裁判所からの文書提出命令等に関する労基署の取扱い

第0 目次

第1 裁判所からの文書提出命令等に対する労基署の取扱いについて定めた局長通達及び課長通達
第2 局長通達の内容
第3 課長通達の内容
第4 文書提出命令に係る業務参考資料

* 「文書提出命令」も参照して下さい。

第1 裁判所からの文書提出命令等に対する労基署の取扱いについて定めた局長通達及び課長通達

1 裁判所からの文書提出命令,文書送付嘱託及び調査嘱託に対する労働基準監督署(=労基署)の取扱いについて定めた以下の通達を掲載しています。
① 裁判所からの文書提出命令等に対する取扱いについて(平成14年3月13日付の厚生労働省労働基準局長通達)
②  裁判所からの文書提出命令等に対する具体的な対応について(平成14年3月13日付の厚生労働省労働基準局総務課長通達)
③ 裁判所からの文書送付嘱託等への対応に係る標準事務処理要領(平成27年5月付の厚生労働省労働基準局安全衛生部の文書)

2 外部HPに,「文書提出命令に係る意見書例の送付について」(平成24年3月27日付の厚生労働省労働基準局労災補償部補償課労災保険審理室長の通知)が掲載されており,意見書例1が「原告被災者遺族から,被告会社社員の聴取書等について,文書提出命令の申立てがあったもの」であり,意見書例2が「被告会社から,原告の聴取書について,文書提出命令の申立てがあったもの」です。

第2 局長通達の内容

以下の記載は,平成14年3月13日付の厚生労働省労働基準局長通達を丸写ししたものです。
 
第1 裁判所から文書の提出等が求められたときの具体的対応
1 民事訴訟法(平成13年法律第96号。以下「民訴法」という。)に基づき裁判所から文書の提出等を求められる手続きの種類 
① 文書提出命令(民訴法第223条)
   訴訟当事者からの申立てに基づき、裁判所がこれを認容したときに、文書の所持者に対してその提出を命ずる手続。
   なお、文書提出命令は、文書の所持者に対しては、その提出を命ずる決定を行うことができるが(民訴法第223条第1項)、文書の所持者が第三者である場合には、当該第三者を審尋しなければならない(民訴法第223条第2項)こととされている。
②  調査の嘱託(民訴法第186条)
   訴訟当事者の申立て又は裁判所の職権により、官公署等に対して、必要な調査を嘱託する手続。
③  文書送付の嘱託(民訴法第226条)
   訴訟当事者からの申立てに基づき、裁判所がこれを認容したときに、文書の所持者に対して文書送付を嘱託する手続。

2 改正民訴法の主な改正点
 
   今回の改正法は、民事訴訟における証拠収集手続の一層の充実を図るため、改正前の民訴法では文書提出義務がないとして除外されていた公務文書について、その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの(以下「公務秘密文書」という。)、刑事事件に係る訴訟に関する書類等を除いて、一般的に文書提出義務を負うとする(民訴法第220条第4号)とともに、 刑事事件に係る訴訟に関する書類を除き、当該文書が、公務秘密文書等の文書提出義務が除外される文書に該当するかどうかを裁判所が判断をするため必要があると認めるときは、当該文書を何人にも不開示とする条件下で、文書の所持者にその提示をさせることができることとする(民訴法第223条第6項。いわゆる「インカメラ手続」という。)等、文書提出命令制度の充実を図るものである。
   具体的には、これまで、公務文書については、利益文書(申立人の利益のために作成された文書。例えば同意書等を指す。)又は法律関係文書(申立人と文書所持者との法律関係について作成された文書。例えば、契約書等を指す。)に該当するもの以外については文書提出義務を負わないものとされていたが(改正前の民訴法第220条第3号)、改正法により、公務秘密文書等を除き全て文書提出義務を負うこととなったものである。
 
3 文書提出命令の申立後の対応 
   裁判所から文書提出命令の決定に先立ち審尋があった場合には、命令の対象となる文書が公務秘密文書等に該当するか否かを検討し、公務秘密文書等に該当すると判断される場合を除き文書提出に応じ、公務秘密文書等に該当すると考える場合には当該文書を提出することによって、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあること等を具体的に説明し、裁判所の理解を得るよう努力すること。
   なお、裁判所に意見を述べるに当たっては、事前に本省担当課と十分協議すること。

4 調査の嘱託及び文書送付嘱託への対応
 
   裁判所から上記1の②又は③の調査の嘱託及び文書送付の嘱託が行われた場合においても、関係者の同意を得るなど職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等に十分配慮しつつ、適宜、本省担当課と協議しながら、原則これに応じる立場で適切に対応すること。

第2 弁護士法(昭和24年法律第205号)に基づく弁護士会からの照会に対する対応

   弁護士は、弁護士法第23条の2により、その受任している事件について、所属弁護士会に公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができ、所属弁護士会は、弁護士からの申出が適当でないと認める場合を除き、 公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができるとされている。
   このため、弁護士会からの照会に対しては、このような制度が法律上認められている趣旨をも踏まえつつ適切に対応すること。
   また、この場合、弁護士法に基づく弁護士会からの照会は、訴訟当事者のー方の弁護士が、その受任事件を契機として、当事者の立場からなされるものであり、訴訟当事者の一方の利益のためになされるという側面があることから、その対応に当たっては、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公正中立な立場を損なう等公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等の観点から、十分な検討を行うこと。
   なお、弁護士はその受任事件が裁判所に係争した時点で、民訴法に基づき、裁判所に文書送付の嘱託の申立又は文書提出命令の申立ができるものであることに留意すること。

第3 課長通達の内容

以下の記載は,平成14年3月13日付の厚生労働省労働基準局総務課長通達を丸写ししたものです。
 
   労働基準行政機関の保有する文書については、業務上災害に係る損害賠償請求訴訟等に関連し、裁判所等からこれらの文書の開示を求められることが多くなるものと考えられることから、その対応については、平成14年3月13日付け基発第0313008号「裁判所等からの文書提出命令等に対する取扱いについて」の記の第1の4により、調査の嘱託及び文書送付の嘱託がなされた場合には、原則これに応じる立場から適切に対応することとされたところである。しかしながら、強制手続きである文書提出命令と異なり、調査の嘱託及ぴ文書送付の嘱託に係る対応については、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ等に十分配慮を要することから、具体的には下記により対応することとするので、その取扱いに遺憾なきを期されたい。


1 調査の嘱託について
 
   調査の嘱託は、文書送付の嘱託が書証として労働基準行政機関が保有する文書そのものの送付を求めるものであるのに対し、書証としてではなく、調査事項について文書による報告を求める点で異なるが、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ等に十分配慮した上で、客観的事実について報告すること。

2 文書送付の嘱託について
(1) 対象となる文書 
   裁判所から、労働基準行政機関が保有する労働災害の発生状況等客観的事実を把握できる文書や関係者からの証言等の文書について提出を求められた場合には、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等に十分配慮し、適切な対応を行うべきものである。
   これを踏まえ、文書送付の嘱託に応じて提出する主な文書は次のとおりとすること。
ア 関係者からの提出文書
(ア) 事業主から届出のあった各種報告書、就業規則届又は労使協定届
(イ) 事業主が作成した出勤簿、賃金台帳、勤務時間表、超過勤務証明書、業務日誌等業務内容報告書、人事経歴簿、人員組織構成表、配置表又は作業手順表
(ウ) 事業主からの回答書(業務内容、勤務実態等に関するもの)
(エ) 定期健康診断実施結果(被災者のもの) 
〔オ)事故に関係した機器類の機能等(寸法、規格等を含む)の説明書
(カ) 被災者又は当該被災者の親族、上司、同僚その他の関係者(以下「親族等」 という。)が作成した手帳、日記、メモ等
(キ) 労災保険の支給請求書
(ク) 各種許認可申請書 
イ 関係者からの聴取書等 
   被災者本人又は当該被災者の親族等の聴取書、陳述書等 
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
(ア) 労災保険支給(不支給)決定通知書等(控)
(イ) 是正勧告書(控)
(ウ) 指導票(控)
(エ) 安全衛生指導書(控)
(オ) 主治医に対する意見照会書(控)
(カ) 各種許認可書(控) 
エ 医師の作成した文書等
(ア) 主治医作成の診断書、診療録、レントゲン写真、検査結果又は死亡診断書
(イ) 主治医又は専門医作成の意見書又は鑑定書
(ウ) 公的機関からの回答書
(気象台からの回答書、検死調書等警察からの回答書)
オ 他の官公署からの各種証明書等(上記エ(ウ)に掲げるものを除く。以下同じ。)
カ 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等
  
(2)具体的手続について 
   強制手続である文書提出命令とは異なり、文書送付の嘱託に対して労働基準行政機関が保有する上記(1)の文書を裁判所に提出するに当たっては、
①   文書提出者等が当該文書の一部分について開示を望まない場合には、当該部分を黒塗りして提出すること 
②   同意の確認に関する経過については記録すること 
に留意するとともに、それぞれ下記により対応すること。
ア 関係者からの提出文書 
   文書送付の嘱託申立人(以下「申立人」という。)から提出された文書については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者から提出された文書については、当該者の利害に配意する必要があることから、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうか、当該者に対し同意確認を行った上で、同意が得られた場合にのみ、その写しを提出すること
   また、同意が得られなかった場合には、当該文書の標題のみを回答すること。 なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
イ 関係者からの聴取書等 
   申立人の聴取書等については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。
   申立人以外の者の聴取書等については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、次の手順により処理すること。
(ア) 聴取した者に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行うこと。
(イ) 同意が得られた場合には聴取書等の写しを裁判所に提出することとするが、 同意が得られない場合にはその旨、次の例を参考に文書により裁判所に回答すること。
   ○月○日、文書送付の嘱託のあった件につき、○○ほか○名の聴取書(写) を別添のとおり送付します。なお、〇名については本人の同意が得られなかったため提出は差し控えます。」
* 同意の得られなかった者についてはその人数のみを回答すること。ただし、 同意しない者が訴訟の相手方当事者であるときは、同意しない者の氏名を秘匿する必要がないので、この場合は相手方当事者の氏名を回答して差し支えないこと。
ウ 労働基準行政機関が発出した文書 
   労働基準行政機関が、申立人に発出した文書については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、その写しを提出すること。なお、当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合には、当該部分を黒塗りして提出すること。
   申立人以外の者に発出した文書については、当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意する必要があることから、上記イの手順に準じて処理すること。
エ 医師の作成した文書等 
   医師の意見書等の文書については、医師等が職務上知り得た事実で秘密にすべき事項が含まれている場合があるため、当該医師等に対し、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行った上で、同意が得られた場合にのみ、その写しを提出すること。
   なお、同意が得られなかった場合には、上記イの(イ)の手順に準じて処理すること。
オ 他の官公署からの各種証明書等 
   基本的には他の官公署において提出を判断すぺきことであるが、災害発生後相当期間経過し、当該証明書等を保有していないなど、当時の証明等を改めて当該官公署から求めることが困難な場合に限り、労働基準行政機関が文書提出に協力すること。
カ 労働基準行政機関の職員が作成した復命書等 
   労働基準行政機関の職員が作成した復命書等の文書に係る文書送付の嘱託がなされた場合には、当該文書の記載内容に応じて個別に対応すること。
   文書提出の範囲は、原則として、①調査担当官が職務上知ることができた事業場等にとっての私的な情報に関する部分とし、②行政内部の意思形成過程に関する情報の部分については、黒塗りして提出すること。
   なお、①の情報に該当するもののうち、申立人に係る情報については、文書送付の嘱託を申し出た時点で裁判所への提出に同意しているものと考えられることから、該当部分について提出することとなるが、申立人の相手方当事者に係る情報については、裁判所からの文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を行い、同意が得られなかった部分については、公知の事実を除き、提出しないこと。申立人及び申立人の相手方当事者以外の第三者を特定する情報については、 同意確認が困難であることから、黒塗りして提出すること。
   同意確認に際して、対象文書そのものの提示が困難である場合には、提出対象とされる各情報の項目を列挙して提示をするなど、包括的な方法によらざるを得ないものであることから、同意の判断に当たっては、守秘義務の観点から慎重に行う必要があることに留意すること。
   また、関係者から聴取した内容がそのまま記載又は引用されている部分や、医師の作成した文書等からそのまま記載又は引用されている部分については、当該部分について、上記(2)のイないしはエと同様に取り扱うこと。
(3) 担当裁判所書記官等への説明等 
   上記の(2)の結果、文書を提出することができない場合及び申立人からの申出の内容に照らし、十分応えることができない場合には、担当裁判所書記官等に対してその理由を詳しく説明し、理解を得るべく努めることが肝要であること。
   また、このような場合であっても、調査内容における客観的事実についての回答をすることにより対応が可能である場合には、記の1に準じて対応すること。

3 本省との協議について 
   調査の嘱託又は文書送付の嘱託がなされ、本省と協議を行う必要がある場合には、 それぞれの業務所管課に対して行うこと。
   なお、都道府県労働局労働基準部所管課及び総務部労働保険徴収主務課(東京労働局にあっては労働保険徴収部所管課〕が本省労働基準局担当課と協議する場合は、都道府県労働局労働基準部監督課を窓口とし、本省労働基準局総務課を経由して行うこと
   また、裁判所が文書提出命令の決定に先立って行う審尋において意見を述ぺるに当たって事前に協議する場合も同様とすること。 

第4 文書提出命令に係る業務参考資料

1 外部HPに掲載されている,平成23年6月15日付の厚生労働省労働基準局労災補償部補償課労災保険審理室長の事務連絡「文書提出命令に係る業務参考資料の送付等について」には,以下の資料が載っています。
① 文書提出命令一覧
② 文書提出命令に係る手続
③ 文書提出命令に係る決定一覧
④ 最高裁平成17年10月14日決定
⑤ 最高裁平成17年10月14日決定に関する最高裁判所調査官解説
⑥ パンフレット「行政機関のための法律意見照会制度」
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
  
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。