労働法関係

第0 目次

第1 時間外労働,休日労働及び深夜労働並びに残業代請求
第2 時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36協定」)
第3 歩合給
第4 就業規則
第5 労働協約及びユニオン・ショップ協定
第6 労使協定
第7 労働者名簿,賃金台帳及び記録の保存
第8 国際自動車に関する訴訟等
第9 最低賃金
第10 最高裁判所の労働実務研究会の結果概要
第11 期間の定めのない労働契約
第12 労働組合
第13 労働委員会による不当労働行為救済制度
第14 解雇
第15 有給休暇

*0 「タクシー業界に対する規制」も参照してください。

第1 時間外労働,休日労働及び深夜労働並びに残業代請求

「時間外労働,休日労働及び深夜労働並びに残業代請求」に移転させました。

第2 時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36協定」)

「時間外労働,休日労働及び深夜労働並びに残業代請求」に移転させました。

第3 歩合給

「時間外労働,休日労働及び深夜労働並びに残業代請求」に移転させました。

第4 就業規則

「就業規則に関するメモ書き」に移転させました。

第5 労働協約及びユニオン・ショップ協定

「労働協約,労使協定及びユニオン・ショップ協定」に移転させました。

第6 労使協定と労働協約の違い

「労働協約,労使協定及びユニオン・ショップ協定」に移転させました。

第7 労働者名簿,賃金台帳及び記録の保存

「労働者名簿,賃金台帳及び記録の保存」に移転させました。

第8 国際自動車に関する訴訟等

1 国際自動車第1次訴訟
(1) 国際自動車第1次訴訟に関する最高裁平成29年2月28日判決の裁判要旨は以下のとおりであり,国際自動車の賃金規程が公序良俗に違反するとして無効であるとした東京高裁平成28年4月21日判決(第一審は東京地裁平成27年7月16日判決(担当部は東京地裁11民))を破棄差戻しとしました。
   歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の賃金規則上の定めが公序良俗に反し無効であると判断するのみで,当該賃金規則における賃金の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と労働基準法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができるか否かや,そのような判別をすることができる場合に,当該賃金規則に基づいて割増賃金として支払われた金額が同条その他の関係法令に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かについて審理判断することなく未払賃金の請求を認容すべきものとした原審の判断には,割増賃金に関する法令の解釈適用を誤った結果,審理を尽くさなかった違法がある。 
(2) 国際自動車の賃金規則の給料計算は簡略化すれば,給料=基本給+歩合給+割増金であり,歩合給=(揚高-控除額)×歩率-割増金でした。
   そのため,給料=基本給+((揚高-控除額)×歩率-割増金)+割増金=基本給+(揚高-控除額)×歩率となる結果,時間外労働に基づく割増金がいくら増えても給料が変わらないというものでした(外部HPの「残業代請求訴訟(国際自動車事件)最高裁平成29年2月28日判決」参照)。

2 国際自動車第2次訴訟 
   国際自動車第2次訴訟に関する東京地裁平成28年4月21日判決(担当部は東京地裁19民)は,国際自動車の賃金規定は労働基準法37条及び公序良俗に違反しないとしました(外部HPの「国際自動車(第2・歩合給等)事件」参照)。

3 関連判例
   最高裁平成6年6月13日判決最高裁平成24年3月8日判決最高裁平成29年7月7日判決最高裁平成30年7月19日判決があります。

第9 最低賃金

1(1) 使用者は,最低賃金の適用を受ける労働者に対し,その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません(最低賃金法4条1項)。
(2) 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは,その部分については無効となります。この場合,無効となった部分は,最低賃金と同様の定をしたものとみなされます(最低賃金法4条2項)。
(2) 最低賃金の適用を受ける使用者は,当該最低賃金に関する以下の事項を,常時作業場の見やすい場所に掲示し,又はその他の方法で,労働者に周知させるための措置をとらなければなりません(最低賃金法8条,最低賃金法施行規則6条)。
① 適用を受ける労働者の範囲及びこれらの労働者に係る最低賃金額
② 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
③ 効力発生年月日

2(1) 厚生労働省に中央最低賃金審議会が置かれ,都道府県労働局に地方最低賃金審議会が置かれています(最低賃金法20条)。
(2) 最低賃金審議会は,専門部会を置いたうえで,最低賃金の決定又はその改正の決定について調査審議を行います(最低賃金法25条2項,最低賃金審議会令6条)。
(3) 中央最低賃金審議会の議事録,資料等及び開催案内は,厚生労働省HPの「中央最低賃金審議会」に載っています。
(4)ア 平成28年7月28日付の「平成28年度地域別最低賃金額改定の目安について」によれば,大阪府の引上げ額の目安はAランクの25円でした。
イ 平成29年7月27日付の「平成29年度地域別最低賃金額改定の目安について」によれば,大阪府の引上げ額の目安はAランクの26円でした。

3(1) 大阪府最低賃金の推移は以下のとおりです(大阪労働局HPの「大阪府最低賃金額の推移」参照)。
25年10月18日~:時間額819円(25年9月18日発表)
26年10月 5日~:時間額838円(26年9月 5日発表)
27年10月 1日~:時間額858円(27年8月 6日発表)
28年10月 1日~:時間額883円(28年8月23日発表)
(2) 大阪府最低賃金は,大阪府最低賃金審議会の大阪労働局長に対する答申を経た後,大阪労働局労働基準部賃金課によって発表されています。

4(1) タクシー,トラック運転者の賃金が最低賃金に違反していないかどうかを確認する方法については,鳥取労働局HPの「タクシー,トラック運転者の最低賃金について」が分かりやすいです。
(2) 月給制,日給月給制,日給制等については,外部HPの「日給月給制って何?知らないと損をする給与体系」が分かりやすいです。

第10 最高裁判所の労働実務研究会の結果概要

〇最高裁判所の平成25年度労働実務研究会の結果概要を以下のとおり掲載しています。
①   「労働事件の一般的問題」結果概要
→ 時間外手当(実労働時間),時間外手当(審理運営),時間外手当(固定残業代),定年後の再雇用拒否,セクハラ・パワハラ,労働契約法18条,降格,就業規則の不利益変更,普通解雇及び懲戒解雇に関する裁判官の議論が載っています。
②   「労働事件を巡る実務上の諸問題」結果概要
→ 休職,使用者がとるべき対応,業務起因性,労働時間の認定方法,時間外手当,定年後の再雇用拒否,労働契約法20条,労働審判(セクハラ・パワハラ等の審理運営),労働審判(テレビ会議システム等)及び労働審判(適正な手続選択)に関する裁判官の議論が載っています。

第11 期間の定めのない労働契約

○私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約は,①当該労働契約において,3年の更新限度期間の満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する教員の勤務成績を考慮して当該大学を運営する学校法人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められており,当該教員もこのことを十分に認識した上で当該労働契約を締結したものとみることができること,②大学の教員の雇用については一般に流動性のあることが想定されていること,③当該学校法人が運営する三つの大学において,3年の更新限度期間の満了後に労働契約が期間の定めのないものとならなかった教員も複数に上っていたことなど判示の事情の下においては,当該労働契約に係る上記3年の更新限度期間の満了後に期間の定めのないものとなったとはいえません(最高裁平成28年12月1日判決)。

第12 労働組合

1 労働組合が他の労働組合の闘争支援資金として徴収する臨時組合費,及び労働組合がその実施したいわゆる安保反対闘争により民事上又は刑事上の不利益処分を受けた組合員を救援する費用として徴収する臨時組合費については,組合員はこれを納付する義務を負う。
   これに対して, 労働組合がいわゆる安保反対闘争実施の費用として徴収する臨時組合費,及び労働組合が特定の立候補者の選挙運動支援のためその所属政党に寄付する資金として徴収する臨時組合費については,組合員はこれを納付する義務を負わない(最高裁昭和50年11月28日判決(国労広島地本事件判決))。

2 最高裁平成15年12月22日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
① 日本国有鉄道改革法6条2項所定の旅客鉄道株式会社及び同法8条2項所定の日本貨物鉄道株式会社の設立委員ひいては上記各社は,その成立の時の職員の採用について,日本国有鉄道がその職員の中から上記各社の職員となるべき者を選定してその名簿を作成するに当たり専らその意思により組合差別をしたという場合には,労働組合法7条にいう使用者として不当労働行為の責任を負わない。
② 雇入れの拒否は,それが従前の雇用契約関係における不利益な取扱いにほかならないとして不当労働行為の成立を肯定することができる場合に当たるなどの特段の事情がない限り,労働組合法7条1号本文にいう不利益な取扱いに当たらない。

3 最高裁平成18年12月8日判決の裁判要旨は以下のとおりです。
① 労働組合法2条1号所定の使用者の利益代表者に近接する職制上の地位にある者が使用者の意を体して労働組合に対する支配介入を行った場合には,使用者との間で具体的な意思の連絡がなくとも,当該支配介入をもって使用者の不当労働行為と評価することができる。
② 労使協調路線を採るA労働組合の組合員である新幹線運転所の指導科長(助役)が,A労働組合と対立するB労働組合の組合員である同運転所の従業員に対し,B労働組合からの脱退を勧めたり,B労働組合の組合員に対する使用者の働き掛けを容認するよう求めたりする発言をした場合において,(1)同運転所の科長は現場長である所長に次ぐ職制上の地位にあったこと,(2)A労働組合から脱退した者らがB労働組合を結成し,両者が対立する状況において,使用者はA労働組合に対し好意的であったこと,(3)上記発言には使用者の意向に沿って上司としての立場からされた発言と見ざるを得ないものが含まれていたことなど判示の事情の下では,上記発言がA労働組合の組合員としての発言であることが明らかであるなどの特段の事情が存在することについて首肯すべき説示をすることなく,上記発言をもって使用者の不当労働行為と認めることはできないとした原審の判断には,違法がある。 

4 従業員と使用者との間において従業員が特定の労働組合に所属し続けることを義務付ける内容の合意がされた場合において,同合意のうち,従業員に上記労働組合から脱退する権利をおよそ行使しないことを義務付けて脱退の効力そのものを生じさせないとする部分は,公序良俗に反し無効です(最高裁平成19年2月2日判決)。

5(1) 住宅設備機器の修理補修等を業とする会社と業務委託契約を締結してその修理補修等の業務に従事する受託者は,上記会社との関係において労働組合法上の労働者に当たることがあります(最高裁平成23年4月12日判決参照)。
(2) 年間を通して多数のオペラ公演を主催する財団法人との間で期間を1年とする出演基本契約を締結した上,各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演していた合唱団員は,上記法人との関係において労働組合法上の労働者に当たることがあります(最高裁平成23年4月12日判決参照)。

第13 労働委員会による不当労働行為救済制度

1 自ら救済を申し立てなかった労働者がその所属する労働組合の救済申立てに係る救済命令の取消訴訟に行政事件訴訟法22条1項に基づく参加をすることは,当該救済命令の内容が当該労働者に対する賃金相当額の支払を命じるものであるなど当該労働者個人の雇用関係上の権利にかかわるものであっても,許されません(最高裁平成14年9月26日決定)。

2 労働委員会による不当労働行為救済制度は,労働者の団結権及び団体行動権の保護を目的とし,これらの権利を侵害する使用者の一定の行為を不当労働行為として禁止した労働組合法7条の規定の実効性を担保するために設けられたものです。
   そのため,使用者が同条3号の不当労働行為を行ったことを理由とする救済申立てをするには,当該労働組合のほか,その組合員も申立て適格を有します(最高裁平成16年7月12日判決)。

第15 有給休暇

「年次有給休暇に関するメモ書き」に移転させました。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。