会社で働いている場合,短時間労働者であっても社会保険に加入できることがあります(
保険のまめ知識HP「社会保険の適用拡大」参照)。

2 平成29年8月1日以降,年金受給のための資格期間は10年間となります(厚生労働省HPの「新たに年金を受けとれる方が増えます(受給資格期間25年→10年)」参照)。

第7 社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧が掲載されている外部HP

国立社会保障・人口問題研究所HP「社会保障統計年報データベース」において,「社会保障の体系と現状」に掲載されている,「社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容一覧」(エクセルデータ)を見れば,社会保険,児童手当及び後期高齢者医療制度の内容が正確かつ網羅的に分かります。

第8の1 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(上肢の機能障害)

国民年金・厚生年金保険障害認定基準(昭和61年3月31日付の社会保険年金保険部長通知)のうち,上肢の機能障害に関する記載は以下のとおりです。

ア 「両上肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両上肢の用を全く廃したもの」とは、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。
(ア) 不良肢位で強直しているもの
(イ) 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの
   なお、認定に当たっては、一上肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
イ 「一上肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一上肢の用を全く廃したもの」とは、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。
(ア) 不良肢位で強直しているもの
(イ) 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの
ウ 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう。
   なお、認定に当たっては、一上肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
エ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。
オ 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼)をいう。
(注) 関節に著しい機能障害がない場合であっても、関節に機能障害を残すもの(「関節の他動可動域が健側の他動可動域の5分の4以下に制限されたもの」又は「これと同程度の障害を残すもの(例えば、固定装具を必要としない程度の動揺関節、習慣性脱臼)」をいう。)に該当する場合は、第2章「併合等認定基準(併合判定参考表の12号)」にも留意すること。
カ 「上肢の指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「上肢の指の用を全く廃したもの」とは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう。
キ 「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」とは、両上肢のおや指の用を全く廃した程度の障害があり、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指の用を全く廃した程度の障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立させて物をつまむことができない程度の障害をいう。
ク 「指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(ア) 指の末節骨の長さの2分の1以上を欠くもの
(イ) 中手指節関節(MP)又は近位指節間関節(PIP)(おや指にあっては、指節間関節(IP))に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの
ケ 「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一上肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両上肢に機能障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)をいう。
   なお、両上肢に障害がある場合の認定に当たっては、一上肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
コ 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。
(ア) 一上肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両上肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。
   ただし、そう入置換してもなお、一上肢については「一上肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両上肢については「両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。
(イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
サ 「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一上肢に機能障害を残すもの(例えば、一上肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)をいう。
シ 前腕の他動可動域が健側の他動可動域の4分の1以下に制限されたものは、上記サと同程度の障害を残すもの(第2章「併合等認定基準(併合判定参考表の10号)」)とする。
ス 日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。
(ア) さじで食事をする
(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

第8の2 国民年金・厚生年金保険障害認定基準(下肢の機能障害)

国民年金・厚生年金保険障害認定基準(昭和61年3月31日付の社会保険年金保険部長通知)のうち,下肢の機能障害に関する記載は以下のとおりです。

ア 「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両下肢の用を全く廃したもの」とは、両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。
(ア) 不良肢位で強直しているもの
(イ) 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの
   ただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように、両下肢の3大関節中単にそれぞれ1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。
   なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
イ 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一下肢の用を全く廃したもの」とは、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。
(ア) 不良肢位で強直しているもの
(イ) 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの
   ただし、膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合には、「一下肢の用を全く廃したもの」と認定する。
ウ 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう。
   なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
エ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。
オ 「関節に著しい機能障害を残すもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の3分の2以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時ではないが、固定装具を必要とする程度の動揺関節、習慣性脱臼)をいう。
(注) 関節に著しい機能障害がない場合であっても、関節に機能障害を残すもの(「関節の他動可動域が健側の他動可動域の5分の4以下に制限されたもの」又は「これと同程度の障害を残すもの(例えば、固定装具を必要としない程度の動揺関節、習慣性脱臼)」をいう。)に該当する場合は、第2章「併合等認定基準(併合判定参考表の12号)」にも留意すること。
カ 「足趾の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(ア) 第1趾は、末節骨の2分の1以上、その他の4趾は遠位趾節間関節(DIP)以上で欠くもの
(イ) 中足趾節関節(MP)又は近位趾節間関節(PIP)(第1趾にあっては、趾節間関節(IP))に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの
   なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
キ 「身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの)又は両下肢に機能障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)をいう。
   なお、両下肢に障害がある場合の認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。
ク 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。
(ア) 一下肢の3大関節中1関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の3大関節中1関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。
   ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。
(イ) 障害の程度を認定する時期は、人工骨頭又は人工関節をそう入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。
ケ 「身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」とは、一下肢に機能障害を残すもの(例えば、一下肢の3大関節中1関節の筋力が半減しているもの)をいう。
コ 日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。
(ア) 片足で立つ
(イ) 歩く(屋内)
(ウ) 歩く(屋外)
(エ) 立ち上がる
(オ) 階段を上る
(カ) 階段を下りる
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。